転職は辞めてから？働きながら？転職と退職のベストなタイミングを解説

退職後に転職活動をする場合、収入が途絶えてしまうことは大きなデメリットです。

収入がなければ貯金を切り崩さなければならず、焦りやプレッシャーを生む原因になってしまいます。転職活動は必ず内定がもらえるわけではないので、万が一長期化してしまった場合はかなりの出費を覚悟しなければなりません。

一般的に、転職活動にかかる期間は3〜6か月ほどかかるといわれています。1か月の生活費が30万円なら3か月で90万円、6か月で180万円の蓄えが必要になる計算です。失業保険が受給できる場合でも、自己都合による退職は約2か月間は受け取れないため注意しましょう。

会社を辞めてから転職活動をすると、焦りを感じて転職先に求める希望の条件を妥協してしまう可能性があることもデメリット。無職の状態での転職活動は金銭面と精神面の両方から重圧がかかり、思ったよりも焦りを感じてしまいます。

例えば転職活動が長期化した場合、早く転職活動を終わらせたいと思って希望条件を下げてしまう場合があるでしょう。転職の際の希望条件には収入・勤務時間・休日日数・勤務地・福利厚生などがありますが、これらを妥協して内定をもらうと転職先への不満につながりかねません。

転職活動が長引くと、企業からの心証が悪くなる可能性があります。会社を辞めてから転職するまでは無職のため、経歴に空白の期間が生まれてしまうからです。

もし空白期間が長引けば、企業から見ると転職活動をしっかりと行っていないのではと思われてしまう可能性があります。また目標設定やスケジュール管理などが不十分で、自己管理能力に問題があるのではないかと疑われる場合も。

ブランクが長い場合は、なぜ転職が長期化しているのかをポジティブな理由で明確に説明できるようにしましょう。例えば資格を取得していた、より自分にマッチする企業を狙って調査していたなどが考えられます。

転職活動で不採用になると自分が思っているよりも精神面でストレスがたまり、プレッシャーもかかるものです。不採用なら転職活動を最初からやり直さなければいけないうえに、面接などに費やしたコストが無駄になるのではと考え込んでしまう人もいます。

収入がないことによる金銭的な問題や、空白期間が長期化して焦りが出ることもあるでしょう。さらに不採用が続けば、自分に価値がないのではとマイナス思考になってしまうことも。マイナス思考になると自分に自信もなくなり、負のスパイラルに陥る可能性があります。

求人の探し方・応募する企業・提出した履歴書を見直したり、面接対策を入念に行ったりするなど具体的な対策を行って、マイナス面ばかりに目を向けないようにしましょう。

会社を辞めてから転職活動をする場合は、スケジュール調整がしやすく効率的に転職活動ができます。働きながら転職活動を行うことに比べて、辞めたあとのほうが時間に余裕があるからです。

スケジュールに余裕があれば複数の求人に同時に申し込んだり、1日に面接を複数回受けたりするなど効率のよい転職活動ができます。普段仕事をしている時間を効率的に使えれば、転職活動期間の短縮につながり、より早く新しい勤務先で働くことができるでしょう。

情報収集や自己分析など、転職に関する対策に時間を割けることもメリットのひとつです。転職対策の時間を確保できれば転職後にミスマッチを起こすことも少なくなり、よりよい企業に転職できる確率を上げられるでしょう。

転職を成功させるには、志望先の企業の理念や力を入れている分野の情報収集や、同業他社と比較した強みなどを調べる業界研究が重要です。スキルの棚卸・整理・自分の強みの洗い出しなどの自己分析をする時間がしっかり取れれば、向いている企業を選びやすくなるうえに面接時にも活用できます。

また普段は仕事をしている時間をスキルアップや資格取得などに使えば、転職時に有利になるだけでなく、転職後に資格手当で収入が増えることも期待できるでしょう。

採用後にすぐに働き始められる点も、会社を辞めてから転職活動を行うメリットです。仕事を辞めている状態なら退職する際の交渉・有給消化・業務の引き継ぎなどが不要になり、転職先の都合にあわせて入社日を調整できる強みがあります。

例えば転職先がすぐに働ける人材を募集しているなら応募条件を満たせるため、翌日から働くことも可能でしょう。スピーディに転職を済ませられれば、それだけ収入がない期間も短くなるので金銭的な負担も減らすことができます。

働きながら転職活動をすれば収入が途切れないため金銭的な負担がなく、余裕をもって活動が進められる点は大きなメリットだといえるでしょう。転職先が決まらないことによるリスクや無職になる可能性がないため、焦らずに転職活動を行うことができます。

自分が希望する年収や労働環境などの条件にあった転職先を、金銭的・精神的な負担なくじっくり見つけられるでしょう。焦って転職先を選んでしまい、条件を妥協して後悔する可能性も少なくなります。

ただし時間とお金に余裕があると転職活動がだらけてしまったり、転職する目的を見失ってしまったりする可能性には注意が必要です。定期的に自己分析を行ったり、業界動向を調査したりするなど、目標に向かって行動するように心がけましょう。

転職先が決まってから退職を伝えれば、引き止めが断りやすくなります。退社する理由や時期が明確になるので、断ることが苦手だったり、引き止めるための条件を出されたりしても伝えやすい点がメリットです。

退職を伝えると「あと少し働いてほしい」「給料を上げるので辞めないでほしい」など、理由をつけて残留を求められるケースも少なくありません。転職先が決定していれば「実は〇月〇日付で◆◆事業の会社に入社する予定です」と、具体的な日時を出して断ることができます。

ちなみに円満に退職するには、適切なタイミングで退職を伝えることが大切です。就業規則を確認し、退職を申し出る期限を確認しましょう。十分な引き継ぎ期間をとるなどすると、円満かつスムーズに退職できます。

働きながら転職すれば履歴書や職務経歴書に空白ができず、キャリアにブランクを作ることなく転職できます。

一般的に転職にはブランクがないほうが有利です。空白期間があると面接でその期間に何をしていたかを高確率で聞かれます。その際に転職活動をしていたと答えると、「嫌なことがあったらすぐに辞めてしまうのでは」と評価されることも。

働きながら転職をすれば現職のまま転職活動ができるため、そもそも空白期間は生まれません。

退職後すぐに新たな職場に入社すると、辞めてから転職活動をする場合に比べて入社までの期間を短くすることができ、再び転職活動する際にも有利になることがあります。

働きながら転職活動をする場合は、仕事と転職活動を両立しなければいけない点がデメリットだといえるでしょう。

転職活動は自己分析・企業や業界研究・面接対策などさまざまな準備が必要で、仕事をしながらだと負担が大きくなります。また繁忙期であれば、そもそも時間の捻出が難しいケースも。

例えば、就業時間後や休日の時間を使って転職活動を進める必要があります。就業時間と重ならないように面接のスケジュール調整を求められる場合もあるでしょう。

上記のように限られた時間のなかで転職活動をする必要があるものの、先ほど説明したように収入が途切れないメリットは大きいといえます。急いで転職する必要がなければ、準備から入社までの計画をしっかり立ててマイペースで進めるとよいでしょう。

転職に必要だったり有利になったりする資格やスキルを身につける時間がとれないことも、働きながら転職活動をする際のデメリットになる可能性があります。働きつつ資格やスキルを取得するのは、時間も労力もかかるもの。転職活動も並行して行うならなおさらです。

例えばファイナンシャルプランナーの資格取得には、3級だと80〜150時間、2級では150〜300時間程度の勉強時間が必要だといわれています。仕事の合間にこれほどの時間を確保して、資格を取得するのが難しい人もいるでしょう。

転職前に資格やスキルアップが必須なら取得に向けて動くべきですが、マストではないなら転職後に少しずつ勉強することも選択肢に入れることがおすすめです。

急募の求人を出している企業の場合、働いていると不利になるケースがあります。急募はすぐに働ける人材を探しており、退職準備に時間がかかるとみなされる可能性があるからです。例えば仕事を辞めていて即働ける人と退職まで1か月ほどかかる人では、前者のほうが有利になるでしょう。

働きながらの急募求人への応募は不利にはなるものの、必ずしも落ちるというわけではありません。働きたい企業なら積極的に応募しましょう。また急募以外にも魅力的な求人はあるので、焦らずに転職活動進めることが肝心です。

働きながら転職活動をしている場合は、仕仕事の引き継ぎや転職手続きの時間が限られる点もデメリットです。

辞めてから転職するなら引き継ぎや有給消化は十分できますが、転職先への入社日との兼ね合いで、短期間で退職に関わる引き継ぎや手続きなどを行わなければいけない場合は時間的に難しいことも。例えば入社日が決まっていれば、必然的に引き継ぎや退職手続きをする期間が限られてしまいます。

入社時期が遅れると、内定が取り消しになってしまうケースもあるので注意が必要です。あらかじめ引き継ぎ期間や有給消化などを計算に入れたうえで、スケジュールを組むことが重要だといえるでしょう。

ブランクができるのを極力防ぐためにも、20代は辞めてから転職するのではなく働きながらがおすすめです。社会人として駆け出しの20代に空白期間ができると、採用してもすぐに辞めてしまうのではと悪印象を与える可能性があります。

転職活動をする際には退職時期から逆算してスケジュールを立て、時間を有効に使いながら自己分析や企業研究を進めていきましょう。有給休暇を活用して面接を受ける、オンライン面接を受けるなどで効率化を図ることができる場合もあります。

辞めてから転職しなければならない明確な理由がないなら、転職で不利になる無職期間を作らないためにも働きながら転職活動をするとよいでしょう。

30代の人が仕事を辞めてから転職したい場合は、在職中に転職活動を進めて、ある程度めどがついた段階で退職手続きを行うとよいでしょう。働きながら転職活動をすると、入社可能日が確定できないため選考で不利になりがちだからです。

例えば実際に転職活動を進めておき、最終選考の時点で退職していれば不利になる可能性を抑えることができるでしょう。

ちなみに、30代では重要な業務に関わるケースも多くあります。現在携わっているプロジェクトが完了してからなど、今の職場に迷惑をかけないように配慮して退職時期を決めたり、転職活動のスケジュールを組んだりすることが重要です。

40代は仕事を辞めてからではなく、働きながらの転職活動が無難です。40代はマネージャー・管理職での採用が多く、採用基準が厳しくなる傾向にあります。20代や30代のポテンシャル採用などと比較して求人数が少なく、辞めてから転職活動をすると長期化する可能性も少なくありません。

自分のキャリアに自信があったとしても在職中に経験やスキルを整理し、何の目的で転職するかを明確にしておきましょう。加えて採用される可能性がある企業をしっかりリサーチしておけば、不採用や転職失敗のリスクを軽減できます。

ただし人脈を活かした転職の場合であれば、退職後のほうがスムーズに活動を進められる可能性も。40代は働きながらを前提にしつつも、自分の状況に応じて退職前・退職後に転職活動をするかを決めるとよいでしょう。