悪意のある他人に自分のクレジットカードを使われてしまう不正利用。不正利用の手口は年々巧みになっており、勝手に使われてしまったぶんを気づかずに支払っている人も少なくありません。しかし、いち早く不正利用に気づき、適切な対処をすれば、不正利用分の金額を補償してもらえるケースがほとんどです。
そこで今回は、クレジットカードの不正利用を確認するポイントと正しい対処方法、不正利用を予防するための注意点などを紹介します。場合によっては補償が受けられないこともあるので、正しい利用方法と対処法をしっかりと理解しておきましょう。

金融機関勤務を経て1級ファイナンシャルプランニング技能士の資格を取得。ファイナンシャルプランニングオフィスParadise Wave(パラダイスウエーブ)の代表。現在は独立系ファイナンシャル・プランナーとして各種ローンに関する相談業務・セミナー講師・執筆活動を行っている。さらに、海外生活ジャーナリストとして移住支援も行っており、得意ジャンルは金融にとどまらず多岐に渡る。 【主な著書】 『貯める!儲ける!お金が集まる94の方法』(ローカス) 『あなたのファンを増やす魔法の質問 テラー必携!!』(近代セールス社) 『介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本』(近代セールス社) 『宅建資格を取るまえに読む本』(総合資格)

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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まずは利用明細に記載されている日付や金額、加盟店などを照らし合わせ、自分が使ったものかどうかを確認しましょう。
通常、クレジットカードで決済した情報は加盟店によって処理がされてからカード会社へ請求されるため、利用者に請求がくるのは1か月ほどたってからです。カード会社の締日に間に合わない場合は、利用の2か月後など大幅に遅れて請求がくるケースもあるため、自分で使ったことを忘れている場合もあります。
該当日に自分がどこで何をしていたか確認しつつ、クレジットカードで買い物をしていないか思い出してみましょう。

クレジットカードを不正利用されていないかどうかを確認するために、家計簿などに使用した金額を記録しておくことが有効です。
そして請求書が届いたら、自分の購入歴と請求内容があっているのかを確認するようにしましょう。確認が取れたらチェックを入れます。このようにしておけば、不正利用を検知しやすくなりますよ。
家族カードを発行している場合は、家族が家族カードで利用した請求である可能性があります。家族カードの利用分は本会員カードの請求に合算され、利用明細にも記載される仕組みです。明細に記されている日にクレジットカードを使ったかどうか、家族にも確認してみましょう。
クレジットカードの利用明細は、実際に利用したお店と異なる名前が記載されていることも少なくありません。例えば、レストランでクレジットカードを利用したのに、利用明細にはレストランの名前ではなく「Mastercard加盟店」や「PayPal」などと記載されていることがあります。
これは、カード会社に登録している「加盟店名」が実際の店舗名と異なるためで、間違いでも不正利用でもありません。身に覚えのない名前や知らない名前が記載されている場合は、記載されている加盟店を検索してみると、利用したお店につながる可能性があります。見に覚えのない名前がある場合には、一度ネットで検索してみてください。
万が一不正利用が発覚しても、的確な対処を行えば補償してもらえるケースがほとんどです。慌てず冷静に以下の対処を行いましょう。
不正利用がわかったら、放置せずできるだけ早めにカード会社へ連絡をしましょう。連絡した時点でクレジットカードが利用できなくなるため、再び不正利用をされる被害が防げます。また、カード会社側で調査を行い、不正利用であると判断された場合は補償制度の手続きも進めてくれるため安心です。
カード会社へ連絡する際には、カード番号・明細番号・加盟店名・金額を確認し、すぐに伝えられるようにしてください。
不正利用や紛失に関しては、基本的にどのカード会社でも専門の窓口が設けられており、24時間365日電話を受け付けています。不正利用が発覚した時点で、昼夜問わずすぐに連絡をしましょう。

一度不正利用された場合、その後何度も不正利用が続くことがあります。場合によっては、定期的に引き落とされるような契約になってしまっていることも。
明細書に不明な利用先があったら、すぐにカード会社へ届け出ることが大切です。また、気づくタイミングによっては、過去にも利用されていることも考えられます。過去の利用分も、適切な手続きをすることで、一定期間なら返金してもらえますよ。
クレジットカードの紛失や盗難、不正利用があった場合は、警察へ被害届や紛失届、盗難届を出しましょう。「不正利用だけだから届け出はいらない」と考える人も多いですが、カード会社の補償を受けるためには届出の受理番号が必要な場合もあります。カード会社への連絡を済ませたあとに、警察への連絡も行っておきましょう。
カード会社へ連絡してクレジットカードの利用停止を行うと、その時点で使えなくなるため再発行の手続きが必要です。ほとんどの場合、カード会社へ連絡したときに再発行の案内をしてもらえるので、案内通りに手続きを進めれば問題ありません。
クレジットカードを再発行した場合はカード番号や有効期限が一新されます。これまで携帯電話や光熱費などをクレジットカードで支払っていた場合は、支払い情報の変更手続きが必要になるので注意しましょう。
偽サイトのURLを記載したスパムメールなどを送り、偽サイトへ誘導したり、個人情報を入力させたりして、IDやパスワード、クレジットカード情報などの重要な情報を抜き取る手口です。近年では手口が巧妙になっており、カード会社や銀行、大手企業などを偽って警告メールを送ってくるケースもあるため、ひと目で判別するのは難しいことも。
フィッシング詐欺の効果的な対策は、正しいURLを利用することです。メールに記載されているURLをクリックするのではなく、公式サイトのURLを直接入力したり、ブックマークした公式サイトからアクセスしたりすると、偽サイトを利用するリスクが軽減されます。
また、重要な個人情報を入力する際には、SSLの暗号化技術が利用されているか確認しましょう。WebブラウザのURL欄が「https:」から始まっているか、WebブラウザのURL欄に鍵マークが表示されているかで確認ができるので、しっかりチェックしてください。
スキミングとは、スキマーという機械を通して他人のクレジットカード情報を抜き取る行為をいいます。抜き取られた情報は偽造カードの作成や不正利用、キャッシングによる現金の引き出しなどに悪用され、被害に遭ってもすぐに気づけないケースがほとんどです。
クレジットカードには読み取り装置に接触させて支払いを行う接触型カードと、読み取り端末にかざすだけで支払いが行える非接触型カードがあります。とくに非接触型カードはスキマーをかざすだけで情報を読み取れてしまうため、スキミングのリスクが高い傾向に。また、公共施設のロッカーなどで荷物を探られてスキミングされるというケースも少なくありません。
スキミング対策をするには、第三者から推測されづらい暗証番号を設定するようにしましょう。また、できるだけICチップが組み込まれたクレジットカードを利用したり、スキミング防止グッズを使用したりするのもおすすめです。
架空のネットショッピングサイトで買い物をさせ、入力した重要情報を抜き取るという手口です。近年では非常に多くのネットショッピングサイトがありますが、なかには架空のものもあるので注意しなければいけません。
架空サイトで買い物をしてしまうと、もちろん注文した商品は届かず、料金だけ取られてしまいます。ほかのサイトでは売り切れている人気商品が売られていたり、高額な商品がおかしいほど安く売られていたりする場合には注意が必要です。
また、販売会社の詳細や連絡先が書かれていないケースや、日本語が不自然なこともあるため、あやしいと感じた場合は利用しないようにしましょう。
出会い系サイトに登録をさせて、ポイント付与などの名目でクレジットカード決済をさせる手口です。異性とやり取りをするためにはポイントが必要、この先に進むには料金が発生するなどを理由に、クレジットカードでの決済を迫ってきます。
出会い系サイトという特徴上、周りにバレてしまうのが恥ずかしいと感じて泣き寝入りする人が多く、明るみにならないことが多い詐欺のひとつです。出会い系サイトを利用する際には、運営元がちゃんとした会社かどうかを確認し、怪しいメールが頻繁に届く場合や、明らかに費用が高額な場合などは利用をストップするようにしましょう。
悪意のある人が一般のネットショッピングサイトへ不正にアクセスし、顧客情報からクレジットカードの情報を盗み出す手口もあります。実際に数万件ものクレジットカード情報が漏えいするという事件も起きているのが現状です。
不正アクセスによる情報漏えいは、情報セキュリティ対策や監視体制の甘いECサイトが狙われやすい傾向にあります。利用者は、できるだけ安全性の高いサイトを利用することが大切。事前にセキュリティ対策や個人情報の管理体制などを確認し、信頼できるサイトのみ利用しましょう。
他人のクレジットカードやカード情報を不正に入手し、保有者本人になりすまして決済を行う手口もあります。不正に入手したカード情報を販売し、購入した人がECサイトなどで不正利用をする方法です。
クレジットカードのなりすまし被害にあわないためには、不正検知サービスを採用しているサービスを利用するのがおすすめ。不正検知サービスとは、利用者の注文データをもとに不正注文を判断するサービスで、不正と判断された場合はECサイト側へ連絡がいく仕組みが作られています。利用者がなりすましに気づかなかったとしても、被害を未然に防ぐことが可能ですよ。
クレジットカードの不正利用が発覚した場合、きちんと補償してもらえるか不安になる人も多いのではないでしょうか。クレジットカードの不正利用は補償されるケースがほとんどですが、場合によっては補償されないケースもあるので注意が必要です。
クレジットカードには盗難保険が付帯されているため、不正利用が認められた場合は支払い義務が免除されます。これは「チャージバック」と呼ばれる仕組みで、すでに不正利用分の引き落としが済んでいても、カード会社から被害額の返金を受けることが可能です。
不正利用されたことをカード会社へ連絡すると調査をしてもらうことができ、調査の結果不正利用だと認められれば補償が決定されます。
ただし、補償してもらえるのは本人に過失のない不正利用だと認められた場合のみです。カードの利用に関して規約違反があった場合や、クレジットカード会社側で利用者本人の過失が大きいと判断された場合は、補償を受けることができないので注意しましょう。
利用者本人の過失だと判断されてしまうケースには、以下のようなものがあります。
クレジットカード会社へ不正利用の連絡をすることには、期日が設けられています。不正利用された日から60日以内と定められているのが一般的ですが、クレジットカード会社によって期日は異なるので注意が必要です。期日以外の条件もそれぞれクレジットカード会社によって異なるため、利用しているクレジットカードの盗難保険規約を必ず確認してください。
不正利用された請求が補償されなかった場合は、利用者に支払い義務が生じます。本来補償は、どのクレジットカードにも付帯している盗難保険によって提供されますが、先述したように利用者側の過失が大きいと判断された場合は補償が受けられず、支払いを拒否することもできません。
支払いをしなければ請求金額のほかに遅延損害金を請求されたり、クレジットカードが使えなくなったりするため注意が必要です。また、支払いの遅延は信用情報機関に登録されるため、新たなクレジットカードを作りたいときにも審査に悪影響を及ぼします。不正利用が認められなかった場合は、諦めて速やかに費用を払うしかありません。
クレジットカードの不正利用を100%防ぐことは難しいものですが、少し気を付けるだけでリスクは大幅に軽減できます。
各クレジットカード会社では、さまざまなセキュリティ対策を実施しています。そのなかでもとくに不正利用対策がしっかりしている会社を選ぶことが重要です。
例えば、クレジットカードの利用状況を24時間365日モニタリングして不正利用を検知できるようにしていたり、怪しい利用があったらすぐに連絡してくれる体制になっていたりする会社であれば、不正利用があった際にも早い段階で気づくことができます。
また、ICチップ搭載のクレジットカードはスキミング対策に、写真つきのクレジットカードはなりすまし対策に効果的です。
利用明細を毎月確認することは、不正利用に気づくための重要なポイントです。利用明細を確認しなければ、いつどこでいくら使ったのかがわからないため、不正利用に気づくことができません。また、気づくのが遅れれば補償対象期間も過ぎてしまうため、不正利用の請求を自己負担することになってしまいます。
最近は、Web上で利用明細が確認できるサービスを提供している会社がほとんどなので、登録して通知がくるようにしておくと便利です。
暗証番号には、誕生日などの個人情報を使用せず、他人から推測されにくい番号を設定しましょう。暗証番号は失念防止のために覚えやすいものを設定しがちですが、誕生日や電話番号などは推測されやすいため不正利用のリスクが高まります。
ほかにも、住所の番地や郵便番号、車のナンバーや連続した数字などは危険性が高いといわれているため、設定しないようにしましょう。また、暗証番号を忘れないようにメモに書いて持ち歩いたり、ほかのクレジットカードと同じ暗証番号を設定したりすることも、不正利用のリスクが高まるのでやめておくのが無難ですよ。
信頼できるお店でのみクレジットカードを利用することも大切です。商品が安すぎるサイトや、ほかのサイトでは手に入らない人気の完売商品が大量に売っているサイト、なんとなく違和感のあるサイトなどは、詐欺目的のサイトである可能性があります。
とくに、SSL技術を採用していないサイトは不正利用されるリスクが高いため、できるだけ利用しないようにしましょう。また、実店舗においてもスキマー装置による情報流出のリスクがあります。スキマー装置の有無を見抜くことは困難なため、海外やあまりメジャーでない店舗ではクレジットカードの利用を控えるのが懸命です。
クレジットカードには、必ず裏面に署名をしましょう。万が一不正利用されてしまった場合に、クレジットカードに署名がないと補償対象として認められず、自己負担になってしまう可能性があります。
クレジットカード裏面の署名は、保有者と利用者が一致していることを確認するためのものです。クレジットカードを利用した際、お店側はクレジットカードの署名と伝票のサインを確認することで、不正利用でないことを判断します。署名がない場合は不正利用かどうかの判断ができないとして、補償の対象外にされてしまうため注意が必要です。
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