緊急時の生活費として必要な生活防衛資金。どのくらいの金額を貯めておけばいいのか、収入が少ない状況でどうすれば貯蓄できるのかなど、さまざまな疑問を感じている人も少なくないようです。
そこで今回は、生活防衛資金とは何かわかりやすく解説します。いくら貯めればいいのかを判断する世帯別の目安や、生活防衛資金を貯めるコツ、貯まったあとの最適な預け先なども紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
はじめに、生活防衛資金とはどのようなものなのか、なぜ必要なのかを具体的に解説します。
生活防衛資金とは、万が一のトラブルに備えて貯めておき、いざというときの生活費に使うお金のこと。
生活防衛資金と貯金は混同されることが多いですが、貯金はお金を貯めること全般を指すものです。緊急時に備えるために貯蓄する生活防衛資金とは異なり、結婚のため、子どもの進学のため、老後のためなど、貯金の目的は1つに限定されません。
生活防衛資金は何かあったときのために使うお金なので、優先的に貯めておくことをおすすめします。生活防衛資金と貯金を並行して貯めてもいいですが、生活防衛資金にはなるべく手を出さないように心がけておきましょう。
生活防衛資金がないと、不測の事態が起きたときに対応できず、生活に困ってしまう可能性があります。例えば、病気で働けなくなったり、勤務先の企業が倒産して仕事を失ったり、自然災害の影響で住居が壊れてしまったりしたときに、ある程度のお金を蓄えていないと生活できません。
雇用保険・生命保険・損害保険などに加入していても、補償を受けられるまで時間がかかる場合があります。生活防衛資金を用意しておかないと、当面の生活費をまかなえないので注意が必要です。
生活防衛資金は、ほかの貯金とは区別して貯めるようにしましょう。それぞれに目標額を設定して管理しなければ、生活防衛資金もほかの貯金も効率よく貯めることはできません。計画的に生活防衛資金を用意しておかないと、いざというときに困るので気をつけましょう。
次に、生活防衛資金の目安と具体的な金額を解説します。
生活防衛資金は、家族構成によって必要な金額が異なるので、自分の家庭に合った目安を設定することが重要です。以下では、家族構成ごとの生活防衛資金の目安を紹介します。
総務省の2021年度の家計調査報告によると、独身一人暮らしの1か月の平均支出は約15万5,000円でした。この金額の3か月~半年分なので、生活防衛資金の目安は46万5,000~93万円です。
独身一人暮らしは、収入をそのまま自分のために使えるので、不測の事態があっても生活を元に戻しやすいといわれています。46万5,000~93万円の範囲で生活防衛資金を用意すれば、万が一のトラブルにも十分に対応できるでしょう。
総務省の2021年度の家計調査報告によると、2人以上の世帯の平均支出は、月額で約27万9,000円でした。この金額の3か月~半年分なので、生活防衛資金の目安は83万7,000~167万4,000円です。
生活防衛資金の額を決める際は、収支のバランスを考えることも大切。例えば、共働きの家庭なら一方が働けなくても、もう一方の収入があるため、生活防衛資金を減らすこともできるでしょう。
子どものいる家族の生活防衛資金は、生活費の6か月~1年分が目安といわれています。子どもがいると教育費が必要になったり、新しい就職先を探す時間が制限されたりする場合もあるため、生活防衛資金を多めに用意しておくと安心です。
3人家族の平均支出は、政府の2021年度の平均支出調査によると、月額で約30万6,000円でした。この金額の6か月~1年分なので、3人家族の生活防衛資金は、183万6,000~367万2,000円の範囲内を目安にしてみてください。
子どものいる家庭は、家族の人数や収支の状況を考慮に入れたうえで、生活防衛資金を比較的多めに設定することが重要です。
会社員が病気になって入院すると、労災が適用される場合がありますし、傷病手当金をもらって生活の保障を受けられることもあります。仕事を失っても失業保険(雇用保険)を利用し、最低でも1~2か月分の手当をもらうことが可能です。
フリーランスは上記のような保障がないため、万が一に備えて十分な生活防衛資金を用意しておかないと生活が苦しくなる危険性があります。会社員よりも多めの半年~1年分の生活費を準備し、緊急時に備えておきましょう。
生活防衛資金には上述したとおりの目安があるものの、まずは自分自身の支出を見直し、1か月に必要な生活費を算出してみることが大切です。具体的な生活費がわかれば、必要な生活防衛資金も計算できます。
必要な生活費とは、食費・水道光熱費・携帯電話料金・生命保険料・娯楽費のほか、管理費や駐車場代も含めた家賃、キッチンやトイレなどで使う生活日用品などです。
収入がなくなった状態で感じるストレスの大きさは人によって異なるので、金銭的な不安を感じやすい人は、半年~1年分など多めの生活防衛資金を貯めておくことが重要です。
生活費の不安でストレスを感じると、思考力の低下や焦りで再就職がスムーズにできない、病気の回復に時間がかかる、家族との関係が悪くなるなど、二次的な問題が出る可能性があります。
万が一のことが起きたときに自分がどのくらいストレスに感じるかを考えて、ある程度安心して不測の事態を乗り越えられる額を貯めておけば、余裕を持って生活を立て直すことが十分に可能です。
続いて、必要な生活防衛資金を貯めるための具体的なコツを解説します。
生活防衛資金専用の定期預金口座を作り、生活費やほかの貯金とは別に管理しましょう。定期預金は、普通預金とは異なり簡単には崩せないものの、必要なときは解約が可能です。使い込みを防ぎながらお金を貯めたい、生活防衛資金に適した管理方法だといえます。
専用の定期預金口座を作ることで貯まった金額がひと目でわかるため、貯蓄へのモチベーションが上がったり、目標額まであとどのくらいかわかって計画が立てやすくなったりするのもメリットです。
目標額を決めて毎月先取り貯金をすれば、生活防衛資金を計画的に貯められます。先取り貯金とは、あらかじめ貯蓄額を差し引いて残った金額で生活すること。ほかの用途でお金を使ってしまう前に貯金ができるので、堅実に生活防衛資金を貯めていくことができます。
例えば、1年後に50万円を貯めたいなら約4万円を毎月貯蓄しないと達成できません。給料が振り込まれたら、まず4万円を生活防衛資金用の口座に移動させ、残った金額で生活すれば着実に目標額を貯蓄できます。
収支のバランスを考えたうえで無理のない金額を先取り貯金し、目標額に向けてコツコツ貯蓄してみてください。
毎月一定の支払いが必要な固定費を見直すと、効率よく出費が減らせるため、生活防衛資金に回せるお金が増えます。通信費・保険料・水道光熱費・家賃などの金額を確認してみてください。支払額が多く感じたり、不要だと思うものがあったりする場合は、契約先の変更や解約を検討してみましょう。
携帯電話料金なら格安SIMに乗り換えたり、生命保険料なら安いプランに切り替えたりするのも1つの方法です。家賃が高ければ、安いところに引っ越すのもよいでしょう。
現在では、インターネットを利用して実践できる副業が豊富です。本業で得た知識を副業に活かして案件を獲得したり、スキルアップにつながる副業を選んで本業に活かしたりできます。副業に取り組んで自分の市場価値を高められれば、転職活動を有利に進めることも可能です。
支出の見直しが難しい場合などは、自分のスキルや経験を活かしたり、スキルアップしてチャンスを増やしたり、収入を増やす努力をしてみましょう。
投資などのリスクがある方法で、生活防衛資金を運用するのはやめておきましょう。株式投資やFXなどでは、運用方法や経済状況次第で損失を出してしまうリスクがあります。不測の事態が起きたときに生活防衛資金が減っていると、生活に困ってしまう可能性があるので危険です。
生活防衛資金の預け先に最適な定期預金にはさまざまな商品があるため、どこで始めればいいのか迷ってしまう人も少なくありません。
以下の記事では定期預金24商品の金利を比較し、おすすめの定期預金を提案しています。選び方のポイントも解説しているので、定期預金を始める際の参考にしてみてください。
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