転職理由は本音で答えたほうがいい？理由や伝え方を解説

転職理由でうそをついていることがばれると、面接官の印象は悪くなります。合否に影響することもあるので気をつけてください。

採用担当者は多くの転職希望者を見てきた、いわば面接のプロ。採用後にすぐ辞められると困るので、うそを見抜き本音を探ろうと、踏み込んだ質問をしてくることがあるので注意が必要です。

途中で話に詰まったり逆に饒舌になったり、説明がチグハグになったりすると不信感を持たれる可能性があります。うそにうそを重ねると取り返しのつかないことになり、自分の首を締めかねないので注意が必要です。

前職の退職理由が病気や家庭の事情などやむをえない理由の場合も、誤魔化す必要はありません。いえる範囲で正直に説明し、現在は問題が解決済みで就業には問題がないことを伝えれば、転職に不利になることはないでしょう。

いいづらいことも包み隠さず正直に話す姿勢からは誠実さや真面目さが伝わり、好印象を与えます。

面接官は転職理由から、人柄・性格・人間性なども読み取ろうとしています。マイナス要素も物怖じすることなく堂々と話すと、現実と真摯に向き合うことのできる誠実な印象を与えることができるでしょう。

逆に本心を隠し、マニュアルどおりの説明に終始してしまうと、人となりが伝わらないので逆効果。ありきたりな理由や建前だけでは、一緒に働くイメージをえがくことができず、プラス評価を得にくいでしょう。

本音で転職理由を話すと採用側とのミスマッチが防げるので、自分にとっても大きなプラスになります。

面接官は転職理由から、自社に合った人材かを判断しているもの。「経営者がワンマンだった」「年功序列が優先され、成果を上げても昇進につながらなかった」など、転職理由に応じて自社で希望の働き方を提供できるかすり合わせを行っています。

面接段階でミスマッチが判明すれば、間違った会社に転職してしまうことを避けられます。面接は自分が選ばれるだけでなく、自分も「この会社で働いていけるか」を選ぶ場です。本音で話すことで、自分にとってのより正しい判断ができるでしょう。

本音の転職理由では、給料の低さや上司との関係などが上位に上がっています。

転職支援会社dodaの調査では、転職理由の1位は「給料が低い・昇給が見込めない」で、回答した人が3割以上存在します（参照：doda）。また、上司との関係や社内の雰囲気といった人間関係も、本音の転職理由として多く上がっています。

そのほか、自分の評価に納得できない、会社の将来性に不安を感じるなどの理由も。これらを見ると、本音では現状への不満を改善するための手段として転職へ踏み切る人が多いといえるでしょう。

本音とは違って、建前の理由として多いのは、キャリアアップやスキル向上。複数の転職支援会社のアンケートなどで、上位に上がっています。

ほかには、いまの会社では成長できるイメージが持てない、希望の部署に移動できないなど。建前では志を実現するための転職であることをアピールする人が多い傾向がみられます。

ビジネスパーソンとして本音と建前を使い分けることが大切と考える人もいるでしょう。まったくのうそや創作ではなく、本音の転職理由を上手にいいかえたものであれば面接で有効と考えられます。

ただ、本音とかけ離れた建前だけで面接を乗り切ってしまうのは注意が必要です。前職で感じた不満をどう解消したいのかが伝えられないままでは、採用されても希望通りの環境が手に入るとは限りません。転職で失敗しないためにも、率直な希望は上手に織り交ぜることをおすすめします。/

人間関係の悪さが本音の場合は、感情論で話さず組織風土の話に置き換えるのがおすすめです。

上司が好きになれない、同僚と性格が合わないといった理由で転職を考える人もいるでしょう。しかし、そのまま話してしまうと感情で物事を判断し、建設的な考え方ができない人と思われマイナスです。また具体例をあげる際も、怒鳴られた、悪口をいわれたといったエピソードは、自身がトラブルメーカーなのではと疑われる可能性があります。

こういった場合は、チームワークのよい職場で働きたい、上司にも忌憚なく意見がいえる風通しのよい環境が理想という形で、組織風土や慣習の話に変換するのが有効です。前職の悪口と取られかねない要素は避け、理想の職場や働き方の話をするとよいでしょう。

給料の低さが本音の場合は、家計や人生設計を率直に話してみましょう。

前職の給料では結婚が難しい、子どもが増えるので基本給を上げて大黒柱としての責任を果たしたいなど、根拠が明確であると説得力が増します。

ただ、さらに給料が高い会社から誘われたらすぐに辞めてしまうのではと思われるとマイナスです。この転職で生活を安定させ長く働いていきたいという意思をしっかり示すことが重要。昇給やインセンティブ獲得のためにも、しっかり会社に貢献していきたいという意欲を見せると効果的です。

残業の多さが本音の場合は、具体的な労働時間を説明するのが有効です。

前職では○時から○時まで働くのが常態化していた、休日出勤が月に何回あったなど数字を交えて説明すると、どの程度の労働時間だったのかが面接官に伝わります。

また、残業を減らすために取り組んだことがあれば、積極的に話しましょう。業務改善策を考え提案した、チームのタスク管理を徹底したなどがあると、主体性や行動力のある人と思われ印象がアップします。

転職理由に労働時間の長さをあげる場合のポイントは、採用後に残業があったら辞めてしまうのではと思われないようにすること。繁忙期など必要があれば残業も含めて業務に取り組んでいく意思があることも伝えるとよいでしょう。

会社の将来性に不安を感じての転職は、情報漏洩にならない範囲で業績などを説明してみてください。

「将来性が不安」というだけでは漠然としていて何に不安を感じているのかが伝わりません。採用しても同じような理由で辞めてしまうのではと面接官が不安に感じる可能性があります。事業所が閉鎖された、リストラが行われている、担当していた事業の撤退が決まったなど、具体的に説明するとよいでしょう。

ただし、内容によっては情報漏洩にあたる可能性があるので注意。とくに同業種への転職の場合、事業撤退などの話はデリケートな問題です。あまりあけすけに話すと、社内情報を簡単に漏らす人と思われてしまうので、どの程度まで話すかのさじ加減には注意してください。

ネガティブな転職理由も裏を返せばポジティブにいいかえられるので、本音を話すときはできるだけ前向きな言葉を使うようにしましょう。

例えばいまの仕事に飽きてしまった場合は、「新しいことに挑戦し、仕事の幅を広げたい」といいかえることができます。またノルマがきつくて辛い場合は、「数字を追いかけるだけでなく、顧客満足度の向上に貢献したい」といえるでしょう。

前向きな転職理由を無理に創作するのではなく、あくまで本音ベースでいいかえをすると、話に真実味があり面接官の共感に繋がります。

転職理由を話すときには、前職の退職理由だけを話すのではなく、今後の展望を織り交ぜると、積極性をアピールできるのでおすすめです。

例えば会社の昇進制度に不満があり転職をする場合、「今の会社では年功序列の制度をとっており、成果が昇進につながりづらい」と話すだけではネガティブな印象。しかし、「公正な評価を受けられる環境で、高いモチベーションを持って実績を積み上げていきたい」とつなげると、入社後の活躍に期待を感じさせることができます。

目安としては退職理由を2割、今後実現したいことを8割程度でまとめると、前向きな姿勢や成長意欲、主体性などを示すことができ、プラス評価につながるでしょう。