投資には、リスクがつきもの。投資を始めてみたいと思いながらも、リスクが不安でなかなか踏み出せないという人も多いのではないでしょうか。しかし、実は投資におけるリスクは一般的なイメージと少し違うかもしれません。
そこで今回は、投資のリスクとは何かや、具体的にどのようなリスクがあるかについて解説します。投資のリスクをできるだけ軽減する方法も紹介するので、投資を始めるための事前学習に役立ててくださいね。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
リスクという言葉には危険や脅威といった意味がありますが、投資におけるリスクとは不確実性のことです。投資の結果であるリターン(利益)には振れ幅があり、最終的にどうなるかを確実に予測することはできません。投資においてリスクが大きいという表現は、利益の変動の幅が大きいことを示しています。
「損失を被ること」が投資のリスクであるというイメージが持たれがちですが、そういうわけではありません。たとえば、ある金融商品に100万円投資をした場合、1年後に50万円に減る可能性も、200万円に増える可能性もあるとします。
このように、投資をしたあとの結果が予測できない場合、この投資にはリスクがあると表現されます。100万円が50万円に減ることもあれば、200万円に増えることもある、このような振れ幅の大きい投資が一般にいわれるハイリスクな投資です。
投資におけるリスクとリターンは、表裏一体の関係。リスクが大きい投資はリターンが大きく、リスクが小さい投資はリターンも小さいという比例関係が成り立ちます。
ローリスクでハイリターンが期待できる金融商品に投資するのが理想ですが、残念ながらそのような商品は存在しません。大きな利益を求めるのであれば、大きな損失を出す可能性も引き受けなければならないということを覚えておきましょう。
選ぶ商品によって、投資のリスクやリターンは異なります。預貯金<債券(国債)<投資信託<株式の順にハイリスク・ハイリターンとなるのが一般的です。
預貯金とは、銀行などの金融機関にお金を預けること。金融機関が一定額まで元本保証をしてくれ、定期的に利子も受け取れます。しかし、低金利が続く近年では収益性は低く、預貯金によるリターンはほとんど期待できない状況です。
債券は、国・地方公共団体・会社などが発行する借用証書のようなもの。決められた満期日を迎えると額面金額を受け取れるほか、定期的に利子も手に入ります。債権ではもらえる金額が約束されているのでリスクはあまり高くなく、リターンも預貯金よりは大きい商品です。
投資信託は、複数の投資家から集めた資金をプロがまとめて投資・運用する商品。株式・債券・不動産といった商品を組み合わせ、パッケージ商品として提供しているのが特徴です。複数商品にリスク分散できる投資信託では、リスクの高さもリターンの大きさも債券と株式のあいだに収まる傾向にあります。
株式は、株式会社が事業に必要な資金を集める目的で発行する有価証券で、会社の業績拡大や成長によってリターンを得られます。譲渡益・配当金・株主優待などさまざまなリターンが期待できる一方で、株価が激しく変動する可能性があるため、株式投資のリスクは高いといえるでしょう。
価格変動リスクとは、金融商品の価格が日々変動する可能性のことです。
国内外の経済の動きや政治の情勢、企業の業績などさまざまな要素によって市場での需給関係が変化すると、金融商品の価格は変動します。価格変動リスクは多くの金融商品が抱えているので、投資を行う際には必ずついて回るリスクだといえるでしょう。
元本保証がある商品を除き、多くの金融商品には価格変動の結果、最終的な資産が投資した金額(元本)を下回る元本割れの可能性があると覚えておいてください。
たとえば定期預金には最高1,000万円の元本保証があるので、そこまでは元本を割り込むことがありませんが、株式など市場の影響を受けやすい商品は価格変動が起きることで元本を下回ってしまうリスクがあります。
信用リスクとは、国・地方公共団体・企業などが投資家から預かっていたお金を返済できなくなる可能性のことです。
国や自治体の財政悪化や、企業の業績悪化・倒産などが起こると返済能力は低下することに。その結果、預けていた元本や利息の一部または全部が返済されなくなり、投資家は損害を被ります。
国が債務不履行となって国債の返済ができなくなることをデフォルトと呼ぶので、債券において、信用リスクはデフォルトリスクと呼ばれることもあります。
為替変動リスクとは、為替相場の影響によって金融商品の価格が変動する可能性のことです。円をドルやユーロといった外貨に換えて運用する外貨建ての商品では、基本的に為替変動リスクが存在します。
日本円と国外通貨の為替相場は反比例の関係にあり、どちらかが高くなればどちらかが低くなるのが基本です。日本円が国外通貨よりも強くなるか弱くなるかはプロでも読めないほど難しいので、為替変動リスクを抑えるために現時点で将来の為替レートを予約する為替予約といった方法がとられることもあります。
金利変動リスクとは、将来の金利の変動によって資産の価値が変わる可能性のことです。
とくに金利変動の影響を受けやすいのは債券で、金利が上昇すると価値が低下してしまいます。債券は金利が最初から決まっており、定期的な利息とともに満期になると額面金額を受け取れる商品ですが、金利が上がるとより高い金利の商品が後から出てくるためです。
たとえば、金利1%の10年物債券を100万円分購入すると、毎年1万円ずつ、10年間で10万円の利息を受け取れます。しかし、その後金利が上昇して金利2%の10年物債券が販売されるようになると、金利1%の10年物債券の価値は半減。満期前に市場で売却しようと思っても、100万円を大きく割り込む金額でしか売れないおそれがあります。これが金利変動によるリスクです。
金利変動リスクは株価にも影響し、一般に市場金利が上昇すると株価は下がり、市場金利が下落すると株価は上がるといわれています。金利が上昇すると借入コストが増して金融機関からお金を借りにくくなり、設備投資を縮小せざるを得ないなど、景気への悪影響が発生するためです。
ただし、好景気が続いた際の金利上昇局面では、企業業績向上への期待から金利とともに株価も上がるケースもあり、株価の動きには一概にいえない部分もあります。
流動性リスクとは、持っている金融商品を市場で売りたいときに売れない、あるいは希望する価格で売れない可能性のことです。売買が極端に少なくなると、取引が成立せず売りたいときに売れなくなる可能性が高まります。
たとえば、企業の不祥事によって投資先の企業が上場廃止になったとしましょう。上場廃止になっても配当を受け取る権利などは消失しませんが、上場廃止になった企業の株式は一定期間後に証券取引所での売買ができなくなります。
そのため投資家は持っている株式を売ろうとしますが、売り注文が殺到するので値が付きにくくなり、売りたいのに売れない状況に陥ってしまいます。
カントリーリスクとは、投資対象の国や地域で政治・経済情勢の変化などにより市場に混乱が生じた場合、投資した資産の価値が変動する可能性のことです。一般的に、政治情勢や経済基盤が不安定な新興国のほうが、先進国よりもカントリーリスクが高いとされています。
国債は国にお金を貸す債券であり、国は一般企業よりも倒産の危険性が少ないと考えられますが、それでもデフォルトの可能性はゼロではありません。経済危機に陥った国が対外債務の不履行を宣言すると、得られるはずだった利益が得られなくなります。
投資を始めるときは、自分のリスク許容度を知ることが大切です。リスク許容度に合わせた金融商品を選択することで、自分に合った資産運用ができるようになります。
リスク許容度とは、投資のリターンがマイナスになってしまった場合、どのくらいまでのマイナスなら受け入れられるかという度合いのこと。自分がどのくらいのリスクに耐えられるか、投資する前に客観的に考えてみましょう。
リスク許容度を超えたリスクをとって資産運用をすると、相場が急落したとき思っていた以上に資産が目減りして、恐怖を感じて投資をやめてしまうことになりかねません。それとは逆に、自分のリスク許容度より低いリスクで運用すると、思っていたようなリターンが得られず後悔することもあるでしょう。
リスク許容度は、年齢・家族・資産状況などさまざまな要素によって変化します。多くの金融機関などから、簡単に自分のリスク許容度をチェックできるツールも提供されているので、活用するのもひとつの方法。投資を始める場合は、まず自分のリスク許容度を調べておくのがおすすめです。
投資のリスクを軽減するためには、資産を分散させることが大切です。
投資できる金融商品はたくさんありますが、すべてが同じ値動きをするわけではありません。銘柄や地域によって値動きは異なるため、投資先を分散させるとリスクを軽減できます。
たとえば株式と債券は異なる値動きをする傾向にあるので、両方に分散して投資すると、どちらかの値下がりをもう片方の値上がりでカバーできるでしょう。
投資の世界では、「卵は1つのカゴに盛るな」という教えがあります。これは、たくさんの卵を1つのカゴに盛ると落としたときに全部割れる可能性が高いが、複数のカゴに分けて盛っておくと、1つのカゴを落として卵が割れてもほかのカゴに入れた卵は影響を受けないことからきている言葉です。
このたとえ話からもわかるように、1つの商品に集中して投資するのではなく、複数の商品に分散投資をしてリスクを軽減することが大切です。
投資のリスクを軽減するためには、時間を分散させるのも重要なポイントです。一度にまとめて投資を行うのではなく、投資する時期をずらすことでリスクを抑えられます。
簡単に時間分散するには、積立投資のように価格が変動する商品を常に一定金額で定期的に購入する方法がおすすめ。このような買い方はドル・コスト平均法と呼ばれます。
ドル・コスト平均法で投資金額をいつでも同じにすれば、商品の価格が低いときにはたくさん、価格が高いときは少なめに購入することが可能に。その結果、1口当たりの投資価額が平準化されて、平均購入単価を抑えることができます。
長期投資を続けることも、投資のリスクを軽減するための有効な方法です。短期間に金融商品の売買を繰り返すのではなく、長期間保有し続けることで投資の平均収益率は安定しやすくなります。長期投資は日々の値動きに一喜一憂せずに行えるため、投資初心者も始めやすい投資といえるでしょう。
さらに、投資期間が長期になるほど得られる複利効果が大きくなるというメリットもあります。複利とは、投資で得た利益を元本に加えて再投資することにより、利益が雪だるま式に増えていく仕組みのこと。投資期間が長くなって利益が増えると、その分得られる複利効果も大きくなります。
本サイトは情報提供が目的であり、個別の金融商品に関する契約締結の代理や媒介、斡旋、推奨、勧誘を行うものではありません。本サイト掲載の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社及び情報提供者は一切の責任を負いません。
会社が発行する株式の売買や保有によって利益を得る株式投資。株式投資に興味があるものの、株式投資とは何かを教えてほしい、株式投資のメリットを知りたいなど、さまざまな不安や疑問を抱えている人も少なくないはずです。本記事では、株式投資に必要な基礎知識をわかりやすく解説します。株式投資を始めるときの注...
証券会社
100円単位の少ない資金からでも始められる少額投資。初心者にとっては、まとまったお金を投資するよりも挑戦しやすいですよね。しかし、意味がないといった声もあり、投資をためらってしまう人もいるのではないでしょうか?そこで今回は、少額投資のメリットやデメリットについて詳しく解説します。投資初心者に少...
証券会社
少ない資金でも利益を期待できる資産運用。10万円ほどの予算でも資産形成できる方法や、効率のよい資産運用法を知りたいと思っている人も多いようです。そこで今回は、予算10万円から始められる資産運用法についてわかりやすく解説します。リスクを抑えて投資できる方法や、お金が少ないときに活用したい制度、投...
証券会社
貯蓄や資産運用への関心が高まるなかで、注目されるのが金融商品の選び方。これから投資を始めようと考えている初心者のなかには、保険と投資信託のどちらがお得か知りたい人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、保険と投資信託にはどのような違いがあるのかについて解説します。それぞれのメリット・デメリッ...
証券会社
資産運用に興味を持ったばかりで、何から始めるのかわからない投資初心者の人も多いはず。資産運用は少額からでも始められるのか、投資先をどのように決めればいいのかなど、わからないことが多く不安になりますよね。そこで今回は、投資初心者におすすめな資産運用の始め方について解説します。投資を始める際のコツ...
証券会社
手数料の安さや便利な取引ツールなどが魅力の楽天証券。キャンペーンを利用してお得に口座開設をしたいと考えているものの、おすすめのキャンペーンはどれなのか、いつキャンペーンが行われているのかなど、最新情報が気になっている人も少なくないはずです。本コンテンツでは、2025年5月最新の楽天証券の口座開...
ネット証券
手数料の安さや便利な取引ツールなど、手厚いサービスで人気のSBI証券。新たに口座開設を検討している人や、すでにSBI証券で取引をしている人のなかには、お得なキャッシュバックやポイント進呈を受けられるキャンペーンを知りたい人も多いのではないでしょうか。本コンテンツでは、2025年5月現在、SBI...
ネット証券
貯金が苦手な人が知りたい、上手にお金を貯める方法。お金を貯めたいのになかなか貯められず、お金を貯めるコツや、貯金以外の貯蓄方法を知りたいと思っている人も少なくないはず。そこで今回は、賢くお金を貯める方法についてわかりやすく解説します。上手な貯金の仕方や、安全に収入を増やすコツ、積極的に貯蓄した...
証券会社
初心者でも株式投資を始めやすい楽天証券。楽天証券で株取引をしたいと思っているものの、株取引の始め方や株を買う方法がわからず、悩んでいる人も多いはずです。そこで今回は、楽天証券での株の買い方をわかりやすく解説します。実際に国内株式を注文する方法や、手軽に株を注文できるアプリ「iSPEED」の使い...
ネット証券
上場企業と投資家のあいだに立ち、債券や株式の売買を取り扱うのが証券取引所。投資をはじめるにあたって、通勤時間中や土日でも売買はできるのかなど、株式市場の取引時間が気になる人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、東証をはじめとする証券取引所の取引時間について解説します。株式市場の年末年始の休...
証券会社
証券口座に入金したらスピーディに反映されて、金融商品の取引などに使えるSBI証券。実際にSBI証券を使っているものの、入金する方法にどんなものがあるのか、どの金融機関を利用できるのかがわからずに困っている人も少なくないようです。そこで今回は、SBI証券の4つの入金方法についてわかりやすく解説し...
ネット証券
結婚や出産、マイホームの購入など、将来のライフイベントを意識し始める20代。効率よくお金を増やすために大切なのが資産運用です。しかし、20代で始めるのはまだ早いと考えている人や、資産運用は難しいと思っている人は多いはず。そこで今回は、20代のうちから資産運用をスタートするメリットや、成功へのポ...
証券会社
手元のお金を増やすことが目的である、資産運用。将来を想像して、資産運用でお金を貯めたいと考える人も多いのではないでしょうか。その一方で、資産運用はやらないほうがいいのか、失敗したらどうしよう、などとリスク面が心配な人もいるかもしれません。そこで今回は、資産運用をしないほうがいいといわれる理由や...
証券会社
投資による不労所得を収入源として、経済的自立と早期リタイアを実現させるFIRE。話題を集めている新たなライフスタイルですが、FIREに向けてどのように資産形成すべきか、リタイア時点でいくら必要なのかがわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、投資でFIREを実現する方法や必要な金額...
証券会社
30代に入ると、資産形成の話題を耳にする機会が多くなりますよね。人生100年時代といわれる今、資産形成が重要であることはわかっていても、どのように始めればいいのか、30代からでも遅くないのか不安に思っている人は多いかもしれません。そこで今回は、30代で資産形成を始めるメリットや、30代におすす...
証券会社