退職を伝えるタイミングはいつ？切り出し方と注意点を解説

勤務している企業の就業規則に則り、規定よりも早めに退職の意向を伝えましょう。ビジネスシーンでは就業規則を守ることが基本的なルールです。

就業規則で定められた期間よりあとに退職の意向を伝えると、職場での印象が悪くなったり、手続きがスムーズに進まなくなったりする可能性があります。余裕を持って引き継ぎや次の人材の教育を済ませられるよう、早めの行動を意識しましょう。

例えば、就業規則で退職の意向は1か月前に申告しなければならないと決まっている場合は、退職したい日の1か月以上前に申告する必要があります。ほかの従業員に迷惑をかけず円満退社するためにも、就業規則よりも前の行動がベターです。

体調面の問題でこれ以上働き続けるのが難しい、パワハラやセクハラで不当な扱いを受けているなど、どうしてもすぐに辞めたい理由があれば法律を優先して考えましょう。

ただし年俸制や完全月給制で働いている人、契約期間が定まっている契約社員や派遣社員は例外です。年俸制で働いている人は退職したい日の3か月前に申告する必要があります。完全月給制の場合は給与の締め日以降、月の前半に退職の意向を申告しましょう。

契約期間が定められている契約社員や派遣社員のなかでも、契約期間が1年未満の人は原則として契約期間満了まで働き続ける必要があります。契約期間が1年以上ある契約社員や派遣社員は、やむを得ない理由があればいつでも退職の申告が可能です。

最初に直属の上司にアポを取り、退職したい旨を丁寧に伝えましょう。事前の相談なしにいきなり退職届を提出したり、直属ではない上司に相談したりすると、企業からの印象が悪くなったり、これまでの信頼関係が崩れてしまったりする可能性もあるので注意が必要です。

直接またはメールや社内チャットで「少しお時間よろしいでしょうか？」「今後のことでご相談したいことがあります」などの伝え方でアポを取り、上司に相談の時間を作ってもらいます。その後、対面で「一身上の都合で退職を考えております」など、退職の意向をはっきりと伝えましょう。

このとき「1か月後に退職します」と一方的に伝えると、上司から反感を持たれる可能性があります。「退職するか悩んでいます」と意思がはっきりしない伝え方をすると、強く引きとめられて退職しにくくなってしまうケースもあるため、退職することを前提として相談をしましょう。

同業界や同職種へ転職すると、退職後もその企業や従業員と縁があって一緒に仕事をする可能性もあるので、円満な関係を維持して退職できるように上記の伝え方を意識してみてください。

退職理由は、個人的でポジティブな内容を用意しておきましょう。退職の意向を伝えると退職理由を聞かれるのが一般的です。引き止められにくい個人的な理由を伝え、スムーズに退職できるようにしましょう。

制度・人間関係・待遇などの企業への不満を退職理由にすると、「不満な点を改善するから」と引き止められる可能性が高くなります。不満ばかりを伝えると、企業からの印象も悪くなってしまうでしょう。

「興味があった分野の仕事ができる職場に転職したい」「今後の自分のキャリアのために転職を検討している」「病気やケガの治療に専念するため退職したい」などを退職理由にすることがおすすめです。

転職先の入社日を転職理由に取り入れる方法もあります。転職先が決まっていて入社日も確定しているなら、引き止められる可能性は低くなるでしょう。

ある程度退職したい日程が決まっていても、具体的な退職日は上司と相談して決定しましょう。自分の都合だけでなく企業の希望も受け入れることで、円満に退職しやすくなります。

いつまでの退職を考えているかを伝え、企業にとっても都合のよいタイミングをすり合わせていきましょう。繁忙期が終わるまでや引き継ぎが完了するまでなどをふまえて、適切な退職日を決定することがおすすめです。

転職先への入社日が決まっているのであれば、その旨も伝えて入社日に間に合うように調整してもらいましょう。

退職を伝える時期は繁忙期ではなく、業務の区切りがつくタイミングや閑散期を選びましょう。

繁忙期やプロジェクトの途中だと各従業員の業務量が多く、この時期に伝えると周囲に余計な負担をかけたり、引き止められたりする可能性があります。上司やほかの従業員に十分な余裕がなければ、退職日の相談や引き継ぎに十分な時間が取れず、当初考えていたタイミングでの退職が難しくなる場合も。

例年の企業の傾向から閑散期を判断したり、プロジェクトの進行具合から終了時期を予想したりして、伝えるタイミングを検討しましょう。人事異動直後に申告すると再編成の負担をかけてしまうため、異動の査定が始まる前のタイミングを選ぶことも大切です。

自分の都合や業務量だけでなく、上司や同僚などの業務量、企業全体の業務のタイミングも確認し、余裕がある時期を選びましょう。

退職の意向を伝える時間帯は、業務時間外を選ぶことがおすすめです。業務時間中は仕事を優先する必要があり、退職の相談のための時間を取りにくいこともあります。業務時間中の個人的な相談は好ましくないと考える人もいるので注意が必要です。

相談する時間帯は昼休みや終業後を選びましょう。特にほかの従業員があまり残っていない終業後なら、周囲の目を気にせずに退職の相談ができます。ただし相談する時間帯は事前に上司と相談し、時間を指定された場合は素直に従いましょう。

退職の意向を伝えるタイミングは、転職先を決めてからがおすすめです。転職先が決まっていれば退職理由にしやすく、引き止められる可能性も低くなるでしょう。退職前に転職先を決めておけば、収入が途絶えてしまうリスクがなくなります。

退職してから転職活動をする方法もありますが、すぐに転職先が決まるとは限りません。退職後になかなか転職先が決まらないと、収入やキャリアが途絶えてしまいます。焦って条件の悪い転職先を選んで後悔する可能性もあるため、退職前に転職活動を済ませておきましょう。