50代の転職は厳しいの？年収は上がる？転職事情や成功のコツを解説

50代の中途採用に積極的な企業が少ないことが、50代の転職が厳しい理由の一つです。

厚生労働省の「中途採用に係る現状等について」によると、45歳以上～55歳未満を積極的に採用したいと考えている企業は3.1％、55歳以上では1％といったデータがあります。一方で、半数程度の企業が45歳以上の採用はあまり考えていない、と回答していることからも、50代の転職は厳しいことがわかるでしょう。

50代は20～30代の若手社員と比べて人件費が高くなる反面、体力面の衰えにより生産性が低いと認識される傾向があるようです。

50代は転職をしても早ければ数年、遅くても15年程度で定年退職を迎えてしまうため、転職が厳しいとされています。

若い世代よりも働ける期間が短く、採用コストに対しての利益を考えるとメリットが薄いと考える企業は少なくありません。

企業側は長期的に働いてくれる人材を欲しがっているため、定年退職に近い50代よりも若い年齢の人材を積極的に採用することが多い傾向です。

50代は人間関係の構築や業務の指導面で扱いにくいのではないかというイメージがあり、採用に消極的な企業は多いようです。

20～30代の人材よりも社会人歴が長いため、素直に指示に従えるのか、仕事の進め方へのこだわりが強すぎるのではないか、などさまざまな懸念を持たれやすくなります。

50代は、転職先で自分よりも年齢の若い上司や同僚と話をする機会が増えるでしょう。選考の際は、職場に素早く溶け込めるだけのコミュニケーションスキルを持っているかといった視点で評価されることが多くなります。

他者とのコミュニケーションに自信がない人は、転職活動をしながら改めてコミュニケーションの取り方を見つめ直してみましょう。

コミュニケーションについて学べる書籍もたくさん販売されているので、参考にしてみるのも良いかもしれません。以下の記事では、コミュニケーション能力向上に役立つ書籍を紹介していますので、確認してみてくださいね。

若い人材と比べて健康面や体力面で、不安を感じられることが多いのも50代の転職が厳しい理由のひとつです。

転職先の職種にもよりますが、年齢を重ねると健康面の不安や体力の衰えが業務遂行の妨げになる可能性もあります。

一般的に、企業は健康面に問題がなく、体力が必要な仕事も問題なくこなせる人材が欲しいので、50代の人材は敬遠される傾向です。

2022年からは高年齢者雇用安定法の改正により、70歳までの定年引き上げが努力義務とされました。しかし、体力面でハードな業務は任せられないため、実際に50代の採用率アップにつながるかは定かではありません。

転職活動を行う際は、自身の健康状態や体力面を考慮し、業務に影響を及ぼさないような転職先を選ぶことが重要です。

50代女性が転職する際は、ブランク期間が採用の結果に影響することもあり、転職が厳しくなることもあるようです。

女性の場合、結婚・出産・育児など生活スタイルの変化によってキャリアが中断することは珍しくありません。しかし、ブランク期間が長すぎると、新たな知識や技術を習得するために時間がかかると考えられ、採用を見送られてしまうケースもあるでしょう。

50代女性が転職を成功させるためには、新たな資格を身に付けるなどブランクの穴を埋めることが大切です。

50代が転職をすると、年収が下がるケースは多いようです。厚生労働省の「令和3年雇用動向調査」によると、50〜54歳では34.1％、55〜59歳では48.8％の人が転職後に年収が下がったと回答しています。

年収は職種・業界・転職後の役職など、さまざまな要素によって年収は左右されます。前職とはまったく違う業界を選んだ場合、企業からは新人として扱われるため満足な収入を得られない可能性は高いでしょう。

一方、これまでの経験を活かせる転職先を選べば、収入アップも期待できるかもしれません。実際に転職をした50代のうち2〜3割は、年収が増えています。

50代の転職活動は、次の職場が見つかるまで時間が掛かることを覚悟しておきましょう。50代を募集している企業自体が少ない傾向にあり、希望の職種や応募できる求人がすぐには見つからない可能性が高いからです。

転職にあたって家族の理解が得られなかったり、退職交渉がうまくいかなかったりなど、転職活動が予想以上に長期化することもあります。

自身の強みやスキルを活かした求人を選んだり、応募数を増やしたりしながら、腰を据えて長期的に転職活動に取り組むのがおすすめです。

何もしなくても前職と同等以上の年収や、ポストが確保されていると考えている人は要注意。転職市場において自身の価値を理解することは、重要なステップのひとつです。

転職活動を行う場合は、自己分析をしっかりと行い、自身の強みや経験を活かせる職種や企業に優先的に応募しましょう。場合によっては、前職の地位や収入に固執することなく新たなキャリアを模索する覚悟も必要です。

50代での転職は難しく、新たな職を見つけるまでには時間が必要となるのが一般的です。退職したものの、転職活動が思うように進まなければ、生活が苦しくなってしまいます。経済的な不安が増していくと、転職への焦りや意欲の低下から希望とは異なる条件なのに妥協してしまい、入社後に後悔することにもなりかねません。

転職活動には時間がかかることを認識し、落ち着いた環境で転職活動に取り組みましょう。

50代が転職をする際は、前職よりも年収が下がる可能性があることも受け入れる必要があります。若い世代と比べると、50代の転職は簡単ではありません。求人数も限られるため、自身の希望する条件を完璧に満たす求人を見つけることは困難です。

転職直後に年収が前職より減ったとしても、その後の努力次第で年収が同程度に回復するケースもあります。50代が転職する際はいったん年収面でのこだわりを捨てると、応募先の選択肢は広がるかもしれません。

中小企業やベンチャー企業は、大手企業に比べて採用人数が少なく、競争率が低くなるケースがあります。中小企業やベンチャー企業は自分の裁量で働ける範囲が広く、人によっては大手企業よりも前向きな働き方ができるかもしれません。

大手企業に固執しすぎると、自身の転職活動の選択肢を狭めてしまう場合があるので注意してください。

なるべく多くの求人を確認したい人は、転職サイトを利用するのがおすすめ。複数の転職サイトに登録すれば、その分自身の希望に合った職種を見つけられる可能性が高くなります。

以下の記事で50代向けの転職サイトについて紹介していますので、転職を検討中の人はチェックしてみてください。

50代は業界知識やマネジメント経験、人脈など若手では持っていない経験や実績も強みのひとつです。過去の実績を洗い出し、具体的に企業へどのように貢献できるのか理解してもらいましょう。

経験やスキルをどのようにアピールすれば良いのか、不安な人は転職エージェントを活用してみてください。転職エージェントを利用すると、専任の担当者による書類添削や模擬面接など、選考に関するさまざまなサポートが受けられます。

以下の記事では、人気の転職エージェントを徹底比較しています。どの転職エージェントを利用すべきか迷ったときは、参考にしてくださいね。

人手不足の業界では過去の経験より、人柄を重視して採用してもらえることも。タクシー業界や運送業界は人材不足の会社が多く、50代未経験でも歓迎されやすい傾向にあります。

優良な求人は採用枠がすぐに埋まってしまう可能性があるため、興味が湧いた時点で早めに応募しましょう。