資産運用に興味を持って情報収集していると、「証券」という言葉がよく出てきます。しかし、証券とは具体的にどのようなもので、どのように取引されるのか、正しく理解している人は多くないのではないでしょうか。
そこで今回は、証券とは何かや、どんな種類があるのかについて解説します。証券取引の仕組みや証券会社の役割についても説明するので、資産運用を始める前の勉強として読んでみてくださいね。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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証券とは、財産法上の権利や義務を表す株券や債券などのことで、証拠証券と有価証券に大きく分かれます。最初に、証券の種類やそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
証拠証券とは、何らかの権利を持っていることを証明する書面のことです。
たとえば買い物をしたときにもらうレシートは、購入の証拠や返品の権利を証明する券なので、証拠証券に該当します。また、服をクリーニングに出したときに受け取る預かり証は預けた服と引き換えられる権利を示す証拠になるので、これも証拠証券です。
ほかにも、保険証書・預金証書・借用証書・領収書・預金通帳などが証拠証券に含まれます。これらの証拠証券は証券そのものに価値があるわけではなく、契約内容を表すときに使われるもの。したがって、証拠証券そのものが売買の対象になることはありません。
有価証券とは、文字通りそのもの自体に価値がある証券のことです。資産運用について学ぶと出てくる証券という言葉は、基本的にこの有価証券を指します。
有価証券は、国や企業の資金調達手段および企業や個人の投資対象として、証券市場で売買されます。有価証券は資金調達したい組織が発行。投資家はそれを購入したり別の投資家に売ることができ、売買によって利益を出すことも可能です。
なお、証券という名称ではありますが、電子化(ペーパーレス化)が進み現在は必ず書面で交付されるわけではありません。代表的な有価証券には、以下のようなものがあります。
株式とは、株式会社が事業資金調達のために発行する証券です。
新商品の開発費用や工場の建設費用など、企業が事業を行うためには資金が必要となります。資金は銀行借入や社債の発行などでも調達できますが、株式を発行すれば投資家に資金を出してもらうことが可能です。
株式を発行して得た資金は、銀行借入などと異なり返済義務がありません。そのかわり、出資者である株主は持っている株式の割合に応じて、経営への参画権や配当を受け取る権利が得られます。
企業が成長して株式の価値が上がれば、株主は売却して利益を得ることも可能です。ただし、元本保証はされていないので、購入時よりも価値が下がる可能性もあります。
債券とは、国・地方公共団体・企業などの発行体が投資家からお金を借りるために発行する証券のことです。国が発行する債券は国債、企業が発行する債券は社債と呼ばれます。
投資家は債券の購入によって、発行体に資金を提供。そのかわり、発行体は債券が満期を迎えるまで決められた利子を払い、満期を迎えたタイミングで投資家に元本を返します。
発行体が破綻しない限りは債券の額面金額を受け取れるので、安全性は高いといえるでしょう。ただし、満期を迎える前に売却すると元本割れするリスクがあるので注意が必要です。
投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの資金としてまとめ、株式や債券などの金融商品に投資してプロが運用する商品のことです。
投資信託では、金融商品の運用や信託財産の管理などによって発生した成果を享受する権利を証明する証券として受益者(投資家)に受益証券を発行。投資信託の運用で得た利益は、投資家に分配金として支払われます。投資家は、投資信託を売却して出資した資金を受け取ることも可能です。
なお、投資信託の運用成績は専門家の腕だけでなく、市場環境などによっても変化します。元本が保証されているわけではなく、運用がうまくいかなければ損をする可能性もあります。
有価証券が何を指すのかわかったところで、ここからは証券取引の仕組みや証券会社の役割について説明します。
株式や債券などの有価証券の売買は、証券取引所で行われます。日本で証券取引所があるのは、札幌・東京・名古屋・福岡の4か所です。
証券取引所は顧客から直接注文を受け付けているのではなく、証券会社からの発注を受けて売買を行います。1999年4月までは、証券取引所の中にある立会場という場所に証券会社の担当者が足を運び、投資家からの注文を取引所に伝えていました。現在は、独自のシステムを用いて取引が行われています。
証券取引所では、日本のすべての企業の株式が売買されているわけではありません。証券取引所で売買できるのは、証券取引所が定めた基準をクリアして売買資格が与えられた企業の証券のみです。資格が与えられた企業は上場企業と呼ばれ、その株式は上場株式といいます。
投資家と証券取引所をつなぐ役割を果たしているのが、証券会社です。投資家は証券会社に注文をして、証券会社はその注文を証券取引所に伝えます。これは、証券会社の本業であるブローカー業務と呼ばれるもので、仲介によって得られる手数料が証券会社の収益の柱です。
証券会社は投資家の注文を取引所に伝えるだけでなく、証券会社自身のお金で株式を売買することも可能。これはディーラー業務と呼ばれる仕事で、会社として収益を得たり売買を成立しやすくしたりする効果があります。
証券会社は、総合証券とネット証券の2種類に大別されます。利用する証券会社を選ぶ場合は、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
総合証券は実店舗を持っている証券会社で、担当者がついて投資活動をサポートしてくれます。代表的な証券会社は、野村證券・SMBC日興証券・大和証券などです。
対面取引・電話・インターネットなどで売買ができ、適宜担当者に相談できるのが総合証券のメリット。疑問点を聞けるだけでなく、株価に大きな変動があった際に知らせてくれたり、投資に必要な情報を教えてくれたりします。
相談や情報提供の分手数料は高くなりますが、投資情報の収集や分析に充てる時間を確保しづらい人には総合証券がおすすめです。担当者に相談しながら資産運用を進めれば、限られた時間で効率よく投資ができるでしょう。
ネット証券は、投資活動のすべてがインターネット上で完結する証券会社です。代表的なネット証券には、楽天証券・SBI証券・松井証券などがあります。
実店舗は持たず、担当者がつくわけではないので人件費や店舗運営費がかからず、取引手数料が安いのがメリット。出費を抑えながら、自分のペースで投資を進められます。
銘柄の選定や売買のタイミングを自分で判断しなければならないので、どちらかといえば投資に関する知識を持っている人向けです。取引コストを抑えたい人や、自分のペースで取引したい人は、ネット証券を使うと快適に資産運用を進められるでしょう。
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