投資商品として選ばれることの多い、債券と株式。それぞれの特徴を正しく理解するのは難しく、とくに初心者は混同してしまいがちなので、投資をはじめるなら正しい知識をもっておきたいところです。
そこで今回は、債券と株式の違いについて解説します。それぞれのリスクや投資をするメリットも説明するので、資産運用をはじめる前の勉強に役立ててくださいね。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
債券と株式は、発行元や発行目的が異なります。
債券は国や企業が資金を調達するために発行する借用証書のようなもの。国が発行するものは国債、企業が発行するものは社債と呼ばれ、投資家は債券を購入すると国や企業にお金を貸すことになります。
債券を購入すると、定められた満期日まで定期的に利子を受け取ることができるのに加え、満期になったら元本が戻ってくることも決められています。
一方株式は、株式会社が資金調達のために発行する証券です。投資家は株式を買うとその会社に出資した株主となり、配当や売買益などで利益を得ることになります。
債券と株式は、得られる利益の種類も違います。
債券で得られる利益のなかでもメインとなるのは、利子です。債券を保有しているあいだは、満期を迎えるまで定期的に利子を受け取れます。1年間に支払われる利子の金額は「表面利率」として債券発行時に決められているので、債券を保有し続ければ必ず受け取ることが可能です。
債券は満期まで待たずに売却することもでき、その場合は売買益が発生します。債券価格が安いときに購入して高いときに売却すれば、差額を売却益として得ることができるほか、債券価格が安いときに購入して保持すれば、満期となる償還日に額面金額との差額の償還差益が得られます。
それに対し、株式では譲渡益や配当金が利益のメインです。譲渡益は持っていた株式を売ったときに発生する利益のことで、たとえば100万円で購入した株式を200万円で売却した場合の譲渡益は100万円となります。
配当金は、企業が得た利益の一部を株主に還元するもの。株式を購入すると必ずもらえるわけではありませんが、利益がなくても分配される場合もあります。そのほか、株主優待や経営参加権など金銭以外のメリットがあることも株式投資の魅力です。
債券と株式は、商品の売買しやすさを表す流動性にも大きな違いがあります。流動性とは、換金のしやすさのこと。お金が必要になったときにすぐ換金できる商品は、流動性が高いといえます。
証券取引所で自由に売買できる株式は、流動性が高い商品です。平日の昼間であれば証券取引所で取引できるので、換金したいときにすぐに手続きが行えます。
一方、債券は株式に比べると流動性が低い商品。債券を売りたくなったときは通常であれば証券会社等が買い取ってくれますが、1年未満は中途換金不可などの条件がついている国債もあるので、株式よりも売買の制限は厳しいといえるでしょう。
満期があるかどうかも、債券と株式の違いといえます。債券には満期があり、原則として満期まで資金が拘束されるのが基本です。満期の前に証券会社等に債券を売ることも可能ですが、その場合は元本割れの可能性があるので推奨はされていません。
株式には満期がないので、いつでも自由に売買可能です。ただし、満期がないぶん元本は保証されておらず、売却する時期によっては損をしてしまうこともあります。
いくらから商品を買えるかという最低投資金額も、債券と株式では異なります。債券の場合、個人向けの国債であれば10,000円程度、社債であれば10万円程度から購入可能です。
一方、株式は数万円程度から購入でき、さらにもっと少ない金額から投資できる方法もあります。たとえば「株式ミニ投資」と呼ばれる制度を使うと、通常の取引株数である100株の10分の1で売買可能です。
株価1,000円の株式を100株単位で買う場合は最低でも10万円から購入しなければなりませんが、株式ミニ投資では10分の1の取引株数でいいので、10株単位で10,000円から購入できます。
債券には、主に金利変動リスクや信用リスクがあります。金利変動リスクとは、金利の変動によって資産そのものの価値が変わる可能性のこと。金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がります。
信用リスクは、発行体が財政難や経営不信に陥り、利息や償還金をあらかじめ決めた条件で支払えなくなる可能性のことです。満期を迎えると額面金額が返ってくる債券は、投資商品のなかでは比較的安全性が高いといわれていますが、発行体である国や企業が債務不履行に陥り、お金が返ってこなくなる可能性もゼロではありません。
債券のリスクに対応するためには、満期までの長期保有を前提に投資したり、債券の信用度を評価した格付けをチェックしたりすることが大切です。
株式の主なリスクは、価格変動リスクと信用リスクです。
価格変動リスクとは、買ったときより商品が値上がりすることも値下がりすることもあるというリスク。株価は企業の業績や景気の動向によって大きく変化するので、株式は債券よりも価格変動リスクが大きいといえます。買ったときよりも安い値段でしか売れない場合は、元本割れして損をしてしまうでしょう。
信用リスクがあるのは、債券と同様です。株式を発行する企業が倒産して、株式の価値がゼロになる可能性もあります。株式は債券と異なり元本が保証されているわけではないため利益が出ないことも承知のうえで投資が行われますが、それでも価値がゼロになるのは大きなダメージといえるでしょう。
株式のリスクに対応するためには、複数銘柄に投資する分散投資を心がけるほか、会社の財務諸表や景気などを見て今後の成長を分析する習慣をつけるとよいでしょう。
リスクはあるものの、資産運用では債券と株式に投資をするメリットがあります。それぞれのメリットを見ていきましょう。
債券のメリットは、預貯金や保険などに比べると大きなリターンが期待できることです。
債券はあらかじめ約束した金額が満期を迎えたときに受け取れる商品なので、リスクはあまり高くありません。そのぶん金利が低く設定されているので、リターンも株式に比べると少なくなります。
それでも、預貯金や保険に比べると金利は高めに設定されており、リターンは大きくなりやすいといえます。大きなリターンを得たい場合には向きませんが、リスクを取らず安定した収益を得たい人には選択肢のひとつになるでしょう。
株式のメリットは、債券よりも大きなリターンが期待できることです。
一般的に株式は、ほかの金融商品と比べてハイリスク・ハイリターンであるとされています。企業の業績や景気の動向によって価格が変動するリスクは高いものの、その分得られるリターンが多いのが魅力です。
譲渡益や配当金など得られるリターンの種類も多いので、企業価値が向上すればより多くのリターンを得られる可能性も高まります。株式に満期はなく、投資期間に制限がないので、短期間で大きな利益を得られるケースもあるでしょう。
リスクを積極的に取ることになっても大きなリターンを得たいと考えている人には、債券よりも株式がおすすめです。
債券と株式には負の相関関係があるので、安定した資産運用を目指すなら両方にバランスよく投資することが大切です。
一般的に債券価格が上昇すると株価は下がり、債券価格が下がると株価は上昇します。その理由として考えられるのは、景気の循環と金利の変動。景気がよくなると株価が上昇する一方で、金融引き締めが行われて金利が上昇するため、債券の魅力は相対的に低くなり価格は下落します。
投資家のリスク意識も、債券と株式の負の相関関係に大きく関わっています。株価が下がると株式投資の運用リターンが低下し、相対的に魅力が上がった債券の価格が上昇。株式がたくさん売却され、債券が多く購入されるという状態を招きます。
特徴や価格の動き方に大きな違いがある債券と株式は、組み合わせれば安定した投資につながります。両方にバランスよく投資をしたいのであれば、投資信託を活用するのもひとつの方法です。投資信託は債券や株式を組み合わせているパッケージ商品なので、ひとつに投資するだけでリスクを抑えた分散投資を行えます。
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