日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入義務がある国民年金。国民年金をクレジットカードで払うと支払いの手間が省けるうえにポイントも貯まると聞いたことがあるものの、どのように手続きをすればよいのか分からず困っている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、国民年金の支払い方法やカード払いに変更するメリット・デメリットについて解説します。電子申請の方法や保険料が割引されるお得な制度も紹介するので、保険料の支払い負担を抑えたい人はぜひチェックしてみてください。

金融機関勤務を経て1級ファイナンシャルプランニング技能士の資格を取得。ファイナンシャルプランニングオフィスParadise Wave(パラダイスウエーブ)の代表。現在は独立系ファイナンシャル・プランナーとして各種ローンに関する相談業務・セミナー講師・執筆活動を行っている。さらに、海外生活ジャーナリストとして移住支援も行っており、得意ジャンルは金融にとどまらず多岐に渡る。 【主な著書】 『貯める!儲ける!お金が集まる94の方法』(ローカス) 『あなたのファンを増やす魔法の質問 テラー必携!!』(近代セールス社) 『介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本』(近代セールス社) 『宅建資格を取るまえに読む本』(総合資格)

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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国民年金は、クレジットカードで納付することができます。支払いに利用できるのは、VISA・MasterCard・ダイナースクラブ・JCB・アメリカンエキスプレスの国際マークが付いたカードです。
カード納付の手続きをする際に使用する申出書には、国民年金の納付に使用できるカードが記載されているので、事前に確認しておきましょう。
国民年金は毎月一定額を納付するのが基本ですが、一定期間分の保険料をまとめて納付することも可能です。まとめて前納したほうが保険料がお得になるので、カード払いを検討している人はぜひチェックしてみてください。
前納割引制度とは、保険料をまとめて前払いする制度のことです。 前納期間には、以下4パターンがあります。
6か月前納(4月~9月分)
6か月前納(10月~翌年3月)
1年前納(4月~翌年3月)
2年前納(4月~翌々年3月)
より長い期間分をまとめて払うほうが、割引率が高くなります。支払いに余力があるなら2年前納を検討しましょう。
前項で最もお得な払い方と紹介した2年前納制度は、毎月納付する場合に比べると2年間で15,000円程度の割引(令和7年の割引額は15,670円)が受けられます。1か月分の保険料額と同程度の割引が受けられるので、まとめて支払ったほうがお得です。
これまで2年前納制度を利用できるのは口座振替のみでしたが、平成29年4月からクレジットカードや現金納付による2年前納も可能になりました。
どの支払い方法を選んでも、納付書と同額の割引が適用されます。実際にカードで納付する金額は、クレジット納付額通知書で確認が可能です。
前納割引制度で納付するには、事前手続きが必要です。カード払いの場合は、「クレジットカード納付(変更)申出書」に必要事項を記入して年金事務所(郵送も可)へ提出しましょう。申出書の様式は、日本年金機構の「国民年金関係届書・申請書一覧」からダウンロードができます。
ただし、前納割引制度には申し込み期限があるので注意が必要です。4月末日からの前納は毎年2月末日、10月末日からの前納は毎年8月末日が申し込み期限となります。
4月末日からの前納に該当するのは 6か月前納(4月~9月分)・1年前納・2年前納、10月末日からの前納に該当するのは6か月前納(10月~翌年3月)です。郵送で提出する場合は郵便物の到着までに日数がかかるので、早めに投函しましょう。
国民年金をクレジットカードで納付することには、複数のメリットがあります。これまで口座振替や現金で納付していた人は、カード払いへの切り替えを検討してみましょう。
国民年金をクレジットカード払いにすれば、納付額に応じてポイントが還元されます。国民年金の納付額は決して少なくないので、カード払いに変更すればポイントを効率よく貯められます。
ただし、カードによってはポイントがつかない場合もあるため注意が必要です。カード払いの手続きを行う前にカード会社の公式サイトを確認し、ポイント対象外の支払いがないかチェックしておきましょう。
一般的に口座から保険料納付額が引き落とされるのは1か月以上先の支払日なので、クレジットカード払いであれば手持ちの現金や銀行の口座残高が少ないときも納付ができます。
カード会社が先に立替て支払いをするため、支払期日は自動的に延長されます。支払日までに保険料を用意すればいいので、お金がないときも慌てる必要はありません。
クレジットカード納付なら毎月の支払日に自動的に保険料が引き落とされるため、国民年金の未払いを防止できます。
国民年金の未払いが続くと差し押さえなどの法的措置がとられる場合もありますが、カード納付なら支払い漏れは起こりません。事前に申請手続きを済ませればあとは自動的に保険料が支払われるので、毎月振り込む面倒な手間も省けます。

国民年金はクレジットカードでも支払うことができ、カード会社のポイントが貯まります。
特に、自営業者などはすべて自分で管理しなければならないので、お得なカードを選んで支払うとよいでしょう。
また、カード払いの場合、口座からの決済日を実際の納付日より先送りすることがメリットでもあります。手持ちがないときにも遅れることなく、支払えますよ。
普段の買い物に使用しているクレジットカードで納付をすれば、生活費と一緒に明細が確認できるため、支出管理が楽になります。
カードの利用代金明細を見れば納付状況が確認できるので、家計管理のために支払明細を手元に残しておく必要はありません。カードの明細がそのまま家計簿代わりになるため、毎日忙しくて家計管理に時間をかけられない人にも便利です。
同一生計家族の国民年金をまとめて納付できるのも、クレジットカード納付の魅力です。家族のうちひとりがカードで前納すれば、家族ごとに何度も支払う面倒な手間が省けます。
家族のなかで所得が高い人がまとめてカード払いをすると、控除額が高くなるメリットもあります。節税効果が大きくなる可能性があるので、同一生計の家族の分は高所得者がまとめて支払うのがおすすめです。
国民年金をクレジットカードで払うことには、メリットがある反面、デメリットもあります。以下ではカード払いの際に気を付けるべきポイントを紹介するので、申請前にしっかり確認しておきましょう。
クレジットカード払いの申請手続きは、完了までに2か月ほどかかる場合があります。手続き完了前の国民年金保険料は、従来の方法で納付しなければいけません。申請手続きを済ませたあとも、納付を忘れないように気をつけましょう。
納付書で支払いをしていた人は、従来どおりコンビニや金融機関で現金で納付してください。納付書で支払う場合、スマホアプリを利用するとポイントが貯まってお得です。国民年金がポイント対象外となるスマホアプリでも、クレジットカードでチャージしてから支払えばチャージした分はポイントが還元されますよ。
これまで口座振替で納付していた人は、クレジットカードで納付が開始される月の前月分までが口座振替となります。
国民年金に利用できるクレジットカードの支払い方法は、1回払いのみです。分割払いやリボ払いは利用できません。リボ払い専用のカードも利用できないので注意が必要です。
前納割引制度を利用すると割引はされるものの、一度に多額の出費があるため生活に支障が出る可能性があります。国民年金をまとめて支払うことが難しい場合は、毎月納付がおすすめです。
クレジットカードの引き落としタイミングで利用限度額を超えていた場合、カード払いはできません。引き落としができなかった場合は、納付書での支払いが必要です。前納割引制度で引き落としができなかった場合、その対象期間は毎月納付の扱いになります。
4月分もしくは10月分を、納付書により現金で納付する必要があるので注意が必要です。カードの利用限度額を前納金額が上回らないか、事前に確認しておきましょう。
住所などの個人情報が変わったり、紛失などでカード番号が変わったりしたときは、忘れずに手続きを行いましょう。クレジットカードの情報に変更があった場合は、申出書に必要事項を記入のうえ、年金事務所に提出する必要があります。
カードの有効期限切れの場合は、指定代理納付者であれば日本年金機構に通知されるので手続きは必要ありません。
指定代理納付者とは、国民年金法に基づき厚生労働大臣から指定を受けたカード発行会社のことです。それ以外の発行会社は有効期限が更新された場合、「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」に必要事項を記入して年金事務所へ提出してください。
国民年金は納付書を使ってコンビニで納付できますが、納付する際にクレジットカード払いを利用することはできません。支払い手段として使えるのは、基本的に現金のみです。
国民年金でカード払いができるのは、引き落としのみ。納付書でのカード払いはできないので注意が必要です。国民年金をカード払いしたいなら、コンビニを利用するのではなく、事前に申請手続きを済ませておきましょう。
毎月支払うよりまとめて前納するほうがお得ですが、前納割引制度で最も割引額が大きいのは口座振替です。令和7年度では、現金・クレジットカード払いの2年前納の割引額は15,670円でしたが、口座振替は17,010円でした。6か月前納・1年前納も口座振替のほうがお得です。
カード払いはポイントが貯まりすが、ポイント対象外のクレジットカードだと口座振替ほどのメリットはありません。ポイント還元の対象であったとしても、還元率が低いと口座振替のほうがお得です。
たとえば楽天カードの場合、国民年金の支払いだと500円につき1ポイントしか付与されません。2年前納の409,490円をカード払いにすると、付与されるのは818ポイントです。支払い方法を口座振替にするとカード払いより1,340円多く割引されるので、クレジットカードを選ぶメリットは少ないでしょう。
申請手続きをする際には、以下4つが必要です。
基礎年金番号の分かるもの(年金手帳や納付書)
支払いに利用するクレジットカード
本人確認ができる書類
申出書は各年金事務所で手に入るほか、日本年金機構の公式サイトからもダウンロードができます。支払いに利用するカードが本人名義ではない場合は、上記書類にくわえてカード名義本人の「クレジットカード納付に関する同意書」が必要です。
申請書を提出する際は、本人確認ができる書類も持参しましょう。窓口で手続きを行う場合は、マイナンバーカードを提示してください。郵送の場合は、マイナンバーカードの表面・裏面をコピーして同封します。
マイナンバーカードがないときは、個人番号の表示がある住民票の写しや、氏名・住所などが住民票と一致する通知カードでも手続きが可能です。運転免許証・パスポート・在留カードでも本人確認ができます。
申請手続きをスムーズに進めていくためには、事前に手順を確認しておく必要があります。手続き自体は簡単なので、早めに申請しておきましょう。
まずはクレジットカード納付申出書を各年金事務所で入手、またはWEBサイトからダウンロードしましょう。申出書にカード番号などの必要事項を記入したら、年金事務所の窓口に提出、もしくは近くの年金事務所に送付します。
近くの年金事務所の所在地は、日本年金機構の「全国の相談・手続き窓口」で確認が可能です。年金機構のWEBサイトから電子申請をすれば、24時間どこからでも申請ができます。急いでいる人、訪問や郵送が面倒な人は利用してみてください。
提出した申出書に問題がなければ、年金事務所での手続きが完了します。申出書を提出すると、クレジットカード納付開始通知書が送られてきます。
通知書にはカード納付の開始月や納付対象月などの大事な情報が記載されているので、受け取った際に必ず確認しておきましょう。手続き完了には2か月程度かかる点にも注意が必要です。
クレジットカード納付が始まるのは、通知書に記載された月からです。ただし、カードの利用締め日などの関係で、納付の最初の月は2か月分の国民年金がまとめて請求される場合があります。きちんと引き落としができるように、最初の月は口座に2か月分の保険料を振り込んでおきましょう。
以下のコンテンツでは、クレジットカードごとの違いや選び方のポイントを詳しく解説しています。有名なクレジットカードの比較検証もしているので、ぜひ自分にぴったりな1枚を見つけてみてください。
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