派遣社員として働いている人の多くに関わるのが、退職や転職時に企業から支払われる退職金。派遣社員は正社員と同じように退職金を受け取れるのか、退職金を受け取るために何か条件はあるのか疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、派遣社員でも退職金を受け取れるのかどうかというポイントや、退職金制度について詳しく解説します。派遣社員が退職金を受け取る際に注意すべき点もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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派遣社員も正社員と同様、退職金を受け取ることができます。正社員と非正規雇用労働者の間における不合理な待遇差の解消を目的として、厚生労働省が平成24年に「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」を改正したためです。
また、同年に発表された「同一労働同一賃金ガイドライン」でも、派遣社員と正社員の仕事内容や役職などが同じであれば、給与以外の手当にも同等の金額を受け取れる旨が記載されています。退職金について明確な記載はありませんが、派遣社員と正社員における待遇差はなくなっていると考えてよいでしょう。
ただし、派遣会社によって具体的な支払制度や支給条件は異なるため注意してください。あらかじめ就業規則や契約書などを確認し、自分の所属している派遣会社がどの支払制度を採用しているのかチェックしておきましょう。
派遣会社の退職金の決まり方には、正社員と同じ待遇を目指す派遣先均等・均衡方式と、派遣会社と過半数労働組合の間で待遇を決める労使協定方式の2種類があります。どちらの方式を採用しているかによって退職金をもらえるかどうかが異なるため、事前に必ずチェックしましょう。
派遣社員の退職金を決める方法の1つに、正社員と同じ待遇を目指す派遣先均等・均衡方式があります。派遣社員と正社員を業務内容・役職などのポイントから比較して、内容が同じであれば同じ待遇を目指し、違いがあれば違いに応じて給与や待遇を決定する仕組みです。
派遣先企業の退職金制度にしたがい、派遣先の正社員と比較して不合理にならないように決定されます。そのため、派遣社員の退職金の有無や金額は、正社員が受け取る条件・金額が基本になるといってよいでしょう。
ただし、派遣先の企業に退職金制度がない場合は、退職金をもらえないため注意が必要です。所属している派遣会社だけでなく、希望の派遣先でも退職金制度が採用されているかどうか必ずチェックしておきましょう。
労使協定方式と呼ばれる、派遣会社と過半数労働組合の間で待遇を決める方法も。派遣社員の給与や待遇を、正社員と同等かそれ以上になるように定める仕組みです。
労使協定方式には、それぞれ派遣会社の退職金制度・退職金前払い制度・中小企業退職金共済制度と呼ばれる3種類の支払い方式があります。多くの派遣会社が労使協定方式を採用していますが、どの制度が適用されるかは派遣会社によって異なるため事前に必ずチェックしておきましょう。
退職金の支払い制度には、前払い制度・派遣会社の退職金制度・中小企業退職金共済制度・派遣先企業の退職金制度の4種類があります。退職金を受け取るための具体的な条件とあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
派遣会社が労使協定方式を採用している場合の退職金支払い制度として、退職金前払い制度があります。退職時ではなく前払い形式で支払われるため、確実に退職金を受け取ることが可能です。
厚生労働省が発表する各職種の賃金統計をもとに退職金を時給換算し、時給に上乗せする形で支払われます。退職金の金額は正社員が受け取る金額と同等以上に設定されるため、一般的なパートタイム労働者よりも多く時給を受け取りやすいといえるでしょう。
勤続年数に関係なく、毎月の給与に上乗せされた退職金を受け取れるのがメリットです。ただし、退職金が時給として扱われるため、課税対象になってしまう点に注意しましょう。
派遣会社が労使協定方式を採用している場合、派遣会社の退職金制度によって退職金が支払われるケースもあります。派遣会社が定める一定の条件を満たせば、退職時に退職金が支払われる制度です。
退職金は、基本給×支給月数×支給率で計算されます。支給月数や支給率は主に勤続年数によって決定されるので、働く期間が長くなればなるほど多くの退職金を受け取ることが可能です。
ただし、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」にもとづき、勤続年数3年以上を条件としている派遣会社がほとんどであるため注意しましょう。3年以上同じ派遣会社で働くことが難しい場合、退職金を受け取れる可能性は低くなってしまいます。
中小企業退職金共済制度と呼ばれる退職金支払い方法もあります。国が中小企業をサポートするための仕組みであり、派遣会社が中小企業退職金共済制度に掛け金を支払うことで、退職金を積み立てることができる制度です。
受け取れる基本退職金は、掛け金×勤続年数×年齢で計算されます。たとえば、22歳から月に1,0000円を10年間納付した場合は、退職金の支給額は1,265,600円です。
万が一所属している派遣会社が倒産した場合でも、確実に退職金を受け取れるメリットがあります。具体的な手続きの流れは、独立行政法人勤労者退職金共済機構公式サイトの「従業員が退職した際の手続の流れ(従業員)」ページに記載されているので、詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。
派遣先均等・均衡方式を採用している派遣会社の場合、退職金は派遣先企業の退職金制度にのっとって支払われます。派遣先の企業から支払われた退職金を、派遣会社が労働者へ直接支払う制度です。
受け取れる退職金の金額は派遣先によって異なりますが、正社員と業務内容や役職が同程度の場合、退職金についても同等以上支払われると考えてよいでしょう。一方、派遣先企業にそもそも退職金制度がない場合は、退職金を受け取ることができないため注意が必要です。
また、退職金の支給条件として3年以上の勤務を条件としている企業が多い点も注意しましょう。勤務年数の上限を3年と定めている派遣会社の場合、退職金を受け取れない可能性があります。
派遣社員として働く際は、派遣会社や派遣先企業に退職金制度があるかを事前に確認すること、退職金に上限はないことなどを念頭に置いておきましょう。ここでは退職金を確実に受け取るためにチェックすべきポイントを紹介します。
派遣社員の退職金に関する注意点として、事前に退職金制度の有無を確認することが挙げられます。派遣会社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」によって、労働条件通知書とよばれる書類に退職金制度の記載説明が義務づけられています。
退職金の有無や退職手当の支給方法については、一般的に文書または電子メールの通知から確認できます。労働条件通知書には自分の雇用について各項目で書かれているため、退職金の箇所を確認しましょう。
万が一、説明請求を理由とした解雇や不当な扱いを受けた場合は、派遣会社や都道府県の相談窓口に問い合わせます。
派遣社員の退職金に関する注意点のひとつに、一般的に退職金には上限がないことが挙げられます。派遣会社の退職金制度に基づいて、業績や勤務形態に見合った退職金を受け取れる権利があるためです。
たとえば、中小企業退職金共済制度の場合、長い期間を積立するだけで退職金として支払われる額も増えます。毎月の掛金額を2,000円とした場合の退職金総額は、1年間勤務で7,200円、10年間勤務で253,120円です。
正社員と同程度の仕事をしているにも関わらず退職金に大きな差があった場合、派遣会社の担当者や相談窓口に問い合わせてもよいでしょう。
派遣社員の退職金は派遣先均等・均衡方式か労使協定方式で支払われますが、具体的な支給条件は派遣会社や派遣先の企業によって異なります。現在の退職金制度にどうしても納得がいかない場合、ほかの派遣会社への登録を検討してみてもよいでしょう。
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