住宅を買ううえで最も大きな問題となるのが金銭面。年収が低い・年齢的に審査が通らないなどの理由で、親子ローンを検討する人は多いでしょう。しかし、収入を合算できることは知っていても、仕組みはよくわからない人も少なくないはずです。
今回は、親子ローンの仕組みを解説します。親子ローンを利用するメリット・デメリットも紹介するので、よく理解したうえで契約を検討しましょう。
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親子ローンには、親子リレー返済・ペアローンの2種類の選択肢があります。まずは、それぞれの仕組みを理解しましょう。
親子リレー返済とは、親と子が2人で1つの住宅ローンを返済していく方法です。まずは親がメインで返済をはじめ、定年退職をしたタイミングなどで子に引き継いで返済します。
この仕組みを利用すれば、親は定年後の返済負担を軽くすることが可能です。金融機関によっては、親が主債務者、引き継ぐ子が連帯保証人になる場合もあります。
ペアローンとは、親と子がそれぞれ個別に住宅ローンを組む方法です。1つの住宅ローンを2人で返済していく「親子リレー返済」とは異なり、各自が独立した契約を結ぶのが特徴です。
たとえば、親が2,000万円、子が2,000万円を借り入れ、2人合わせて4,000万円の住宅ローンを組むといった形です。このとき、お互いが相手のローンの連帯保証人となるため、もしどちらか一方が返済できなくなった場合は、もう一方がその返済義務を負います。
親子ローンを利用するメリットは3つあります。
親子ローンは、単独で住宅ローンを組むよりも、より多くの金額を借りられる可能性があります。親子2人の収入を合わせる分、金融機関に返済能力が高いと判断されやすくなるためです。
2024年度にフラット35を利用した人のデータによると、住宅購入価格が年収の何倍になるかを表す年収倍率は5.3~7.5倍でした(参照:住宅金融支援機構 2024年度調査)。年収倍率をもとにすると、たとえば年収400万円の場合では、2,800万円程度が住宅ローンを組める目安となります。
しかし、年収400万円の親と2人で親子ローンを組むと、合計年収が800万円となるため、借入可能額を5,000万円程度まで増やせる可能性が出てきます。住宅ローンを組む際の借入額の目安や返済額は、下記コンテンツで詳細を確認してくださいね。
親子リレー返済は、親が高齢でも住宅ローンを長期で組めるようにする仕組みです。
多くの金融機関では、通常の住宅ローンの申し込み年齢の上限は70歳まで、完済時年齢は80歳までに設定しています。仮に上限となる70歳で申し込むと、10年で完済しないといけないため、毎月の返済額は高くなりがちです。
しかし、親子リレー返済であれば、最終的に子が返済を引き継ぐことを前提とするため、親が高齢でも借りやすくなります。30年以上の長期にわたって返済することも可能です。
ペアローンは通常の住宅ローンと上限が変わらないので、親が高齢になってから組むなら親子リレー返済をおすすめします。
ペアローンを利用すれば、親子それぞれが住宅ローン控除の適用を受けられます。これは、親と子が別々に住宅ローンの契約を結び、それぞれがローンの債務者となるためです。
たとえば、親が2,000万円、子が2,000万円のペアローンを組んだ場合、それぞれが自身のローン残高に応じて控除を受けられます。住宅ローン控除を受けるには、親子それぞれが決められた要件を満たさなければなりませんが、大きな節税効果が期待できるでしょう。
親子ローンを利用する際のデメリットもしっかり確認しておきましょう。
親子ローンを利用する際は、団体信用生命保険(団信)の保障内容をよく理解しておくことが大切です。
団信は、住宅ローンの返済中に債務者が死亡したり、高度障害になったりした場合に、保険金でローンの残高を完済してくれる保険です。しかし、親子リレー返済とペアローンでは保障の範囲が異なります。
ペアローンでは、親と子がそれぞれ団信に加入できます。もし親が亡くなった場合は親のローン残高が、子が亡くなった場合は子のローン残高が保険金で完済される仕組みです。しかし、どちらかが亡くなったとしても、もう一方のローンは残ります。
親子ローンを組むと、親と子の双方が互いのローンの返済に責任を持つことになります。
とくに注意が必要なのはペアローンです。たとえば、ペアローンを組んだ子が失業してローンの返済が難しくなった場合、連帯保証人である親が、子のローンを代わりに返済する義務を負います。
もし返済が滞ってしまうと、親子のどちらの信用情報にも傷がつく可能性があるため、無理のない返済計画を立てることが大切です。
親子ローンは、金銭トラブルや相続問題に発展するリスクがあります。ローンは長期にわたるため、その間に親や子の経済状況が変わったり、返済方針について意見が食い違ったりする可能性があると理解しておきましょう。
たとえば、子どもが結婚して新しい家族ができたとき、ローンの返済について親と意見が合わなくなるかもしれません。あるいは、親が亡くなったとき、ほかの兄弟姉妹がローンの返済や不動産の相続について異議を唱える可能性もあります。
このようなトラブルを避けるためには、親子ローンを組む前に、返済計画、不動産の所有権、将来的な問題への対処法などについて、親子で徹底的に話し合うことが非常に大切です。その内容を書面に残しておくことで、より安心できますよ。また、ほかの兄弟姉妹にも事前に説明しておくことで、無用なトラブルを回避できる可能性が高まります。
親子ローンを利用する際、金融機関によっては、親と子が同居することをローンの借入れ条件とすることがあります。フラット35など一部のローンは別居のままでも組めるので、同居が確定していない場合には候補としてみてください。
親子ローンを組んだ後に同居を解消する場合、どちらかが自宅を買い取るか、売却するといった手段を考えないといけません。たとえば子が未婚のうちに親子ローンを組み、結婚を機に別居となり親が住宅ローンの支払いを継続するとなると、単独のローンへの借り換えが必要です。
売却してお互いが新しい住まいへ引っ越すこともできますが、ローン残高より売却価格が低くある可能性もあります。差額分は支払いが必要になるため、費用負担もふまえて手続きの手段を検討しなければいけません。
親子ローンの仕組みを理解したら、どこの金融機関で申し込むか検討しましょう。固定金利・変動金利・フラット35など、住宅ローンには複数の選択肢があります。住宅ローンの選び方は、下記コンテンツも参考にしてくださいね。
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