マイホーム購入に必要な資金を借りられる住宅ローン。住宅ローンを組むにあたって年収に対して何倍が妥当なのか、返済額はどの程度になるのか 、具体的なイメージできないことも少なくないはずです。
そこで今回は、住宅ローンを組む際の借入金額の目安や返済額について解説します。さらに年収別の返済額シミュレーションも紹介するので、無理なく住宅ローンを返済するためにも、ぜひチェックしてください。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
たとえば、住宅金融支援機構が行なった「2021年度 フラット35利用者調査」によると、フラット35の利用者は以下のような年収倍率で住宅を購入しているようです。
購入者の状況によって異なりますが、新築を買う場合は資金としておおむね3,500万円~4,500万円が必要で、年収倍率は7倍前後だということがわかります。中古の場合は資金としておおむね2,600万円~3,000万円が必要で、年収倍率は6倍程度です。こうしたデータを見ても、住宅ローンの借入額は年収の6~7倍が目安といえるでしょう。
住宅金融支援機構が行った「住宅ローン利用者調査(2022年4月調査)」を見ると、返済負担率15~25%以内の世帯が最も多く、25%以内に収めている世帯は全体の半数以上におよんでいることがわかります。
無理なく返済するためにも、25%を超えないよう試算しておくことが大切です。例えば、年収400万円の場合は、年間の返済額が100万円以内に収まるようローンを組むのが理想的といえます。
ここからは、具体的に固定金利における返済額シミュレーションを紹介します。年収300万円~600万円まで100万円ごとに、それぞれの借入額や返済額について解説するので参考にしてください。
なお、これから紹介する試算は、フラット35を利用・ボーナスなし・金利1.96%で借り入れるという条件で行われたものです。条件が変われば、数字も変化するので注意しましょう。
年収300万円の場合、年収の7倍にあたる2,100万円が借入額の目安です。ただし、手取り年収の235万円をベースに返済負担率が25%になるよう計算すると、235万円×25%×35年=2,050万円が無理のない借入額になります。
借入額2,100万円なら、毎月の返済額は7万円で総返済額は2,904万円です。借入額2,050万円の場合、毎月の返済額は6.8万円で総返済額は2,835万円になります。
年収400万円の場合、年収の7倍にあたる2,800万円が借入額の目安です。手取り年収である312万円で返済負担率25%になるよう計算すると、312万円×25%×35年=2,730万円の借入額になります。
借入額2,800万円なら、毎月の返済額は9.3万円で総返済額は3,872万円です。借入額2,730万円の場合、毎月の返済額は9万円で総返済額は3,775万円になります。
年収500万円の場合、年収の7倍にあたる3,500万円が借入額の目安です。手取り年収の387万円で返済負担率25%に収まるよう計算した場合は、387万円×25%×35年=3,380万円が借入額の目安になります。
借入額3,500万円なら、毎月の返済額は11.6万円で総返済額は4,840万円です。借入額3,380万円の場合、毎月の返済額は11.2万円で総返済額は4,674万円になります。
年収600万円の場合、年収の7倍にあたる4,200万円が借入額の目安です。手取り年収458万円で返済負担率25%に収まるよう計算すると、458万円×25%×35年=4,000万円の借入額になります。
借入額4,200万円なら、毎月の返済額は13.9万円で総返済額は5,808万円です。借入額4,000万円の場合は、毎月の返済額は13.2万円で総返済額は5,531万円になります。
ここでは、変動金利のパターンで年収別返済額シミュレーションを紹介します。年収300万円~600万円まで100万円ずつ借入額の目安や毎月の返済額について取り上げるので、ぜひ参考にしてみてください。
なお、以下に紹介する試算は、ボーナスなし・金利0.550%・35年ローンの条件で算出されたものです。金利の上昇をはじめ、条件によって実際の数字は変化するので注意しましょう。
年収300万円の場合、年収の7倍にあたる2,100万円が借入額の目安です。手取り年収である235万円で返済負担率25%に収まるよう計算した場合、2,050万円が借入額の目安になります。
借入額2,100万円なら、毎月の返済額は約5.5万円で総返済額は約2,309万円です。借入額2,050万円の場合、毎月の返済額は約5.4万円で総返済額は約2,254万円になります。
借入額2,800万円なら、毎月の返済額は約7.3万円で総返済額は約3,079万円です。借入額2,730万円の場合、毎月の返済額は約7.1万円で総返済額は約3,002万円になります。
年収500万円の場合、年収の7倍にあたる3,500万円が借入額の目安です。手取り年収の387万円で返済負担率25%に収まるよう計算した場合は、3,380万円が借入額の目安になります。
借入額3,500万円なら、毎月の返済額は約9.2万円で総返済額は約3,848万円です。借入額3,380万円の場合、毎月の返済額は約8.8万円で総返済額は約3,717万円になります。
年収600万円の場合、年収の7倍にあたる4,200万円が借入額の目安です。手取り年収458万円で返済負担率25%に収まるよう計算すると、4,000万円の借入額になります。
借入額4,200万円なら、毎月の返済額は約10.9万円で総返済額は約4,618万円です。借入額4,000万円の場合、毎月の返済額は約10.4万円で総返済額は約4,398万円になります。
借入限度額は年収の35%が目安です。実際35%を上限にしている金融機関は多く、フラット35についても年収400万円以上なら返済負担率35%以下・年収400万円未満なら返済負担率30%以下までと、35%以下を基準に融資の限度額が設定されています。
金利1.96%で計算した場合、年収300万円であれば借入限度額は2,278万円で、毎月の返済額は7.5万円です。また、年収400万円の場合、借入限度額は3,543万円で、毎月の返済額は11.7万円となります。
年収500万円であれば、借入限度額は4,429万円で、毎月の返済額は14.6万円です。年収600万円の場合、借入限度額は5,315万円、毎月の返済額は17.5万円となります。
いずれにしても借入限度額まで借りることは、あまりおすすめできません。病気や事故で大きな出費になったり経済状況の変化によってものの値段が急騰したりと、さまざまなリスクが想定されます。
返済でいっぱいになってしまうと万が一の出費に対応できなくなるので、返済負担率は25%以内に収めるようにしましょう。
頭金は住宅価格の10%~20%が目安といわれています。住宅価格が3,000万円の場合は、300万円~600万円の頭金を用意するのが一般的です。頭金を支払えば、金融機関の信用を得ることができ借り入れの審査が通りやすくなります。
また、借入額を小さく抑えられるのもメリットの1つです。例えば、3,000万円の住宅を購入する際に300万円の頭金を用意できれば、借入額は残りの2,700万円になります。借入額が減れば毎月の返済額も減り、返済期間を縮めて利息負担を抑えることも可能です。
頭金なしでも住宅ローンを組むことはできますが、月々の返済負担を減らすためにも、できるだけ頭金は用意しておきましょう。ただし、貯蓄をすべて頭金として使うようなことは避けてください。家具や家電の準備・引っ越し代・緊急時の出費などに備えて、ある程度の貯蓄は残しておくことをおすすめします。
ここからは、住宅ローンを無理なく返済するためのポイントを解説します。金利上昇のリスク・固定資産税・ライフイベントなど、返済計画を立てるうえで想定しておきたいポイントについて1つずつ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
変動金利では定期的に適用金利が見直され、5年後には月々の返済額が変わります。金利上昇によって返済額が増えた場合、ローンの支払いが難しくなるかもしれません。
金利が上昇しても返済できるのか、あらかじめ考えておくことが大切です。変動金利には、金利が上昇しても125%以上の返済額にはならないという制度があります。
例えば、毎月6.6万円の返済額だった場合、金利上昇が起こっても8.25万円以上の返済額にはなりません。125%まで上昇した場合でも無理なく返済できるのか、事前に試算しておきましょう。
住宅購入にかかわる費用は、住宅ローンの返済額だけではありません。固定資産税などそのほかの費用にも目を向け、年間でいくらかかるのか試算しておくことが大切になります。
固定資産税は、戸建てとマンションどちらを購入した場合でも払わなければならない税金です。固定資産税の相場としては、年間10~15万円ほどになります。
マンションを購入した場合は管理費や修繕積立金が毎月発生するので、その点も認識しておきましょう。管理費は平均約1.5万円・修繕積立金は平均約1.2万円かかります。
これらの関連費用を加味せずに月々の住宅ローン返済額だけを見て借り入れしてしまうと、支払いが苦しくなるかもしれません。関連費用も含めて月々どの程度必要なのか、あらかじめ計算しておきましょう。
ライフイベントによって必要な資金は変わってきます。特に子供が生まれ、子育てが始まると養育費や教育費などが発生し、家計への負担は大きくなるでしょう。公立の学校に通わせた場合でも、大学を出るまでには最低でも800万円以上の資金が必要です。
返済プランを考える際に800万円以上かかる教育費が抜け落ちていると、子育てが始まったときにローンが返済できなくなってしまう可能性があります。ライフイベントシートなどを使って、ローンを組む期間における年間の支出額を試算しておきましょう。どのタイミングでどの程度出費がかさむのかはっきりします。
子供の教育費が大きくかかる期間に向けて貯蓄を増やすなど、住宅ローン以外の費用も考慮してできるだけ具体的に資産計画を立てることが大切です。
年収に対して借りられる住宅ローンの金額はわかったものの、どの住宅ローンを選べばいいか迷っている人も多いはず。以下のページでは数多くある住宅ローンを徹底比較したうえで、おすすめの住宅ローンをランキング形式で紹介しています。住宅ローンの利用を検討している人は、ぜひチェックしてみてください。
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