返済期間が長期にわたる住宅ローン。少しでも返済額を抑えるために、借り換えを検討している人も多いのではないでしょうか。
本記事では、同じ銀行で借り換えができるのか、もしくはほかの銀行に借り換えたほうがメリットが大きいのかについて解説します。借り換えをしなくても負担を減らせる方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
同じ銀行で住宅ローンの借り換えをすることは基本的にできません。銀行が同じ契約者に対して金利を低くすることにメリットがないためです。
ただし、銀行が複数の商品を扱っている場合は、同じ銀行の違う商品へ借り換えができることもあります。たとえば、通常の住宅ローンからフラット35に変更するケースです。
ほかの銀行に借り換えると、多くの場合その銀行の口座を開設することが求められます。同じ銀行で借り換えができると口座開設の手間がないため手軽です。しかし、今より金利が低いほかの銀行を見つけると総返済額を抑えやすいため、借り換えを検討している人は今の銀行以外の住宅ローンも見てみるのがよいでしょう。
同じ銀行でも、金利のタイプを変更したり、引き下げ交渉がうまくいくと返済額を軽減できる可能性があります。借り換えをせずに住宅ローンの負担を減らせる「繰り上げ返済」についても紹介するので、ぜひチェックしてください。
借り換えの手間をかけずに住宅ローンの負担を減らしたいなら、金利タイプの変更がおすすめです。金利タイプの変更とは、たとえば変動金利から固定期間選択型にすること。反対に、固定期間選択型から変動金利への変更もできます。
ただし、固定期間選択型は金利が固定されている期間中は変更ができないため注意が必要です。また、超長期固定金利型からほかの金利タイプには基本的に変更できないことが多いでしょう。
少しでも金利が低いほかの金融機関に借り換えたほうがお得なケースも多いものの、手間を掛けたくない人は金利タイプの見直しがおすすめです。銀行によってはネットの手続きなら手数料がかからないところもあり、金銭的負担も最小限に抑えられます。
金融機関との交渉により住宅ローンの金利を下げられれば、負担を軽減できます。ただし、実際にうまくいくかどうかはそのときの状況や交渉の仕方や次第です。大事なポイントは「ほかの金融機関に借り換えをしようと思っている」という意思を伝えること。銀行も顧客を逃がしたくないため、交渉に応じてくれるでしょう。
具体的な手順として、まずはほかの金融機関の事前審査に申し込みをします。審査に通過したらその書類を持参して、現在利用している金融機関に金利の引き下げ交渉をしましょう。ほかの銀行で借り換えを考えていると具体性を持たせることが重要です。
先述したとおり、金利を下げることは銀行にとってデメリットしかありません。うまくいかないことも想定しておきましょう。
金利を引き下げるときも審査があります。転職をしたばかりで勤続年数が短いときや、年収が下がっていると審査に落ちる可能性があるため注意してください。また、過去に支払いを延滞したことがある場合も難しいでしょう。
金利の引き下げ交渉の結果で、ほかの銀行に借り換えるかどうかを考えることをおすすめします。
繰り上げ返済をすると住宅ローンの残高が減少し、支払利息の負担が軽減されるため総返済額を抑えることが可能です。
しかし、窓口で繰り上げ返済を申し込んだ場合、手数料が1万円を超える金融機関もあります。インターネットから申し込むと無料となる金融機関も多いので、手数料は事前に確認しましょう。
同じ銀行で借り換えをせずに返済額を減らしたいときは、余裕があるときに繰り上げ返済をすることもひとつの手です。
同じ銀行内で総返済額を少なくする方法はありますが、ほかの銀行へ借り換えることも返済負担を軽くするために有効な手段です。以下で借り換えのメリットを解説するので
、どちらの方法をとるか検討する材料にしてくださいね。
住宅ローンの借り換えによって金利が下がれば利息額が減るため、返済額を削減できます。総返済額だけでなく毎月の返済額も軽減できるので、負担感は軽くなるでしょう。
以下で、金利が下がればどのくらいお得なのかシミュレーションしていきます。条件はローンの残高は2,000万円で残りの返済期間は15年、返済方法は元利均等方式です。なお、ボーナス返済はしません。
金利が1.2%(変動金利)だと、毎月の返済額は12万1,466円で総返済額は2,186万3852円です。しかし、借り換えをして金利が0.4%(変動金利)になった場合、毎月の返済額は11万4,496円で総返済額は2,060万9,236円に変わり、結果として125万4,616円も返済額が減ります。
金利の変化でどれくらい総返済額が変わるのか知りたい人は、住宅保証機構のシミュレーターを利用してみてください。
通常、同じ住宅ローン内で団体信用生命保険をつけ加えたり見直しはできないため、借り換えるときに保障を充実させることができます。
団体信用生命保険(団信)とは、債務者に万が一があった際に住宅ローンの残高をすべて保険金でカバーできるものです。たとえば、現在は死亡と高度障害だけ保障されるとしても、借り換えるときに「がん団信」や「3大疾病保障団信」をつけ加えると、保障内容がより充実します。
団体信用生命保険の適用範囲を広げるために借り換えを検討してもよいでしょう。
総返済額を減らすために金利ばかりに注目していると思わぬ損をすることがあります。借り換えるときに必要な費用や書類について整理しておきましょう。
借り換えるときにかかる諸費用の例を紹介します。
融資事務手数料
抵当権抹消費用
抵当権設定の登録免許税
印紙税
司法書士報酬
これらを合計すると30万〜100万円程度の金額になることが一般的です。ただし、金融機関によって金額は異なるので、詳しくは問い合わせてみてください。
返済額を削減できるつもりが手数料を見落としていて結果的に損をしてしまった、ということがないよう注意しましょう。
借り換えの際に必要な書類は以下のとおりです。
物件確認書類
収入に関する書類
返済額に関する書類
本人確認書類
種類は少ないように感じますが、たとえば物件確認書類だけでも以下の書類を準備しなければいけません。
重要事項説明書
登記事項証明書(土地)
登記事項証明書(建物)
工事請負説明書
売買契約書など
多数の書類を準備しなければいけないため、すべて集めるのは非常に手間です。また、登記事項説明書は発行して3か月以内など条件が定まっているものもあるため、よく確認しましょう。
求められる書類や手続きは金融機関で異なります。詳しくは問い合わせてみましょう。
多くの場合、住宅の資産価値が低下しているため、新規の借り入れより借り換えのほうが審査は厳しいといわれています。年収が下がっていたり転職したばかりのときは審査に受かる可能性は低いでしょう。
また、健康状態が悪化していると団体信用生命保険の加入を断られる可能性があります。多くの金融機関は団信の加入を必須としているため、加入できない場合は住宅ローンを組めません。
その場合は、持病がある人を対象に条件を緩和した「ワイド団信」や、団信の加入が不要なフラット35を検討しましょう。
住宅ローン控除が適用される条件は、「借り入れした人の所得が3,000万円以下」、「ローン返済期間が10年以上」などがあります。
借り入れをしたことにより、完済までの返済期間が10年未満に短縮されたときは住宅ローン控除の対象外です。借り換えをしたほうがお得なのか、住宅ローン控除の適用期間が終わってから借り換えをするべきかシミュレーションなどを行い、確認することをおすすめします。
借り換えのメリット・デメリットを比較したうえで、借り換えを検討している人は以下の記事がおすすめです。人気の住宅ローンを金利タイプ別にランキング形式で紹介しています。
金利だけでなく借り換え利用の可否も調査しているので、ぜひ参考にしてください。
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