住宅を購入する際、多くの人が住宅ローンを利用します。年収500万円の場合の借入額や、月々の返済額が気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は年収500万円の場合の住宅ローンの借入額や、無理なく返済できる金額について解説します。年収500万円の場合の借入プランシミュレーションも行っているので、住宅ローンを決める際の参考にしてくださいね。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
全期間固定金利型を利用した場合の年収450万円の借入限度額は、返済期間35年融資金利1.54%で4,732万円、月々の返済額は約14.5万円となります。
住宅ローンは、年収によって借入限度額が決定します。ここでは、世帯年収500万の場合の借入限度額や、借入金額の目安を確認しましょう。
年収500万円で計算すると、新築住宅で3,250〜3,750万円、中古住宅で2,500〜3,000万円、月換算すると新築住宅で約10〜11.5万円、中古住宅で約7.7〜9.2万円となります。
年収500万円の場合、手取り月収32万円の25%で計算すれば、月8万円までローンの返済にあてられます。返済額が月8万円の場合の住宅ローン借入額は、返済期間35年、固定金利1.54%で約2,600万円です。
毎月の出費なども考慮して、無理なく返済ができる借入額を算出しましょう。
住宅ローンの借入額を決めるポイントは、「借入期間」と「金利タイプ」の2つです。ここではそれぞれのポイントについて紹介します。
なお、借入期間が長ければ月々の返済額は少なくて済みますが、総借入額が多くなる点がデメリットでしょう。月々の支払い額と総支払額のバランスを考えて借入期間を設定することが大切です。
住宅ローンには3つの金利タイプがあり、状況に応じて選択可能です。ここではそれぞれの特徴を紹介します。
反対に借入後に市場金利が低下しても返済額が下がらない点がデメリットともいえます。
2023年2月現在、全期間固定金利型の金利は1.445〜2.490%です。金利は金融機関によって異なるため、利用の際は事前に確認しておきましょう。
固定金利期間選択型のメリットは、全期間固定金利型よりも低金利である点や、借入後に市場金利が下れば返済額が減る点といえるでしょう。
また、子どもの教育費などで支出が多い期間を固定金利にして、その間は金利の上昇に左右されず返済できる点も魅力です。
一方、借入時に固定金利期間終了後の返済額が確定しないため、返済計画が立てにくいことや、借入後に市場金利が上がれば返済額が増えることは覚えておきましょう。
2023年2月現在の固定金利期間選択型(10年固定)の金利は、1.050〜2.150%です。金利は金融機関によって異なるため、利用の際は事前にしっかりと確認しておきましょう。
リスクを承知のうえでとにかく金利を抑えたい人や、金利上昇により返済額が増加しても問題なく返済を続けられる人におすすめです。
毎月の返済額を超えた未払い利息は繰り延べられるため、毎月の返済額だけでは元金が減っていきません。完済予定時期に元金や未払い利息が残っていれば、全額を一括返済しなければならないため、これらのリスクをふまえて利用を検討しましょう。
ここでは、年収500万円の借入プランを借入期間別にシミュレーションします。結果を参考に、どれくらいの借入額なら返済できそうかイメージしてみてください。
まずは、年収500万円で2,600万円を借り、35年で返済する場合の例を見てみましょう。条件を元利均等、固定金利、当初金利1.54%で設定すると、月々の返済額は約8万円で、総支払額は約3,364万円です。
次に年収500万円で2,600万円を借り、30年で返済する場合の例を見てみましょう。条件を元利均等、固定金利、当初金利1.54%で設定すると、月々の返済額は約9万円で、総支払額は約3,248万円です。
35年の場合よりも月々の返済額が約1万円増える代わりに、総支払額は約116万円減少し、利息は約648万円になります。
最後に年収450万円で2,600万円を借り、25年で返済する場合の例を見てみましょう。条件を元利均等、固定金利、当初金利1.54%で設定すると、月々の返済額は約10万円で、総支払額は約3,134万円となります。このうち利息は約534万円です。
借入期間30年の場合と比較すると、月々の返済額は約1万円増加し、総支払額は約114万円減少、35年の場合と比較すると月々の返済額は約2万円増加し、総支払額は約230万円減少する結果となりました。
ここでは、金利タイプ別に年収500万円の借入プランをシミュレーションします。今回は、同じ銀行の同じ時点での金利を参考にシミュレーションしました。
自分のライププランに合う金利はどれか検討してみてください。
まず、年収500万円で2,600万円を借り、全期間固定金利2.13%の場合の例を見てみましょう。条件を借入期間35年、元利均等、固定金利・当初金利2.13%で設定すると、月々の返済額は約8.7万円、総支払額は約3,690万円です。
利息だけで1,090万円かかることがわかります。
次に、年収500万円で2,600万円を借り、10年固定金利1.115%の場合の例を見てみましょう。
条件を借入期間35年・元利均等・固定金利・当初金利1.115%(10年)、残期間金利1.541%で計算すると、月々の返済額は当初金利で約7.4万円、残期間金利で約7.8万円で、総支払額は約3,257万円です。
全期間固定金利2.13%の場合と比較すると、月々の返済額は当初金利の10年間は約1.3万円安く、残りの25年は約0.9万円安くなります。利息は約657万円で、全期間固定金利2.13%の場合より約433万円少ない結果となりました。
ただし、固定金利期間終了後は変動金利へ移行するのが一般的です。金利の変動により、シミュレーション結果よりも総支払額が高くなる可能性がある点に注意しましょう。
最後に、年収500万円で2,600万円借り、変動金利0.389%の場合の例を見てみましょう。条件を借入期間35年、元利均等、変動金利・当初金利0.389%で設定すると、月々の返済額は当初金利で約6.6万円で、総支払額は約2,781万円です。
利息は約181万円で、全期間固定金利2.13%や10年固定金利1.115%の場合よりも大幅に減少します。
仮に金利が2.0%に上がれば、年収500万円の場合月々の返済額は約8.6万円、総支払額は約3,617万円で、全期間固定金利2.13%の月々の返済額約8.7万円、総支払額約3,690万円とほとんど差がなくなります。
ローン返済中に様々な事情から経済状況が悪化し、ローンの返済が滞ってしまうケースがあります。ローンの滞納を防ぐためにできる対策を確認しましょう。
日本ではゼロ金利政策以降、超低金利が続いていますが、2022年1月31日に長期金利が6年ぶりに高値を更新しました。これにともない主要銀行が住宅ローン金利を引き上げた実績もあるため、あまり楽観視しないようにしましょう。
125%ルールは、金利の見直し後に金利が大幅に上昇しても、返済額が見直し前の125%以上にはならないというルールです。例えば、見直し前の返済額が月10万円であれば、見直し後の返済額は月12.5万円以下に設定されます。払えない場合も、上限を超えた分は未払い利息として繰り延べられるため、総支払額は増加していきます。
分譲マンションを購入した場合、管理費が月1.5万円程度、修繕積立金が月1.2万円程度かかるほか、固定資産税も年間10~15万円程度支払う必要があります。
例えば、現在の家賃が10万円の場合、年間120万円まで住宅の費用にあてられます。税金など家賃以外にかかる費用が年間47万円の場合、ローン返済にあてられるは「120万円ー47万円」で年間73万円です。
73万円を月換算すると約6万円。現在の家賃と同じ毎月10万円をローン返済にあてていると、4万円の赤字が発生します。月間ではなく年間の費用から逆算して考えてみましょう。
住宅ローンを組む際は、教育費など将来かかる費用も考慮しておきましょう。
高校入学から大学卒業までにかかる教育費は、子ども1人あたり約1,000万円です。住宅ローンの返済プランに教育費を組み込んでおかなければ、経済的な負担が大きくなり住宅ローンの返済が滞ってしまう可能性が高まります。
ローンを組む際は、完済までの期間におけるライフステージの変化も意識しておくことが大切です。子どもがいる場合は教育費が必要な時期に向けて貯金をしておくなど、しっかりと資金計画を組んでおきましょう。
ライフイベントによって世帯収入が減るリスクにも備えが必要です。
夫婦共働きの収入があることを前提に住宅ローンを組んだ場合、出産や育児などで片方の収入が十分に得られなくなれば返済が困難になる可能性があります。
子育てをしながら職場復帰するのであれば、時短勤務を選択する人もいるため、収入が元どおりになるとは限りません。
共働きで働けるうちに十分な貯蓄をしておくなど、ライフイベントで世帯収入が減っても滞りなくローン返済ができるように備えておくことをおすすめします。
ここまで年収500万円の住宅ローンの借入額の決め方や金利タイプなどを紹介しました。
住宅ローンの種類を決めかねるときは、以下の記事を参考にしましょう。変動金利住宅ローン、固定金利住宅ローン、フラット35の種類別の選び方や、人気ランキングを掲載しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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