物価の上昇や子どもの成長などで家計を見直すときには、住宅ローンの返済額を少しでも下げたいと思いますよね。できるだけ金利の低いプランに借り換えたいと考えている人も多いでしょう。
そこで今回は、住宅ローンの借り換えにおすすめのタイミングとその理由を解説します。審査のポイントや注意点も解説するので、ぜひローンの見直しに役立ててください。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
住宅ローンの借り換えで支払い総額を少なくするために、おすすめのタイミングを解説します。
最新の金利と自分が借りている金利とを比較し、借り換えで1%以上金利を下げられれば、検討すべきタイミングだといえるでしょう。
とくに低金利が続いている状況は、最初にローンを組んだ当時にはなかった好条件のプランが出ている可能性大。低金利で組み直せる金融機関が見つかったら、まずは公式サイトにあるシミュレーションを使って、試算してみてください。
ただし、借り換えには手数料が発生します。借入金額や金融機関によって異なりますが、銀行手数料や司法書士報酬、印紙税などで30万〜100万円程度の諸経費が必要です。
借り換えによる支払額の削減効果が小さいと、諸費用のほうが高くついてしまう可能性があるので要注意。借り換えは金利だけでなく手数料を含めたトータルで検討してください。
住宅ローンが10年以上かつ1,000万円以上残っている場合も、借り換えを検討してみる価値があるでしょう。
逆に、残りの返済額がこれより小さく、期間も短い場合は注意が必要です。金利差によるメリットよりも、借り換え手数料が上回ってしまうことがあるので気をつけてください。
返済タイプが期間選択型固定金利の人は、期間の終了時が見直しのタイミングです。いまより金利が上がってしまうようなら、借り換えを検討してみるとよいでしょう。
借り換え時に全期間固定金利を選ぶと、完済まで月々の支払額が一定になるので返済計画を立てやすいうえ、低金利のうちに契約しておくと、金利上昇のリスクを回避できます。
一方、変動金利は一般的に固定金利より金利が低く、0.5%以下のものもめずらしくありません。ある程度家計に余裕があり、金利上昇のリスクに備えられる人は、変動金利を選ぶと返済額が下がる可能性があります。
子どもの教育費など大きな支出が続く人は再度、期間選択型を選ぶと中期的な返済プランが立てやすいのでおすすめです。固定金利の選び方や利便性のよいサービスは以下の記事にまとめてあるので、ぜひ参考にしてください。
現在の返済タイプが変動金利型の人は、金利の更新時期が見直しのタイミングです。
通常、変動型の金利は市場に合わせ半年に一度見直され、金利が上昇したら利息が増えます。しかしいきなり返済額が上がると利用者の家計を圧迫してしまう恐れがあるので、支払額の見直しは5年に一度行われるのが一般的です。
このタイミングで、金利がこれまでよりも上がってしまうようなら借り換えを検討することをおすすめします。現在は日銀の金融政策で低金利が維持されているので、固定金利を選択し上昇リスクを抑えるのもひとつの手です。
多少リスクをとっても、引き続き低金利での返済継続を希望する人は変動金利型を選ぶとよいでしょう。変動金利住宅ローンについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
住宅ローンの借り換え時には必ず審査があります。場合によっては審査に通らなかったり、借入可能額が少なくなったりすることがあるので注意が必要。審査で不利にならないタイミングはいつなのかを解説します。
借り換えをスムーズに行うためのポイントは、収入が安定していること。収入減や転職は住宅ローンの審査に大きく影響するので、注意が必要です。予定がある人は、その前に借り換え手続きをするとよいでしょう。
金融機関は年収に占める年間返済額の割合を審査のポイントにしており、一般的に年収の30~35%程度が返済比率の上限とされています。年収が下がると借入可能額が下がる可能性があるので気をつけてください。
勤続年数が2〜3年以上ないと申し込めない金融機関もあるほか、短期間で転職を繰り返している場合も収入が不安定とみられて審査が厳しくなることがあります。収入の減少や転職の予定がある人は、早めに借り換えの検討を始めてください。
健康状態も住宅ローンの契約に大きく影響するので、問題のないときのほうが借り換えがスムーズです。
多くの民間の金融機関では、住宅ローンを組む際に団信(団体信用生命保険)の加入が必須。病歴や治療歴により団信の加入審査に落ちてしまうと、収入が高くても住宅ローンの借り換えができなくなってしまうので注意が必要です。
審査では過去3か月以内の治療歴や、過去3年以内の特定の病気の診断歴などがチェックされます。心配な人は一定期間置いてから借り換えを行うか、団信の加入を必須としないフラット35などの住宅ローンを検討してみてください。
自動車ローンなどを組む予定の人も要注意。住宅ローンと他のローンの併用は可能ですが、審査が厳しくなる可能性があるので、先に借り換えを検討したほうが無難です。
金融機関の審査基準は公表されていないので、はっきりとはいえませんが、年収に占める年間返済比率は、住宅ローンとほかのローンとを合わせて審査されると考えておいたほうがよいでしょう。
ほかのローンが収入に大きなウエイトを占めていると、その分住宅ローンの借入可能額が下がると考えられます。現在抱えているローンがある人は、月々の返済額を確認して、状況によっては繰り上げ返済なども検討してみてください。
出産や子どもの進学、働き方の変化など、ライフステージが変化するタイミングで住宅ローンの見直しを行うのは賢い方法です。また、教育費の増加や家族の病気など、大きな支出が発生した場合も借り換えを検討するとよいでしょう。
住宅ローンは家計に占める割合が大きいので、節目に合わせて見直すと生活を圧迫するリスクを回避できます。返済が滞ると遅延損害金が発生するだけでなく、最悪の場合住宅を失いかねません。転職や産休などで世帯収入の減少が予想される場合は、早めに借り換えの検討を始めましょう。
また、借り換え時には団信の見直しも忘れないようにしてください。団信は途中変更ができないので、借り換え時が見直しのチャンスです。子どもの誕生などに合わせ、保障内容が充実したものに切り替えたいなどの希望がある人は、しっかりプランを選んでください。
住宅ローンの借り換え時には、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)にも気を配る必要があります。
住宅ローン控除が適用されるのは、返済期間が10年以上残っている場合。借り換えで繰上げ返済を行い、残返済期間が10年を下回ってしまう人は気をつけてください。また、控除期間のカウントは居住を開始した時点から始まっています。借り換えで新たに10年間控除されるわけではないので覚えておきましょう。
さらに、借り換え時期にも注意が必要です。通常、年末調整に添付する残高証明書は、9月末時点の額を基準に作成されます。10月以降に借り換えをした場合は、新たな証明書の発行が年末調整に間に合わない可能性があるので注意。この場合、控除を受けるためには、確定申告が必要になるので気をつけてください。
上手にタイミングを見極めて活用したいのが、住宅ローンの借り換え。物価上昇などにともない、返済額や金利タイプを見直したい人は、低金利時代が続いているいまのうちに検討を始めるのがおすすめです。
以下の記事では、借り換えの流れやメリット・デメリットを詳しく解説しています。人気の借り換え住宅ローンを比較しておすすめランキングも紹介。あなたにあったサービス選びに、ぜひ役立ててくださいね。
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