住宅を購入する際に借入ができる、住宅ローン。マイホーム購入に住宅ローンを利用したが、新たに2軒目を購入して住宅ローンを組みたいと考える人もいるでしょう。
そこで今回は、1軒目で住宅ローンの借入の返済が残っていても、2軒目の住宅ローンは組めるのかを解説します。2軒目の借入を検討するときに気をつけるポイントや、検討の候補となる金融機関も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
住宅ローンは原則1世帯につき1軒しか組めませんが、例外として2軒目のローンが認められるケースもあります。
2軒目の住宅ローンを組む際は、専用の住宅ローンを利用しましょう。2軒目でも利用可能な住宅ローンはいくつか種類があり、利用条件が決められています。マイホームを購入したが仕事が転勤になり仕事場の近くに2軒目の購入を考える人や、子どもが一人暮らしをする際にマンションの購入を考える人など、自分の事情に合うタイプの条件を確認したうえで検討しましょう。
なお、以下では住宅ローンの選び方を詳しく解説しているので、あわせて確認してください。
2軒目の購入に利用できる住宅ローンには、さまざまな種類があります。以下で、住宅ローンの種類を紹介するので、自分の事情にあうタイプを見つけてください。
現在住んでいる家を手放して2軒目の住宅を購入する場合は、住み替えローンを利用します。住み替えローンとは、1軒目を売却して返済しきれなかった残債と、2軒目に購入する住宅資金を合わせてローンが組める制度です。ダブルローンと違い、二重支払いがなく借入後の返済も楽になるでしょう。
転勤やライフスタイルの変化などの事情で現在の場所から移り住む必要が出た場合も、ダブルローンではなく住み替えローンの利用が一般的です。
住宅ローンの借入は原則1世帯につき1つですが、親族が住む場合は親族居住用住宅ローンの利用を検討しましょう。自身の収入と購入する住宅に住む親族の収入を合わせて審査するため、自身の収入だけでは借りることが難しい住宅の購入も可能です。ただし、すべての金融機関で利用できるわけではありません。
一般的に親族居住用住宅ローンは、自身の両親や子どもが住む家を購入する際に利用できる住宅ローンです。
通勤用や別宅として、2軒目の住宅を購入する場合はセカンドハウスローンを利用します。セカンドハウスローンは通常のローンとは大きく異なり、金利が高く、1軒目の住宅ローンの残債とセカンドハウスローンの借入額を合わせての返済はできません。
住宅ローンの支払いが二重になり高い返済能力が求められるため、審査も厳しくなります。セカンドハウスローンを利用する場合は慎重に判断しましょう。おすすめのセカンドハウスローンは以下のコンテンツで紹介しているので、ぜひチェックしてください。
住み替えローンを利用する場合、自身の好きなタイミングで住宅を売買できます。1軒目の残債と2軒目の融資額を組み合わせてローンが組めるため、自己資金も不要です。
売買のタイミングを選べないと金額面で大きく損をしたり、一時的に住む場所がなくなり、仮住まいを用意しなければなりません。住み替えローンを利用することで引っ越しの計画をスムーズに立てられます。
住み替えローンの場合、現在組んでいる住宅ローンの残債と新しく購入する住宅の購入金額を合わせて再度ローンを組めます。ダブルローンの場合は1軒目のローンが返済できないと利用できません。住み替えローンを利用すれば、借入先をまとめられるため購入後の管理も楽です。
住み替えローンを利用することで、自己資金を使わずにローンを組めるのもメリットです。1軒目のローン残債と2軒目のローンを合わせてローンを組めるため、残債を返済するお金を貯蓄にまわして購入ができます。毎月の返済や食器・家具の購入に使うのもよいでしょう。
住み替えローンを利用することで、ダブルローンでは受けられない住宅ローン控除を受けられます。住宅ローン控除とは、毎年の住宅ローンの残高から0.7%を最大13年間、所得税から控除する制度です。以下の条件を満たすことで住み替えローンでも住宅ローン控除を受けられます。
新築または取得から6か月以内に入居している
控除を受ける年の12月31日まで住み続けている
住宅の床面積が50平方メートル以上
床面積の50%以上を住居として使用している
住宅ローンの返済期間が10年以上
住宅ローンの控除を受ける年の合計所得が2,000万円以下
居住した年とその前後2年間に「長期譲渡所得の課税の特例」などの適用を受けていない
中古住宅の場合は築昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)
住宅ローン控除を受けることで返済負担が大きく軽減されるので、自身が条件を満たしているか確認しましょう。
住み替えローンにはメリットがたくさんありますが、基本的には1軒目の住宅ローンより条件が厳しくなります。
通常の住宅ローンは優遇金利で低金利になるのに対し、住み替えローンは優遇金利が適用されず金利が高い傾向があります。物件購入費用に1軒目の残債が加わるため、返済不能のリスクも高く、銀行にとってメリットがないため金利の優遇がありません。
金利が高くなることで、1軒目の住宅ローンよりも支払いが増える場合があります。
通常の住宅ローン審査に通過したら、住み替えローン審査も通過できるとは限りません。住み替えローンは2軒目購入費用に加えて1軒目の残債も含まれるため、支払い金額が多くなり審査基準もあがります。
審査内容は、主に住宅ローンの残債、勤務先と年収、信用情報です。通常のローン審査より高い年収が求められる可能性があるため、審査前の転職や退職、新たな借入は控えましょう。
住み替えローンは、住宅の売買を同時に進めなければ借入ができません。現在の家のローンの残りと新しく購入する住宅のローンを組み合わせるため、売買を同時に行うことで契約が成立します。手続きが煩雑になるため、それぞれの手続きがどこまで進行しているのか、状況を把握できるようスケジュール管理をしましょう。
また、住み替えローンは新居購入の決済日と売却の引き渡しを同日にする必要があります。購入物件が決まっても売却の手続きが間に合っていないと融資を受けられなくなる可能性があるため、注意が必要です。
住み替えローンは条件を満たすことで住宅ローン控除が利用できますが、場合によっては利用できないケースがあります。
住み替えローンは、住宅ローン控除以外にも減税制度が用意されていますが、基本的に住宅ローン控除と他の減税制度の併用はできません。そのため、どちらがよりお得か、自身の状況にあわせて選ぶ必要があります。
基本的に、住宅ローンは自身が住む家の借入時だけ利用できるローンですが、親族の住む家を購入する場合、親族居住用住宅ローンの利用が可能です。親族の対象者は親入居型と子入居型にわかれています。
親入居型は申告者とその配偶者の父母や祖父母子が対象です。直系尊属がいない場合はおじ、おば、兄姉も含まれます。子入居型は申告者とその配偶者の子や孫が対象です。直系卑属がいない場合は甥、姪、弟妹も含まれます。
申請者と居住者の収入を合わせてローンの申し込みができるため、購入物件の選択肢を増やせます。ただし、収入を合わせて申し込みができるケースは以下の3つの条件を満たした人です。
申し込み時の年齢が満70歳未満の人
連帯債務者になれる人
お申し込み本人の親、子、配偶者などでお申し込み本人と同居する人、または融資対象住宅に入居する人
収入を合算することで融資可能額が増え、幅広い物件の購入も可能になります。
親族居住用住宅ローンは、すべての金融機関で利用できるとは限りません。また、金融機関によって条件も異なるため、申し込む金融機関を探すのに時間がかかる場合があります。利用したい金融機関があれば、親族居住用住宅ローンの取り扱いがあるか確認しましょう。
機構財形住宅融資(財形住宅融資)を受けるには、自分が住むか所有する条件があるため、親族居住用住宅ローンでは併用ができません。そのため、物件購入用の融資額も少なくなる場合があります。
財形住宅融資は福利厚生の一種で、会社員が財形貯蓄制度を1年以上かつ50万円以上貯めることで受けられる融資です。通常の住宅ローンの場合は、財形住宅融資を受けることで低金利でローンを組めます。
親族が住む家を購入するために親族居住用住宅ローンを利用すると、原則住宅ローン控除を受けられません。住宅ローン控除はマイホームを購入する際に利用できる控除であり、親族が住むケースは適応外です。
ただし、自身が両親へ購入した物件であっても、購入した住宅に住む親が連帯債務者を引き受けることで住宅ローン控除を受けられます。
2軒目に中古の物件を購入する場合や現居のリフォームをする際は、セカンドハウスローンを有効に活用しましょう。
セカンドハウスローンは、一般的な住宅ローンに比べて融資上限額が多く、高額な住宅を購入できます。また、一般的な住宅ローンの場合、中古物件やリフォームは担保評価が低くなることから借入が難しくなりますが、セカンドハウスローンであれば融資の対象です。
セカンドハウスローンは、審査が厳しく金利が高い傾向があるので気軽に利用できるわけではありません。2軒目のローンは返済不能のリスクが高いことから、申告者の年収や勤務先を厳しく審査します。一般的な住宅ローンは金利1%台に対し、セカンドハウスローンは年2〜3%前後と高いことも特徴です。
セカンドハウスローンは住宅ローン控除の対象外です。住宅ローン控除が適用されるには、自身が居住するための住宅を購入する条件があります。本来、居住はメイン住宅と考えられるため、2軒目は居住用という条件を満たせません。セカンドハウスローンを利用する場合は、控除が受けれないことを前提に、余裕を持った返済計画を立てましょう。
一般的なローンでも利用されるフラット35は、セカンドハウスローンでも利用可能です。フラット35は、2軒目の購入でも通常の住宅ローンと同じ金利で借入ができ、固定金利なので返済額が急に増えることもありません。ただし、利用には条件があり、フラット35を利用して購入した住宅は自身が利用する必要があります。また、購入した住宅は賃貸に出せません。
また、返済率が基準を満たす必要もあり、年収400万円未満の人は30%以下、年収400万円以上の人は35%以下で申請ができます。ほかにも借入がある場合は、事前に計算してから申請しましょう。
2軒目に組む住宅ローンは1軒目のローン残債と同時返済なので、収入条件も厳しくなり、返済比率もチェックされます。
返済比率とは、年収に対する年間のローン返済額の割合のこと。年収が500万円で年間のローンの返済額が100万円であれば返済比率は20%です。金融機関ごとに異なりますが、上限は一般的に30〜35%といわれています。住宅ローン以外の返済額はもちろん、2軒目のローンの返済額を含めても返済比率が超えないようにしましょう。
月々の支払いが心配な人は以下のコンテンツをチェックしてください。住宅ローンとうまく付き合い、安定した生活を送りましょう。
収入や貯蓄に余裕がない場合、安易にダブルローンを組むことは避けましょう。住宅ローンの支払いが二重になることで、金銭面で生活に大きな支障をきたすおそれがあります。また、支払いが2つにわかれることで管理も複雑になるでしょう。病気や会社でのトラブルなど、返済できなくなるリスクをふまえたうえで慎重に検討することが大切です。
住宅ローン控除は居住する住宅を購入する際に受けられる控除なので、住宅ローンを2つ組んでも控除を受けられるのは片方のみです。ダブルローンは金利が高いうえ、住宅ローン控除も受けられないので予算に余裕を持って利用しましょう。
住宅ローンの内容は金融機関によって異なるため、自身にあった条件で利用する銀行を探す必要があります。以下のコンテンツでは、人気の住宅ローンを徹底的に比較しているので、自身にあった金融機関を見つけて住宅購入に役立てましょう。
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