お得な金利で住宅ローンの借入ができるネット銀行。ネット銀行で住宅ローンの借入や借り換えを検討しているものの、どれくらい金利が低いのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか知りたい人もいるでしょう。
本記事では、ネット銀行の住宅ローンの概要やメリット・デメリットを解説します。住宅ローンの申し込み手順も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
ネット銀行の住宅ローンとは、インターネットで取引を行える銀行から住宅ローンを借りることです。該当する銀行には、PayPay銀行やauじぶん銀行などがあります。
メガバンクをはじめとする一般的な銀行の住宅ローンのサービス内容はほとんど変わりませんが、ネット銀行のほうが金利が低く、インターネットですべての手続きを行えることが特徴です。
なお、住宅ローン全般の選び方については以下で解説しているので、あわせて確認してみてください。
インターネットで手続きができて、金利が低いネット銀行の住宅ローン。具体的にどんなメリットがあるのか詳しく解説します。
ネット銀行はWebですべての手続きができるので店舗へ行く必要がありません。一般的には住宅ローンの申し込み・借入の手続きには、ローンの相談・書類の提出・契約手続きなど、何度も銀行に行きます。店舗に行く手間がかかり、手数料や金利が低い銀行を探すのにも時間が必要です。
ネット銀行なら、必要書類の提出もスマホで写真を撮ってアップロードできます。自宅でできるので、複数のネット銀行で仮審査を行い、条件のよいところを探して申し込みましょう。
ネット銀行の大きなメリットは、一般の住宅ローンよりも金利が低い設定であり、総支払額を抑えられる点にあります。
金利が低い理由は、実店舗を持たないことで、店舗の運営や人件費などの経費を抑えているからです。書類の提出もWeb上で済ませられるなど、手続きが仕組み化されているので、最低限のコストで住宅ローンのサービスが提供できます。
ネット銀行と一般の銀行との金利にどのくらいの差があるのか比較してみましょう。
<ネット銀行の住宅ローンの変動金利>
<実店舗型の銀行の住宅ローンの変動金利>
上記のとおり、ネット銀行の方が金利が低い傾向です。ほんの少しの差に見えても、借入した金額から計算されるため総額を返済するときには大きな金額の差があります。
たとえば、ネット銀行の金利を0.3%、一般の住宅ローンの金利が0.5%で3,000万円を借り入れ、元利均等で返済期間を30年とした場合の返済額をシミュレーションした場合は下記です。
このように0.2%の差でも月々の返済額は30,000円以上、総返済額は1,300万円以上の差があります。できるだけ金利が低く条件のよいネット銀行を探すことが大切です。
2023年2月の各金融機関の金利データを使用しています。各金融機関で金利は更新されるので、最新の情報は公式サイトを確認してください。
ネット銀行の住宅ローンであれば、金利への上乗せなしで充実した内容の団体信用生命保険に加入できます。団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済が事故や病気で困難、もしくはできなくなった場合、保険金で残りのローンを補てんできる仕組みです。
団体信用生命保険の上乗せ金利無しプランにはどういった内容のものがあるのか、銀行ごとに確認してみましょう。
上記で紹介したプラン以外にもネット銀行では金利が上乗せされないプランがある一方で、一般の住宅ローンである三井住友銀行やりそな銀行では金利が上乗せされるプランが多数あります。
2023年3月時点の商品情報に基づいて掲載しています。最新の情報は各金融機関の公式サイトを確認してください。
メリットが多いネット銀行の住宅ローンにも、審査が厳しい傾向にあったり対面で相談ができなかったりと、いくつかデメリットに感じる点があります。ここではデメリットについて詳しく解説していくので、検討する際の参考にしてください。
一般の住宅ローンに比べて、ネット銀行の住宅ローン審査は厳しい傾向にあります。ネット銀行では実店舗のある銀行とは違い、法人への融資による収入源が少なめです。そのため、個人の住宅ローンが貸倒れたときに収入が減ってしまう懸念があります。
対面で得られる情報がなく、書類から得られる情報だけで返済能力の判断を行う必要があるのも、審査が厳しい理由のひとつです。審査基準は厳しく設定されていると考えられますが、落ちる理由を把握して事前に対策をすれば審査を通過する可能性は高まります。
審査通過率が下がる7つの理由は以下のとおりです。
上記のような理由で審査が通らない可能性があります。これらが該当しないような申請内容にしていく対策が必要です。
一般の住宅ローンに比べて、ネット銀行は審査期間が長くなる傾向です。実店舗のある銀行は3週間程度ですが、ネット銀行では平均的に1か月〜1か月半かかる傾向にあります。
審査が長くなりやすい理由は、ネット銀行の歴史が短く、住宅ローンのデータやノウハウの蓄積がないためです。さらに、申込者の信用情報の確認や担保となる物件の価格調査にも時間がかかってしまいます。
また、提出した書類の不足や記入ミスは審査が長引く原因です。書類に不備があると、審査結果が届くまでに必要以上に時間がかかってしまうので、提出の際は複数回チェックをしてミスのない状態にしましょう。
ネット銀行ではつなぎ融資に対応していない可能性があるため、まとまった資金が必要になるはずです。住宅ローンは、住宅の引渡しのときに実行されるため、それまでに土地の費用・着工金・中間金などの費用が発生し、つなぎ融資は、その費用を一時的なローンで建て替えられます。
実店舗型の銀行では対応していることの多いつなぎ融資ですが、ネット銀行では利用できないのが一般的。auじぶん銀行と住信SBI信金では対応しておらず、唯一対応しているのが楽天銀行です。つなぎ融資が必要な場合は楽天銀行から検討するとよいでしょう。
ネット銀行の事務手数料は高いため、実店舗型の銀行の住宅ローンと初期費用が同じ、もしくは高くなる可能性があります。
ネット銀行の多くは、事務手数料が借入金の2.2%です。たとえば、30年間で3,000万円のローンを組む場合の初期費用は660,000円であり、一般の住宅ローンでも同程度の費用がかかるため、ネット銀行が必ずお得になるとは限りません。
ネット銀行は手続きのすべてをWebで行うため、不安なことがあっても対面での相談ができません。書類の記載方法がわからない場合に直接質問できず、記入漏れや記入ミスにも気づきにくいでしょう。
カスタマーセンターに電話をかけて相談することもできますが、電話では不安があるときは、対面で相談ができるネット銀行を選ぶのがおすすめです。下記に対面相談が可能なネット銀行の例を紹介します。
上記の銀行は全国に複数の店舗を構えているので、対面で相談したいときは店舗まで行きましょう。
ネット銀行の住宅ローンに向いている人の特徴は以下のとおりです。
ネット銀行は金利が低いメリットがあります。金利の差で金額に大きな差がつくため、金利を低く抑えたい人におすすめです。
ネット銀行の住宅ローンはWebですべての手続きを行えます。一般の住宅ローンでは、営業時間内に店舗に行かなければなりません。その点、ネット銀行であれば自由なタイミングで手続きを行えるため、日中は仕事が忙しくて店舗に行けなくても心配は不要です。
また、ネット銀行では特典が用意されているケースがあり、ポイント付与や引っ越し費用の割引などさまざまな内容があります。金利を低くする以外のところでも費用を抑えることが可能です。
ネット銀行の住宅ローンに向いていない人の特徴は以下のとおりです。
ネット銀行の審査は一般の住宅ローンの審査よりも厳しい傾向にあるため、自営業や個人事業主で収入が不安定な場合にはあまり向いていません。短期間での転職が多い場合も審査にマイナスな影響を与える可能性があります。
また、ネット銀行は手続きをインターネットで進めなければなりません。オンラインに書類のアップロードなど、パソコンやスマホの操作に抵抗がある人は手続きが大変だと感じるでしょう。相談したいときは電話でのサポートの金融機関も多く、対面でサポートを受けたい人にも向いていません。
築年数30年などの中古物件は審査対象外になる可能性があり、築年数と住宅ローンの借入期間は合計で60年以内にする必要もあります。借地権の物件は担保価値が低く見積もられてしまうため、審査を通過できないでしょう。
ネット銀行で住宅ローンを利用するためには、仮審査の申し込みと本審査の申し込みが必要です。手順は銀行によって異なるため、一例として紹介します。
仮審査は、インターネットでネット銀行の仮審査に申し込みましょう。次のような書類が必要です。
仮審査の手続き後に団体信用生命保険の申し込みに移ります。仮審査の際に発行される番号を使う場合もあるため、審査の申し込み時に控えておきましょう。
次に本審査の申し込みに移ります。本審査では以下のような書類が必要です。
一般の住宅ローンを組んでいた場合でも、ネット銀行への借り換えはできます。ネット銀行は金利が低いので借り換えを行うことで、毎月の返済額や総返済額を減らせるはずです。
また、金利の上乗せされない団体信用生命保険も増えて保証が充実するでしょう。ただし、借り換えを行うタイミングによっては金利などの効果は得られないかもしれません。複数のネット銀行の公式サイトのシステムで借り換えのシミュレーションをすることをおすすめします。
住宅の購入でどの住宅ローンを選べばよいのか迷っているときは以下の記事をチェックしてみてください。人気の住宅ローンを徹底的に比較・検証をし、変動金利・固定金利・フラット35それぞれをランキング形式で紹介しています。住宅ローンを選ぶときに役立ててくださいね。
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