フラット35は住宅購入の際に利用できる住宅ローンです。数ある住宅ローンのなかからフラット35を選ぶメリットがわからず、利用を迷っている人も多いのではないでしょうか。「フラット35はやばい」「やめたほうがいい」などの口コミをみると、不安に感じてしまいますよね。
そこで今回は、フラット35のメリット・デメリットを徹底解説します。本記事でフラット35の特徴をしっかりと理解して、納得のいく住宅ローン契約ができるようにしてくださいね。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
まずは、フラット35の概要や利用条件などの基礎知識を紹介します。
また、フラット35で購入予定の住宅が省エネルギー性、耐震性などの基準を満たしている場合に、フラット35の借入金利を一定期間引下げる「フラット35S」という制度もあります。
フラット35の申込窓口は銀行などの金融機関です。金利や借入時の手数料は金融機関によって異なることを覚えておきましょう。
フラット35を利用するためには、利用条件を満たしていることが必要です。
フラット35では、年収に占める返済額の割合を表す「返済負担率」など申込者側の条件に加え、住宅の技術要件や床面積など住宅側の条件も定められています。
主な利用条件は以下のとおりです。
申し込み可能なのは、申し込み時の年齢が満70歳未満で、日本国籍の人か、永住許可を受けている人、または特別永住者です。申込者本人とその後継者が2世代で住宅ローンを返済していく「親子リレー返済」の場合は満70歳以上でも申し込みできます。
審査の対象となる収入には家族の収入を1名分まで合算可能です。合算の対象は申込者と同居する親・子・配偶者など。申し込み時の年齢が満70歳未満で、連帯債務者になることが条件です。
また、自動車ローンやカードローンなどを含むすべての借り入れの総返済負担率が、年収400万円未満の場合は30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下でなければなりません。
借入限度額は100万円以上8,000万円以下(1万円単位)かつ、住宅の建設費または購入価格までを基準とします。借入限度額には土地取得費を含みますが、土地のみの購入費用や店舗兼住宅の店舗部分の建築費用は対象外です。
借入期間は15年以上で、「80歳 - 申し込み時の年齢(1年未満切り上げ)」または「35年」のいずれか短い年数が上限と定められています。例えば、申し込み時の年齢が35歳の場合、80-35=45のため、適用される借入期間の上限は35年です。
申し込み時の年齢については、収入合算で合算者が年収の50%を超えて合算をした場合、申込者本人と合算者のうち高いほうの年齢を基準とします。
住宅は住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合している必要があります。技術基準は新築住宅・中古住宅などの条件によって異なるため、詳細はフラット35の公式サイトで確認してください。
また、住宅の床面積にも基準が定められており、一戸建て、連続建ておよび重ね建ての場合は床面積が70㎡以上、マンションなどの共同建ての場合は床面積が30㎡以上必要です。敷地面積についての要件はありません。
フラット35が向いている人はどんな人なのでしょうか。ここではメリット・デメリットに分けて解説します。
フラット35を利用するメリットは3つあります。どんな人に向いているのか、チェックしてみてください。
変動金利の場合、半年ごとに金利が見直されるため返済額も変動します。金利見直し後の返上限額は見直し前の125%というルールがあるため急激に負担が増えることはありませんが、総返済額は見通せません。
また、金利が見直されるタイミングで返済額に変更がなくても金利と原本の比率は変動するため、金利の割合が増え元本が減らない状況になる可能性もあります。利息は元本に対して発生するため、総支払額は増加してしまうでしょう。
計画的に返済していきたい人や金利変動のリスクを避けたい人にはフラット35が向いているといえます。
フラット35は一般的な住宅ローンと比べて、審査に通りやすいといわれています。フラット35は住宅金融支援機構が金融機関から債権を買い取る仕組みのため、金融機関にとって低いことが理由です。
また、給与所得者でなくても年収に対する総返済負担率の基準を満たしていれば申し込みができるほか、所得金額に対する制限がありません。そのため、フリーランスや転職直後の人にもおすすめです。
フラット35には保証料が必要ありません。保証料とは、住宅ローンの契約者に万が一のことがあり返済を続けられなくなった場合、代わりに支払ってくれる保証会社に支払う料金のことを指します。
一般的な金融機関の住宅ローンでは借入金額に応じて保証料が必要です。例えば、新生銀行の場合は返済期間35年で3,000万円のローンを組むと保証料が60万円程度かかりますが、フラット35では必要ありません。
また、フラット35は事務手数料が一般的な住宅ローンよりも安いのもメリットの1つです。一般的な金融機関の住宅ローンの場合、融資事務手数料は借入金額の2.2%が一般的ですが、フラット35は一律数万円もしくは借入金額の1~2%が目安となります。
たとえば3,000万円借入れた場合、一般的な住宅ローンは66万円の事務手数料がかかるのに対して、フラット35の事務手数料は借入金額の1%の場合で30万円です。一般的な住宅ローンの事務手数料との差額36万円と保証料の60万円で、100万円近く諸費用を抑えられるでしょう。
繰り上げ返済時にも手数料がかからないため、諸費用をできるだけ抑えたい人にフラット35は向いているといえます。
フラット35を利用するデメリットは4つあります。ひとつずつ確認しましょう。
フラット35は、ほかの住宅ローンよりも借入金利が高い傾向があります。
2025年7月時点の楽天銀行の金利をみると、変動金利が1.005%であるのに対し、フラット35Sの金利は借入期間21年以上35年以下(団信あり)で当初5年が0.84%、6~10年目が1.59%、残り25年が1.84%です。
返済期間35年で3,000万円のローンを組んだ場合、変動金利の総返済額は3,559万円、フラット35Sの総返済額は3,876万円と、約300万円の差がつきます。
変動金利・借入期間35年・金利1.005%(2025年7月時点)
フラット35S(A/Bプラン)・借入期間35年・当初金利(5年)0.84%・6~10年目金利1.59%・残期間金利(25年)1.84%(2025年7月時点)
上記の試算はあくまで楽天銀行の金利に基づいたものです。金利は金融機関によって異なるため、しっかりと比較検討しましょう。
金利だけをみれば変動金利のほうがお得にみえますが、変動金利はローンの返済途中で金利が上がり返済額が大幅に増えるリスクがあります。利用の際は意識しておきしょう。
フラット35は全期間固定金利のため、基準金利が下がっても借入金利は変わりません。
基準金利は商品の定価のようなもので、経済の動きに合わせて毎月変動します。景気がよくローンを利用したい人が増えれば基準金利は上昇し、不景気になれば基準金利は下がるのが一般的です。
不作により野菜の供給量が減ると、需要が高まって価格が上がるのと同じと考えればわかりやすいでしょう。
基準金利はあくまで基準です。ローンによっては所定の条件を満たすことで適用金利が基準金利よりも低くなる場合があります。
フラット35は団体信用生命保険の加入で金利が上がります。団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が死亡したり、所定の身体障害状態になったりした場合、返済を保険金でまかなえる保険です。
保険料相当額が金利で上乗せされるため、団体信用生命保険に加入した場合は加入しない場合よりも0.2%程度高い金利が適用されます。
一般的な住宅ローンは団体信用生命保険に加入することが条件ですが、フラット35の場合加入は任意です。
団体信用生命保険に加入しない場合金利を抑えられますが、ローン契約者にもしものことがあれば家族がローンを引き継ぐことになるため、慎重に検討しましょう。
一般的な住宅ローンでは1万円以上から繰り上げ返済ができる場合が多いですが、フラット35は10万円以上からしか繰り上げ返済ができません。
フラット35の繰り上げ返済の最低金額は、フラット35の利用者向けインターネットサービス「住・My Note」からの手続きで10万円、金融機関の窓口での手続きで100万円です。
返済単位が大きいため、こまめに繰り上げ返済をしてローンの負担を減らしたい人にとってはデメリットとなるでしょう。
フラット35以外にも金利タイプや返済期間が異なる住宅ローンがたくさんあります。「固定・変動・フラット35、さまざまあるけど結局どれがいいの?」と悩んでいる人は以下の記事をチェックしましょう。
人気の住宅ローンをランキング形式で紹介しているほか、金利タイプ別に住宅ローンの選び方も解説しているので、ぜひ住宅ローンを選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
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