マイホーム購入の際に多くの人が活用している住宅ローン。利用を検討しているものの、月々の返済額やどのくらいの年収が必要になるのかがわからず、借入額を決められずに困っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は4,500万円の住宅ローンを借りるために必要な年収や、返済シミュレーションによる返済額の目安を解説します。
住宅購入や住宅ローンを検討している人はぜひ参考にしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
4,500万円の住宅ローンを組むには最低でも年収502万円が必要です。年収が980万円あれば、余裕をもって返済できるでしょう。
住宅ローンは借入条件と金利によってシミュレーション結果が変わるため、シミュレーション結果はあくまで目安として参考にしてください。
今回のシミュレーションでは以下の条件を設定しています。
シミュレーションでは住宅ローンの重要な指標となる返済負担率も記載しています。返済負担率とは、手取り年収に対して返済額が占める割合のこと。
無理なく返済できる返済負担率は25%以下と言われており、割合が増えるほど月々の返済がきつくなるイメージです。また、多くの金融機関で借入可能額は返済負担率35%以内といった基準を設けています。
たとえば、年収400万円で2,000万円の住宅ローンを組んだ場合、手取り年収は約312万円、年間の返済額が約79万円とすると、返済負担率は79万円÷312万円=約25%です。
フラット35を利用して4,500万円を借り入れる場合、最低でも年収502〜523万円が必要です。
購入価格の9割以下を借り入れる場合
購入価格の9割超を借り入れる場合
どちらも返済負担率が45%を超えているため、金融機関によっては住宅ローンの審査が通らない可能性があります。もし審査に通ったとしても、収入の半分近くをローンの返済に充てると考えると、負担が大きいことがわかります。
4,500万円の住宅ローンを組んだ場合、無理なく返済しやすい年収は980〜1,000万円です。
購入価格の9割以下を借り入れる場合
購入価格の9割超を借り入れる場合
無理なく返済できる返済負担率は20%〜25%以内と言われています。
住宅金融支援機構の住宅ローン利用実態調査によると、返済負担率を25%以内に抑えている世帯が半数以上、なかでも15%〜20%以内の世帯が最も多いようです。
借入金額と返済期間が同じでも、金利のタイプによって毎月の返済額は異なります。ここでは変動金利・10年固定金利・固定金利の3タイプでそれぞれシミュレーションしてみました。
このシミュレーションは2023年2月時点の金利を採用しています。金利の変動によって返済額の目安も変動するので注意が必要です。
借入金4,500万円、変動金利0.539%、35年ローン、元利均等でシミュレーションした場合、月々の返済額は約11.8万円です。
変動金利は半年サイクルで金利の見直しがあります。計算したときの金利によって返済額の目安も変動するので注意が必要です。
借入金4,500万円、10年固定金利、35年ローン、元利均等でシミュレーションした場合、月々の返済額は約14.3〜15.4万円です。
最初の10年間は金利1.727%で月々約14.3万円、残り25年間の金利2.377%で月々15.4万円となります。
借入金4,500万円、フラット35を利用した35年ローン、元利均等でシミュレーションした場合、月々の返済額は約14.2〜14.6万円です。
フラット35の固定金利は、団信ありの場合で金利1.88%、なしの場合で金利1.68%と、条件により金利が異なります。
団信とは団体信用生命保険の略称で、住宅ローン返済中に契約者に万が一のことがあった場合、住宅ローンの返済が不要となる保険のことです。
住宅ローンの返済額は借入期間によっても異なります。ここでは35年・30年・25年でローンを組み、変動金利・固定金利を選択した場合それぞれの返済額をシミュレーションしてみました。
このシミュレーションは2023年2月時点の金利を採用しています。金利の変動によって返済額の目安も変動するので注意が必要です。
4,500万円の住宅ローンを借入期間35年で組んだ場合、月々の返済額は以下のようになります。
変動金利(0.539%)
約11.8万円
団信なし固定金利(金利1.68%)
約14.2万円
団信あり固定金利(金利1.88%)
約14.6万円
4,500万円の住宅ローンを借入期間30年で組んだ場合、月々の返済額は以下のようになります。
変動金利(0.539%)
約13.5万円
団信なし固定金利(金利1.68%)
約15.9万円
団信あり固定金利(金利1.88%)
約16.4万円
4,500万円の住宅ローンを借入期間25年で組んだ場合、月々の返済額は以下のようになります。
変動金利(0.539%)
約16.0万円
団信なし固定金利(金利1.68%)
約18.4万円
団信あり固定金利(金利1.88%)
約18.8万円
頭金の相場は住宅価格の1〜2割程度が相場と言われており、頭金を入れることで借入総額を減らせるメリットがあります。
頭金は購入する住宅価格の1〜2割程度が相場です。
この相場は2021年度フラット35利用者調査で全国平均が公表されており、頭金と購入価格に対する頭金の割合はそれぞれ以下のとおりです。
頭金なしで住宅ローンを組むこともできますが、借入額が増えるぶん審査が厳しくなる可能性があります。
頭金を入れると住宅ローンの返済総額と返済負担を減らせます。
頭金を入れたぶん借入額に対してかかる利息が減るため、支払総額が少なくなります。フラット35のように頭金の割合によって金利が安くなる住宅ローンもあり、この場合も支払総額が減少。
借入額が少なくなれば月々の支払額を減らしたり、返済期間を短く設定したりもできるため、返済負担が軽くなる可能性があります。
住宅ローンは、2人の収入を合計して申し込む収入合算やペアローンを利用するのもひとつの方法です。
収入合算とは、一定の収入のある親族の収入を申込者の収入に合算する方法で、親子や夫婦で利用するのが一般的です。
借り入れを申し込んだ人が主たる債務者、収入を合算した人が連帯保証人になる必要があり、二人の収入の合計金額をもとに審査されます。
二人で一本の住宅ローンを組む形になるため、片方がパートタイムや契約社員でも審査に通る可能性があります。
ペアローンとは、夫婦がそれぞれが住宅ローンを組み、1つの物件を2本のローンで購入する方法です。
ペアローンはパートタイムや契約社員では審査に通りづらい可能性があり、それぞれが相手の連帯保証人になる必要があります。
住宅ローンを2本組むことになるため、2人でそれぞれ住宅ローン控除を受けることができるうえ、団信にもそれぞれ加入できるのがメリット。一方で、事務手数料をはじめとする諸費用も2倍になってしまうデメリットがあります。
住宅ローンへ申し込むときは審査の際に重視されているポイントについて知っておきましょう。
ここでは国土交通省が公表している民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書に基づいて、90%以上の金融機関が審査時に考慮していると回答したポイントをいくつか紹介します。住宅ローンの審査時に見られるポイントは、どの金融機関でもほぼ共通です。
完済時年齢
多くの金融機関で80歳未満で完済できるかどうかを基準にしており、借入時の年齢よりも完済時の年齢が重視されています。
健康状態
多くの金融機関では、住宅ローンを組む際に団信への加入を必須条件としているため、団信に加入できない健康状態ではそもそも審査に通らない可能性があるので要注意です。
担保評価
担保にした物件が融資に見合う価値があるかどうかも重視されます。借り入れた人が何らかの理由で返済できなくなった際に、融資した金融機関が資金を回収できるよう、不動産などの担保をとるのが一般的です。
返済負担率
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合のこと。金融機関はこの返済負担率から無理なく返済できる範囲であるかを審査します。
健康状態や年収などをコントロールするのは難しいかもしれませんが、借入期間や借入額を変更することで審査が不利にならないよう工夫することはできるかもしれません。審査に通りやすい条件を設定できないかを検討したうえで、住宅ローンへの申し込みを進めてみてください。
今回は金利のタイプや借入期間別にシミュレーションしましたが、金融機関によっても条件や金利の設定が異なります。住宅ローンを提供している金融機関は数が多く、どこが良いのか比較をするのも大変ですよね。
そこで、以下の記事では人気の住宅ローン55商品を徹底比較しています。住宅ローンの金融機関選びに迷っている人はぜひ参考にしてください。
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