住宅ローンを組む際に悩むことも多い金利タイプ。変動金利と固定金利の違いや、どちらを選べばお得なのかわからない人も多いでしょう。
本記事では、金利タイプごとのメリット・デメリットを解説します。どちらのほうが利用者数は多いのか、今後の金利動向など紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
住宅ローンの金利タイプは大きく分けると「固定金利」と「変動金利」の2つがあります。また、固定金利は、さらに「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」に分けられ、すべて合わせると3種類から選ぶことが可能です。まずは、それぞれの特徴を詳しく紹介します。
全期間固定金利型は、借入時の金利が全期間変わらないタイプです。借入のタイミングで総返済額が確定するため、借入後の市場金利の変化に影響を受けません。たとえ市場金利が上昇したとしても金利は一切上がらないので、返済計画をしっかり立てたい人や変動を気にしたくない人におすすめです。
しかし、ほかのプランに比べて金利が高い傾向にあります。金融機関によって異なりますが、金利目安は1.8%と割高な傾向。加えて、市場金利が低下した場合でも住宅ローンの金利は動かないので、利息が減ることもありません。
固定金利期間選択型は、一定期間のみ固定金利が適用され、それが過ぎると変動金利へと変更されます。一定期間中は返済額を確定できることに加え、期間終了後に市場金利が低下すれば返済額が減少するのもメリットです。金利を抑えつつ、一定期間の返済額を安定させたい人に向いています。
金融機関によってさまざまですが、金利は10年固定で1.0〜1.4%と全期間固定金利型よりは低めの設定です。しかし、一定期間終了後は支払い計画が立てにくいデメリットがあります。
変動金利型は、返済途中でも定期的に金利設定が見直されます。一般的には3つのなかで最も金利が安く、金融機関によって異なりますが0.3~0.5%です。ほかのプランの約3分の1の低金利を受けられますが、金利市場が上昇すれば返済額は増えるリスクは避けられません。
とにかく金利を抑えたい、金利上昇の返済額増に対応できる人におすすめのプランです。また、借入額がそこまで多くなければ市場変化の影響は受けにくいでしょう。
住宅ローン金利のなかでもとくに利用者が多いのが、変動金利型です。ここからは、なぜ市場変化の影響を最も受けやすいプランが人気なのかを解説します。
住宅金融支援機構が2022年4月に発表した「住宅ローン利用者の実態調査」によると、73.9%が変動金利を選んでいます。人気の理由として考えられるのが、圧倒的な金利の低さでしょう。
たとえば、3,000万円を35年間借り入れた場合、固定金利1.80%だと月の返済額が96,327円、総返済額は約4,045万円です。一方で変動金利0.5%の場合は、毎月77,875円の返済、そして総返済額は約3,270万円と、約800万円もの違いがあります。
しかし、変動金利は半年ごとに見直しがされるため、必ずしもここまで金額差が出るとは限りません。金利上昇により、月の返済額が増える可能性もあります。
変動金利には返済額を保つために「5年ルール」と「125%ルール」があります。5年ルールとは、一般的には5年間は返済額が変わらない決まりです。
変動金利は半年ごとに金利の見直しがされますが、そのたびに返済額が変更すれば管理が大変なので、ルールに基づいて5年間は金利が変わりません。また、5年間でどんなに金利が上昇しても返済額は125%しか上がらない決まりを「125%ルール」といいます。
利息をおまけしているのではなく、金利が上がった分の利息を多く支払って元本を減らすことで、返済額を保ちやすくしているのです。
固定金利と変動金利のどちらが自分に合っているか悩む人は多いでしょう。ここからは、どのような人に向いているのかを紹介します。
安定した返済額で明確な支払い計画を立てたい人は、固定金利がおすすめ。変動金利は金利市場の上昇で返済額が増える危険性がありますが、固定金利ならずっと一定です。
子どもの教育費や両親の介護費などの出費がある程度ハッキリしている、金利の上下を気にせず過ごしたい人におすすめします。
なお、以下の記事では固定金利で住宅ローンを組める金融機関を、詳しい選び方とともに紹介しています。あわせてチェックしてみてください。
とにかく金利を抑えたい人は変動金利が向いています。これから先、金利が上昇するリスクはありますが、金利の動きは誰にも予想できません。借入から数年後に金利が上がる可能性もあれば、低金利のまま何十年も続くケースもあります。
ただし、25%ルールにより、最大で125%返済額がアップする可能性があるので、突然の金利上昇に対応できる経済能力は必須です。例えば、月10万円なら12.5万円。固定金利との差額分をきちんと貯金・運用できれば、万が一突然金利が上昇したとしても返済に困ることはありません。
以下の記事では、人気の変動金利住宅ローンを紹介しています。金利の低さや利便性などさまざまな観点から徹底検証した結果を、詳細な情報とともに紹介しているので、金融機関選びに役立ててください。
「金利が低いから」と安易に選んでしまうと、将来的な金利上昇リスクが重くのしかかってくることもあります。金利タイプを選ぶ際はどれくらいのリスクならとれるかを考慮しつつ、自分にあうものを選ぶことが大切です。
変動金利で住宅ローンを借りるのはお得ですが、その一方で金利の上昇リスクもあります。今後金利が上がるのか、それとも下がるのかを予測するのは専門家でも難しく、場合によっては想定していたよりも高い金利で返済していかなければならない可能性もあるでしょう。
固定金利の場合は変動金利に比べて総返済額は高くなるものの、金利上昇のリスクがないため毎月の返済額は変わりません。また、固定金利期間選択型なら固定金利の期間を決められることから、たとえば子どもが独立するまでの10年を固定金利に設定することで、突然の金利上昇に見舞われ、生活が厳しくなるなどのリスクも回避できます。
それぞれの金利タイプでリスクの有無やとり方が異なるため、慎重に選ぶようにしましょう。
これまでは長期間低金利が続いていましたが、今後は上昇傾向にあると予想されます。住宅ローン金利は日銀が定める政策金利の影響を受けることが一般的です。政策金利とは、景気や物価の安定などのために日本銀行が定めるもので、景気が悪いときは金利が下がり、よいときは上がる傾向にあります。
日本の政策金利は-0.10%ですが日本以外の先進国では2~3%で、この金利差により円安の進行や国内の物価上昇が止まらない状況です。そこで日本銀行は2022年12月に、金利市場の歪みを修正するために、長期金利を0.25%から0.5%へと修正すると発表しました。
これにより、長期金利が指標の固定金利は若干上昇する可能性が高くなると考えられます。また、今後固定金利で住宅購入を検討している人は総返済額が増えるため、その点も注意が必要です。
住宅ローンの金利によってメリット・デメリットは異なります。どちらがよいか、悪いかは一概にはいえませんが、とにかく金利を抑えたい人は変動金利、金利が高くても安定した返済をしたい人は固定金利がおすすめです。
以下の記事では、人気の住宅ローン商品をランキング形式で紹介しています。商品ごとの特徴や、変動金利・固定金利それぞれを比較しているので、金利タイプで悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
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