住宅ローンを借りるとき、避けられないのが本審査。ローンの申し込みの流れや、借入できる条件がわからず、自分にできるか不安な人も多いでしょう。
本記事では、ローンの申込みの流れや本審査に落ちる原因を徹底的に解説します。審査に通りやすくなるコツや、おすすめの住宅ローンも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
本審査とは、正式に住宅ローンを組むために必要な審査です。住宅ローンでは、返済能力があるのか正確に判断するため、事前審査と本審査に分けて厳しくチェックされます。
本審査は審査内容も厳しく、事前に対策をする必要があるでしょう。厳密に審査されるため、期間が長引く場合もあります。
本審査と事前審査では主に審査の内容と期間が異なります。
本審査は、事前審査に通過することで申し込むことができ、物的・人的の担保や健康状態まで調べる厳しい審査です。事前審査を通過したら本審査に申し込むことができますが、事前審査が受かれば本審査も受かるわけではありません。本審査で重視される項目を理解して、審査を受けましょう。また、仮審査に比べて確認項目が多いため、期間は1〜4週間と長くかかる場合もあります。
事前審査とは、申告者の希望借入額をもとに、返済の見込みがあることを確認する簡易的な調査です。住宅ローンの申し込みをする際にはじめて行う審査であり、申告者の年収や勤続年数、雇用形態などを見られます。
簡易的な審査のため、誰でも無料で申し込みができたり、即日〜1週間程度で結果がわかったりと気軽に実施できる点が特徴です。
住宅ローンの本審査では、年齢や健康状態などとくに重視される項目がいくつかあります。自身が審査に通りやすいかを知るために、重要とされる項目をチェックしておきましょう。
住宅ローンは、20歳から70歳まで申し込みが可能で、完済時年齢は満80歳までなのが一般的です。最長35年まで借入を受けることができますが、申し込む年齢が遅くなれば借入期間は短くなってしまいます。
たとえば、50歳で住宅ローンの借入をした場合、完済時が満80歳であれば30年以内でローンを組まなければなりません。返済期間が短くなると、返済不能リスクが高いと判断され、審査に通らない場合があります。また審査に通っても、月の返済金額が増えるので注意が必要です。
ローンの申請時、契約者は健康であることも重視されます。本審査では「十分な返済能力があるか」を審査されるため、健康に問題がある場合は、今後安定した収入が見込めないと判断されるでしょう。
また、住宅ローンを組む際にだけ加入できる「団体信用生命保険」という保険があります。団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者に万が一のことがあった場合、在宅ローン残高がゼロになる保険のことです。しかし、持病がある人や健康に問題がある人は、支払いが厳しくなるリスクが高いことから団体信用生命保険に加入することが難しくなるでしょう。
健康に問題がある場合は、団体信用生命保険への加入が難しく、安定した収入が見込めないと判断され審査に落ちる可能性があります。
借入をする際、物的担保と人的担保の評価が高いことも、審査の重要なポイントです。住宅ローンは、返済金額が多く期間も長いため、返済できなくなるリスクをふまえて担保を用意する必要があります。
物的担保とは、支払いができなかったときに「物品」を売却することで返済する方法です。収入とは違い物品に対する信用のため変動することも少なく、人的担保よりも確実性があります。また、住宅ローンを組むときは、購入する物件が物的担保になることも理解しておきましょう。
人的担保とは、契約者が返済不能になった場合、第三者に住宅ローンの返済を保証してもらうことをいいます。物的担保とは違い、第三者の状況によって大きく左右されるため、対象者の収入や勤続年数なども審査の重要なポイントです。
本審査では、契約者の年収や勤続年数、勤務先の事業内容も確認されます。雇用形態が正社員ではなく、アルバイトや派遣社員の場合は、安定した収入が見込めないと判断されるでしょう。正社員でも、勤務年数が3年以内である場合や、借入金額に対して年収が少なければ審査に通るのは難しいかもしれません。
本審査では返済負担率も重要とされ、一般的に30〜35%以内であれば審査基準を満たしているといえます。返済負担率とは、収入と返済額のバランスのことです。
返済負担率は、年間返済額÷税込み年収×100で計算できます。年収600万円で年間の返済額が120万円の場合、120÷600×100=20で返済負担率は20%です。
返済負担率の計算では、住宅ローンだけでなく、車のローンや教育ローンなどのほかの借入分も含まれることを理解しましょう。
住宅ローンは、本審査で借入を受けられるかが決まるため、1つでも不備があれば審査に落ちてしまう場合があります。以下のポイントを事前に調査項目を把握して、対処する必要があるでしょう。
提出書類に不備があると再審査が行われ、最悪の場合審査に落ちるケースもあります。書類の書き漏れや、有効期限切れなどがあると金融機関からルーズな人だと思われても仕方がありません。
また、事前審査と本審査で提出した書類に齟齬があると、場合によっては偽造を疑われる可能性もあります。書類を提出する際には2回以上のチェックを行い、間違いがない状態で提出しましょう。
書類だけでなく以下のように状況が変わった場合も、審査のやり直しや、審査に落ちる可能性があります。
収入の変化や、借入によって返済負担率が変化することで審査に大きな影響が出ます。本審査の結果が出るまでは、収入の変化や新しい借入をするのは控えましょう。
健康状態が悪化して団体信用生命保険に加入できない場合、住宅ローンの本審査に落ちる可能性が高くなります。多くの金融機関は、住宅ローンを申し込むためには団体信用生命保険に加入することを必須条件としているため、健康状態に問題がある場合は以下の3つで対処しましょう。
ワイド団信とは、通常の団体信用生命保険よりも条件を緩和し、持病をもった人にも加入しやすいように設立された団体信用生命保険です。フラット35は、団体信用生命保険の加入が任意になっているため、健康状態を理由に団体信用生命保険に加入することができなくても申し込むことができます。
このように、健康状態が悪化したからといって必ずしも本審査を通過できないわけではありません。自分に合った保険に入ることで対処できます。
物的・人的な担保評価が低い場合も、住宅ローンの審査は通りにくいため注意が必要です。契約者が万が一返済できなかったとき、担保になるものがなければ、融資をした金融機関は大きな損害を受けます。
購入した物件の築年数が古い場合や、違法建築に該当する場合は物的担保が低い原因です。対策としては、新築の戸建てやマンションを選ぶことで、担保評価が高くなり審査に通りやすくなるでしょう。
人的な担保が低い理由は、保証人の年収の低さや勤続年数の少なさ、料金の延滞などがあげられます。対策としては、正社員で年収が高く、長く会社に勤めている人、信用情報に傷がついていない人を保証人に選ぶことが重要です。
複数の金融機関へ本審査を申し込むことは問題ありません。しかし、メリットとデメリットがあるため、それぞれを理解したうえで複数申し込みをするか判断しましょう。
メリットは、第1希望に落ちても、ほかの審査で通れば期間を空けずに融資を受けることができる点です。また、2つ以上の金融機関で審査を通過した場合はキャンセルが可能なので、気軽に複数申し込みができます。
デメリットは、住宅の購入自体をキャンセルしてしまうと、手付金が返却されないことです。また、審査を多く受けすぎても印象が悪くなるので、複数申し込みをする場合も借入を受けたい金融機関は絞りましょう。
審査に通るか不安になり、むやみに複数審査を受けてはいけません。それぞれメリットとデメリットを把握したうえで、慎重に審査の申し込みをしましょう。
本審査から以下の流れで借入まで進んでいきます。
1. 正式申し込み
2. 本審査
3. 契約
4. 借入
正式申し込みでは、本審査に必要な書類を準備して提出しましょう。提出ができたら本審査が始まり、1〜4週間の間に金融機関から結果の連絡がきます。本審査を通過したら、金融機関と契約を締結して借入の流れです。
上記の流れはあくまで一例で、金融機関によっては本審査から借入までの流れが違うこともあります。
本審査で提出する書類は主に以下の3つです。
基本的には、3種類の書類を提出する必要があります。本審査に提出する書類は金融機関によって異なる場合があるので、借入をする金融機関の指示に従い書類の準備をしましょう。
本審査では住民票謄本(マイナンバー記載なし)で本人確認を行います。市区町村役場で発行できるので、本審査申し込みの前に準備しましょう。発行後3か月以内のものである必要があるため、準備が早すぎないよう注意が必要です。
収入に関する必要書類は、会社員と確定申告をされている人で異なります。
会社員の場合は、直近の源泉徴収票と課税証明書を準備しましょう。源泉徴収票は勤務先で、課税証明書は市区町村役場で受け取ることができます。直近のものが必要なので、準備が早すぎないよう注意が必要です。
確定申告者の場合は、直近の確定申告書と発行3か月以内の納税証明書を準備しましょう。確定申告者の場合、課税証明書では納税の証明にならないため、代わりに納税証明書を提出することで納税の証明をすることができます。発行3か月以内の期限があるため、本審査前に準備しましょう。
物件に関する書類は、借入物件の種類によって異なりますが、以下の4つは絶対に必要です。
土地付住宅を購入の際は、「建築確認済証または建築確認通知書」・「建築確認申請書」・「建物配置図・各階平面図・立面図」を追加で準備しましょう。新築住宅を購入の際は、さらに「工事請負契約書」も準備する必要があります。
購入物件の種類によって提出する書類が異なるので確認して提出しましょう。
住宅ローンの流れは理解できたけど、自分はどの金融機関に申し込めばよいのか悩む人も多いでしょう。下記の記事では、人気の住宅ローンをランキング形式で紹介しています。タイプごとに紹介しているため自分に合った金融機関を見つけてみましょう。住宅ローンで失敗したくない人はぜひチェックしてみてください。
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