税制優遇を受けながらお得に資産形成ができる、新NISAのつみたて投資枠。銘柄の変更を検討しているものの、変更手続きの方法がわからない、銘柄を変更すべきタイミングを知りたいなど、さまざまな疑問を抱える人も多いはずです。
本記事では、つみたて投資枠で銘柄を変更する方法について解説します。銘柄変更の注意点なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
株式会社ゼロ・ミリオン代表取締役。金融経済教育家。証券営業・株式ディーラー、営業コンサル会社を経てファイナンシャルプランナーとして独立。独立後、ポイント投資により元手0円から貯めた100万円で法人化。中小企業への企業型確定拠出年金制度の設計や導入サポート、全員参加型の金融経済研修「みんなの研修」、上場企業の金融研修なども担当している。企業年金管理士、証券外務員1種、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。 FMラジオにレギュラー出演中。著書に『はじめてのNISA 知識ゼロからの始め方・選び方』(スタンダーズ社)、『1 時間でわかる iDeCo ~50代から始める安心投資 スピードマスター』(技術評論社)などがある。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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つみたて投資枠の銘柄変更は、年間120万円以内であれば何回でも行うことが可能です。基本的な手続きは、現在運用している投資信託への積み立てを解除し、新たな投資信託の積立設定を行うだけ。積立設定はWeb上で行える金融機関がほとんどなので、わざわざ店頭に足を運ぶ必要もありません。
手続き方法や変更内容が反映されるタイミングなどは金融機関で異なるため、各公式サイトで事前に確認しておきましょう。ほかにも思わぬところで損失を出してしまうことがないように、銘柄変更を行う前には正しい知識を身につけてくことが重要です。
つみたて投資枠の制度については以下で詳しく紹介しているので、あわせて確認してみてくださいね。
次に、つみたて投資枠の銘柄変更を検討するうえで注意したいことを解説します。
つみたて投資枠を運用していくなかで、頻繁に銘柄変更をするのはおすすめできません。価格の下落によって資産が一時的に減ってしまうこともありますが、購入した銘柄はできるだけ長く保有し続けるのが、つみたて投資枠の基本的な運用方法です。
つみたて投資枠では、利益をさらに投資に回す複利運用が行われます。運用期間が長ければ長いほど利益が利益を生み出す複利効果によって、雪だるま式に資産を増やすことが可能です。
毎月一定額を同じ銘柄に積み立てれば、価格が高いときには少なめに、安いときには多めに購入できるので、長く運用を続ければ損失のリスクを分散することもできます。短期間で積み立てをやめてしまうと、タイミングによっては元本割れが生じるケースも少なくありません。
頻繁に銘柄を変更してしまうと、その度に1から積み立てることになるため、つみたて投資枠のメリットをいかすことができなくなります。むやみに何度も銘柄を変更するのは控えましょう。
つみたて投資枠では、安易にスイッチングをしないほうがよいといわれています。
スイッチングとは、現在積み立てている銘柄を売却し、得られた資金で新たな銘柄を購入すること。新たな銘柄を購入する点では銘柄変更と同じですが、積み立てをやめた銘柄を保有し続けることはせず、売却してしまうのがスイッチングの特徴です。
運用益が伸びない銘柄があるとついスイッチングをしたくなりますが、それまで積み立ててきた銘柄を失ってしまうほか、新たな銘柄を購入した分だけ年間120万円の非課税投資枠を消費してしまいます。売却した分の非課税投資枠が復活することもありません。
積み立てをやめた銘柄であっても、非課税で保有し続けることは可能です。今は元本割れしている銘柄でも、保有していればいずれ価格が上昇し、運用益が発生する可能性も十分あります。
積み立てる銘柄を変更する際には、今まで積み立ててきた銘柄を売却するのではなく、積み立てを停止し、非課税で保有し続けながら、新たな銘柄を追加で購入するのが得策といえるでしょう。
長く積立てを継続していくと、家族構成などの家庭環境などの変化により、運用方針を変えるケースも出てくるでしょう。このとき、一気に全部売却して銘柄を入れ替えるなど、ポートフォリオを劇的に変化させるのがよいとはいえません。銘柄の一部を少しずつ売却して、次の銘柄へシフトさせていきましょう。
運用状況のメンテナンスは、「リバランス」と呼ばれ、半年や年1回など、定期的に実施することが望ましいです。頻繁にやりすぎるとかえってパフォーマンスを悪化させることもあるため、必要以上にやりすぎないように注意しましょう。
次に、つみたて投資枠の銘柄変更を検討すべきタイミングを解説します。
運用中の金融商品と運用方針・構成銘柄・運用成績がほぼ同じで、手数料がより安い商品が発売されたときは、銘柄変更を検討すべきタイミングといえるでしょう。とくに、投資信託の管理と運用の経費である信託報酬は、商品を保有し続ける限り支払う必要があるので、可能な限り安い銘柄を選ぶのがおすすめ。
たとえば、信託報酬0.5%の商品と0.2%の商品を年利5%で月3万3,000円、20年間運用した場合の最終積立額はそれぞれ以下のとおりです。
信託報酬0.5%:最終積立額1,280万8,104円
信託報酬0.2%:最終積立額1,325万5,276円
信託報酬が0.3%違うだけで、最終積立額には44万7,172円もの差が生じてしまいます。先述したように、頻繁に銘柄変更を行うのは非効率なので、信託報酬が0.2%以上安くなる場合を目安に銘柄変更を検討してみるのがよいでしょう。
軽視しがちなのが、「信託報酬」と呼ばれる投資信託の保有コストです。信託報酬は毎日1回公表される投資信託の値段(基準価額)に反映されているため、普段は意識することがありません。
しかし、運⽤中の⾦融商品と運⽤⽅針・構成銘柄・運⽤成績がほぼ同じであっても、設定時期によっては、相対的に高すぎる信託報酬には注意が必要です。
高いリターンを求めたくなったときは、つみたて投資枠の銘柄変更を検討してみるのもひとつの手です。
つみたて投資枠で運用できる投資信託には、株式だけに投資する株式型と、債券と株式に分散投資するバランス型の2種類があります。債券よりも株式のほうがリターンが大きいといわれているほか、債券と株式はそれぞれ国内・先進国・新興国の順にリターンが大きくなっていくのも特徴的です。
たとえば、債券がメインのバランス型を保有している人だと、新興国株式を扱う株式型の銘柄に変更することで、より高いリターンを狙うことができます。もちろんハイリターンの銘柄は、損失のリスクも高くなる点は理解しておきましょう。
今より安定した資産運用をしたくなったときも、銘柄変更を検討してみるとよいでしょう。
つみたて投資枠の投資先で安全性が最も高いのは、国内債券です。国内債券だけを扱う銘柄はないので、国内債券への投資比重が大きいバランス型の商品を選ぶのがおすすめ。
資産が激しく上下することに耐えられない人も、ローリスクの商品を選ぶようにしましょう。新興国株式などを扱う銘柄を運用すると、大きな利益が得られることもありますが、元本割れが生じるケースも少なくありません。
焦って再び銘柄変更をしたり、売却したりしてしまうと、長期運用による複利効果やリスク分散のメリットを享受できなくなります。当然、安定性重視の銘柄は得られる運用益が小さくなることも理解しておきましょう。
一時的な値下がりを理由にして銘柄変更をするのは、基本的におすすめできません。
つみたて投資枠は、長期的に運用することで着実な資産形成が期待できるものです。毎月一定額を積み立てて、商品の価格が上がったときは少なめに、下がったときには口数を多めに購入することで、リスクを抑えながらコツコツと資産を増やすことができます。
価格が下がったあと、もとの水準に戻るケースは少なくありません。値下がりした商品は、その後の価格上昇によって大きな利益が発生する可能性もあるため、むしろ買い増しのチャンスと捉えることができるでしょう。
長期間保有することによって利益が利益を生み、資産が雪だるま式に増えていく複利効果のメリットも最大限に享受することができます。
ただし、これからもいつも必ずうまくいくとは限らないため、世界情勢やマーケット環境にあわせて定期的、あるいは随時メンテナンス(リバランス)していくことが大切です。
楽天証券で銘柄変更をするには、まずWebサービスにログインします。「投資信託」「積立設定」の順に選択して積立設定一覧の画面を開き、変更したい銘柄の「解除」を選択しましょう。
あとは新規購入時と同様なので、「NISA・つみたてNISA」に進み、「ファンドを探す」の画面から、新たに購入する銘柄を選びます。最後に、積立金額や引き落とし方法などの設定を行えば、銘柄変更の手続きは完了です。
変更手続きの履歴は、積立設定一覧画面に並んでいる各銘柄の「設定詳細」から確認できます。タイミングによっては反映までに時間がかかる場合がありますが、手続きを終えたあとは変更内容が正しく反映されているか必ずチェックするようにしましょう。
SBI証券で銘柄を変更するには、まずWebサービスにログインします。「取引」「投資信託」「投信(積立買付)」の順に進み、買い付けを停止したい銘柄の「解除」を選択、取引パスワードを入力したうえで「解除する」ボタンを押しましょう。
あとは、新規購入時と同様に、「投信」の画面から新たに購入したい銘柄を選び、「つみたてNISA買付」を選択します。積立設定の画面が表示されるので、積立金額などを設定すれば変更手続きは完了です。
変更後の積立設定は、「投信(積立買付)」の画面から確認できます。解除するだけでは、投資信託が売却されることはないので安心してください。
つみたて投資枠でどの銘柄を購入するべきか悩んでしまったときは、以下の記事をチェックしてみましょう。人気の銘柄を徹底的に比較検証しているので、銘柄選びに役立てることができるはずです。
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