投資の運用益を非課税で受け取れるお得な制度、新NISAのつみたて投資枠。つみたて投資枠の利用を検討しているものの、少額でも資産形成できるのか、どのくらいの収益が狙えるのかなど、さまざまな不安や疑問を感じてしまい、一歩踏み出せずにいる人も少なくないはずです。
本記事では、つみたて投資枠は5,000円の少額だと意味がないのかどうかを解説します。満額運用が難しいときに少額で運用するコツなども紹介するので、効率的な資産形成を目指してぜひ最後までチェックしてみてください。
株式会社ゼロ・ミリオン代表取締役。金融経済教育家。証券営業・株式ディーラー、営業コンサル会社を経てファイナンシャルプランナーとして独立。独立後、ポイント投資により元手0円から貯めた100万円で法人化。中小企業への企業型確定拠出年金制度の設計や導入サポート、全員参加型の金融経済研修「みんなの研修」、上場企業の金融研修なども担当している。企業年金管理士、証券外務員1種、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。 FMラジオにレギュラー出演中。著書に『はじめてのNISA 知識ゼロからの始め方・選び方』(スタンダーズ社)、『1 時間でわかる iDeCo ~50代から始める安心投資 スピードマスター』(技術評論社)などがある。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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まずは、つみたて投資枠は毎月5,000円の少額投資だと意味がないのかについて詳しく解説します。
つみたて投資枠は無期限での運用が可能な制度なので、毎月5,000円の少額でも継続すれば資産を築くことが可能です。もちろん年120万円の上限額で投資したほうが大きなリターンを得られますが、少額投資でも始める意味は十分あるので安易に諦めないようにしましょう。
長期運用は、投資のリスクも減らすことにもつながります。短期間で運用すると、売買のタイミング次第で大きな損失が生じる可能性もゼロではありません。
毎月一定額を積み立て、価格が安いときには多めに、高いときには少なめに投資信託を購入することで、価格変動の影響を抑えて低リスクで資産を運用することができます。
つみたて投資枠は単に銀行にお金を預けるよりも利率が高く、複利効果も得られるため、5,000円でも長期で運用すれば十分に資産を築き上げることができます。
つみたて投資枠で運用するのは、投資信託です。投資信託とは、投資家から集めたお金で専門家が株式や債権などを運用し、運用益が投資家に分配される金融商品のこと。単に銀行で貯金するよりも高利率なので、資産を上手に増やすことが可能です。
ほかにも、つみたて投資枠では運用益をさらに投資に回して利益を得る複利運用ができます。利益が利益を生む複利効果によって、雪だるま式に利益が膨らんでいくのが複利運用のメリット。
運用期間が長ければ長いほど複利の効果が発揮されるので、長期的に運用を続ければ少額の投資でも十分な資産を形成することが可能です。
積立の金額が大きいほど資産形成はしやすいですが、少額の積立投資であっても資産形成としての意味はあります。少額であっても<なるべく早く資産形成に取り組み、投資の経験を積み重ねることが大切です。
投資をする際は、「~円増えた」という増加額で考えず、「~%増えた」という収益率を重要視して考えましょう。
つみたて投資枠では自動的に毎月一定額が積み立てられるので、貯金習慣がなくても運用を継続することができます。普段忙しくて貯金に気が回らなくても、入金を忘れてしまう心配がありません。
投資経験が少なければ、自分で株取引などの投資を始めても一時的な価格変動に影響され、途中で投げ出してしまうケースもあるでしょう。つみたて投資枠なら、一度投資する金融商品を選んだあとは基本的に裁量の余地なく機械的に運用されるので、投資初心者でも安心して始めることができます。
例えば、2023年2月14日現在、三菱UFJ銀行の普通預金金利は「0.001%」です。毎月5,000円を複利運用(利息を引出さずに、そのまま元本に上乗せ)していくと以下になります。
この金利条件が変わらないとするなら、生まれたときに預金をし、20歳になってから引出してもジュース1本分にも満たない成果に。預金するだけでは資産形成が難しいことが分かるでしょう。
毎月5,000円を10年間積み立てた場合の総資産・元金・収益・節税額は以下のとおりです。
銀行預金の金利は1%にも満たないことがほとんどですが、つみたて投資枠で投資信託を運用すれば、堅実に資産を増やす方針を選んでも3%程度の利回りは期待できるといわれています。
利回り3%で運用した場合でも、収益と節税額を合わせると10万円以上も得をする可能性があり、さらに高いリスクを伴うものの年利7%を目指して運用すれば、10年間で資産を1.5倍近くまで増やすことも可能です。
毎月5,000円を20年間積み立てた場合の総資産・元金・収益・節税額は以下のとおりです。
運用期間が20年の場合はさらに複利効果が大きくなるため、バランス重視の年利5%で運用しても、収益と節税額の合計で100万円以上の利益を得ることが可能です。年利7%で運用できれば、元金120万円に対して収益が130万円を超え、最終的な総資産額は元金の2倍以上まで膨れ上がります。
毎月5,000円でも、長期間の運用によって大きな収益や節税効果を生み出すことが可能です。つみたて投資枠に興味がある人は、まずは少額投資からでいいので気軽に始めてみることをおすすめします。
以下では、つみたて投資枠で毎月5,000円ずつでも投資するのがおすすめな人の特徴を解説します。
つみたて投資枠は、長期運用すれば5,000円の少額投資でも十分なメリットがあるので、遠い将来のためにまとまった資産を形成したい20~30代の人におすすめです。
いずれ家族ができると、住宅の購入資金や子どもの進学費用など大きな出費を要するタイミングが数多くあります。つみたて投資枠であれば、非課税でお得に資産形成をしながら、お金が必要なときにいつでも引き出すことが可能です。
今では60代で働いている人も多いため、40代でつみたて投資枠を始めても無期限の非課税期間をフル活用することができます。子どもが自立し、住宅ローンなどの完済が近づく年代でもあるので、次は老後資金を準備するためにつみたて投資枠を利用してみるのがおすすめです。
つみたて投資枠は一般的な投資に比べて安全性が高いので、投資経験が少ない人にもおすすめです。
つみたて投資枠では、金融庁が定めた基準をクリアした株式や債券などの金融商品のみがラインナップされています。長期的に運用すれば着実な資産形成が見込めるものばかりなので、投資初心者でも安心して金融商品を選ぶことができるでしょう。
一度積立設定を行えば、あとは自動で運用してくれるのもつみたて投資枠を利用するメリットです。投資知識がなければ売買の金額やタイミングを決めるのは難しいですが、つみたて投資枠であれば放置しておくだけでも機械的に運用が続けられるので、気軽に資産運用を始めることができます。
次に、毎月5,000円の少額でもつみたて投資枠をおすすめできない人の特徴を解説します。
日々の生活に金銭的余裕がなく、毎月5,000円を無理して捻出しなければならない人には、つみたて投資枠をおすすめできません。
不意の出費などによって短期間のうちに引き出してしまう可能性が高く、保有している商品を売却するタイミングなどによっては損失が生じる可能性があります。
つみたて投資枠は投資の1つであるため、あくまでも余剰金で行うのが原則です。5,000円の出費によって生活に支障が生じる場合は、資金に余裕ができるまでつみたて投資枠の利用を見送ったほうがよいでしょう。
精神的・金銭的に元本割れのリスクに耐えられない人は、少額であってもつみたて投資枠の利用はおすすめしません。
つみたて投資枠で運用する投資信託に、元本保証はありません。金融庁が設ける基準をクリアした安全性の高い金融商品だけがラインナップされていますが、運用を続けるなかで元本割れが生じる可能性はあることを理解しておきましょう。
つみたて投資枠は、長期的に運営することで元金割れのリスクを下げる仕組みがとられています。一時的に元本割れになった場合でも、その後もとに戻ることが多いので、焦って売却するような行為は控えておくのが賢明です。目先の利益にこだわらず、長い目でみた資産運用を心がけましょう。
短い期間でハイリターンを求める人は、つみたて投資枠に向いていません。
つみたて投資枠は、毎月数千円から3万円程度を長期間にわたって積み立てることで、着実に資産を増やす投資です。単なる貯金より高い利率を期待できますが、株取引やFXなどの投資と比較するとリスクが低い分、リターンも低いのが特徴といえます。
長期間運用すれば利回り次第で資産を数倍に増やすことはできますが、数か月で資産が数倍になるような成果は得られないことを理解しておきましょう。
あわせて、毎月5,000円のつみたて投資枠で資産形成するコツもチェックしておきましょう。
つみたて投資枠では少額でも継続することが重要なので、一気に資産が増えないことを理由に投資を中断するのは控えましょう。
つみたて投資枠は長期的な運用を前提にした運用方法や金融商品が採用されているので、毎月コツコツと投資を続ければ着実に資産を増やすことが可能です。
5,000円からでも十分な資産を形成できるので、できるだけ無期限の非課税期間を活用して運用するのがおすすめ。先述のとおり、同じ金額を積み立てた場合でも、運用期間が10年と20年では最終的な総資産に大きな差が生じます。
つみたて投資枠で資産運用をしていると、保有している金融商品の価格が下がるケースもありますが、すぐに売却しないことが資産形成のコツです。
つみたて投資枠は、毎月一定額を積み立て、価格が高いときには少なめに、安いときには多めに金融商品を買い付けることで、価格変動による損失のリスクを抑えています。
値下がりは追加で買い付けるチャンスでもあり、その後価格が上昇すれば大きな利益を生み出す可能性も。価格が暴落したときでも、いずれもとの水準まで戻ることがほとんどなので、一時的な損失に惑わされず長期的な運用を心がけることが大切です。
つみたて投資枠であれば「ドルコスト平均法」を活用してリスク分散できているので、目先の価格の上下を気にしすぎたり、振り回されないようにしましょう。
ただし、現金化する時期が近づいてきたときに、マーケット環境が激変し、自分の資産総額も大きく上下することも想定されます。それを防ぐために、半年や1年に1回など、メンテナンス(リバランス)していくことは大切です。
ボーナスなどで金銭的に余裕がある場合は、増額設定を利用して積立額を増やすことで、その分利益も出しやすくなります。たとえば、つみたて投資枠の非課税投資枠は年間120万円が上限なので、毎月5,000円で年間6万円を積み立てる場合、残りの114万円までは増額設定で追加投資が可能です。
ボーナス月だけの増額など、一時的な増額設定であれば月々の上限額を超える積み立てが認められる金融機関もあります。増額できる年間の月数が定められていることもあるので、事前に公式サイトなどで確認しておくとよいでしょう。
金融機関によって各種手数料は異なるため、できる限り安いところを選べば利益を多く確保することができます。
なかでも、投資信託を管理して運用する経費である信託報酬は、投資信託を運用し続ける限り支払わなければならないので、注意が必要です。
たとえば、信託報酬が0.5%と0.2%の投資信託を年利5%で年間40万円、20年間運用した場合、最終的な総資産は以下のとおり差が出ます。
信託報酬0.5%:総資産1,280万8,104円
信託報酬0.2%:総資産1,325万5,276円
信託報酬が0.3%違うだけですが、運用期間が20年に及ぶと総資産に44万7,172円もの差が生じます。つみたて投資枠は長期的運用が基本なので、可能な限り信託報酬が安い銘柄を選ぶようにしましょう。
積立NISA口座おすすめTOP5
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