新NISAで買うべき銘柄として評判の米国株投資信託、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)。Xやみんかぶなどの掲示板では「リスクよりもリターンが高そう」「信託報酬が安くてよい」といった口コミを見かけます。しかし、本当に利益がでるのかわからず購入に踏み切れない人も多いのでは?
今回はその実力を確かめるため、以下の3つの観点で検証した結果をふまえたレビューをご紹介します。
さらに、eMAIXS Slim全世界株式(オール・カントリー)など人気の米国株投資信託とも比較。検証したからこそわかった、本当のよい点・気になる点を詳しく解説していきます。運用コストや投資先を考慮した比較も行いましたので、米国株投資信託選びに迷っている人はぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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目次
良い
気になる
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は運用コストを抑えつつ、高リターンを期待できる銘柄を選びたい人におすすめです。米国株価指数のS&P500に連動しており、2019年9月26日〜2024年10月4日のトータルリターンは年率22.53%。全世界株式(オルカン)や先進国株式にも投資する商品より約2〜4%リターンが高く、「リスクよりもリターンが高そう」との口コミどおり、比較したなかでトップクラスの好成績を誇ります。
ちなみに、コロナショック時の下落率は-18.11%と大きめ。同時に検証した国内株やバランスファンドと並ぶと値動きが大きく、ややリスクがあるといえます。とはいえ、先進国や新興国などの外国株式の下落率とほぼ同水準であるため、高リターンを狙える商品としては平均的な印象です。
連動指標はS&P500で、米国株のみで運用。他国にも資産を振り分ける投資信託よりも、米国経済の成長の恩恵をダイレクトに受けられる点が人気の要因でしょう。リスクも考慮しつつハイリターンを狙う人は、ぜひ購入してくださいね。
<おすすめな人>
<おすすめできない人>
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、三菱UFJアセットマネジメントが提供するeMAXIS Slimシリーズの1つ。同シリーズでは購入時手数料・信託報酬といった運用コストの安さを追求しており、長期投資向きの銘柄がそろっています。
連動指標はS&P500(配当込み・円換算ベース)。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に投資すれば、米国の有名企業に分散投資できますよ。なお、2024年11月6日時点の基準価格は31,931円、純資産額は57,743.83億円でした。
S&P500が注目されている理由は、世界経済の見通しが把握できるからです。米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしており、S&P500の上昇や下落は、米国経済の好不調や景気動向を如実に反映。米国のGDPは世界の約4分の1を占めているので、米国経済を追えば世界経済も把握しやすいでしょう。
<検証したS&P500に連動する銘柄>
今回はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を含む米国株投資信託を実際に調査して、比較検証レビューを行いました。
具体的な検証内容は以下のとおりです。
人気の米国株投資信託を比較検証したところ、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)には2つのよい点がありました。1つずつ解説していくので、購入を検討している人はぜひチェックしてみてください。
「リスクよりもリターンが高そう」との口コミに違わず、過去を見るとリターンを追求できそうです。2019年9月26日〜2024年10月4日までのトータルリターンは、年率22.53%。全世界株式や、アメリカ以外に日本・イギリスなどにも投資する先進国株式のリターンと比較すると、約2~4%も高い水準でした。
年率22.53%を維持できると仮定して、20年間毎月2万円を積み立てると元本480万円が約9,317万円まで成長する計算に。あくまでシミュレーション上の数値ですが、現時点での成績からはリターンを追求するなら米国株がおすすめといえます。
長期的な資産形成を考えるなら、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は有力な選択肢のひとつといえるでしょう。
長期の資産形成を考えるなら、信託報酬が0.20%未満の銘柄を選ぶのがおすすめ。信託報酬が安いほど、投資で得た利益が多く残ります。数%の違いでも長期の運用では利益に数十万円の差が出るため、コストは妥協できません。
運用会社は顧客獲得を狙い、信託報酬を年々下げています。今後もっと低コストな銘柄が出てくる可能性もありますが、現時点で十分低コストな0.20%未満の銘柄を選んでおけば、コスト面で失敗することはあまりないでしょう。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)にはよい点がある反面、気になる点も1つありました。購入を考えている人は、しっかりリサーチしておきましょう。
2020年2月3日と同年3月31日の基準価額の差から算出したコロナショック時の下落率は-18.11%。同検証における日本株投資信託の平均̠下落率は約-15%、バランスファンドは-10~15%だったのに対し、下落幅がやや大きかったとわかりました。
しかし、高いリターンを狙う商品としてのリスクは平均的。コロナショック時の下落幅の平均は-18.54%だったのに対し、平均よりも下落を抑えていました。先進国や新興国などの外国株式の平均的な下落率とほぼ同水準であり、リスクが高すぎるということはありません。
以下のコンテンツでは、株式と債権の違いをより詳しく解説しています。債権投資にも興味がある人は、ぜひチェックしてくださいね。
コロナショック後においては、経済対策によって株価が戻り、その後の経済指標がよかったこともあり、揉み合いつつも最高値を更新していったと考えられます。
一方で、GAFAMやテスラ・エヌビディア・AI関連などのビックテック株に資産が集中し、これらの値動きが指数の高値を更新している要因の1つといえそうです。
今年においては大統領選もあり、年末に向けて株価が上がる可能性が。しかし、景気後退が意識される局面でもあるため、将来的に下落が起きる可能性も十分考えられます。
とはいえ、長期投資・積立投資を行うのであれば、買い時はそこまで意識しなくてもよいでしょう。
運用スタイル | インデックス型 |
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信託報酬 | 0.08140% |
トータルリターン(検証時) | 18.03%(2019年9月26日〜2025年4月3日) |
良い
気になる
主な取扱金融機関 | SBI証券、楽天証券、岡三オンライン、SMBC日興証券、マネックス証券、松井証券、GMOクリック証券、auカブコム証券、三菱UFJ銀行 |
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リターン(1年) | 6.03% |
リターン(3年) | 15.44% |
リターン(5年) | 25.47% |
標準偏差(1年) | 0.17% |
標準偏差(3年) | 0.19% |
標準偏差(5年) | 0.16% |
シャープレシオ(1年) | 0.34 |
シャープレシオ(3年) | 0.94 |
シャープレシオ(5年) | 1.57 |
信託財産留保額 | 0% |
純資産総額 | 585.87億円(2025年4月3日) |
純資産推移 | -51,192.72億円 |
基準価額 | 27,154円(2025年4月3日) |
設定日 | 2018年7月3日 |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)以外のおすすめの米国株式投資信託をご紹介します。
リターンを狙いつつ安定して長期投資したいなら、先進国株式がおすすめ。先進国は新興国と比べて国内の政治・経済が安定しているため、株価の乱高下が比較的小さい傾向があります。
株価は企業の動向だけでなく、属する国の政治や経済の影響も受ける点に注意。中国やインドへの投資は、予期せぬ出来事によって大きく影響を受ける可能性が否めません。
一方、先進国株式は成長力では新興国に及ばないものの、下落リスクを抑えながら中長期的なリターンを狙えるでしょう。
先進国株式への投資なら、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドがおすすめ。連動指標はMSCIコクサイ・インデックスで、米国と欧州を含む各国に投資できます。
信託報酬が0.09889%と非常に低コストで、目安とされる0.20%の半分以下。また、購入手数料が無料であるため、投資におけるコストを最小限に抑えられます。
2019年9月26日から2024年10月4日までのリターンは20.43%でした。もし同水準で運用を続けられた場合、月2万円の積立投資×20年で元本の480万円が14.1倍に成長することに。先進国へ手堅く投資したい人は、検討してはいかがでしょう。
全世界株式は投資初心者にもおすすめ。成長している国や企業の比率は自動で調節されるため、どの国がこれから成長するか見極める必要がありません。初心者が気軽に株式投資を始めるのに、ぴったりな銘柄といえるでしょう。
<シミュレーション結果>
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、主に以下の金融機関で購入できます。
<eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が購入できる主な金融機関>
とくに、SBI証券やマネックス証券などのネット証券での購入がおすすめです。店舗型の証券会社や銀行と比べ、ネット証券は購入手数料が安いケースがほとんど。さらに、クレジットカード積立に対応していれば、毎月の積立額に対してポイント還元を受けられます。
三井住友カードを利用している人は、SBI証券を検討しましょう。三井住友プラチナカードで積み立てると最大3.00%、三井住友ゴールドカードで最大1.00%が還元されます。さらに、投資信託の保有残高に応じてもポイントが貯まりますよ。
マネックス証券は、あまりクレジットカードを使わない人におすすめ。マネックスカードで積み立てると、カードのランクに関係なく1.10%のポイント還元(5万円まで)が受けられます。ただし、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は投資信託保有ポイントの対象銘柄ではないので注意しましょう。
長期で資産形成をしたい人は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のように分配金を出さない銘柄がおすすめです。
ここからは、eMAXIS Slimの全商品をご紹介します。それぞれの特徴を押さえて、自分に合う1本を選んでくださいね。
<eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の投資資産>
値動きの異なる複数の資産に分散投資することで、全体の値動きの安定・リスクの低減効果を狙えます。リスクを抑えつつ安定的なリターンを狙いたいなら検討してくださいね。
eMAXIS Slim 全世界株式には、世界中の株式に分散投資できる銘柄が3本あります。全世界株式への投資は、世界経済の成長が自分のリターンにつながる点が魅力。それぞれの特徴を理解し、自分に合う銘柄を選びましょう。
各銘柄の構成は以下のとおりです。
<全世界株式のラインナップ>
資産構成比率は2024年9月30日現在の月次レポートを参照
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は日本以外の世界中の株式に分散投資。そのうち、米国株式の割合は65.9%です。
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)は、各地域の株式に均等に投資できる点が特徴。ほかの2銘柄と比べて日本と新興国の割合が増えるため、国内株や中国・インドなどの経済成長に期待する人におすすめです。
<株式>
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