業界最安水準をめざす米国株投資信託、SBI・V・S&P500インデックス・ファンド。口コミでは「コロナのときに購入し、3倍以上になった」「つみたてNISAで運用して好結果を出している」と評判です。しかし、なかにはeMAXIS Slimとどっちを買うか迷う声もあり、購入をためらっている人も多いのではないでしょうか?
今回はSBI・V・S&P500インデックス・ファンドの口コミや評判が本当か確かめるため、以下の3つの観点で検証を行いました。
コストの安さ
リターンの高さ(実績)
下落率の低さ(実績)
さらに、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)やたわらノーロード 先進国株式など人気の米国株投資信託とも比較。検証したからこそわかった、本当のよい点・気になる点を詳しく解説しています。20年後のシミュレーションやどこで買えるか解説しているので、米国株投資信託選びに迷っている人はぜひ参考にしてくださいね。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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目次
良い
気になる
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、リターンの高さもコストの低さも両立したい人におすすめです。連動するのは、米国の有名企業500社で構成されたS&P500。2019年9月26日〜2024年10月4日におけるリターンは年率22.39%と高水準でした。比較したなかでもトップクラスのリターン率で、「好結果を出している」の口コミどおりです。
この成績で毎月2万円を20年間積立投資した場合、元本の480万円が約19倍もの成長を見せる計算に。あくまでも2019年9月26日〜2024年10月4日のリターン水準を維持すると仮定したうえでの試算結果ですが、資産を増やすポテンシャルはあるといえます。口コミに「コロナのときに購入し、3倍以上になった」との声があるのにもうなずけますね。
コロナショック時の下落幅は-18.13%。リスクの少なさを重視する人は、国内株より下落率が高かった点が気になるかもしれません。とはいえ、比較した米国株投資信託の下落率も同程度で、本銘柄だけが大きく下がったわけではありません。長期目線で投資するならあまり気にしなくてよいでしょう。
S&P500連動銘柄の最大の魅力は、AppleやAmazonといったアメリカの巨大企業に投資できるところ。今後も米国経済の成長力に期待する人は、ぜひ購入してはいかがでしょうか。
<おすすめな人>
<おすすめできない人>
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、SBIアセットマネジメント株式会社が運用する米国株投資信託です。以前は「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」のという名前でしたが、2021年6月15日から現在の名称に変更されました。
運用方針はS&P500指数に連動する投資成果をめざすこと。2024年10月4日時点の基準価額は27,612円・純資産額は約17,690億円です。
S&P500とは、米国の経済動向を表す指数のことです。ニューヨーク証券取引所やNASDAQの上場銘柄のうち、採用基準を満たす500銘柄で構成されています。米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしている点が特徴。NYダウよりも精密に、米国経済の今を映す指数といえるでしょう。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドとよく比較される銘柄の1つに、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」があります。両方ともS&P500を連動指標とする銘柄なので、どちらを買うべきか迷いますよね。
結論からいうと、どちらを選んでもさほど差はありません。一定期間のコストやトータルリターンを調査した結果、両者の差は微々たるものでした。コロナショック時の下落率も大差なく、リスクの大きさで比較しても同程度といえます。
ただし、取扱金融機関の違いには注意。いずれも大手ネット証券のSBI証券・マネックス証券で購入できますが、SBI・V・S&P500は楽天証券で取り扱っていません(2024年10月現在)。楽天カードでクレカ積立をしたいなら、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を選びましょう。
今回はSBI・V・S&P500インデックス・ファンドを含む人気の米国株投資信託を集めて、徹底的に比較検証を行いました。
具体的な検証内容は以下のとおりです。
人気の米国株投資信託を比較検証したところ、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドには2つのよい点がありました。順番に解説するので、購入を検討している人はぜひチェックしてください。
信託報酬はわずか0.0938%。コストの低さの検証で高評価を獲得しました。比較したなかで信託報酬が0.10%未満だったのは半数以下であり、謳い文句どおりの低コストぶりといえます。
信託報酬とは、運用中常に発生する投資信託の管理費用のこと。米国株投資信託では0.20%以下だと低コストといえます。たった数%の違いが、10年・20年の運用では大きな差に。利益をより多く残すためにも、できるだけ手数料が安い商品を選ぶのが鉄則です。
なお、同時に比較したeMAXIS Slimシリーズの結果は以下のとおり。徹底的にコストを抑えたいなら、アメリカ以外の各国にも投資するeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を検討してもよいでしょう。
<eMAXIS Slimシリーズとの比較>
2019年9月26日〜2024年10月4日のリターンは年率22.39%と高水準。20年間毎月2万円積み立てると、元本480万円が約9,117万円まで成長することになります。あくまでこの水準を維持すると仮定した試算結果ですが、資産を増やすポテンシャルは大いにありそうです。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のリターンは年率22.53%で、大差ないといえるレベル。また、一緒に比較した「eMAIXS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「たわらノーロード 先進国株式」の利回りを1.96~3.40%上回っていました。
比較したなかでもリターンの水準が高く、「コロナのときに購入し、3倍以上になった」「つみたてNISAで運用して好結果を出している」といった評判があるのにもうなずけます。
世界最大級の投資信託会社であるバンガード社との共同組成ファンドである点も、選びたくなるポイント。将来に向けて資産を育てたい人は、検討してはいかがでしょう。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドにはたくさんのよい点がある反面、気になった点もありました。購入を考えている人は、しっかりチェックしておきましょう。
コロナショック時の下落率は大きめ。2020年2月3日と3月31日の基準価格を比較したところ、18.13%下落していました。同検証での日本株投資信託の平均下落率は約-15%・バランスファンドは約-10〜15%だったことを踏まえると、下げ幅が大きかったといえます。
たとえリスクの高い銘柄でも、長期保有するならリスクを軽減できる点も忘れずに。特に老後まで時間のある20〜30代は、一時的な下落に一喜一憂せず長期的な資産形成を目指しましょう。
なお、以下のコンテンツでは日本株投資信託を比較・検証をしています。国内株への投資にも興味がある人は、あわせてチェックしてくださいね。
運用スタイル | インデックス型 |
---|---|
信託報酬 | 0.0938% |
トータルリターン(検証時) | 17.92%(2019年9月26日〜2025年4月3日) |
良い
気になる
主な取扱金融機関 | SBI証券、岡三オンライン、SMBC日興証券、マネックス証券、auカブコム証券 |
---|---|
トータルリターン(1年) | 6.12% |
トータルリターン(3年) | 15.38% |
トータルリターン(5年) | 25.34% |
標準偏差(1年) | 0.17% |
標準偏差(3年) | 0.19% |
標準偏差(5年) | 0.16% |
シャープレシオ(1年) | 0.34 |
シャープレシオ(3年) | 0.94 |
シャープレシオ(5年) | 1.57 |
信託財産留保額 | 0% |
純資産総額 | 170.53億円(2025年4月3日) |
純資産推移 | -17,038.49億円 |
基準価額 | 24,852円(2025年4月3日) |
設定日 | 2019年9月26日 |
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
ここでは、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドとは違う魅力を持つ米国投資信託をご紹介します。
安定感を重視して運用したい人には、先進国株式がおすすめです。アメリカ・日本・イギリスなどの先進国は、中国・インドといった新興国と比べて政治や経済が安定しています。株価の変動も穏やかな傾向にあり、手を出しやすいでしょう。
実際に、先進国株式と新興国株式を株価の変動の大きさを示す標準偏差で比較すると、先進国株式の方が低リスクとわかりました。先進国株式の標準偏差は18.7%・新興国株式は22.3%で、先進国株式のほうが値動きが穏やかといえます。
成長の余地が大きいのは新興国ですが、リスクが気になる人には先進国への投資が向いているでしょう。
先進国へ投資するなら、ニッセイ外国株式インデックスファンドがおすすめ。MSCIコクサイ・インデックスに連動する1本で、アメリカだけでなく欧州を含む先進各国に投資できます。
2019年9月26日から2024年10月4日までのリターンは20.43%と、高水準でした。信託報酬は0.09889%とコストの安さも十分。手数料を抑えられるため、効率のよい運用ができそうです。
コロナショック時は-20.20%と、国内株より大きな下落を見せました。ただし、標準偏差(5年)は16.94%と、SBI・V・S&P500の17.06%より低めです。守りの投資スタイルで運用したい人は検討してくださいね。
株式投資に不慣れなら、まずは全世界株式からはじめるのもよいでしょう。米国を含む先進国のほか、中国やインドといった新興国へも投資できる点が特徴です。
各国・各企業の成長に合わせて投資比率が自動調整される点も魅力。これからどの国が伸びるか見極められなくても、世界経済の成長の恩恵を受けられるでしょう。
世界の名目GDPの推移と全世界株式の値動きを見比べると、基本的にどちらも右肩上がり。世界の経済成長と連動したリターンが期待できるといえます。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、新興国も含め世界中の株式に投資する銘柄です。信託報酬はたったの0.05775%で、比較したなかでトップレベルの安さでした。
トータルリターンは年率18.99%で、S&P500連動銘柄よりは低い水準でした。とはいえ、日本株投資信託の平均リターン年率(約10%)やバランスファンド(7~8%)の2倍近く成長しており、実力は十分です。
コロナショック時の下落幅は-19.93%と大きめでしたが、標準偏差(5年)は16.06%と、S&P500に連動している商品の平均値(17.27%)より抑えています。コストを抑えて効率よく運用したいなら、要チェックですよ。
検証で算出したSBI・V・S&P500インデックス・ファンドのリターン(年率22.39%)をもとに、20年間毎月2万円ずつ積み立てた場合のシミュレーションを実施。その結果、元本の480万円が20年後には19倍もの額に成長する計算となりました。
<シミュレーション結果>
なお、シミュレーションあくまで年率22.39%で今後も運用できると仮定した結果です。必ず想定どおりに運用できるわけではありませんが、リターンを追求できる銘柄だといえるでしょう。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドの主な取扱金融機関は以下のとおりです。
<取扱金融機関の一例>
米国株投資信託に限らず、投資信託はネット証券で購入するのがおすすめ。ネット証券は購入手数料が無料のケースが多く、店舗型の証券会社と比べて気軽に投資をはじめられます。
とくにおすすめなのは、毎月の積立額をクレジットカードで支払える証券会社。積立額に対してポイント還元があり、よりお得です。なお、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドをクレカ積立で買えるのは、SBI証券・マネックス証券・auカブコム証券。楽天証券は対象外なので注意してください。
以下は、各社のポイント還元率の比較表です。積立額や保有しているクレジットカードによって選択肢が変わってくるため、自分に合った証券会社を選んでくださいね。
<ポイント還元率>
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドはNISAに対応。つみたて投資枠・成長投資枠の両方で購入できます。新NISA制度を活用すると、非課税で資産運用ができお得ですよ。
以下のコンテンツでは、「投資信託とNISAの違いは?」「NISAのメリットって何?」といった疑問を解決しています。これから資産運用をはじめる人は、ぜひチェックしてください。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、過去に分配金が支払われた実績がありません。ちなみに、分配金とは投資信託の運用益を還元する際に支払われるお金のこと。株式の配当金と似たものと考えてよいでしょう。
分配金を出すと運用資金が減り、資産効率が悪くなります。対して、分配金を出さない銘柄は利益をそのまま運用に回すので、複利の恩恵を享受できる点が特徴。将来的には高い投資成果を期待できます。長期投資で資産を大きく育てるなら、分配金のない銘柄がよいでしょう。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、「SBI・Vシリーズ」の1つです。同シリーズの特徴は、徹底的なコストへのこだわり。本コンテンツでご紹介した「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」を筆頭に、低コストな銘柄がそろっています。
シリーズ合計残高は1兆円を突破(※1)。いずれの銘柄も、世界最大級の運用会社バンガード社のETFが投資対象です。バンガード社は、世界ではじめて個人向けにインデックスファンドを設定した歴史と実績のある運用会社で、運用資産残高は約7.6兆米ドル(※2)にのぼります。
1.2023年3月6日時点
2.2023年3月末時点
ここからは、SBI・Vシリーズの多彩なラインナップを見ていきましょう。
米国のみを投資対象とした銘柄は6本(2024年10月時点)。それぞれの違いは以下にまとめました。
<SBI・V・米国増配株式>
<SBI・V・米国小型株式>
<SBI・V・S&P500>
<SBI・V・全米株式>
<SBI・V・米国高配当株式>
<SBI・V・米国高配当株式(分配重視型)>
米国以外に投資できるのは以下のとおり。各銘柄の特徴を把握したうえで、ポートフォリオに加える1本を選びましょう。
<SBI・V・全世界株式>
<SBI・V・先進国株式(除く米国)>
<SBI・V・世界小型株式(除く米国)>
<SBI・V・新興国株式>
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