2024年から、非課税保有期間や限度額が拡大された新NISA制度。新NISAの利用を検討しているものの、必要になったときに途中で資金を引き出す方法や手数料の有無など、さまざまな疑問を抱えている人も多いはず。
そこでこのコンテンツでは、新NISAで資金を引き出す方法を詳しく解説します。気になる手数料や途中売却の注意点などもあわせて紹介するので、ぜひ新NISA活用の参考にしてみてください。
保険代理店に7年間勤務。その後、お金の不安や迷いがない人生をお客様に歩んでもらうことを実現させるためにFPとして独立をする。現在は、「高齢出産夫婦が家を買って、2人目を出産しても、子どもが希望する進路をあきらめさせない家計を実現させる相談業務」を中心に活動中。また、子育て世代のための資産運用のサポートも行っている。『書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方』(翔泳社)など書籍の出版も手掛ける。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
新NISAは、運用途中でいつでも資金を引き出せます。iDeCoや国債とは異なり、好きなタイミングで必要な分だけ引き出せるため、急にまとまったお金が必要になったときも対応しやすいでしょう。
新NISAの資金を引き出す際は、保有している金融商品を売却する手続きを行います。必要な分だけ売却して現金化できるので、NISA口座を解約する必要はありません。回数制限もないため、必要なときに何度でも引き出せます。
また、毎月の積立額を減らすことや、積み立ての停止・再開も可能です。ライフイベントや収入の変化に合わせて柔軟に調整しながら、投資による資産形成を行えます。
ここでは、新NISAの資金を引き出す方法として、インターネットを使った一般的な手続きの流れを解説します。
なお、具体的な手続き方法は、金融機関によって異なる場合があるため、詳しくはNISA口座を開設した各金融機関の案内に従って操作してください。
まずは、金融機関で開設したNISA口座を確認し、売却する商品を選択しましょう。
インターネット上で、NISA口座を開設した金融機関のマイページを開き、ログインします。保有している金融商品を確認し、売却したい商品を選択してください。
なお、複数の金融商品をまとめて売却することはできません。複数の商品を売却する場合は、商品ごとに手続きを進める必要があることを覚えておきましょう。
各金融機関の画面指示に沿って、売却したい金額または口数を入力します。一度にすべてを売却する必要はないなら、希望する金額や口数を指定して売却しましょう。
投資信託では、売却を申込んだときの基準価額と、約定する基準価額は異なります。
投資信託の売却金額は約定日の基準価額によって決まり、基準価額は1日1回、その日の取引完了後に公表されます。つまり、実際に売却される基準価額がわからない状態で、売却を確定する仕組みです。
売却後に受け取りたい金額が明確に決まっている場合は、金額を設定して売却する必要があります。口数で指定する場合は、最新の基準価額をもとに計算するとおよその売却金額を事前に算出できるでしょう。
約定日は、売却確定日か翌営業日になるケースが多いものの、異なる金融商品も存在します。投資信託説明に記載されているため、気になる場合は確認しておきましょう。
売却を確定すると約定日の基準価額で金融商品が売却され、数日後に金融機関の証券口座に入金、あるいはあらかじめ指定した金融機関の口座に入金されます。
売却金額が証券口座に入金された場合は、証券口座から指定した金融機関口座への出金手続きが必要です。直接、証券口座から現金の引き出しはできません。証券口座から銀行口座に出金することで、現金として自由に引き出せるようになることを覚えておきましょう。
新NISAの引き出しや途中解約には、いくつかの注意点があります。
注意点を理解せずに安易に引き出すと思わぬ損失につながることも考えられるため、新NISAの引き出しや途中売却を行う前に、注意点を理解しておきましょう。
新NISAを引き出すタイミングによっては、損をする可能性があります。保有している金融商品の価格が、引き出す際に上がっているとは限らないからです。タイミングによっては、株価の暴落などで元金を割り込む可能性も考えられます。
保有する金融商品の価格が下がると、引き出しや解約したくなってしまう人もいるでしょう。しかし、変動により価格が戻ることも十分あり得るため、一時的な価格変動に動揺し、価格が下がったタイミングに引き出してしまうことはおすすめできません。
新NISAを引き出す際は短期の変動に惑わされるのではなく、焦らず計画的に引き出すことが大切です。
本来、新NISA制度は家計の中長期的な資産形成を支援するためにスタートした制度であり、短期的な売買に適した制度ではありません。中長期的な視点で、保有している金融商品を運用しましょう。
投資信託の価格が下がればたくさん買えますし、価格が上がれば少ししか買えません。購入量を調整することによって平均取得単価を下げる効果があり、一時的に価格が下がったとしてもその後価格が回復すると利益が大きくなります。したがって、価格が下がったタイミングで売却することは最も避けたいことです。
価格の下落はいつまでも続くわけではなくいつかは上昇に転じると信じ、積立を続けることをおすすめします。
即日現金化できない点にも注意が必要です。新NISAを引き出すには、保有している金融商品の売却を行う必要があるため、現金を受け取るまでに一定の時間がかかることを覚えておきましょう。
新NISAで保有している金融商品の現金化には、4日~1週間程度を要することが一般的です。売却手続きは簡単ですが、すぐに必要な現金を用意できる方法ではありません。
売却手続きから入金にかかる日数は、金融機関や売却する商品によって異なります。投資信託説明書に記載されているため、手続きを行う前に確認しておきましょう。
途中で引き出してしまうと、新NISAの複利効果を十分に発揮できなくなります。
複利効果とは、運用で得た利益を元金にプラスして投資に回すことで、利益が新たな利益を生む効果のことです。運用途中で引き出すと、複利効果によって得られるはずの利益が減少してしまいます。
複利効果は、投資期間が長いほど得られる利益が大きくなる仕組みです。長期保有したほうが将来的な資産形成効果が高まるため、途中で引き出してしまうと将来の運用資産に大きな差が生じます。何度も引き出せるからといって、短期で売却したり利益が出るたびに引き出したりすることは避けましょう。
長期間運用をしていると、途中で経済ショックが起きて価格が急落することがあるかもしれません。
新NISAを途中で引き出すときに手数料がかかるかどうかは、売却する金融商品や金融機関によって異なります。手数料が必要になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
新NISAのつみたて投資枠で投資できる銘柄の場合は、手数料がかからないことがほとんどです。ただし、成長投資枠の銘柄や口座を開設した金融機関によっては、手数料が設定されている場合もあります。
また、手数料とは異なるものの、金融商品のなかには信託財産留保額が設定されている商品もあります。信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に支払う費用のこと。継続して保有する投資家に不利益がないように支払う費用であり、解約時に売却金額に一定の比率をかけた金額が差し引かれる仕組みです。
保有している金融商品に信託財産留保額が設定されているかどうかは、投資信託説明書で確認できます。売却手続きをする前に、手数料と信託財産留保額の有無をあわせてチェックしておきましょう。
投資信託内では、株や債券など様々な金融商品に投資されています。NISAで購入した投資信託の資産を引き出すということは、それら金融商品を売却して換金するということ。その際、手数料等がかかりますが、そのコストを換金する人に負担してもらう制度が信託財産留保額の制度です。
換金する人からしたら信託財産留保額はコストとなりますが、投資信託を保有し続ける人からすると有利な制度です。信託財産留保額は投資家同志の不公平をなくすための仕組みであることを覚えておきましょう。
新NISAによって得た投資の利益は、非課税で受け取れます。
そもそもNISA制度とは、株式や投資信託への投資で得られた配当金や分配金・譲渡益などが非課税になる税制優遇制度です。通常、投資で得た利益には、復興特別所得税を含めると20.315%の税金が課せられます。しかし、NISA口座の資産運用で得た利益は、年間投資枠や非課税保有限度額内であれば基本的に課税されません。
ただし、配当金や分配金の受け取り方法によっては課税対象になる場合があるため、注意してください。非課税で利益を受け取るには、証券会社の取引口座で受け取る「株式数比例配分方式」を利用する必要があります。NISA口座を開設した金融機関で、登録している受け取り方法を確認しておきましょう。
なお、以前はつみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間の非課税保有期間が定められていましたが、2024年から新NISA制度がスタートし、非課税保有期間が無期限になりました。
新NISAを引き出すおすすめのタイミングは、資金が必要になったときです。
新NISAは、投資期間が長いほど運用効果が高まりやすい特徴があります。しかし、使い道を決めて運用している場合や、ライフイベントの発生により資金が必要になった場合は、無理に保有し続ける必要はありません。
子どもの教育や住宅購入、旅行、老後など、将来資金が必要になったときに備えて、新NISAで運用している人も多いでしょう。ライフイベントが発生するタイミングでは、まとまった資金が必要となるケースは少なくありません。
投資は使う予定のない資金で行うもの。新NISAはいつでも引き出し可能なため、貯めた資金は必要なタイミングで有効活用することも大切です。
一方、途中で引き出さないほうが、複利効果が働けば獲得できる利益は増えます。途中で引き出す場合でも売却額は必要な金額までに抑え、残りの資金で運用を継続するとよいでしょう。
運用途中でも新NISAは引き出し可能なことが理解できたところで、NISA口座の開設をどこでするべきか気になっている人もいるのではないでしょうか。
このコンテンツでは、NISA口座の開設におすすめの銀行・証券会社を徹底的に比較し、ランキング形式で紹介します。選び方のポイントやNISA制度の基礎知識も再確認できるため、新NISAの効果的な運用に役立ててください。
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