証券会社によっては自由に設定できる、新NISAのつみたて投資枠の積立日。積立日はいつにすればいいのか、積立日によって運用成績に差が出るのかなど、さまざまな疑問を持つ人は多いのではないでしょうか。
今回は、新NISAのつみたて投資枠の積立日について解説します。積立頻度の決め方やよくある質問にも触れているので、つみたて投資枠を始める際は参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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月末・月初・給料日などのキリのよい日付は、積立日に設定する人が多くて基準価額が上がりやすいとされます。それならば中途半端な日を積立日にしたほうがよいという説もありますが、あくまでも過去のデータに基づく傾向であり、市場の動向は予測不可能なので断言はできません。
積立日によるリターンの差は20年ほどの長期運用でも1~2%程度といわれているため、過度に気にする必要はないでしょう。運用成績を気にして積立日を決めるより、確実に口座が残高不足にならない日を選ぶなど、無理なく運用を続けられる日付にするのがおすすめです。
つみたて投資枠では、積立日だけでなく積立頻度も設定する必要があります。ここでは、積立頻度の種類や決め方を確認しましょう。
新NISAのつみたて投資枠の積立頻度は毎日・毎週・毎月の3種類から選べます。積立頻度とは、投資信託を買い付けるペースのことです。つみたて投資枠では、指定した頻度で定額分の投資信託が自動的に買付されます。
積立頻度によって年間の積立回数が変わるため、一度に積立できる上限額が異なることを確認しておきましょう。営業日数によって変動しますが、積立頻度ごとの年間積立回数は毎日積立が約240回、毎週積立が約52回、毎月積立が12回です。
つみたて投資枠の年間非課税枠120万円をそれぞれの積立回数で割ると、一度に積み立てられる上限は毎日積立が約5,000円、毎週積立が約23,000円、毎月積立が10万円と算出できます。上限額もふまえて、自分に合う積立頻度を考えてみてください。
利用できる積立頻度は証券会社によって異なるため、希望する積立頻度に対応しているかあらかじめ確認しておきましょう。とくに毎週積立に対応している証券会社は少ないので、証券会社の選択肢が限られる点には注意してください。
積立頻度を決める際、毎日・毎週・毎月のどれを選んでも問題ありません。どの積立頻度を選んでもリターンに大きな差は発生せず、最終的な資産額はほとんど変わらないからです。
例として、「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」を毎日・毎月の積立頻度で10年間運用した場合の資産額を確認しましょう。投資期間は2011年12月9日〜2021年12月8日の10年間、積立額は毎日積立の場合が500円/回、毎月積立の場合は10,000円/回として比較します。
上記の条件をもとに計算すると、毎日積立の利益は約81万5,495円、利益率は166.68%です。一方、毎月積立の利益は約79万5,649円、利益率は165.76%と、2つの積立頻度のあいだで大きな差はありません。
積立投資は短期間では大きく変動しやすいものの、長期間保有するほど価格の振れ幅が小さく収束する傾向があります。長期保有が前提なのであれば、積立頻度はどれを選んでも問題ないといえるでしょう。
基準価額が気になる人は毎日積立を選ぶのがおすすめです。
積立頻度を毎月や毎週にすると、積立回数が少ないぶん積立時の基準価額に一喜一憂してしまう可能性があります。毎日積立なら積立日を分散できるため、毎月積立や毎週積立に比べると値動きを気にせず運用できるでしょう。
毎日積立に対応している証券会社は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・大和コネクト証券など。証券会社を選ぶ際は、毎日積立の有無をチェックしてみてください。
注意点として、毎日積立はクレジットカードが使えません。クレジットカードを利用できるのは基本的に毎月積立のみです。毎日積立は指定の口座から資金が引き落とされるしくみなので、利用する際は残高不足にならないよう注意しましょう。
つみたて投資枠を利用して資産形成をする場合、積立頻度よりも積立期間や銘柄選びに注意が必要です。ここでは、つみたて投資枠の積立頻度よりも重要なポイントを押さえておきましょう。
つみたて投資枠で投資をするなら、積立期間を長くすることが大切です。つみたて投資枠は複利効果によって利益を増やすしくみなので、長期間投資をするほど利益率がアップします。
複利効果とは、利益を元本に上乗せして再投資することで、より多くの利益が生み出される効果のこと。複利効果は投資期間が長いほど大きくなります。
金融庁公表の長期投資における運用成果シミュレーションでは、100万円の積立投資を5年および20年保有した場合、5年で74~176万円、20年で186~331万円と、最大257万円の差が出ました。この結果からも、複利効果を得るためには長期投資が重要であることがわかるでしょう。
複利効果だけなく、長期投資は元本割れリスクの軽減にもつながります。金融庁の同資料によると、運用期間が5年の場合は元本割れするケースがみられましたが、20年間運用した場合は元本割れがありませんでした。
より効率的に利益を得るためにも、元本割れのリスクを抑えるためにも、つみたて投資枠をするなら長期的な目線で投資を続けましょう。
運用コストが低い銘柄を選ぶことも重要です。つみたて投資枠は長期投資が基本のため、定期的に発生する手数料などが高いほどコストの負担がかさみます。
通常、投資信託の運用には、手数料として購入時手数料と運用管理費用が必要です。つみたて投資枠は購入時手数料が無料のノーロード・ファンドに限られるので、銘柄を選ぶ際は運用管理費用に注目しましょう。運用管理費用は金融機関公式サイト・目論見書・運用報告書などで確認が可能です。
運用管理費用とは、投資信託を管理・運用する運用会社や信託銀行、販売会社に対して支払う費用のこと。信託報酬ともいい、投資信託を保有している期間において毎日発生します。長期投資では、運用管理費用の違いが運用成果に大きく影響するため注意が必要です。
例えば投資金額100万円、リターン4.5%、20年間運用と仮定すると、運用管理費が1.5%の場合と2.5%の場合とでは、利益に約33万円の差が生まれます。銘柄を選ぶ際は、投資対象だけでなく運用管理費も重視するとよいでしょう。
ちなみに、つみたて投資枠の対象銘柄は2023年12月現在272本ありますが、証券会社によって取り扱い銘柄は異なります。利用予定の証券会社が投資したい銘柄を取り扱っているか、事前に確認しておくことも大切です。
ここでは、新NISAの積立日に関してよくある質問をまとめました。積立日の変更可否や、人気の銘柄に投資する際におすすめの積立日が気になる人は確認してみてください。
新NISAの積立日は途中で変更が可能です。一例として楽天証券の変更手順を確認しましょう。
楽天証券公式サイトにログインし、「投資信託>積立設定」から積立設定一覧画面を開きます。積立設定一覧画面で、積立日を変更したい積立設定の「変更」をクリック。画面が切り替わったら「設定の訂正」と表示された箇所の「積立指定日」に任意の日付を入力しましょう。
日付を入力したら、「内容確認へ」ボタンをクリックします。次の画面で変更内容を確認し、取引暗証番号を入力のうえ「設定する」をクリックすれば設定完了です。
なお、積立日の変更が反映されるタイミングには、証券会社ごとに申込み締切日が定められています。あらかじめ公式サイトを確認し、希望の変更タイミングに間に合う期限までに申込みましょう。
S&P500やオールカントリーといったインデックスファンドに投資する場合、積立日はいつでも問題ないといえます。
インデックスファンドとは、市場の株価指数と連動した値動きを目指す投資信託のこと。S&P500はアメリカ市場、オールカントリーは米国・日本・イギリス・中国・フランスを含む約50か国の市場との連動を目指すインデックスファンドです。
市場の動向は予測不可能であることから、S&P500やオールカントリーの積立日を何日に設定すればよいかという基準は設けられないでしょう。積立頻度についても同様で、長期で積み立てる前提であれば、どれを選んでも最終的な利益に大差はないと考えられます。
これから新NISA口座を開設してつみたて投資枠を始めるなら、対象商品数が多い証券会社がおすすめです。証券会社によってつみたて投資枠の対象商品は異なるため、口座開設前に確認しておきましょう。
以下のページでは、新NISAのつみたて投資枠におすすめの証券会社や銘柄、詳しい選び方などを解説しています。つみたて投資枠に興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
積立NISA口座おすすめTOP5
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