子どもの教育費を計画的に貯める方法として、これまでよく使われてきたのが学資保険。しかし、投資への注目が高まる中で、つみたてNISAやジュニアNISAを利用したほうが効率的ではないかと考えている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、つみたてNISAやジュニアNISAは学資保険の代わりになるのか詳しく解説します。NISAと学資保険の特徴や違い、どちらを選ぶべきかについてもわかりやすく説明しますので、教育資金を貯める方法を検討している人は最後までチェックしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
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まずは、つみたてNISA・ジュニアNISA・学資保険の特徴や違いについて解説します。
つみたてNISAやジュニアNISAは、資産形成を支援する税制優遇制度であるNISA(少額投資非課税制度)の一種で、運用益が一定の範囲内で非課税となります。貯蓄ではなく投資のため、元本割れするリスクがある一方で、運用結果次第では資産が増える可能性があるのが魅力です。
つみたてNISA(つみたて投資枠)は積立方式で、年間120万円までを生涯に渡り非課税で運用できます。保有する金融商品を売却すれば、いつでもお金を引き出すことが可能です。
ジュニアNISAは19歳以下の未成年を対象にした制度で、年間80万円までを最大5年にわたって非課税で運用できます。ただし、名義人である子どもが18歳になるまでは自由にお金を引き出せない点に注意しましょう。
学資保険は貯蓄型保険の一種で、将来的に必要になる教育資金を貯めることに特化した商品。毎月保険料を支払うことによって、子どもが一定の年齢に達したときに、契約時に決めた金額を受け取れます。
一般的に学資保険は返戻率が高くないため、お金を増やす目的には向きません。保険料に対して、保険金の割合を100%前後に設定している商品がほとんどで、多くの場合は払い込んだ金額と受け取れる金額が、ほぼ同額になります。
保険金は、教育資金が必要なタイミングで受け取れるため、進学時の出費に備えられる点もメリットです。親が死亡するなど万が一のことがあったときには、保険料の支払いが免除されますが、保険金は通常通り受け取れます。
また、途中で解約した場合には、受け取れる保険金の額が払い込んだ保険料の額を下回る可能性が高い点にも注意しましょう。
つみたてNISAは、教育資金の準備手段といった点では、学資保険の代わりとして活用できます。つみたてNISAも学資保険も、どちらも将来に向けて資産形成ができるといった共通点があるためです。
つみたてNISAは、子どもの入学や進学など、お金が必要になったタイミングで自由に引き出せるので、状況に応じて柔軟に資産を活用できます。
ただし、つみたてNISAはあくまで投資であり、保険ではない点は理解しておきましょう。学資保険では医療保険や生命保険などの機能を付帯できますが、NISAには保険機能はないため、完全に学資保険の代用となるものではありません。
つみたてNISAと学資保険は、それぞれどのような人におすすめかについて解説します。
収益性や自由度を重視するなら、つみたてNISAがおすすめです。
運用次第では、預け入れた元本以上に資産を増やせる可能性があるため、投資で運用益を出したい人に向いています。資金に余裕がある場合は、教育資金以外にも住宅資金や老後資金活用できるよう、お金を増やして将来に備えることを視野に入れるのもよいでしょう。
つみたてNISAでは、保有する金融商品を売却すれば資産を自由に引き出せるうえ、手数料などもかかりません。大学進学や就職時の資金としてだけではなく、中学や高校の入学準備などでお金が必要となった際にも、柔軟に活用できるのが強みです。
確実性を重視する人には学資保険がおすすめです。学資保険は、契約する段階で受取額を確定するため、計画的に教育資金を準備できます。
つみたてNISAは、運用結果次第では教育資金が不足する可能性もあり、とくに運用期間が短い場合は、元本割れしやすいといったデメリットが予想されます。一方で、学資保険は運用次第で受け取り金額が変わることはないため、確実に教育資金を貯めることが可能です。
さらに、学資保険には強制力があるため、確実に教育資金を準備できます。保険料は毎月、自動的に口座から引き落とされるうえ、途中で解約すると元本割れする可能性があるため、安易に使ってしまう心配も少ないでしょう。
ジュニアNISAは学資保険の代わりとして活用できますが、2023年に廃止されているため、つみたてNISAや学資保険を差し置いて利用するメリットは少ないでしょう。
ジュニアNISAは2023年の制度廃止以降は、子どもが18歳になる前でも引き出せます。また、非課税期間終了後も積立した資産をロールオーバーでき、18歳まで非課税で保有できる点は魅力です。
ただし、投資期間は制度終了までの2年間に限られているため、必要な教育資金を用意できない可能性があります。毎月10,000〜20,000円といった少額をコツコツ積立しても、必要な資金を下回ってしまうでしょう。
また、ジュニアNISAの非課税投資枠は年間80万円まで。制度廃止までの2年にわたって最大限まで活用しても、投資できる額は160万円までであり、20年間運用できるつみたてNISAの非課税投資枠と比較すると640万円の差があります。
総合的に比較すると、ジュニアNISAはつみたてNISAや学資保険に優先して利用するには力不足です。余剰資金がありほかの制度を利用したうえで、さらに非課税で運用できる枠を増やしたい場合のみジュニアNISAを利用するべきといえます。
預貯金も、教育資金を貯めるひとつの手段です。つみたてNISAや学資保険と比べると、リターンは小さいもののリスクが小さく、確実に教育資金を準備できます。
利率は一般的に0.1%以下となっており、お金を増やす効果はほとんど期待できませんが、元本割れする心配もないため、預けた金額をそのまま受け取ることが可能です。
いつでも簡単に引き出せる普通預金とあわせて、積立定期預金や財産形成貯蓄制度も活用するとよいでしょう。自動的に残高を積み立てられて比較的利息が高いので、着実に将来の教育資金に備えられます。
積立定期預金は、設定した金額を普通預金口座から自動で振り替えて積み立てていく預金。財産形成貯蓄制度は、給与天引きで指定金額を積み立てていく方法で、勤務先の福利厚生として導入されている場合のみ利用できます。
これからつみたてNISA口座を開設するなら、対象商品数が多い証券会社がおすすめです。各証券会社が用意している商品には違いがあり、つみたてNISA対象商品の数も異なります。
下記の記事では、つみたてNISAにおすすめの証券会社・銘柄や選び方を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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