「自営業は住宅ローンを組むのが難しい」という話を聞いたことはないでしょうか。これからマイホームを購入しようと思っている自営業者にとっては、大きな不安の種になっているでしょう。「そもそも本当に借りるのが難しいの?」「どうやったら借りられるの?」など、疑問はつきないですよね。
そこで今回は、自営業者の住宅ローンの組み方や審査に通るためのコツを徹底的に解説します。最後までしっかりと読んで、ぜひマイホーム購入を実現させてください。

法人向けの資産相談業務やグループ企業の経営管理、分散金融市場における資産運用事業を手がける。その他、大手のビジネス系メディア「マネー現代:講談社」「ITmediaビジネスオンライン」「四季報オンライン」等で執筆も行っている。 OKOSUMO(公式サイト):https://okosumo.com/ Twitter:https://twitter.com/full_tangent

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
自営業が審査に通りにくいとされている理由は、住宅ローンの利用条件である「安定した収入を継続的に確保できる」ということの証明が難しいからです。
会社勤めの場合は、会社に所属している限り収入が途絶えることはありません。一方、自営業の場合、仕事を安定的に受注できるか・いくら報酬が貰えるかは非常に予測が立てにくいのが実情です。そのため、収入・支出の内訳などさまざまな要素を加味して審査されるので、一般的な会社員に比べやや厳しく見られる傾向があります。
正社員と比べて極端に審査が厳しくなるわけではありませんが、住宅ローンを組む際は銀行からさまざまなヒアリングがあることを覚悟しておきましょう。
さまざまな要素から判断されるだけであって、決して自営業者が住宅ローンを組めないという訳ではありません。ただし手続きをスムーズに進めるにはある程度コツが必要です。ここでは、自営業者が審査を受ける際に注意してほしい2つのポイントを紹介します。
正確に審査してもらうために、今後どれくらい仕事が確保できそうか、節税のために実際の収入が少なく見ている部分はないか、などを整理してから申し込みしましょう。
銀行によっては、申し込み後に収入状況等を確認するためのヒアリングの電話がかかってきます。正確に、そして円滑に審査してもらえるよう、事前に回答を準備しておくのがベターです。
もし事業資金で取引している銀行があれば、収入の実態を詳しく把握してくれているうえに、確定申告書の写しなどの書類も改めて出す必要がありません。収入状況の説明がスムーズに進むので、もし不安なら取引のある銀行で申し込みするのがよいでしょう。
頭金を可能な限り捻出して、少しでも借入金額を抑えるのがベター。
住宅ローンは頭金が必須ではないので、生活費としてお金を残しておき、余裕ができたら一部繰り上げ返済で期間を短縮するというのも手です。しかし、自営業者は収入の不透明さがネックとされているため、審査を通すには収入に占める返済額の割合を下げるのが最も効果的といえるでしょう。
フラット35とは、住宅支援機構が民間の金融機関と共同で提供する長期固定金利型の住宅ローンです。ここでは自営業者におすすめとされているフラット35について解説します。
フラット35の審査で、所得の証明資料として提出する書類は、確定申告書の写し1期分のみでOKです。
銀行ローンの場合2~3期分の資料をもとに審査されます。そのため、業績改善を図り直近で赤字から黒字に転じた場合は、赤字時期の業績が加味されるのでマイナスに評価される可能性も。その点、1期分の資料だけでよいフラット35は、書類上の審査のハードルが低いといえるでしょう。
フラット35は、担保の評価を重視して審査する傾向があります。そのため、本人の返済能力に重きを置いて審査する銀行ローンに比べ、収入面で懸念のある人でも通りやすいといわれています。
住宅支援機構の役割のひとつが、融資が難しい人や分野に対して、民間の金融機関が融資をしやすいよう支援することです。そのため、住宅支援機構と民間の金融機関が提携して販売するフラット35は、一般的な銀行ローンに比べ借りやすいといわれています。
自営業に限った話ではありませんが、団信の加入は任意なので健康上の問題がある人でも借入できる点もフラット35の特徴のひとつです。
団信とは、死亡や高度障害になった際に、保険金で住宅ローンをすべて返済してくれる保険のこと。銀行のローンだと団信への加入が必須なので、健康上の問題で加入を謝絶されてしまった場合は、いくら収入が高くてもローンを組めなくなってしまいます。
その点フラット35は団信の加入が任意なので、持病を持っている人でも借入しやすいのが魅力です。ただし、団信に加入しない場合、自分が亡くなった際は家族がローンを返済し続けなければならないということを覚えておきましょう。とくに健康面で懸念がなければ、加入しておくのが無難です。
比較的借入しやすいといわれているフラット35ですが、いくつか注意すべき点があります。ここではフラット35を組む前に確認してほしい3つのポイントについて解説していきます。
税金や借入に延滞がないか確認しておきましょう。税金は役所にいって納税証明書を、借入は個人信用情報機関に問い合わせすれば確認可能です。
とくに、借入の延滞は解消したあとも長く履歴が残る場合があるので注意。延滞の記録が残ったままだと審査に落ちやすくなるだけでなく、次の審査にもよくない影響を与えます。申し込みの前に信用情報を確認し、延滞の情報があれば消えるまで待ってみるのがよいでしょう。
フラット35は収入面でのハードルが低い一方で、物件に関する条件が厳しめです。所定の検査機関で適合証明を取得し、担保の条件(参照:住宅支援機構)に合致していることを証明する必要があります。
とくに中古物件はさまざまな制約があるので、条件を事前によくチェックしておきましょう。耐震や耐火などの構造上の制限をクリアできず、結果借りられないという事態も起きかねないので注意が必要です。
自営業の場合、自宅兼事務所として家を購入・建てるケースもあるかと思います。その際の住宅ローンの返済は、利息は経費にできますが、元金は経費にできません。
また、住宅ローン控除を受ける場合は、原則自宅として使っている部分しか控除されない(※)ので注意しましょう。
居住用部分の割合が90%以上の場合は全額、50%以上90%未満の場合は割合に応じて控除を受けられます
自営業者は、普通の会社員よりもさまざまな点をチェックされるので、多少は大変な思いをすることもあるでしょう。ただし、決して住宅ローンを組めないということではありません。正しい知識を身につけて、ぜひ夢のマイホーム購入を実現させてください。
理解が深まったら、次はいよいよ住宅ローン選びです。mybestでは、専門家監修のもと、ネットで人気の住宅ローン57商品を元銀行員が徹底的に検証し、最もおすすめの住宅ローンを決定しました。
住宅ローンの選び方についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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