退職後に家がほしい、年齢にあった家作りをしたい、と考えている人も多いのではないでしょうか。住宅ローンは借入する金額が高く返済期間が長いため、年齢を重ねるごとに審査のハードルが上がってきます。定年を迎えた60歳からでも住宅ローンを借りられるのか気になりますよね。
そこで今回は、60歳から住宅ローンを組む方法や、メリット・デメリットを徹底的に解説します。この記事で正しい知識を身につけて、今後のライフプランの検討に役立ててください。

法人向けの資産相談業務やグループ企業の経営管理、分散金融市場における資産運用事業を手がける。その他、大手のビジネス系メディア「マネー現代:講談社」「ITmediaビジネスオンライン」「四季報オンライン」等で執筆も行っている。 OKOSUMO(公式サイト):https://okosumo.com/ Twitter:https://twitter.com/full_tangent

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
結論からいうと、60歳からでも住宅ローンは組めますが、厳しい審査を通過しなければなりません。理由は大きく分けて以下の2つです。
1つ目は、完済時の年齢制限に引っかかってしまう可能性が高いこと。申し込み時の年齢は70歳未満としている銀行が多いので申し込み自体は可能です。ただし、大抵の場合は80歳までに完済しなければならず、高額な借入を短期間で返済する必要があります。
2つ目は収入が不安定なためです。60歳で定年を迎える人が多く、大抵の場合は収入が減少します。借入する金額にもよりますが、公的年金だけで返済する場合、返済比率(年収に占める年間の返済額)の基準をクリアするのが困難です。継続して収入を確保できるかも不透明なため、年齢が高いほど審査では厳しく見られる傾向があります。
このように、60代で住宅ローンを組むにはクリアしなければならない課題がたくさんあるということを覚えておきましょう。
銀行の住宅ローンを組むのは難しいですが、「リバースモーゲージローン」という商品を使えば住宅購入の資金を借りられる場合があります。リバースモーゲージローンとは何なのか、仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
リバースモーゲージローン(※)とは老後資金を借入する方法のひとつで、不動産(自宅)を担保に借入し、自分が亡くなったあとは不動産を売却してローンを完済するという商品です。
借入する際に不動産を評価してもらい、不動産の評価額によって借入できる限度額が決定し、利用者は借入限度額の範囲内でローンを組むことが可能です。また、返済中は利息のみを払えばよいので、生存中は元金の返済を負担する必要がありません。
収入が少なくなる高齢者向けに作られた商品で、子どもがいない家庭など不動産を残す必要がない人に向いています。
ここでは住宅資金専用のリバースモーゲージローンを指します
リバースモーゲージローンには「リコース型」と「ノンリコース型」の2つのタイプがあります。両者の違いは、不動産を売却して完済できなかったときに、残りの債務を返済する必要があるかないかです。
<リコース型とノンリコース型の違い>
一般的にノンリコース型のほうが金利が高めに設定される傾向があります。毎月の返済額を小さくしたいならリコース型、家族に負担を残したくないのであればノンリコース型を選ぶとよいでしょう。
リバースモーゲージローンのメリットは以下のとおりです。
1つ目は、比較的審査にとおりやすいこと。そもそも60歳以降をターゲットにしている商品なので、契約時の年齢で制限を受けたり、収入の不透明さを理由に断られたりする可能性は低いといえます。
2つ目は、存命中は利息だけを支払えばよいこと。元金(借りたお金)は、死亡後に自宅を売却して一括で返済すればよいので、通常の住宅ローンよりも毎月の返済額が小さくなります。
また、自宅を購入しつつ手元に現金を残せる点も魅力といえるでしょう。ローン(利息)の返済は年金で賄い、退職金や貯金は旅行や趣味に充てることで充実したセカンドライフを送ることも可能です。
リバースモーゲージローンで気をつけなければならないのは、大きくわけて以下の3点です。
1つ目は配偶者がいた場合、自宅を売却して返済すると住む家がなくなってしまうことです。契約者を配偶者に切り替えたり、相続人が引き続き返済を続けたりすれば自宅を手放さずに済みます。ただし、年齢や年収によっては引き継ぎできない場合があるので注意が必要です。
2つ目は、借入前に推定相続人(現段階で相続人になりえる人)全員から同意をもらう必要があることです。自宅(財産)を売却してローンを返済するため、相続時のトラブルを少しでも減らすために事前に同意を必要としているケースが一般的です。
3つ目は、担保評価が下がった場合のリスクです。リバースモーゲージローンの借入限度額は担保の評価によって決まっています。担保評価の見直しによって借入限度額が小さくなり、ローンの残高が借入限度額を上回ってしまった場合は、超過分・もしくはローンの全額を返済しなければならないケースもあります。
また、利用できる地域が限られていることや、マンションの場合申し込み不可としている場合が多いので、デメリットや注意点を事前にきちんと理解しておきましょう。
お金を借りるか悩んでいる際は、一度立ち止まって以下を確認してください。
もし子どもが仕事をしていて一緒に住めるなら、親子リレーローンという方法を検討してみてください。親子リレーローンとは、親と子が共同で住宅ローンを組む借入方法のこと。
親子リレーローンでは、最初は親が返済し、死亡や収入減など何らかの原因で返済が不可能になった場合に子どもが返済を引き継ぎます。借入期間は子どもの年齢が基準になり、収入は親と子の合算になるため、60代が直面する審査上の欠点を補うことも可能です。
しかし、リバースモーゲージローンと違い元金も毎月返済しなければならないので、毎月の返済負担は重めです。また、原則子どもと親が同じ家に居住する必要があることも覚えておきましょう。
今後の資金計画を今一度整理しておきましょう。今回紹介したリバースモーゲージローン・親子リレーローンのどちらも、配偶者や子どもなど家族の協力なしでは借入できません。今後自身の収入がどうなっていくのか、家は家族に残したいのか、なぜ今家を購入したいのか、などを明確にしましょう。
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