住宅ローンを組むときに加入する火災保険。万が一に備えて入るべきとはわかっているものの、契約が必須なのか気になる人や、入るなら費用をできるだけ押さえたいといった人もいるでしょう。
本記事では、住宅ローンの申込での火災保険の必要性や必要な補償内容を解説します。火災保険に加入するときのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
住宅ローンを組むためには、基本的に火災保険への加入は必須です。火災保険が必要な理由も含めて詳しく解説します。
金融機関で住宅ローンを契約する際には、必ず火災保険へ加入しなければなりません。
住宅ローン契約時に火災保険の加入が必要になるのは、ローン契約者の生活が困窮しないため、また金融機関の貸し倒れリスクの回避のためです。
ただし、自分が選んだ火災保険に加入することはできます。金融機関から勧められた火災保険は強制ではないため、選択肢のひとつとして見極めましょう。金融機関には法律の定めで火災保険などの商品を抱き合わせで販売することを禁止されています。
地震保険は火災保険とセットで入れる保険ですが、地震保険の加入は必須にはなりません。ただし、地震保険の世帯加入率は毎年増加しており、2021年度では加入率34.6%と非常に多いため、もし地震保険も必要と感じた人は加入してもよいでしょう。
火災保険の加入時には、保険金請求権に対して質権設定を求められることがあります。
質権(しちけん)とは、住宅ローンといった借入金の担保として債権者が受け取った物品や権利書などを保管し、返済できない場合に優先的に売却して償還する権利のこと。火災などに遭ったときに保険金を受け取ることができる権利を、住宅ローンを組む金融機関へ移すのが質権設定です。質権設定をしたら、火災などが起こったときの保険金は金融機関に渡ります。
火災保険に質権を設定すると、質権者である金融機関の同意を得ずに火災保険を解約できません。質権設定を求めない金融機関も増えてきましたが、現在も必要なところはあります。住宅ローン借入時に質権設定が必要があるかどうか確認しましょう。
火災保険は「火災」と銘打っている保険ですが、実際には火災だけではなく水災や風災、盗難も補償の対象になります。水災の補償は、洪水で床下浸水になり、家や家財が使い物にならなくなったときに家や家財を補償してくれるものです。盗難の補償は、家に空き巣がやってきて、ガラスを破られたり財産を取られたりしたときに補償してくれます。
火災と基本的な補償内容のほかは、オプションとしてつけられることも多いもの。家の建て替え補償や隣接住宅の補償などさまざまな補償があるため、基本の補償内容とオプションで付けられる補償については、保険会社に聞いておきましょう。
火災保険の補償範囲は契約時に選択ができ、建物+家財のタイプを選ぶことで家財の補償までカバーできます。賃貸物件の場合は家財のみを補償する火災保険(家財保険)に入ることもありますが、持ち家は建物の保険は加入必須のため、家財の補償まで付けたい場合は建物+家財のセットのタイプを選びましょう。
家財保険では、自然災害や空き巣などの盗難、水漏れ(マンションなど)で家財が被害を受けたときに補償してくれます。ただし、補償となるのは生活に必要な家具や家電製品などで、基本的に自動車や動植物などは補償の範囲外です。現金や有価証券なども補償の範囲になりません。
火災保険の契約期間は1年単位で契約することができ、最長5年まで契約可能です。火災保険の契約期間はもともと10年一括の長期契約が可能でしたが、5年に引き下げされました。契約期間を短めの1年にすることも、長期の5年にすることも可能です。
最初の保険料の支払いを少なくしたい人はまずは1年契約もよいかもしれませんが、ずっと保険を契約するつもり(金融機関のローンが長い)の場合、毎年保険料を払うよりも5年間まとめて契約したほうが金額が割安になります。
また、契約期間が満了になってもまた補償がほしい場合は更新が必要になるでしょう。火災保険の更新は自動的に更新されるタイプもあるので、補償が切れないよう対策できます。
住宅ローンの火災保険の金額に相場はなく、住宅の所在地や住宅の構造、住宅の築年数、補償内容(保険金額や補償する災害、保険期間)など、さまざまな要素によって決まります。そのため、シミュレーターを使って自分の住宅ローンの火災保険はいくらになるのか、計算をすることがおすすめです。
住宅の所在地は、自然災害が多い地区の場合、保障してほしい災害が多くなり保険料も高くなることがあります。住宅の構造は、その構造の建物の壊れにくさや燃えにくさによって金額に差をつけられるでしょう。たとえばM構造(コンクリート構造のマンションなど)やT構造(鉄骨造の戸建ての建物)、H構造(木造の戸建ての建物)などの構造があり、M構造から順に火災保険の保険料は高くなります。築年数は浅いほうが保険料が低くなる傾向です。
もちろん、補償内容によっても保険料は大きく変わるもの。補償する災害の範囲を広くすれば、その分保険料は高くなります。
以下の記事では、戸建て向けやマンションの火災保険をランキングで紹介しているため、自分にちょうどよく安い火災保険を選びたい人はチェックしてみてください。
火災保険を選ぶ際は、住宅周辺の災害リスクに合わせて適切な保険を選ぶことで、保険料を抑えながら必要な補償を受けることができます。保険の範囲や補償内容を充実させれば幅広いリスクに備えられますが、その分保険料も高くなるもの。保険料を最小限に抑えるためにも、住宅周辺の災害リスクを調べ、必要な分だけ補償を付けるのが賢明です。
周辺の災害リスクを調べるなら、ハザードマップをチェックするか、地震調査研究推進本部事務局へ問い合わせるとよいでしょう。火災保険で損をしないためにも、手間を惜しまず確認することが大事です。
加入したい火災保険をいくつか絞ったら、各社へ火災保険の見積もりを依頼しましょう。保険は金融機関を通して加入するとお得になることもあり、その場合は見積もりの依頼も金融機関にお願いできます。
複数の保険会社から見積もりを取ると、自分が加入すべき火災保険の相場がわかってくるでしょう。相場を把握しておくことで、より適切な保険を選びやすくなります。また、複数社で比較することで、補償内容がほぼ同様のより安い保険を見つけられるかもしれません。
火災保険の保険金を時価ではなくて、再調達価格で設定できる保険にしましょう。経年により建物の時価は下がるものです。そのため、火災などでマイホームを建て直す必要があったとき、保険金で建て直すことができません。
再調達価格で設定できれば、火災などでマイホームを建て直すときも保険金だけでまかなうことができます。
住宅ローンの火災保険の保険料は、年末調整や確定申告をしても保険料控除を受けられません。以前は火災保険の保険料は年末調整や確定申告で手続きをすれば、控除を受けられる「損害保険料控除」という制度がありましたが、2006年に税制改正があって、「損害保険控除」の廃止が決まりました。そのため、2007年1月以降には火災保険は保険料控除の対象から外れています。
ただし、地震保険は保険料控除の対象です。火災保険とセットで地震保険も加入している場合は、年末調整や確定申告を行い控除を受けましょう。
地震保険料の控除額は、所得税と住民税で異なります。所得税は、1年間に支払った地震保険料が5万円以下の場合は支払金額の全額、5万円を超える場合は一律5万円の控除を受けられます。住民税は支払金額の2分の1が控除額です。たとえば、1年間で4万円の地震保険料を払ったとき、住民税は2万円の控除を受けられます。
住宅ローンを組むときには、火災保険の加入が必須です。住宅ローンを組む予定がある人は、火災保険の選び方を覚えておきましょう。以下で、おすすめの火災保険を紹介しているのでぜひチェックしてみてください。
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