新築や中古のマンション、一戸建ての建築などで金融機関からの融資を受けられる住宅ローン。審査には通ったけど支払いが大変、払えなくなったらどうすればよいのかなど、悩んでいる人もいるでしょう。
そこで本記事では、住宅ローンを滞納するとどうなるか、滞納する可能性が高い人の特徴、払えないときの対応方法を解説します。払えなくなったときに避けたほうがよい行動も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
滞納期間別に金融機関がどのように対応するか確認していきましょう。滞納期間の月日はあくまで目安です。金融機関によって異なる場合があるため、おおよそのスケジュールとして覚えておいてください。
返済を滞納すると、返済日の翌日から遅延損害金が発生します。遅延損害金は日割り計算で、利率が年14.0~14.6%ほどです。以下で例として、利率が年14.0%で毎月の住宅ローン返済額8万円を60日間滞納した場合の遅延損害金を紹介します。
1か月目:8万円(毎月の返済額)×14.0%(利率)×30日(滞納日数)÷365日=約920円…①
2か月目:16万円×14.0%×30日÷365日=約1,841円…②
①920円+②1,841円=2,761円(60日間滞納時の遅延損害金)
信用情報に記録された住宅ローンの滞納状況は事故情報と呼ばれ、今後お金を借りたり、ローンを組んだりするときに、金融機関にチェックされます。いわゆるブラックリストに掲載されている状況のため、ほかのローンの審査にも通りにくくなるでしょう。
滞納から6~8か月にわたって催告書や督促状を無視して滞納していると、期限の利益が喪失して一括返済を請求されます。期限の利益の喪失通知書が届くまでは、指定された日付までに通知された金額を支払えば分割払いが可能ですが、通知書が送付されてしまうと分割支払いができません。
保証会社は代位弁済として住宅ローンを一括返済したあと、借入者から借金を回収するため裁判所に競売を申し立てます。競売とは、裁判所が強制的に不動産を売却することです。金融機関の抵当権の実行によって住宅が競売にかけられます。
収入に見合ったローンを組んでいないと返済に苦労するため、返済比率を計算して余裕のある返済計画を立てることが大切です。返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合のこと。返済比率が低いと余裕のある返済ができるでしょう。
一般的にいわれている理想の返済比率は20~25%。金融機関が基準にする返済比率は、30~40%程度と少し高めに設定されています。高めに設定されていて審査に通りやすいからと安易に受けず、現在の返済比率を確認して理想よりも高い場合は、借入後に返済滞納しないよう早めの対策が必要です。
以下では、借入額の目安などについても解説しているので合わせて確認してみてください
借入時に計画を立てていても、収入が減少してしまうと住宅ローンの返済ができなくなる可能性があります。
収入が減る要因は以下のとおりです。
病気やケガ
離婚
定年退職
転職
リストラ
近年では、新型コロナウイルスの影響で収入が減少した人も多いでしょう。収入の減少で住宅ローンの支払いが滞る可能性があるときは、金融機関への相談をおすすめします。返済額の見直しや一定期間元金を据置するなどの対処も考えられるでしょう。
住宅ローンを組むときに将来のライフプランを立てていても、想定外の支出が発生しローン返済が難しくなることもあるでしょう。
支出が増加する要因は以下のとおりです。
病気やケガの治療費
介護費
物価上昇
子どもの進学先変更
離婚後の養育費
金利の変動によって住宅ローン自体の返済額が増加する可能性もあります。住宅ローン契約時に選択した金利タイプが変動金利の場合、市場金利に連動して住宅ローンの金利上昇も考えられるため注意が必要です。
変動金利は契約時の金利がほかのタイプに比べて低いことが多いため、お得に感じやすいものの、返済中に上昇する可能性を理解しておきましょう。
万が一、住宅ローンを払えないときでも対処法はあります。滞納してもすぐに住宅の売却とはならないため、落ち着いて対応しましょう。
毎月の住宅ローンの支払いが厳しければ、まずは家計を見直してみましょう。住宅ローンを滞納してからではなく、支払いが少し大変になってきたタイミングでの見直しをおすすめします。
家計の見直しでまずチェックするのが固定費です。
水道光熱費
携帯電話料金
通信費
保険料
車の維持費
サブスクリプション
固定費を見直せば、毎月一定の金額の余裕が生まれます。できるところから見直して、ローンの支払いに回せる金額を捻出しましょう。
現在、コロナウイルスの感染拡大している影響により、条件の変更に応じてもらえる可能性があるため、早めの相談をおすすめします。
住宅ローンの返済が滞りそうであれば住宅ローンの借り換えを行い、返済額を減らしましょう。借り換えとは、ほかの金融機関で住宅ローンの契約を行い、今返済している住宅ローンの残りを一括返済することです。
10年前と今とでは、住宅ローンの金利に2~3%も違いがあります。金利の低い住宅ローンに借り換えれば、毎月の負担額は軽くなるでしょう。
借り換えの対象になりうる人の条件は以下のとおりです。
ローン残高が1,000万円以上ある
返済期間が残り10年以上ある
ローンを組んだ当初より現在の金利が1%以上低くなっている
借り換えには事務手数料や保証料など諸経費がかかります。ローン残高が少ない人や返済期間が残り少ない人は、借り換え前の返済額より諸経費などで負担が大きくなることもあるため注意が必要です。
借り換えを検討している人は、複数の金融機関で条件を確認するとよいでしょう。以下のページでは、人気の借り換え住宅ローンを紹介しています。ぜひこちらで比較検討してみてください。
住宅ローンを滞納してしまい返済の見通しがたたない場合は、思い切って住宅を売却してしまうのもひとつの手段です。住宅ローン残高より高く売れる場合もあるため、ローンの完済もできます。しかし、売却金額が返済額より少ない場合は、残りの住宅ローンを自己資金で返済しなければいけません。
住宅ローン特則という特別な制度を利用すれば、住宅ローンの支払いを行うことを条件に、住宅を手放さないままローン残高の減額が可能です。
債務額に対して、個人再生で減額できる最低弁済額は以下に挙げます。
100万円未満:全額
100万円以上500万円未満:100万円
500万円以上1500万円未満:債務額の5分の1
1500万円以上3,000万円未満:300万円
3,000万円以上5,000万円未満:債務額の10分の1
ただし、個人再生を利用すると信用情報に事故情報が載るため、今後のクレジットやローンの審査に通りにくくなることを覚えておきましょう。
住宅ローンの支払いが滞ったときにやってはいけない対応を紹介します。実行することで悪影響を及ぼす可能性があるため、必ず把握しておきましょう。
夜逃げをしても、逃げたあと追われる不安を抱えて生活しなければいけません。加えて、連帯保証人にローン残高の支払い義務が発生し、相手の人生に影響を及ぼしてしまいます。
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