FXで利益が出た場合、金額によっては税金がかかる場合があります。税金は所得額に応じて納付額が変わるため、FXでかかった費用を経費計上することで節税が可能です。とはいえ、どんなものが経費として計上できるかわからず、処理に困っている人も多いはず。
そこで今回は、FXの経費として計上できるものや確定申告する際の注意点などを徹底解説します。節税したいと考えている人はぜひ参考にしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
FXで得た利益額によっては確定申告をする必要がありますが、経費計上することで確定申告が不要になる場合や節税することも可能です。
所得とはFX取引で決済した際の利益そのものではなく、利益から経費を差し引いた金額を指します。経費計上した結果が下記の基準を下回れば確定申告は不要です。
会社員
雑所得額が20万円以上になる場合
無収入の被扶養者
雑所得額が48万円以上になる場合
パートやアルバイトをしている被扶養者
(給与所得ー55万円)+雑所得の合計が48万円を超える場合
個人事業主やフリーランス
事業所得+雑所得の合計が48万円を超える場合
税金は所得額に応じて課税されるため、経費計上して所得額が少なくなればそのぶん税金も少なくなり、節税効果が期待できます。
ここからは、FXの経費として認められる可能性があるものを紹介しますが、経費として認めてもらうためには、FX取引との関連性や支払いの事実を客観的に証明しなければならない場合があるので注意が必要です。
FXの取引手数料は全額経費計上できます。
ただし、スプレッドは手数料には含まれません。スプレッドとは、通貨の買値と売値の差のことで事実上の手数料にあたりますが、売買レートに含まれており厳密には手数料とは言えないためです。
取引手数料として経費計上できるものは、資金を口座に入金する際にかかる入金手数料・出金する際にかかる出金手数料・注文時に発生する取引手数料などを指します。
FXを行っている場所の家賃や固定資産税も経費計上できます。
経費として計上できる割合は、場所の用途やFX取引に使用している面積によって変わり、賃貸か持ち家かによって経費計上できる勘定科目も異なります。
賃貸で住居の一室でFXを行っている場合は、全体の面積のうちFXで使用している部屋の面積ぶんの家賃、すべてのスペースをFX取引に使っている事務所の場合は家賃全額を経費とするのが一般的です。
持ち家の場合は、年4回支払う固定資産税を経費計上できます。割合の考え方は賃貸と同様で、住居と兼ねている場合はFXで使用している面積から割合を算出し、建物全体をFX取引に使っている場合は全額経費計上が可能です。
FXに利用しているパソコン・タブレット・スマホなどの端末と、モニター・キーボード・充電器などの関連する周辺機器も経費計上できます。
購入金額によって扱いが異なり、10万円未満の場合は消耗品として全額経費計上が可能。10万円以上の場合は器具備品として資産に計上し、4年間で減価償却するか、3年間で均等に償却(一括償却)するかを選択。20万円以上の場合は4年間で減価償却となります。
ただし、プライベートやほかの仕事と兼用している場合は使用頻度で割合を計算して、FXに使っている部分のみ経費計上が可能です。
FX取引を行うときに使う机や椅子、本棚なども経費計上できます。FX以外の用途と兼用の場合は、使用頻度から割合計算しましょう。
ただし、1組10万円以上で購入したものは資産に計上し、4年間で減価償却するか、3年間で均等に償却(一括償却)するかを選ぶ必要があります。高額な物品は消耗品とは言えず、数年使い続ける可能性が高いことが理由です。
経費を増やしたい場合は10万円未満のものを細かく購入したほうが節税効果は高くなります。
Wi-Fiやインターネットなどの通信費も経費計上できます。
FX専用回線の場合は全額経費計上できますが、プライベートやほかの仕事と兼用している場合は、FXに使用している使用時間から割合を計算して計上する必要があります。
ただし、日常生活でも使用するものなので、経費として認められない可能性もある点には要注意。
FXに関する情報収集のための本や新聞、勉強会やセミナーの費用などは経費として計上できます。
とくに新聞や書籍は、専門性が高いほど経費として認められやすい傾向にあります。ただし、FXとの関連性の証明が難しい場合は経費として認められない可能性があるため、客観的に関連性を証明できる工夫が必要です。
なお、勉強会やセミナーの費用は参加費・交通費・宿泊費など、FXの情報収集の目的にあたるものはすべて経費計上できます。
電気代もFX取引に使用したぶんを計算できれば経費として計上できます。
住居と兼用の場合は日常生活で使っている電気代と混ざるため、使用時間や使用回数などからできる限り合理的な基準で計算する必要があります。
最近は領収証が発行されない決済手段も増えているため、領収書以外の計算根拠が必要。この場合は、クレジットの明細や銀行口座の取引履歴から使用日・料金の内容・金額を参照し、割合計算の根拠を証明できるようにしておきましょう。
ただし、電気代以外の光熱費はFX取引との関連性を証明しづらいため、経費として認められない可能性があります。
FXの相場分析や自動売買ツールなど、取引に使うソフトの購入代金も経費計上できます。
本来の目的で使用する場合は問題ありませんが、経費計上することを目的に使用する予定のないソフトを購入するのはおすすめしません。FX関連ツールには詐欺が多く、購入した際に思わぬ被害にあう可能性があるため、本当に必要なものに絞って購入しましょう。
FX取引に使うレンタルサーバー代も経費計上できます。
たとえば自動売買ツールのMT4(メタトレーダー4)を使用する場合は、VPSサーバーの契約が必要になります。MT4とは高い汎用性とカスタマイズ性が人気で、世界中のトレーダーが利用している開発型の自動売買ツールです。
借金をFXの証拠金に充てた場合、金融機関に支払う利息は経費として計上できます。
しかし、そもそも借金でFXをやるのはリスクが高いため、経費計上できるとはいえおすすめはしません。
FXの税金に関する相談や、確定申告など税務処理を依頼をする場合の費用も経費計上できます。
なお、正式な依頼に至る前に税理士に無料相談をするケースもありますが、このときにかかった交通費や電話代なども経費として計上できるので覚えておきましょう。
FXの経費計上に上限はありません。ただし、明らかに違和感のある経費計上をすると、税務署による調査が入る可能性があるため注意が必要です。根拠に基づいた計算をして本当にFXに関連する経費だけを計上しましょう。
どこまで経費として計上するかは自己判断になりますが、経費として認めてもらうためには証拠が必要となる点、翌年には繰り越せない点に注意しましょう。
どこまで経費として申告するかは自己判断ですが、最終的な判断は税務署が行うため経費として認められないこともあります。
経費として認められるかどうかの判断基準は、本当にFX取引に使われたものか、FX取引に必要なものかどうかです。これらの判断材料になるのが領収書や支払い履歴、計算根拠などの第三者が確認できる証明です。
節税目的でこの判断基準に該当しないもの、FXとの関連性を証明できないものまで経費として申告してしまうと、税務署が行う税務調査の対象になる可能性があるので注意しましょう。
FXに限らず、経費は翌年以降に繰り越して計上することはできません。年内に発生した経費はその年の経費として申告する必要があります。税金計算の区分は毎年1月1日から12月31日なので、この期間内に発生した経費は同年内に計上しましょう。
ただし、1組で10万円以上の物品は4年間で原価償却するため、この限りではありません。
FXの経費であることを税務署に証明する証拠として、領収書やレシートを残しておきましょう。
とくに領収書は日付・宛名・金額・但し書きが記載されていないと証拠として認められない場合があるので注意が必要です。Web上で決済した際は領収書やレシートが発行されませんが、この場合はクレジットカードの利用明細、銀行口座の引き落とし履歴などで代用できます。
経費計上した費用の証明は保管義務が定められており、白色申告の場合は5年、青色申告の場合は7年間保管する必要があります。事前に税務署に届け出をしておけば電子データによる保管でも問題ありません。
きっちり経費計上できれば利益額によっては確定申告が不要になる場合があり、節税効果も期待できます。
しかし、家賃や電気代などプライベートで兼用しているものは割合計算が必要だったり、確定申告に慣れていないと処理が複雑だったりと面倒ですよね。そんなときに便利なのがクラウド会計ソフトです。
以下の記事では、おすすめのクラウド会計ソフトを5つのポイントで徹底比較しています。経費計上や確定申告の手間を減らしたい人はぜひ参考にしてください。
どこまでを経費にできるのかがわかり、安心できた人はさっそくFX口座を開設してみましょう。
以下の記事では初心者にもおすすめのFX口座を比較・検証しています。自分にあった口座を見つけたい人は参考にしてください。
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