あらゆる理由から、おすすめしないといわれることが多い外貨預金。普通預金よりもメリットがありそうだとは思うものの、あらかじめ生じうるリスクやデメリットを把握していないとなかなか手が出しづらいですよね。FXと比べてどちらが儲かるのかが気になっている人も多いでしょう。
本記事では、外貨預金がおすすめしないといわれる理由や概要、メリット・デメリットを紹介します。FXとの違いについても解説するので、それぞれ把握したうえで自分に合った投資方法をみつけてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
外貨預金とは、米ドルやユーロなど外国の通貨で行う預金のことです。為替レートに沿って、日本円を外国の通貨と交換して預金します。
日本円のままでの預金とは異なり、為替レートの変動によって為替差損益が発生するのが外貨預金の特徴です。
例えば、1ドル=100円のときに10,000円分(100ドル)をドル建てで外貨預金した場合、1ドル=90円の円高になると、9,000円の価値に下がり1,000円の損が出てしまいます。1ドル=110円の円安になると、11,000円の価値に上がり1,000円の利益が出る仕組みです。
低金利が続く日本円と比べて、外国の通貨は金利が高い傾向にあるため、成功すれば日本円での預金より大きな利益を得られるでしょう。
現在の円定期預金の金利については、以下の記事で詳しく紹介しているのであわせて確認してみてください。
外貨預金はリスクが大きいからおすすめしないといわれることが多いものの、メリットもあります。以下で代表的なメリット2つをみてみましょう。
2023年2月20日時点で、三井住友信託銀行における日本円での普通預金金利は0.001%、米ドル・ユーロ・豪ドル・NZドル・英ポンドの外貨預金金利は0.010%です。外貨預金は、円預金の10倍もの金利であることがわかります。
例えば、上記の条件で100万円を1年預けたとすると、日本円の普通預金でつく利息は10円(税引き前)で、外貨預金の利息は100円(税引き前)です。
金利が高ければ受け取れる利息も増えるため、外貨預金の運用に成功すれば、円預金より多くの金利収入を得られるでしょう。
円安とは、外貨に対して円の価値が下がることです。円安になると外貨の価値が上がるため、価値が上がった状態で日本円に換金すれば儲かります。
例えば、1ドル=100円のときに10,000円分(100ドル)を外貨預金したとしましょう。5年後に円安が進んで1ドル=130円になれば、日本円に換金すると13,000円分(100ドル)になり、利益は30,000円です。
円安が進んだ場合はうまく利益を得られるのが、外貨預金のメリットといえます。
金利や為替差益といったメリットがある外貨預金ですが、デメリットもあります。おすすめしないといれる理由とあわせて確認しましょう。
相場が急に下落したときは、ダメージを最小限に抑えるために一刻も早く換金したいもの。換金までのタイムラグが大きくなるほど、損失も大きくなる可能性があります。
外貨の相場は秒単位で変動するため、急な下落にすばやく対応できないのは大きなリスクです。
預金保険とは、金融機関が破綻した場合に預金者の資産を保護する制度のことです。
円預金では1つの金融機関で1,000万円まで補償してくれるため、銀行口座を複数つくって資産を分散させれば問題ありません。しかし、預金保険の対象外である外貨預金には補償がないため、金融機関の破綻は全資産を失うリスクにつながります。
元本割れとは、相場の下落などが原因で保有している金融商品の価格が下がり、元の投資金額を下回ることです。
例えば、1ドル=100円のときに100,000円分(1,000ドル)をドル建てで外貨預金したとしましょう。相場変動が起きて1ドル=80円になったときに換金すると、1,000ドルの外貨預金の価値が80,000円に下がり、20,000円の損失が出ます。
外貨預金の場合、預け入れたあとに円高になると損失が発生するため、元本割れを防ぐために円高・円安を意識して投資するタイミングを見極めるようにしましょう。
外貨預金の手数料は、円を外貨に換えるとき(預け入れ)と、外貨を円に戻すとき(払い戻し)の2回かかるため、せっかく得た利益を圧迫してしまいます。
例えば、手数料が1ドルあたり片道30銭かかる証券会社で100ドル分預け入れた場合、支払う手数料は100×30銭で30円です。払い戻す際にも30円を支払うため、合計で60円の手数料を支払うことになります。
100ドル預け入れた外貨預金の利回りが1%だった場合、利益は1ドル分で、円に換金すると100~150円ほどです。ここから手数料として60円引かれるのは、大きな損失といえるでしょう。
円預金と比べて外貨預金の金利が10倍ほど高いのは事実ですが、金利だけで儲けるのは難しいでしょう。
円預金の普通預金金利は0.001%で、米ドル・ユーロ・豪ドル・NZドル・英ポンドの外貨預金金利はいずれも0.010%です。
確かに円預金よりは高金利ですが、0.010%の金利で得られる利息は、100万円を預けて100円程度、1,000万円預けて1,000円程度でしかありません。
日本銀行では、物価安定のための目標値を、消費者物価(インフレ率)の前年比上昇率2%と定めて金融政策を行っています。実際に物価が2%上がったとしたら、0.010%の金利ではとても足りません。
金利だけで比較すれば円預金よりも外貨預金のほうがおすすめですが、それでも生活にゆとりがもてるほどの利益を得るのは厳しいでしょう。
外貨預金で得た為替差益には総合課税という方式が採用されており、所得税率と住民税率をあわせて最大で55.945%の税金がかかります。
一方、外貨預金と比較されることの多い積立FXの為替差益は、先物取引に係る雑所得等と扱われるため税率は一律で20.315%です。
ある程度利益を出した場合、税率は積立FXより外貨預金のほうが高くなるケースが多いため、為替差益で多くの利益を得るには外貨預金は不向きといえます。
お金を預けて運用したい人には、外貨預金のほかに積立FXもおすすめです。積立FXはFXの一種で、外貨を購入する日と金額を指定して自動的に積み立てていきます。
外貨預金は預金保険の対象外で税率も高いのが特徴ですが、積立FXは信託保全によって資産が守られるほか、税率も一律20.315%と決められているのが魅力です。以下では、積立FXをおすすめする理由についてみてみましょう。
外貨預金には1,000通貨単位以上の最低取引価格が設けられていることが多く、投資するには最低でも数千円から数万円を用意する必要があります。
積立FXは1通貨単位から投資が可能なため、少ない資金での投資が可能です。例えば、1ドル=150円の時期であれば、150円で投資できます。
積み立てた金額が少なければ損失が出ても大きなダメージにはならないため、初心者でも挑戦しやすい投資方法です。
FXにおけるレバレッジとは、預け入れたお金を担保にしてその何倍もの資金を借り入れ、投資を行う取引方法です。例えば、積立FXで10万円を担保とした場合、最大で30万円まで取引ができるようになります。
手持ちの資金よりも取引金額が大きくなるため、運用に成功すればその分だけ利益を増やすことが可能です。ただし、失敗した際の損失もレバレッジをかけた分だけ大きくなり、場合によっては投資金額を下回ることがある点には注意しましょう。
外貨預金では原則、満期をむかえるまでは売却できません。途中で解約するにしても解約手続きが必要で、換金するにはある程度の時間がかかります。
積立FXでは解約手続きなどはないため、好きなタイミングで売却し、すぐさま換金することが可能です。
為替レートの変動にリアルタイムで対応したり、急な出費にあてたりする場合は、積立FXのほうが使い勝手がいいでしょう。
2023年2月20日時点で、住信SBIネット銀行における外貨預金の取引コストは、1通貨あたり米ドルで6銭、ユーロで14銭です。対して、SBI FXトレードにおける積立FXでは、米ドル・ユーロとの取引を手数料なしで行えます。
1通貨あたりでの金額は少額でも、まとまった金額を取引する際は手数料も大きくなるため、利益が目減りするのは避けられません。
例えば、1ドル=100円のときに、住信SBIネット銀行のドル建て外貨預金に100,000円(1,000ドル)を預けると、60円の取引コストがかかります。SBI FXトレードの積立FXであれば、取引コストは0円です。
取引コストが安い積立FXであれば、同じ外貨での取引でも外貨預金より多くの利益が残ります。
積立FXのメリットとして、通貨を保有している限りスワップポイントを土日以外毎日受け取れることも挙げられます。
スワップポイントとは、取引している2つの通貨間の金利差で得られる利益のことです。例えば、金利が-0.1%の日本円と金利10%の通貨で取引している場合は、10.1%分のスワップポイントを受け取れます。
1回の利益は少なくとも、土日以外は毎日得られるため、コツコツ貯めればいずれはまとまった金額になるでしょう。
積立FXでは必要な設定をすれば、一定の金額までスワップポイントが貯まったときに自動で再投資に回すことも可能です。得られたスワップポイントを手軽に有効活用できます。
信託保全の仕組みは、FX取引会社に預け入れた資産を信託銀行等に預けかえることで、FX取引会社が破綻しても、信託銀行等から資産が返還されるものです。
預金保険制度の対象ではなく、万一の事態が起こると資産を失う可能性がある外貨預金よりも、積立FXのほうが安全に取引できるでしょう。
外貨預金ではなくFXのほうに興味をもったのなら、証券会社にFX専用の口座を開く必要があります。とはいえ、初心者にはどこの証券口座を開けばいいか判断するのは難しいでしょう。
以下の記事では、FXにおすすめの口座ランキングを紹介しています。FX口座の選び方も解説しているので、自分にあった口座を探してみてください。
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