そこで今回は、インデックス投資がどのような投資方法なのかをわかりやすく解説します。インデックスファンドとの違いや、インデックス投資のメリットとデメリット、実際の取引方法についても解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
はじめに、インデックス投資がどのような投資方法なのかについてわかりやすく説明します。
そもそもインデックスとは、「指数」「指標」を意味する言葉です。投資でのインデックスとは、株式市場などの全体的な値動きを表現した指数のこと。インデックスの値動きを見ると、市場全体がどのように動くのか予想することが可能です。
国内で代表的なインデックスには、日経平均株価やTOPIXがあります。日経平均株価は、東京証券取引所で売買できる上場企業のうち225社の平均株価を表現した指数です。
TOPIXは、東京証券取引所のなかでも上場条件の厳しいプライム市場に登録されている銘柄や、流通株式の時価総額が100億円以上の銘柄で構成されています。
海外のインデックスで代表的なものは、NYダウ(ダウ工業株30種平均)・S&P500指数・NASDAQ総合指数など。
NYダウは、世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所や、アメリカにある新興企業向けのナスダック市場に上場している、30銘柄の値動きから算出されています。
S&P500指数はニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場中の500銘柄から、NASDAQ総合指数はナスダック市場の全銘柄で構成されているのが特徴です。
インデックス投資とは、上記で紹介した特定のインデックス(指数)と連動させて同じように利益を得られるよう運用する投資手法です。
インデックスと連動させるには、インデックスの算出基準になっている特定の市場の銘柄に分散投資をする必要があります。例えば、日経平均株価と連動させるなら、日経平均株価を構成する銘柄に投資すればOKです。
資産運用の有名な格言に「卵を1つのカゴに盛るな」というものがあります。1つのカゴにすべての卵を入れてしまうと、カゴを落としたときに多くの卵が割れるリスクがある一方で、いくつかのカゴに分けておけばほかのカゴの卵を守ることが可能です。
同様の考え方で、インデックスを構成する企業に広く分散投資を行い、リスクを抑えつつ利益を狙うのがインデックス投資の特徴だと覚えておきましょう。
インデックス投資で利益が出るのは、多くのインデックスが長期的に見ると上昇しているからです。インデックスに連動させて長期的に投資するだけで、利益が出る可能性が高いといわれています。
海外のインデックスで代表的なNYダウは、2000年以降で下落した年もあるものの、20年間で約3倍に上昇しました。例えば、2000年にNYダウに連動する形で100万円を投資していたとすると、20年間で3倍の300万円に増えた計算ができます。
短期的な投資ではなく、長期投資で利益を狙える可能性が高いのがインデックス投資の特徴です。値上がりする銘柄を必死に見つけなくても、インデックスに連動する投資をすれば、それだけで利益が期待できます。
インデックス投資は、特定のインデックスと連動した成果を目指す投資手法だと説明しました。
インデックスファンドは、投資家から集めた資金を投資のプロが運用し、インデックス投資を行う仕組みのことです。最近では、慣習的にインデックス型の投資信託のことをインデックスファンドと呼ぶことが多い傾向にあります。
厳密にいうと、投資信託とファンドはイコールではありませんが、慣習的には同じ意味で使われることが多いのが特徴です。ネット上でインデックスファンドと記載があれば、インデックス投資をする投資信託だと理解しておけば問題ありません。
つまり、一般的にいわれるインデックスファンドとは、投資のプロが投資家から資金を集め、特定のインデックスに連動した利益を目指して運用を行う金融商品(投資信託)だと理解してください。発生した利益を、それぞれの投資家に分配する仕組みです。
次に、インデックス投資のメリットについて解説します。
インデックス型の投資信託へ投資をする場合、手数料は安く抑えられているものが多く、投資信託のなかでも少ないコストで運用できるのがメリットです。
本来ファンドの仕組みを利用した投資信託などの金融商品へ投資をする場合は、商品を買うときに必要な購入手数料や、商品の運用と管理に対する信託報酬を払わないといけません。
一方インデックス型の投資信託は、購入手数料が無料のものが豊富です。信託報酬は、運用している間は継続的に払い続けないといけませんが、インデックス型の商品では低めに設定されている場合が多い傾向にあります。
長期的に運用して利益を狙うのがインデックス投資なので、手数料の少ない商品を選んで利益を多く残すことが重要です。手数料が安いインデックス型の投資信託に投資をするのは、有効な方法だといえるでしょう。
インデックス投資を行う投資信託などの商品に投資をすると、分散投資ができて値下がりリスクを軽減できます。分散投資を行うと、1つの銘柄が値下がりしてもほかの銘柄が損失をカバーしてくれるので、1つの銘柄に集中して投資するよりもリスクが少なくなるのが利点です。
インデックス型の投資信託を購入すると、投資の専門家が市場の複数銘柄に投資を行います。投資家が自分で分散投資を行う必要がなく、購入するだけで分散投資をしたのと同じ効果が期待できるのがメリットです。
インデックス型の投資信託を選べば、投資する商品と金額だけを決めればよいため、知識や技術の少ない初心者でも始めやすいのが特徴です。
投資信託は、投資の専門家が運用してくれる商品であるため、運用中の知識や技術が通常の投資に比べてあまり必要ありません。同じインデックスに連動している商品であれば、商品ごとの投資成績に大きな差が出にくいのもポイントです。
一方で通常の株式投資だと、企業の決算情報や銘柄ごとの値動き、最新のニュースなど調べる情報が非常に多く、投資初心者にはハードルが高いのが難点。
知識や技術に自信のない人は、インデックス型の投資信託を選んでみてください。
インデックス型の投資信託なら、少額からでも投資ができて、長期的な積立投資で資産形成もしやすいのが特徴です。
投資信託やETF(上場投資信託)は、数百円程度から購入できるものが多いので、資産が少なくても投資ができます。ETFとは、証券取引所で売買できるように上場された投資信託のことです。
Vポイントなどのポイントで商品を購入できる場合もあり、現金を使わずに投資することもできます。
インデックス投資は長期的な積み立てで利益を狙うので、少額の投資でも資産形成を十分期待できるのが利点です。
例えば、毎月1万円を20年間積み立てて、年利6%で運用した場合を考えてみましょう。投資した金額は1万円×12か月×20年間=240万円です。年利6%で着実に20年間運用できた場合は、利益が約222万円発生し、合計で約462万円まで資産が増えます。
インデックス投資にはメリットが多いものの、人によってはデメリットに感じてしまう部分もあります。
インデックス投資は、選んだ指数以上のリターンは基本的に期待できません。例えば、日経平均株価に連動する商品だと、あくまでも日経平均株価に連動した成果を目指して運用をするため、日経平均株価以上の成果は狙えません。
個別の企業に投資する通常の株式投資なら、企業の業績やポジティブなニュースによって価格が値上がりする可能性もあるのが特徴です。しかし、インデックス投資は複数の企業に分散投資をするため、1つの企業の変化が利益に直結しないのが難点といえます。
リターンが少ない分、リスクも低いのがインデックス投資なので、特徴を理解したうえで投資するかどうかを決めてみてください。
値動きを利用して売買を行う短期的な運用をインデックス投資で行うと、利益を出すのは難しいと考えておきましょう。インデックス(株価指数)が極端な動きをすることは、基本的にないのが理由です。
日経平均株価やNYダウなどの株価指数は、個別の銘柄と比較すると、値動きの幅は少ない傾向にあります。リーマンショックのような世界的な株価の下落が起こると、日経平均株価やNYダウも大きく変動しますが、普段は大きく動くことはほとんどありません。
短期的な運用を行うと、投資した資金が少なくなる元本割れのリスクも上昇します。長期的に積み立てながら運用するのが、インデックス投資の基本だと覚えておきましょう。
アクティブ投資とは、企業の業績や株価の分析などを行い、インデックスを上回る利益を目指す運用方法です。
運用の専門家にアクティブ投資を行ってもらいたいなら、アクティブ型の投資信託を選ぶ必要があります。アクティブ型の投資信託は、慣習的にアクティブファンドと呼ばれるのが特徴です。厳密にいうとアクティブ投資型の投資信託ですが、一般的にはアクティブファンドと呼ばれることが多いと覚えておきましょう。
アクティブ投資は、特定の指数と連動させて安定した利益を狙うインデックス投資よりも、投資先を厳選して高いリターンを目指すのが特徴です。
パフォーマンスを発揮できると多くの利益を期待できますが、分散投資を行うインデックス投資よりもリスクが高いのがデメリット。運用する人の腕前にも左右されます。利益の出る銘柄やファンドを選ぶのも難しく、投資の知識と経験が必要になる手法です。
実際にインデックス投資をする際の、具体的な手段と方法も確認しておきましょう。
インデックス投資をしたいなら、インデックスファンドの購入を検討してみましょう。インデックスファンドは、インデックス型の投資信託だと理解してください。
後述するETFとは違い、上場せずにインデックス投資を行う投資信託です。上場とは、証券取引所を通じて取引できる状態のこと。インデックスファンドは上場していないため、商品の数や種類が豊富で、株価指数以外に債権や不動産に連動させるタイプもあります。
購入手数料はノーロードといわれる無料のものがあり、売却手数料も最近の商品は不要のものが増えてきました。運用や管理に対する信託報酬は必要になるものの、安く設定された商品が増えてきたので、資金が少なくても始めやすいのがうれしいポイント。
インデックスファンドは、証券会社・銀行・信用金庫・郵便局など、多くの金融機関で購入が可能です。ただし、どの金融機関で購入するかで投資信託の種類や本数が変わるので注意してください。基準価額と呼ばれるインデックスファンドの売買価格は、注文した日の翌営業日に公表されます。
株式投資とは異なり、インデックスファンドは1日に1度しか取引できません。よくいえば取引の手間が少ないため、ある程度は放置しても運用できるといえるでしょう。市場をチェックする暇がない人や、頻繁に取引することに慣れていない初心者におすすめです。
ETF(上場投資信託)は、名前のとおり上場している投資信託です。株価指数はもちろん、債権や不動産に連動させるタイプもありますが、インデックスファンドよりも商品数は少ない傾向にあります。
管理や運用にかかる信託報酬は、以前はインデックスファンドよりもETFのほうが安いことが一般的だったものの、現在はETFのほうが少し安い程度でほとんど差がない状態です。
ただし、株式のように証券取引所に注文するので、取引時間内に相場を確認しながらリアルタイムで売買が可能です。米国のETFをリアルタイムで売買するなら、時差の影響で夜間に取引をしないといけないので気をつけましょう。
インデックスファンドやETFなどを購入せずに、投資家個人でインデックス投資をすることもできます。ただし、購入する費用や管理が大変なのが難点です。
例えば、日経平均株価に連動する投資を自分で行うなら、日経平均株価の基準になっている多くの銘柄に自分で投資する必要があります。
ただし、自分ですべて購入するには多額の資金を用意しないといけません。国内株式の1つの銘柄を購入するには、最低でも100株を買う必要があります。すべての銘柄に対してそれぞれ100株分の資金を用意するのは、非常に難しいといえるでしょう。
また、購入した銘柄すべてを自分で管理するのも大変です。購入した全銘柄の日々の値動き・企業の動向・関連するニュースをチェックするのは、初心者はもちろんある程度投資に慣れている人でも厳しいといえます。インデックス投資がしたい場合は、投資信託やETFを購入するのが基本のやり方です。
本記事では、インデックス投資をするなら投資信託がおすすめだと解説してきました。しかし、自分に合った商品がどれなのか、実際にどのファンドを選べばいいのかわからない人も多いでしょう。
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