住宅ローンを組むときにそろえなければいけない必要書類。住宅ローンに新規で申し込みするときや借り換えをするときなどにどんな書類があるか、また、どうやって取り揃えるのか知りたい人もいるでしょう。
本記事では、住宅ローンに必要な書類を新規や借り換えなど状況に合わせて解説します。また必要書類のチェック方法や提出の仕方なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
住宅ローンは、大きく分けて事前審査・本審査・契約の3つの工程があり、各タイミングで必要書類は異なります。各工程の主な必要書類は以下のとおりです。
【事前審査(仮審査)(1か月前)】
など
【事前審査の承認と本審査(正式審査)】
など
【本審査の承認・契約手続き】
など
事前審査(仮審査)では、ローンに申込した人に返済能力があるか、また信用情報は問題ないかを審査します。返済能力の審査のがあるため、収入を証明する書類も提出しなければいけません。
事前審査で問題なかった人が行う本審査は、もっと詳しく審査をするものです。そのため、必要書類も事前審査よりも多くなります。住宅ローンで購入する物件についての書類は普段扱わない書類なので、しっかり確認して準備しましょう。
審査が終わり住宅ローンの手続きを行う際は、契約時に使う収入印紙も必要になります。
住宅ローンの新規申し込みを行うときに必要な書類について、事前審査・本審査・契約の工程ごとに詳しく解説します。
住宅ローンの事前審査の際、自分で準備しなければならない必要書類は以下のとおりです。
運転免許証などの身分証明書
健康保険証
前年分の源泉徴収票など収入確認用の書類
物件概要がわかる資料
返済予定表または残高証明書
保険証は勤務先の勤務年数を見るための証明書です。運転免許証や保険証は自分で持っているため、取得の手間はありません。
収入を確認するための源泉徴収票は、勤務先に言えばもらえます。個人事業主や会社員でも確定申告をしている人は、直近3年分の確定申告書と付表も用意しましょう。
申込をする住宅ローンのほかに返済中のローンがある場合は、返済予定表または残高証明書が必要です。
ローンの借入申込書は、金融機関からもらって自分で記入・捺印をします。この申込書に押す印鑑は認印でも問題はありません。
本審査の必要書類は事前審査と同じものもありますが、詳しい情報を知るためにより多くの書類を求められます。自分で用意しなければいけない必要書類は以下のとおりです。
本人確認書類(運転免許証など)
住民票★
印鑑証明書(実印)★
前年分の源泉徴収票など収入確認用の書類
健康保険証
売買契約書など購入不動産に関する書類★
★:本審査ではじめて求められる書類
住民票・印鑑証明書(実印)・売買契約書など、購入不動産に関する書類は本審査ではじめて準備が必要です。住民票や印鑑証明書は、市区町村役場で取る必要があります。役場は平日の日中にしか空いていませんので注意しましょう。
住民票や印鑑証明書は、マイナンバーカードがあればコンビニのマルチコピー機でも取得できます。マイナンバーカードがない、コンビニのマルチコピー機を使いたくない場合には役場へ取りに行きましょう。
なお、会社員ではなく個人事業主の場合、収入確認書類として申告所得税納税証明書・事業税納税証明書・確定申告表と付表を用意します。
本審査に通ったあとの契約時にも、事前審査と本審査では使わなかった書類が必要になります。
本人確認書類(運転免許証等)
住民票
印鑑証明書(実印)
収入印紙★
通帳★
キャッシュカード★
★:契約時に初めて求められる書類
契約時にのみ必要なものは、収入印紙と通帳、キャッシュカードです。収入印紙は郵便局で入手できますが、通帳やキャッシュカードは住宅ローンを借りる金融機関のものを用意しなければならず、少々手間がかかります。もし口座を持っていない銀行で住宅ローンを利用するなら、早めに口座開設の手続きをしておきましょう。
借り換える金融機関での事前審査を行うために、以下の書類が必要です。
本人確認書類(運転免許証など)
健康保険証
前年分の源泉徴収票など収入確認用の書類
返済予定表・残高証明書(住宅ローン以外のローンがあれば)
現在返済中の住宅ローンに関する返済予定表
返済用口座の通帳
マイホームの間取図・配置図
建物登記事項証明書
借り換えの必要書類は、新規で借りる場合の事前審査の書類と比べて多くなります。通常の事前審査に必要な本人確認書類などに加えて、借りていたローンの情報や、そのローンで買ったマイホームに関する書類が必要なためです。
現在返済中の住宅ローンに関する返済予定表は控えがありますが、それを見つけられない人は借りている金融機関で取り寄せなければいけません。
ローンで購入した住宅が実在していることを証明するために、登記事項証明書も必要です。購入した住宅を次のローンでも金融機関が担保にするため、その住宅が実在していることを確認しなければなりません。この登記事項証明書は、法務局で取得できる書類です。出向いて手続きをすることが難しいときはオンライン申請もできます。
本審査の必要書類は数が多いものの、取り寄せなくてよい書類や、事前審査ですでに取り寄せた書類もあるため、少し手間が省けます。必要なものは以下のとおりです。
本人確認書類(運転免許証など)
住民票★
実印に対応した印鑑証明書(実印も必要)★
前年分の源泉徴収票など収入確認用の書類
健康保険証など(勤続年数確認用)
現在返済中の住宅ローンに関する返済予定表など
間取図・配置図
登記事項証明書(土地・建物ともに)
土地の公図★
★:本審査のときに初めて求められる書類
まず、運転免許証や保険証は自分で持っているもので、取り寄せの必要はありません。登記事項証明書は法務局で取る必要がある書類ですが、事前審査で取得したものを提出できます。間取り図・配置図、返済予定表は自分で持っている可能性がありますが、なければ取り寄せましょう。収入を証明する書類も同じく、自分で持っている可能性がありますが、ない人は取り寄せなければいけません。
住民票や印鑑証明書は、市区町村の役場で取ることもできますし、マイナンバーカードがある人はコンビニでも取得可能です。土地の公図は登記事項証明書と同じように、法務局で取得できます。
契約時の必要書類も、新規借入と借り換えとでは違うものもあります。借り換えの契約で必要になる書類は以下のとおりです。
本人確認書類(運転免許証など)
住民票
実印
実印に対応した印鑑証明書
収入印紙★
登記済証★
キャッシュカード★
★:契約時に初めて求められる書類
住民票と印鑑登録証明書は、本審査で2通用意しておけば再取得の手間はかかりません。本契約にあたり新しく用意しなければいけないものは、収入印紙と登記済証、キャッシュカードです。
収入印紙は契約書に貼りつけるもので、金額は借入額に応じて異なります。登記済証は登記を完了したことを証明する書類です。登記事項証明書と同様に法務局で取得できます。
前述した必要書類は一般的に必要な書類の例であり、金融機関によって必要書類や提出方法は異なります。実際に申し込みをする際は利用予定の金融機関に、具体的な必要書類や提出方法を確認しましょう。書類が足りなかったり提出方法を間違えたりすると、契約が順調に進まず期限に間に合わないこともあります。
書類の不足や不備などが原因でローンの審査が間に合わない場合は、「ローン特約」を利用して、契約を解除することも検討しましょう。ローン特約とは、ローンを借りられなかった場合に契約を解除できる特約で、不動産の売買契約のときに組み込むものです。ただし、ローンが下りるように努力をしていなかった場合、ローン特約は使えません。
必要書類や提出方法は、金融機関の営業形態によっても異なります。たとえば、手続きする窓口がないネット銀行の場合、紙の書類ではなくサイトのフォーマットで申し込みを行い、捺印の必要がないことも。また、書類の提出はオンラインで完結できるケースも少なくありません。
住民票や印鑑証明書は発行日から3か月以内など、書類のなかには発行日からの有効期限がある書類もあります。書類の準備は早めが大事ですが、有効期限のある書類を早くから発行してしまうと、提出時には使えなくなってしまうので注意しましょう。
また、本人確認書類でパスポートを使う場合、パスポートの有効期限が切れていないか確認が必要です。もちろん、運転免許証は更新日が過ぎたものは使えません。金融機関に必要書類を確認するときには、有効期限までしっかり確認しておきましょう。
事前審査と本審査、本審査と契約で同じ書類を使うといったケースもあるため、2部必要な書類や、コピーで問題ない書類の種類を先に知っておくと、再発行の手間が減りスムーズです。コピーを使えない場合は、各機関での発行時にあらかじめ2部準備する必要があります。
2部必要な書類は以下のとおりです。
本人確認書類のコピー
健康保険証のコピー
印鑑証明書
住民票
売買契約書のコピー
重要事項説明書のコピー
販売パンフレットなどの図面
本人確認書類と健康保険証、売買契約書、重要事項説明書はコピーで問題ない書類であり、かつ有効期限もないため、準備の手間はかからないでしょう。一方、印鑑登録証明書や住民票は取得した日から3か月までしか使えず、コピーも不可です。
有効期限がありコピーが不可の書類を2部準備する場合は、期間を逆算し、間に合いそうなら先に2部を用意、3か月を過ぎそうなら2回に分けて取りに行くとよいでしょう。一般的に、仮審査から契約までは1~2か月とされているため、2部まとめて取得しても問題ありません。ただし、2~3月の繁忙期にかかる際や、審査に通りづらそうな懸念がある場合は少し長めに見ておくと安心です。
住宅ローンの契約で使う住民票は、マイナンバーや本籍地が記載されていないものを用意しましょう。誤ってこれらが記載されているものを入手してしまっても、該当箇所を見えないよう塗りつぶすことで問題なく使えるため、再取得の必要はありません。
ただし、世帯全員分が載っている住民票と物件関係書類の2点は、どちらか一方が提出すれば、もう一人の分は必要ありません。
外国人が住宅ローンに申し込む場合、日本人も必要な健康保険証や住民票などの書類以外に、在留カードもしくは特別永住者証明書が必要です。外国人が日本の金融機関で住宅ローンを組むためにはいくつかの条件があり、日本人が住宅ローンを組むよりもやや難しくなっています。外国籍の人が日本の金融機関で住宅ローンを組めるかどうかは条件を満たしているかどうかで決まるもので、審査に際してその条件を満たしていることを証明する書類を準備しなければいけません。
外国籍の人がローンを組むのに必要な条件は、永住許可があることです。また、永住許可がない人は日本国籍か永住許可を持つ配偶者がいる、その配偶者が連帯保証人になることが必要となります。
また、国籍が日本でも外国でも、借入申込をしたときの年齢が20~65歳、完済する予定の年齢が80歳未満であることが必要です。就業2年以上、前年度税込年収が300万円以上の正社員や契約社員などの条件も満たさないと住宅ローンを組むことは難しくなります。そのため、そういった条件を満たしていると証明する書類も必要です。
郵送の場合、書類によっては原本の提出が必要ないこともあります。コピーでよい書類は原本をコピーしたものを郵送しましょう。
どこの金融機関で住宅ローンを利用しようか迷っている人はこちらの記事も参考にしてください。おすすめの住宅ローンをランキング形式で紹介しています。
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