住宅ローンは借入れする金額が大きく、返済期間も長いので、40歳からでも住宅ローンを組めるのか不安な人もいるでしょう。
そこで本記事では、40歳で住宅ローンを申し込む場合の資金状況や、申し込み時に気をつけることを解説します。住宅ローンを組むのにおすすめな金融機関も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
実は、住宅ローンを40歳で組むのは遅くなく、むしろ平均的といえます。代表的な住宅ローンのフラット35利用調査では2021年度の借入平均年齢は41.5歳です。また、2021年度の融資内容で注文住宅、建売住宅、マンション、中古戸建、中古マンションの5つの項目が平均年齢40歳以上で融資を受けた結果が出ています。
住宅の購入は人によって個人差がありますが、借入の平均年齢は40歳以上が多いことから、40歳で家を買うのは遅くないといえるでしょう。
44歳までは最長期間の35年で住宅ローンの借入を受けられます。住宅ローンには完済時の年齢が定められており、一般的には完済時80歳未満、最長35年の借入が可能です。
ただし、完済時80歳未満、最長35年を条件とした場合、45歳を超えてしまうと35年の借入はできません。借入期間が短いと借入できる金額の減少や、返済不能のリスクが高まり審査が厳しくなります。
40歳を超えても住宅ローンを組むメリットは多くあります。
40歳以降ライフスタイルが大きく変わることは少なく、資金計画が立てやすいといえます。将来的な年収や生活するうえで必要な支出も、ある程度把握しているでしょう。40代では子どもの数も確定していることが多く、将来を見据えた住宅の購入が可能です。
40代で購入する家は、終の棲家(ついのすみか)として選ぶことができます。老後の生活がある程度把握できるため、住宅選びを失敗するリスクも少ないでしょう。
終の棲家を選ぶ際は、耐用年数と老後のライフスタイルにあった住宅を選ぶことが重要です。耐用年数とは、住宅が品質を正常に維持できる年数のこと。万が一購入した物件が老後に住めなくなった場合は再度マイホームを購入することは厳しく、賃貸に引越しせざるをえません。老後に賃貸物件を選ぶのはリスクが高く、入居の年齢制限や賃貸はリフォームできないなどの問題があります。
40代後半になると返済期間が短くなるケースがあり、その場合は総返済額も少なく済みます。ローンの利息は、金利と借入金額に加え、借入期間でも支払う額が変わるため、返済期間を短くして余計な利息をなくしましょう。
ただし、返済期間が短くなることで1か月あたりの支払額が増加します。住宅ローンを組むのが遅くなり借入期間が短いと、月の返済が増えるほか、審査も通りにくいので注意しましょう。
20〜30代に比べると、40代は頭金を準備しやすい年齢です。40代は一般的に、年収も上がり貯金が増えているため資金にも余裕があるでしょう。
頭金を増やすことで、借入金額が減るうえ、金融機関からの信用にも繋がります。頭金分の利息が減るのも大きなメリットです。
40歳で住宅ローンを借り入れる際、押さえておきたいポイントが2つあります。
ローンを組む金額は、収入に対する借入返済の割合である返済比率を目安に決めましょう。返済比率は金融機関ごとに定められていますが、基本的に30〜35%を超えるとローンに通らない可能性があります。また、審査に通っても返済負担が高く、支払いに追われるため注意しましょう。
住宅ローンの金利には、審査金利と適用金利の2種類があります。審査金利は金融機関が審査時に利用する金利で、適用金利は実際の借入時に利用する金利です。適用金利は審査金利よりも低く、返済比率を抑えることができます。
返済比率を基準に借入額を決めて、余裕のある返済をしましょう。
購入物件を決めるためには、返済額の目安をシミュレーションで確認しましょう。
金融機関の金利は固定金利で年1.34%とし、返済期間は最長の35年の場合で借り入れできるケースでシミュレーションを行います。
【年収400万円】
返済比率25% → 返済総額2,791万円
返済比率30% → 返済総額3,351万円
返済比率35% → 返済総額3,887万円
【年収600万円】
【年収800万円】
上記が借入可能額の目安です。ただし、楽に返済できる目安では無いので、ギリギリまで借入を受けるのは避けましょう。
住宅ローンは、年齢が原因で審査通過が厳しくなるケースがあります。特に45歳以降は、ローン返済中に会社の定年退職があるほか、最長期間の借入ができません。借入期間が短くなれば月の返済額が増え、年間の返済額が金融機関の基準を超える場合があります。
40代は年収増加や貯蓄により資産に余裕ができる反面、年齢がネックになりやすいことを理解しましょう。
住宅ローンを組む年齢が遅いと、ローンの残債が多い状態で貯金がなくなるケースがあります。仮に44歳で住宅ローンを35年組んだ場合は80歳まで毎月ローン返済する必要があり、急な出費に対応できない可能性があるでしょう。
急な出費は主に、友人の結婚式や冠婚葬祭、家族の病気などで、いつ起きるか予想ができません。特に、年齢が上がれば病気のリスクも増えるもの。急な出費が住宅ローンと重なることで支払いが困難になるため、十分な貯蓄を用意したうえでローンの返済計画を立てましょう。
定年までに住宅ローンを完済できない場合は、老後資金を深く考える必要があります。65歳で定年退職する会社が多く、定年退職後は、年金だけで生活と返済をしなければなりません。
定年後に夫婦2人で生活する場合は、月20万以上の出費が考えられます。住宅ローンの支払いが残っていれば年金だけでまかなうことは難しく、老後の生活が苦しくなるでしょう。
万が一、定年後に住宅ローンが払えなくなり滞納した場合は連帯保証人に請求が届きます。また、最終的には自宅を売却する必要もあり、引っ越しをしなければなりません。ローンの滞納をしないためにも、老後の資金も考えて借入を受ける必要があります。
健康面に問題があると団体信用保険の加入ができず、ローン審査に影響が出ます。団体信用保険(団信)は、住宅ローンを組む際に加入できる保険で、万が一住宅ローンの契約者が死亡した場合には残債0にしてくれるため、ローンを組む際に加入することが条件です。
団信の加入には健康状態の告知が必須で、心筋梗塞や脳卒中、うつ病などの病気を持つ場合は団信に入れない場合があるでしょう。ただし、金融機関によっても審査基準が異なるため、健康状態が同じでも審査が通る場合や通らないケースがあります。
通常の団信が利用できない場合、基本的に住宅ローンが組めません。別の団信を利用することで審査に通過できても、金利が高くなるといったデメリットがあります。
完済時の年齢はできる限り低い状態で住宅ローンを組みましょう。長期ローンは利息が増えて負担が増えるうえ、審査にも影響があります。完済時の年齢を低くするには、ローンの借入期間を短くする方法がありますが、月々の返済額は増えるため、返済比率との兼ね合いも意識しなければなりません。
頭金を入れることで、借入額が少ない分利息が減り月々の支払額も減るため、可能な限り用意しておきましょう。頭金を出すと優遇金利を受けやすくなるといったメリットもあります。
とはいえ、貯金を全額使って頭金を捻出するといった方法は望ましくありません。急な出費や老後資金を考慮し、無理の無い範囲で用意しましょう。頭金の目安は、購入価格の1〜2割程度です。
住宅ローンを申し込む場合、ほかのローンを並行で組むのは控えましょう。返済比率が高くなり、住宅ローン審査に通りにくくなります。住宅ローンを申し込む前からほかで借入をしている場合は、完済するか住宅ローンの融資額を抑えましょう。
ほかの借入が多いと、月の支払いが足りずに破産する恐れもあります。
住宅ローンを組む際は、今後の収入や生活費・医療費などの出費も踏まえて資金計画を立てましょう。年金生活後もローンが返済できるのかを厳密に調べることが大事です。
先述したとおり、住宅ローン審査時の返済比率の目安は収入の30〜35%ですが、安定した返済をするため手取り収入の20%前後が理想といえます。審査に通る基準と将来的に安定した返済ができる比率は異なるため、自身の収入や出費を元に割り出しましょう。
自身のみで返済が厳しい場合、親子リレーローンを検討しましょう。親子リレーローンとは、子どもの了承を得たうえで、親から子へローンを引き継ぐ仕組みです。
親子リレーローンを利用することで、通常の住宅ローンよりも返済期間を長くできます。リフォームや住み替えの際も利用できるのもメリットです。
ただし、万が一親が亡くなった場合は子どもが債務を引き継ぐ必要があります。トラブルの原因になるケースもあるので、親子が内容を十分に理解したうえで判断しましょう。
住宅ローンを組んだ後でも、返済の負担を減らすことができます。
退職金などで資金に余裕ができたら、繰り上げ返済を活用するのがおすすめです。繰り上げ返済には期間短縮と返済額変更の2種類があり、自身にあった方法を活用しましょう。
期間短縮は、まとめて支払った分だけ返済期間を短縮する方法です。完済時の年齢を縮められ、利息も大幅に減りますが、月々の支払額自体は変わりません。
返済額変更は、月々の返済額を減らす方法です。完済時の年齢は変わらないため、まとめて支払いすぎると定年後の生活に影響が出るかもしれません。
繰り上げ返済には手数料がかかる金融機関もあります。また、今後退職金が入るからといって、少しでも利息を減らそうと貯金を使い切るのはやめましょう。急な出費に対応できず破産のリスクがあります。
無駄な出費を減らすことで資金に余裕ができ、安定したローンの返済ができます。毎月の固定費は、無駄に出費をしているケースが多く見直す必要があるでしょう。主に通信費や保険料が該当します。携帯会社は同じ通信料で2倍の価格差があり、保険も同じ内容で安い会社があるかもしれません。
固定費を減らすことで、その分住宅ローンの返済に回すことができます。
住宅ローン控除を活用すれば返済額を減らせます。住宅ローン控除とは、所得税から住宅ローン残高の0.7%が控除される制度です。自身が住む住宅を購入することで最大13年の控除を受けられるので利用しましょう。
40歳でもローンを組むことは可能です。ただし、老後の生活を見すえて正しい資金管理が必要になるでしょう。
下の記事では住宅ローンを組むおすすめの金融機関を徹底解説しています。40歳でマイホームを購入する際はぜひチェックしましょう。
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