24時間電源が入っており、基本的に稼動音が目立たない冷蔵庫。しかし、突然異音が発生し、睡眠や集中の妨げになる場合もあります。なかには、故障の可能性が考えられるほど大きな音に悩まされている人も多いかもしれません。
そこで今回は、冷蔵庫から音がする原因を、音の種類別に解説します。音が気になるときの対策や、修理や買い替えの判断基準も紹介するので、冷蔵庫の異音が気になる人はぜひ参考にしてくださいね。
ダイソンの派遣販売員として、ケーズデンキなど家電量販店で掃除機の接客・販売を2年間担当した経験を持つ。マイベストへ入社後はその経験を活かし空気清浄機・除湿機・オイルヒーター・スティッククリーナーなど季節家電・空調家電や掃除機をはじめ白物家電全般を専門にガイドを担当し、日立やシャープ、パナソニックなどの総合家電メーカーから、ダイニチ工業・Sharkなどの専門メーカーまで、150以上の家電製品を比較検証してきた。毎日使う家電製品だからこそ、本当によい商品を誰もが簡単に選べるように、性能はもちろん省エネ性能やお手入れのしやすさまでひとつひとつ丁寧に確認しながらコンテンツ制作を行う。
冷蔵庫から聞こえる音にはさまざまな種類があり、それぞれ原因が異なります。音の種類ごとに発生箇所やメカニズムが異なるため、注意深く聞き分けましょう。
「ブーン」や「ヒューン」という音は、内部の温度が上昇しており、冷却システムが活発に稼動しているサインです。温度があがると、コンプレッサーや冷媒の循環ポンプが集中的に作動し、動作音が通常より大きく聞こえるようになります。
たとえば、扉の開閉を繰り返したり、大量の食品を一度に入れたりすると、庫内温度があがり動作音が継続することに。また、新品の冷蔵庫をはじめて稼動するときや気温が高い時期は、内部を急速に冷やすため、コンプレッサーがフル稼動して音が目立ちがちです。
動作音が何時間も続く・耳障りな高音が混じる・本体が異常に振動しているなどの場合は、冷却系のトラブルが疑われるため、修理や買い替えを検討しましょう。
「ピーピー」という警告音が冷蔵庫から鳴る場合は、扉が正しく閉まっているかチェックしましょう。ドアが開いたままだと庫内の冷気が逃げて温度が上昇するため、内蔵されたセンサーが異常を検知し、アラーム音で知らせる仕組みです。
食品袋の一部がドアに挟まっている場合や、パッキンが劣化して吸着力が落ちている場合は、しっかり閉じたつもりでも隙間が生じます。定期的な清掃で密閉性を維持できますが、繰り返し警告音が鳴るようならパッキン交換のサインです。異常が続く場合は、点検やパーツ交換を検討してください。
冷蔵庫から「ボコボコ」「カチカチ」などの音がするのは、冷媒であるフロンガスが圧縮・蒸発を繰り返す過程で発生する自然な流動音です。
冷媒が配管内を移動する際には、液体から気体へ、またはその逆へと状態を変化させながら熱を移動させます。変化する際に発生する圧力変化や振動が、「ボコボコ」「ジュー」「ピチピチ」などの音として聞こえる仕組みです。
とくに冷蔵室と冷凍室をつなぐ冷媒路や蒸発器の周辺では、音が顕著に現れます。ただし、明らかに音が大きい場合や、止まらずに長時間続くようであれば、冷媒の漏れや配管の詰まりが隠れている可能性も。違和感がある場合は、専門業者に状態を確認してもらいましょう。
「カタカタ」という音が聞こえる場合は、瓶や缶などの容器がドアの開閉時や冷蔵庫の微振動によって共振している可能性があります。冷蔵庫はコンプレッサーの動作などで微細な揺れを発生させるため、ドアポケットに置かれた容器がわずかに動き、棚や隣の容器と接触することが。機械的な異常ではなく、収納状態による振動音といえます。
とくに多いのは、ドアを閉めた瞬間に「カタッ」と音が鳴るパターンです。瓶同士や容器と棚のわずかな隙間が原因なので、物理的な損傷ではありません。音が気になるなら、冷蔵庫の下に滑り止めシートやクッション材を挟むと軽減できます。また、瓶が棚に直接触れないよう収納方法を見直すのも効果的です。
「ガタガタ」という音は、設置場所の不安定さが原因である可能性があります。冷蔵庫内部のコンプレッサーや冷媒配管のわずかな振動が、壁や周辺の家具に伝わると、「ガタガタ」「ビビビ」「ジジジ」などの音が大きく聞こえるもの。床が傾いていたり、脚の高さ調整が不十分だったりすると、本体が不安定になり音が発生しやすくなります。
長年同じ場所に置いていると床がへこみ、冷蔵庫がわずかに傾くことも、振動音の原因になりがちです。気になる場合は、脚部の高さを調整したり、設置面に滑り止めを敷くと改善することがありますよ。製氷時に「ガタッ」という音が発生することもあるため、音のタイミングを確認してくださいね。
「カラカラ」と乾いた音がする場合は、冷却ファンの劣化や霜・氷の付着を疑いましょう。ファンの摩耗や異物の付着によって、空気流通部で接触・干渉音が生じていると考えられます。
長年使用していると、プラスチック製のファンに亀裂が入っているかもしれません。また、冷蔵室・製氷室・冷凍室などのドアを開けて音が止まる場合は、庫内の冷却ファンに霜や氷が付着している可能性があります。
霜や氷は定期的に取り除いて、ファンの動きを妨げないようにしましょう。ファン自体が破損している場合は無理に分解せず、メーカーや専門業者へ点検・交換を依頼してくださいね。
「コンコン」と軽い打音が聞こえるなら、ダンパーサーモの稼動や不具合が考えられます。気温が高くなる季節には、庫内の温度が上昇しやすくなり、ダンパーサーモの作動頻度が増すためです。
ダンパーサーモは、冷蔵庫の冷却をコントロールする装置のこと。正常に機能しないと、冷えすぎて食品が凍ったり、逆に温度が下がらず傷んだりします。音が長時間続く、冷却が効かない・効きすぎるなどの症状が見られる場合は、故障の可能性を考慮しましょう。
部品の修理や交換は内部構造へのアクセスが必要で、一般の人には難易度が高めです。異音が続く場合や冷却に不具合がある場合は、分解せずメーカーや修理業者に相談してください。
冷蔵庫の音が気になるときは、防振シートを脚の下に敷いて対策しましょう。設置面との接地音や振動を効果的に吸収し、耳障りな運転音の軽減が可能です。
防振シートには適度なクッション性があり、冷蔵庫の微細な振動が床に直接伝わるのを防ぎます。使う際は、冷蔵庫の四隅すべてに敷くとバランスが取れ、安定感も向上します。重みで床が傷つくのを防ぐという点でも役立ちますよ。
ただし、シートのサイズや厚みが合わないと、冷蔵庫が傾いてしまう場合があります。設置場所に応じてカットするなど、調整して使いましょう。
冷蔵庫からの異音が長時間続く場合は、内部に何らかの不具合が生じている可能性があります。音の種類によっては、冷却機能の低下やパーツの故障につながるかもしれません。放置せずに、修理や買い替えを検討してくださいね。
冷蔵庫の異音が気になる場合、まずは保証期間を確認しましょう。保証期間内であれば、メーカーによる修理や部品交換が無料、または比較的安価で済む場合があります。
冷蔵庫は、本体は購入日から1年間、冷凍サイクル・冷却器用ファン・モーターなどの主要部品は5年間の保証がついていることが一般的です。
一方、保証期間をすぎた場合の修理費用は、想像以上に高額になることもあります。たとえば、霜取り関連の修理は31,000円~36,000円程度、庫内冷却ファンは33,000円~35,000円程度。コンプレッサーに至っては、修理に10万円以上かかることもあります。
修理を依頼する際は、保証書やレシートなどの購入証明書を手元に用意しておきましょう。また、保証の対象範囲や適用条件を事前に確認すると、スムーズな対応が受けられます。
10年以上使っている冷蔵庫に異音や不具合が発生したときは、買い替えを検討するのが現実的です。新しいモデルなら、省エネ性能や静音性が大幅に進化しており、快適に使える可能性が高いといえます。
古い冷蔵庫は消費電力が大きく、電気代もかさみやすいもの。たとえば、約10年前のモデルから最新機種に替えると、年間電気代を約28〜35%も削減できる可能性があります。金額に換算すると、年間で約3,190〜4,430円ほどの節約につながるので見逃せません(参照:一般財団法人 家電製品協会)。
最新の冷蔵庫は運転音もより静かです。インバーター技術の進化により、コンプレッサーの稼動音が抑えられていいます。
ただし、冷蔵庫の処分にはリサイクル費用がかかるため、事前に自治体の処分費用を確認しましょう。まだ使用可能な状態なら、リサイクルショップや中古家電買取業者への売却も選択肢に入れてくださいね。
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