新しいパーツを導入したり、PCの動作が遅くなったと感じたりすると、性能を評価できるシステムがあれば便利なのにと思いますよね。そこで使用するのがベンチマークソフトです。しかし、ベンチマークという言葉を聞いたことはあっても、何ができるのか・どのソフトを使えばいいのかわからず困っている人もいるでしょう。
そこで今回は、PCのベンチマークとは何か、調べるメリットや注意点も含めて解説します。代表的なソフトも紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
新卒でPC周辺機器・スマホアクセサリー・カーアクセサリーを取り扱うメーカーに入社。法人営業・広報を担当し、商品開発にも携わる。2023年2月にマイベストに入社し、モバイルバッテリーやビデオカメラなどガジェットやカメラの比較・コンテンツ制作を経験。現在では、家電・カーバイク用品など幅広いジャンルのコンテンツ制作に携わる。「専門性をもとにした調査・検証を通じ、一人ひとりに合った選択肢を分かりやすく提案すること」ことを心がけて、コンテンツ制作を行っている。
PCのベンチマークとは、コンピュータの性能を数値で測定するテストのことです。CPU・GPU・ストレージ・メモリなど、PCの各パーツがどれくらいの処理能力を持っているかを客観的に知ることができます。ベンチマークテストの結果を元に、ほかのPCやパーツと比較したり、PC全体の処理速度が低下する原因を特定することが可能です。
たとえば、最新のゲームを快適にプレイしたい場合、ベンチマークで「このPCは〇〇FPSでゲームを動かせるか?」を確認できます。また、高解像度の映像編集や3Dモデリングをスムーズに行いたい場合に、GPUの性能が十分かどうかの調査も可能です。ストレージに関しても、「データの読み書き速度が〇〇MB/sを超えているか?」といった性能を確認できますよ。
ただし、ベンチマークの結果は、測定時の環境や設定に影響を受けることがあります。たとえば、バックグラウンドで実行しているアプリケーションやOS、ドライバの状態などが影響するため、同じ条件で測定することが重要です。
1つのベンチマークスコアだけでPCの性能を判断せず、複数のテストを総合的に評価して、実際の使用目的に合った性能かどうかを確認しましょう。おすすめのベンチマークソフトをチェックしたい人は、下記コンテンツをチェックしてください。
PCのベンチマークソフトでは、さまざまなパーツの性能を測定することができます。それぞれのパーツの性能がPCの動作にどう影響するか、チェックしましょう。
CPU(中央演算処理装置)性能は、PC全体の動作に大きな影響を与えます。命令を処理して実行するPCの頭脳ともいえるパーツなので、とくに重要な指標です。
複数のアプリを同時に開いて作業したり、動画のエンコードや写真の現像など、計算を多く必要とする作業を行ったりする場合、高いCPU性能が求められます。ベンチマークソフトを使えば、CPUがどれくらいの速さでデータの処理を行えるか数値化することが可能です。数値を確認できるため、「このCPUなら4K動画の編集もスムーズにこなせるだろう」といった具体的な判断が可能になります。
ただし、処理性能を測定するうえで最も大切なのはクロック周波数ですが、周波数が高いからといってCPUが高性能であるとはいえません。CPUの性能を示すコア数・スレッド数などの要素も影響します。実際の使用感はGPUやストレージなど、ほかのパーツのスペックによっても変わるので、総合的に考慮することが重要です。
GPU(グラフィック処理装置)の性能は、PCがどれだけ高速かつ滑らかに画像や映像を描写できるかを測る重要な指標です。
GPUはCPUが苦手とする並列計算、大量のデータを同時に処理する処理に特化しており、膨大なピクセル情報を瞬時に計算して画面に表示する役割を担っています。高性能なGPUを搭載していると、高解像度のゲームや複雑なグラフィックを使うアプリをスムーズに動作させることが可能です。
ベンチマークテストでは、特定の解像度やグラフィック設定でどれくらいのフレームレート(FPS)を維持できるか数値化できます。フレームレートとは、映像のなめらかさに影響する単位のこと。リアルなゲーム体験を表現するには、高解像・高フレームレートで表示ができるGPUが必要です。
CADソフトでの複雑な設計図表示といったクリエイティブな作業においても、GPU性能が作業効率に大きな影響を与えます。
ストレージ性能は、PCがデータの読み書きをどれだけ高速に行えるかを示す指標です。OSの起動やアプリの立ち上げ、ファイルの転送速度など、PCの日常的な動作に直接的な影響を与えます。
ベンチマークテストで測定できるのは、シーケンシャルリード/ライトとランダムリード/ライトの2種類です。
ストレージの空き容量が少なくなると性能が低下する場合があるため、定期的な整理や管理を心がけることも大切です。
メモリ性能は、マルチタスクの快適さやアプリケーションの応答性に関わる重要な指標です。メモリとは、コンピューターが一時的にデータを保存し、CPUがアクセスできるようにするための記憶装置をさします。
メモリの容量や性能が不足していると、CPUが必要なデータに迅速にアクセスできません。PC全体の処理速度が低下する「ボトルネック」が発生してしまうため、メモリ性能を測定することは快適にPCを使ううえで不可欠です。
ベンチマークツールで測定できるのは、メモリの帯域幅やレイテンシなど。測定することにより、「このPCでは動画編集にメモリが不足しているから、増設を検討しよう」といった具体的な判断が可能になります。
総合的なPCの性能は、システム全体としてどれだけバランスよく、効率的に機能するかを示す指標です。CPU・GPU・ストレージ・メモリなど、個々のパーツが高性能であっても、すべてのパーツが協調して動作しないとパフォーマンスは低下します。
たとえば、Webサイトを閲覧する・オンライン会議を行うなど、日常的なタスクが中心であれば超高性能なGPUは必要ありません。画像や映像を描写する役割があるGPUよりも、PCの頭脳であるCPUと処理速度に影響するメモリやストレージのスペックに着目し、バランスよく搭載されたPCを選ぶ必要があります。
総合ベンチマークツールを使用すれば、実際の利用状況に近い形でPC全体のパフォーマンスの数値化が可能です。ベンチマークツールでシステム全体のパフォーマンスを評価すれば、「このPCなら複数のアプリを同時に開いてもサクサク動くだろう」といった、より実践的な判断ができます。
PCの性能を数値化できるベンチマークソフトは多数あります。代表的なベンチマークソフトを紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
Cinebench(シネベンチ)は、CPUの処理能力を測定するためのベンチマークソフトです。スコアは「pts」という単位で表示され、数値が大きいほど高性能であることを示しています。
プロフェッショナルな3Dコンテンツ制作ソフトウェア「Cinema 4D」のレンダリングエンジンを基盤としており、実際の作業に近い形でCPUに高い負荷をかけられるのが特徴。CPUのパフォーマンスを実際のクリエイティブ作業に適した形で把握できるため、非常に信頼性の高い評価ツールとして広く使用されています。
測定できるのは、シングルコア性能・マルチコア性能などです。シングルコアは単一のアプリケーション、マルチコアは複数のアプリケーションを同時に実行する際の能力を示しています。ベンチマークスコアが高いと、下記のようなシーンで快適さを感じられますよ。
3DMarkは、主にゲームやグラフィック描写の観点からPCのGPU性能を評価するためのベンチマークソフトです。Windows PC・Mac・タブレット・スマートフォンなど、さまざまなデバイスのがグラフィック性能を数値化できます。
3DMarkを使えば、実際のゲームプレイにおける負荷をシミュレートして、PCのグラフィック処理能力を詳細に測定可能です。たとえば、最新のPCゲームを快適にプレイできるかを知りたいときや、購入を検討しているゲーミングPCのGPU性能を比較したい場合などに役立ちます。
CrystalDiskMarkは、ストレージの読み書き速度を測定できるベンチマークソフトです。OSの起動時間、アプリケーションの起動速度、大容量ファイルの転送速度など、PCの体感速度に直結するストレージ性能を客観的に評価できます。
測定できるのは、シーケンシャルアクセスとランダムアクセスです。たとえば、PCの祖動作が遅くなっていると感じた場合を想定します。CrystalDiskMarkを使ってストレージの速度を測定し、ランダムアクセスの速度が極端に低く出たとしましょう。この結果をふまえると、ストレージ性能が原因でPC全体の処理速度が落ちていると判断できます。
CrystalDiskMarkのスコアは通常「MB/s」(メガバイト/秒)で表示され、数値が大きいほど高速です。測定すると「このSSDは読み込み速度が500MB/s出るので、OSの起動が速くなるだろう」と想定できるので、新しいストレージを購入する際の目安にもなりますよ。
PCMarkは、オフィスで行うタスクをカバーするテストが多数収録された総合ベンチマークソフトです。Webブラウジング・文書作成・ビデオ会議など、PCの日常的な利用における総合的な性能を評価します。
たとえば、新しいノートPCの購入を検討しており、主にMicrosoft OfficeのオフィスソフトやWeb会議ツールを使い、YouTubeで動画を視聴する程度だとします。この場合、PCMarkのスコアを参考にすることで、システム全体がこれらの日常的なタスクをどれだけスムーズに処理できるかを把握することが可能です。
もしPCMarkのスコアが高ければ、普段行うほとんどの作業において快適な操作性が期待できると判断できます。とくに最新版である「PCMark 10」は、現代のオフィス環境でのPC利用状況を想定したテスト項目が充実しており、ビジネス用途のPC選びに非常に有用です。使用シーンにあわせた推奨スコアは下記のとおりです。
<スコア>
ベンチマークソフトでパーツやシステム全体の性能を測定したら、ご自身の使い方に合うパーツ・PCを購入しましょう。選び方やおすすめ商品は、下記コンテンツを参考にしてくださいね。
AMD社が開発するCPUで、価格に対して性能が高いと評判のRyzen。しかし、パソコンの自作や買い替えを検討している人のなかには「Ryzenはやめとけ」という意見を目にし、避けたほうがよいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、Ryzenはやめとけといわれる理由を紹介します。...
ゲーミングPC
パソコンのCPUの性能を引き出すために、冷却性能が高いクーラーとして簡易水冷の導入を検討している人も多いでしょう。しかし、「簡易水冷はやめとけ」という意見も多くあり、購入をためらってしまいますよね。そこで今回は、簡易水冷はやめとけといわれる理由や、本格水冷・空冷式との違いを解説します。簡易水冷...
ゲーミングPC
ゲームプレイに特化し、通常のパソコンよりも高い性能を誇るゲーミングPC。しかし、画質や処理性能に優れている分、使用時の電気代は高額になりがちです。とくにゲームのプレイ時間が長かったり、シャットダウンが面倒でつけっぱなしにしたりする人は、毎月の電気代がどのくらいかかるのか気になりますよね。そこで...
ゲーミングPC
ゲームを快適にプレイできるように高い性能を持っているため、高額なモデルが多いゲーミングPC。少しでもお得に入手するために、セール時期に購入したいと考えている人も多いでしょう。そこで今回は、2025年5月のゲーミングPCのセール情報を、BTOメーカー別に解説します。お得な時期やセールにまつわる注...
ゲーミングPC