AMD社が開発するCPUで、価格に対して性能が高いと評判のRyzen。しかし、パソコンの自作や買い替えを検討している人のなかには「Ryzenはやめとけ」という意見を目にし、避けたほうがよいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、Ryzenはやめとけといわれる理由を紹介します。Ryzenがおすすめな人の特徴や、Intelとの違いも解説するので、CPUやパソコンを購入する前にチェックしてくださいね。
新卒でPC周辺機器・スマホアクセサリー・カーアクセサリーを取り扱うメーカーに入社。法人営業・広報を担当し、商品開発にも携わる。2023年2月にマイベストに入社し、モバイルバッテリーやビデオカメラなどガジェットやカメラの比較・コンテンツ制作を経験。現在では、家電・カーバイク用品など幅広いジャンルのコンテンツ制作に携わる。「専門性をもとにした調査・検証を通じ、一人ひとりに合った選択肢を分かりやすく提案すること」ことを心がけて、コンテンツ制作を行っている。
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「Ryzenはやめとけ」といわれる理由として、過去に起こったトラブルや、消費電力の大きさなどが挙げられます。まずは、Ryzenで挙げられるデメリットと実際の評価を解説するので、把握しておきましょう。
RyzenはIntelに比べて知名度や市場シェアが低いため、一般ユーザーからの信頼性や互換性に対する疑問が残っているのが実情です。
大手CPUメーカーのIntelは長年にわたりCPU市場の大多数を占めており、ブランドとしての信頼感が厚いことが特徴です。さらに、多くのソフトウェアや周辺機器がIntel向けに最適化されているため、Ryzenは互換性の面でやや不利と見なされやすい点も。2023年の市場調査では、Intelが約7割、AMDが約3割のシェアを持っており、Intelの優勢が明確です。
ただし近年、Ryzenは飛躍的に性能を伸ばしており、コストパフォーマンスの高さでも注目されていることも。クリエイティブ作業やマルチスレッド処理ではIntelを上回る場面も増えているため、無視できない存在といえます。
Ryzenは一部のパーツやソフトウェアとの互換性において、問題が指摘されることがあるため、導入時に注意が必要です。とくに新しい世代のRyzenプロセッサーを使用する場合、マザーボードのBIOSアップデートが求められるケースがあり、不慣れな人はハードルを感じるかもしれません。
また、Ryzen 7000シリーズでは、対応するマザーボードのBIOSが古い状態だと正常に起動しないという報告が見られました。ただし、互換性の問題は初期設定やアップデートを怠った場合に起こるもの。事前に必要な情報を確認して準備すればスムーズに使用できるので、構えすぎる必要はありません。
過去に報告された初期不良の印象が、現在も一部のユーザーに残っていることも原因のひとつ。とくに初期のRyzenモデルでは、特定の環境下での動作不良や相性問題が多々見られたようです。
たとえばRyzen 7 9800XやRyzen 9000シリーズでは、メモリやBIOSのバージョンとの相性によって起動しないケースが報告されていました。しかし現在では、製造品質やソフトウェアの信頼性が格段に向上しています。古い印象だけで判断せず、最新の情報に基づいて選びましょう。
一部のRyzenモデルは発熱や消費電力が大きいとされるものの、モデルによって性能と効率のバランスに差があります。性能を重視するCPUでは、発熱や消費電力が高くなりがちですが、AMDは構造の刷新により効率化を進めてきました。
たとえば、Ryzen 7 9700Xは熱設計電力を示すTDPが65Wに抑えられており、空冷クーラーでも安定して運用できる仕様です。一方で、Ryzen 7000シリーズの高性能モデルであるRyzen 9 7950Xは、TDPが170Wと高く、フルパフォーマンスを発揮するには強力な冷却環境が欠かせません。
Ryzen 9クラスのCPUを使用する場合は、適切な冷却対策を講じることが前提です。冷却性能の高いクーラーや、十分な通気性を備えたケースを組み合わせて使用しましょう。
Ryzenの一部モデルには内蔵GPUが搭載されておらず、グラフィック表示には別途グラフィックボードの用意が必要です。AMDはあえて内蔵GPUを省いた、Ryzen Fシリーズをラインアップしています。
たとえば、Ryzen 7 8700FやRyzen 5 8400Fなどは、グラフィック処理をすべて外部GPUに任せる設計です。ディスプレイに映像を出力するには外部GPUが不可欠なので、自作PC初心者や内蔵グラフィックで済ませたい人は注意してくださいね。
もし内蔵GPUを求めるなら、Ryzen GシリーズなどのGPU搭載モデルを選びましょう。軽作業や省スペースPCに向いており、コストを抑えたい人にも適しています。
マルチタスクを行う人・価格重視の人・将来的にアップグレードを考えている人は、Ryzenの購入がおすすめです。Ryzenのメリットをもとに、おすすめする理由を解説します。
Ryzenはマルチコア性能が高いため、動画編集やコンテンツ制作などのマルチタスクを行う人におすすめです。多コア・多スレッド設計を採用しており、複数の処理を同時に行う能力に優れています。作業の合間に編集したデータを動画として書き出すレンダリングを進めたり、大容量の動画をエンコードしながら編集を続けたりしても、快適な動作を期待できる点が魅力です。
たとえば、Ryzen 9 7950Xは16コア32スレッドの多コア設計。動画エンコードや3Dレンダリングなどの重い作業も、スムーズにこなせます。プロレベルの作業環境を整えたい人にとって、頼もしいスペックです。
Adobe Premiere ProやBlenderなど、マルチスレッドに最適化されたソフトを使う場合、とくに力を発揮します。作業時間の短縮や効率向上につながるため、本格的なクリエイティブ用途にはRyzenがおすすめです。
Ryzenは価格帯の選択肢が広く、コストパフォーマンスを重視する人にぴったりのCPUといえます。下位モデルであっても、高い性能を持っていることが魅力。同クラスのIntel製品と比較しても安価で手に入るケースが多く、限られた予算でも満足度の高いPC構成が可能です。
たとえば、Ryzen 5 5600は20,000円以下で6コア12スレッドのスペックを誇り、ゲームやオフィス作業に十分な性能を発揮します。価格を抑えつつも、快適な動作環境を整えたい人におすすめです。
中古市場でもRyzenは人気が高く、状態のよい製品を安く手に入れられるチャンスがあります。コストを抑えて購入したい人は、ぜひチェックしてくださいね。
Ryzenはプラットフォームの互換性が高く柔軟性があるので、将来的なアップグレードを考えている人におすすめです。
AMDは長期間にわたり同じソケットを採用しており、とくにAM4ソケットは複数世代に対応しています。一度マザーボードを購入すれば、CPUだけを差し替えて性能アップを図れるケースが多く、費用を抑えつつステップアップが可能です。
たとえば、Ryzen 3000番台から5000番台までは同じAM4ソケットを採用しており、多くのマザーボードでCPUの乗せ換えが行えます。古い構成を活かしつつ、性能の底あげが可能です。
ただし、アップグレード時にはBIOSの更新が必要な場合もあるため、事前にマザーボードの対応状況を確認しておきましょう。また、Ryzen 7000番台はAM5ソケットを採用しており、AM4との互換性はありません。
Ryzenの購入を検討しているものの、どのモデルを購入すべきか悩んでいる人も多いでしょう。モデルに応じて性能は異なるため、ライフスタイルや用途に適したものを選ぶことが大切です。
以下のコンテンツでは、RyzenのおすすめCPUをランキング形式で紹介しています。世代別に各モデルの特徴を紹介しているので、ぜひチェックしてくださいね。
ゲーム用途であれば、シングルコア性能に優れたIntel製CPUが適しているといえます。Ryzenが多コア構成でマルチタスクに強い一方で、Intelは単一の処理速度を重視した設計を採用しているためです。とくに最新世代では、高性能なPコアと省電力なEコアを組み合わせて、パフォーマンスの向上とスピードを両立しています。
多くのPCゲームはマルチスレッドよりも、シングルスレッド性能に依存しているもの。とくにFPSや対戦型ゲームなど、瞬時の反応やフレームレートが勝敗を左右する場面では、安定した高パフォーマンスを期待できます。
また、Intelは少ない消費電力で高い性能を引き出せるため、ノートPCを使ったテレワークや日常業務にも向いています。IntelのCPUやゲーミングPCを知りたい人は、以下のコンテンツもチェックしてくださいね。
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