テレビだけでなく、インターネット回線サービスも提供するケーブルテレビ(CATV)。利用を考えている人のなかには、CATVのネット回線速度は遅いのか気になる人もいるでしょう。
本記事では、光回線と比較したCATVのネット回線速度のほか、CATVのメリット・デメリットを紹介します。CATVのネット回線を検討中の人は利用するかどうか、すでに利用中の人は別のネット回線サービスに乗り換えるかどうかの判断に役立ててみてください。

大手家電量販店出身で、7,000人以上に携帯電話の販売や通信サービスの契約を担当。主要な通信会社の料金プランや販売機種をすべて把握し、その豊富な知識で店舗販売ランキングにおいて個人表彰もされている。 その後マイベストに入社、携帯電話や光ファイバー回線キャリア・インターネットプロバイダーなどの通信会社を専門に担当しており、格安SIMやホームルーターを実際に回線契約し各社の料金プランや通信速度の比較を行うとともに、モバイルだけでなく10社以上の戸建て・マンション向けの光回線の通信速度・速度制限も調査している。 また自身が行う検証の中で通信会社の公表値と異なる数値も発表、わかりにくいと言われる通信サービスだからこそ、理解しやすく信頼できるコンテンツの企画制作を心掛けている。
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CATVはインターネット速度が遅いといわれることが少なくありません。契約してから後悔することがないように、実際の通信速度や光回線との違いをチェックしておきましょう。
CATVのネット回線速度は、光回線に比べて遅い傾向があります。一般的に、光回線の最大通信速度は上り・下りともに1Gbpsです。事業者によっては、最大5Gbps・10Gbps対応のプランもありますよ。Gbpsとはネット通信の速さを表すもので、数値が大きいほど速度が速いことを意味します。
一方のCATVでは、上りの最大通信速度が10Mbps、下りが320Mbpsのプランも珍しくありません。1Gbpsは1,000Mbpsのため、光回線に比べて速度が遅いことがわかるでしょう。1Gbps対応のプランがないわけではありませんが、速度の面では光回線のほうが有利です。
上記の最大通信速度はあくまでも理論値であり、光回線・CATVともに実際の速度を意味する実測値は異なります。快適にインターネット通信を行うためには、実測値で30Mbps程度はほしいところです。
オンラインゲームや大容量のファイルを取り扱う場合には、100Mbps程度が望ましいといわれています。利用目的に応じて必要な速度が変わるため、CATVの最大通信速度や実測値でも満足できるかどうかを考えてみてください。
CATV回線・光回線の両方のプランがあるJ:COMを例に、それぞれの実測値をチェックしてみましょう。CATV回線を使ったJ:COM NETの実測値は、下り244.34Mbps、上り39.18Mbpsです(※)。
J:COMでは、光回線であるauひかりの回線を使った「J:COM NET 光 10G・5G・1Gコース on auひかり」も一部地域で提供しています。実測値は下り511.11Mbps、上り432.24Mbpsと、CATV回線を使ったプランの実測値に比べると圧倒的な速さです(※)。
2023年3月時点。参照:みんなのネット回線速度(みんそく)
J:COMの例では、日常使いのネット利用であれば十分な速度が出ています。しかし接続環境やプラン、事業者などによっては、CATVのネット速度に物足りなさを感じる場合もあるでしょう。最大通信速度を重視するのであれば、光回線などの別の選択肢を検討するのが得策と考えられます。
CATVのインターネット回線速度が遅いといわれる理由には、配線方式が関係しています。CATVのネット回線の配線方式はHFC方式、一般的な光回線の配線方式はFTTH方式です。
HFC方式とは、ケーブルテレビ局から途中までは光ファイバーケーブルが、以降の自宅までは同軸ケーブルが用いられる配線方式のこと。一方のFTTH方式は、配線のすべてに光ファイバーケーブルを利用する仕組みです。
両者を比較すると、HFC方式は光ファイバーケーブルが途中までしか用いられていないことから、FTTH方式よりも通信速度が出にくいといわれています。
ただし事業者によっては、CATVでもFTTH方式を利用可能です。総務省の「ケーブルテレビの現状」によると、CATVではHFC方式とほぼ同じ割合でFTTH方式が採用されています(令和3年度末時点)。
速度にこだわる場合は、FTTH方式を取り入れているCATV事業者・プラン、または光回線事業者を検討するのがおすすめです。
CATVのネット回線には、サービスの利用料金や提供エリアに関するデメリットもあります。CATVの特徴の理解を深めるために、光回線事業者のサービスと比較しながらデメリットを確認してみましょう。
光回線事業者に比べて、CATVのインターネット回線は月額料金がやや高い傾向があります。CATVの代表例としてJ:COM、光回線の代表例としてドコモ光・SoftBank 光・auひかりの料金を比較してみましょう。
J:COMの「J:COM NET 320Mコース」の料金は6,798円/月、「J:COM NET 1Gコース」の料金は7,348円/月です。地域や住居タイプによって選択できるプランが異なるため、あくまでも目安として参考にしてください。
すべて税込み一方、ドコモ光の「1ギガ タイプA」、SoftBank 光の「1ギガタイププラン」、auひかりの「ホーム1ギガ(ギガ得プラン)」はすべて5,720円/月。CATVのJ:COMとの差は1,078~1,628円/月です。
すべて税込み。戸建向け2年自動更新プランの月額料金インターネット目的のみで契約するのであれば、CATVよりも光回線のほうが料金を抑えられるでしょう。
全国一律で同じサービスが受けられるわけではなく、ネット回線のプラン内容や料金は事業者によってさまざまです。居住地域で加入できるCATVのサービスが希望に合わない可能性もあるでしょう。
CATVのネット回線を利用するのであれば、居住地域で加入できるCATV事業者の提供プランを入念にチェックすることが大切です。
通信速度・料金・提供エリアに関するデメリットはあるものの、CATVのインターネット回線にはメリットもあります。接続方法やセット割引などに関するメリットを確認し、CATVの利用を検討するうえでの判断材料にしてください。
CATVのメリットのひとつは、ネット回線が安定しやすいことです。CATVはケーブルを使ってケーブルテレビ局と自宅をつなぎます。
回線を有線で引き込むため、電波を利用するホームルーターやモバイルWi-Fiルーターに比べて通信状況が安定しており、周辺環境による影響もあまり受けません。自宅で安定したネット通信を行いたいのであれば、CATVが向いているでしょう。
CATV事業者によっては、テレビとインターネットをお得に使えるプランを提供していることがあります。たとえばJ:COMには、「スマートお得セレクト1G(TV+NETコース)」や「スマートお得プラン1G(TV+NETコース)」などのセットプランがありますよ。
それぞれの月額料金は、スマートお得セレクト1G(TV+NETコース)が7,300円/月、スマートお得プラン1G(TV+NETコース)が10,428円/月です。
すべて税込み、関東エリアの集合住宅向けのプラン料金
J:COMのネット回線を単独で申し込むと、プランによっては7,000~8,000円程度かかることも。テレビとセットで申し込むことによって、それぞれを単体で契約するよりもお得に利用できる可能性が高まります。
気になるCATV事業者がある場合は、現状のテレビ・ネット回線のトータル料金よりも安くなるかどうかをチェックしてみましょう。
すでにCATVの回線を引き込んでいる建物の場合、工事不要でインターネットを利用できます。たとえばJ:COMの導入が完了している集合住宅では、最短4日でネット回線の利用が可能。2021年1月時点で、集合住宅におけるJ:COMの導入率は約84%です。
J:COMをはじめとしたCATV導入済みの物件であれば、自宅にネット回線を引き込む大がかりな工事を避けられます。すぐにネット回線を利用したい人にとっては、メリットが大きいといえるでしょう。
CATVのインターネット回線は、ネット利用よりもテレビを見る機会のほうが多い人に向いています。CATVでは再放送を含む地上デジタル放送のほか、BSデジタル放送・CSデジタル放送の専門チャンネルなど多種多様なコンテンツが視聴可能です。
光回線に比べるとネットの通信速度は劣りやすいですが、ネットの使用頻度が少ないのであればそれほどデメリットに感じないでしょう。
なお、もともとCATVでテレビを視聴している場合は、別のネット回線事業者を探す手間なくネットの申込みができます。テレビの利用がメインの人は、テレビもネットもCATVにまとめるのがおすすめです。
インターネットを日ごろから利用していて通信速度を重視する人には、CATVよりも光回線がおすすめです。
基本的に光回線で用いられる配線方式のほうが、通信速度が有利とされています。光回線のプランは最大通信速度1Gbpsが一般的であるのに対し、CATVは1Gbpsに満たないプランも多いのが現状です。
光回線の導入を視野に入れる場合には、おすすめサービスや選び方を紹介した以下の記事も参考にしてみてください。
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