住宅の購入を検討しているものの、世帯の収入状況などを考えると夫婦で分担して返済を進めたいと考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、夫婦で住宅ローンを組むにもどのように申し込めばよいのか分からない人や、どんな落とし穴があるのかと悩んでいる人もいるでしょう。
本記事では、夫婦で住宅ローンを組む方法と注意点を解説します。メリット・デメリットをあわせて解説するので、住宅ローンを検討する際はぜひ参考にしてみてください。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
夫婦が共同で住宅ローンを組むには、下記の3つの選択肢があります。
連帯保証型
連帯債務型
ペアローン
連帯保証型は、1人が債務者となりもう片方が連帯保証人の役割を果たすタイプ。単独で住宅ローンを組む場合は、債務者(契約者)の収入のみで審査されますが、連帯保証型の場合は夫婦の収入を合算した金額で審査されます。そのため、収入に不安を抱える家庭でも審査に通る可能性が高まるでしょう。
連帯債務型は1人が主債務者となりつつも、2人で債務を負う仕組み。形式としては連帯保証型で同じですが、2人とも債務者になるため双方が住宅ローン控除やフラット35の団信に加入できる特徴を持ちます。
ペアローンは、夫婦2人が独立した債務者となり持ち分ごとに契約・支払いを行う仕組み。1つの物件を夫と妻2本の契約で返済するため、それぞれが自分のローンを持っている状態になります。
夫婦で住宅ローンを組む場合は、メリットとデメリットがそれぞれ3つずつあります。事前に確認して適切な返済計画をたてましょう。
本項では、連帯保証型のメリットとデメリットを解説します。保証人の位置づけに注目しながら確認してみてください。
連帯保証型には2つのメリットがあります。
連帯保証人の返済能力によって借入できる金額が単独のときよりも増える
諸費用の負担は1人分で済む
単独の場合は1人の収入を元に審査されますが、連帯保証型の場合は主債務者にプラスしてパートナーの収入が考慮されるため、審査に通過しやすかったり、ひとりのときよりも多額の借り入れができたりします。
さらに、事務手数料や印紙税の費用が1本分で済むため、ペアローンよりも初期費用の節約ができるでしょう。
連帯保証型は3つのデメリットがあります。
連帯保証人であるパートナーは住宅ローン控除を受けられない
連帯保証人であるパートナーは団信に加入できない
離婚した場合、すぐに連帯保証人から外れるのは難しい
連帯保証人はあくまで万が一のときの役割のため、住宅ローン控除を受けられません。夫婦といえども債務者(契約者)は1人のため、連帯保証人は団信に加入できない点も注意しましょう。さらに、債務者に何かあったときは連帯保証人である妻(夫)が支払いをすべて担う可能性があります。
連帯保証型でローンを組んだ場合は、離婚する際も手続きが必要です。もともと2人の収入を鑑みてローン審査を通過しているため、離婚したからといってすぐに連帯保証人を外れることはできません。連帯保証人を外れるためには、金融機関や保証会社で連帯保証人の差し替え手続きが必要です。離婚時の精神的疲労とあわせて、煩雑な手続きを行わなければなりません。
次に、連帯債務型のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
夫婦それぞれで住宅ローン控除を受けることができる
諸費用の負担は1人分のみ
それぞれ審査されるため、借入できる金額が単独のときよりも増える
連帯債務型は債務者が2人になるため、それぞれが住宅ローン控除を受けられます。ローンとしては1本とみなされるため諸費用は1人分で済むのもメリット。さらに、連帯保証型同様に、借入できる金額が増える可能性がある点も強みといえるでしょう。
連帯債務型は、以下3つのデメリットに留意しましょう。
取り扱う民間の金融機関が少ない
金融機関は団体信用生命保険に加入できない可能性がある
フラット35なら連帯債務者も団信に加入できるが高額
連帯債務型は、取り扱う金融機関が少ないため商品の選択肢が少なく、場合によっては団信に加入できないものがあります。
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害などにより返済ができなくなった際、ローン残高が弁済される制度です。連帯債務型の場合、主債務者しかこの団信に加入できない可能性があります。フラット35であれば、団信特約料が1.56倍かかりますが、連帯債務型でも団信への加入が可能です。
3つ目はペアローンのメリットとデメリットです。メリットが大きい分、デメリットの把握が大切です。
ペアローンは以下3つのメリットがあります。
借入できる金額が単独のときよりも増える
夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できる
ペアローンは、1つの物件を夫婦それぞれで契約し自分のローンを持つタイプのため、2人の収入を合算できるのが特徴です。1人の収入だと希望金額を借りられない場合も、ペアローンであれば高額の融資を受けやすくなります。
また、ペアローンは契約者2人分の住宅ローン控除を受けられるため、節税効果が高い方法です。さらに、2人同時に団信に加入できるのもメリット。万が一夫婦どちらが高度障害や死亡により返済ができなくなった場合、その対象者のローン返済は保険により賄われるため、残高の支払い負担を軽減できます。
ペアローンは以下4つのデメリットに注意しましょう。
諸費用の負担が2倍
収入が減少しても毎月の返済額は変わらない
片方が退職した際に住宅ローン控除を受けられない
離婚した場合は双方に返済義務が生じる
ペアローンの場合は住宅ローンを2本契約するため、手数料や印紙税が2倍です。さらに、どちらかの収入が減少しても返済額は変わらないため、融資額や返済額を高めに設定していた場合は支払いが苦しくなるでしょう。
片方が退職した際に、住宅ローン控除を片方が受けられなくなるのもデメリットです。ペアローンの魅力の一つが2人分の住宅ローン控除を受けられることですが、退職してしまうと所得税がかからなくなるため、その恩恵を受けられません。
また、ペアローンはそれぞれが契約者になるため、借入期間中に離婚してもそれぞれに返済義務が生じます。片方が住み続け2人で払い続ける場合、どちらかの支払いが滞ると連帯保証人としてもう一人が2人分の返済義務を負わなければなりません。売却する手段もありますが、売却価格よりローン残高が上回るオーバーローンの場合は手放すのが難しくなります。離婚時にさまざまな問題が生じる点は理解しておきましょう。
夫婦の収入を合算して住宅ローンを組む際、借入可能額が単独のときよりも大きくなり、返済額まで高く設定してしまう懸念があります。
借入可能額が大きいと自分好みの物件を確保しやすいですが、返済が滞っては本末転倒です。長期の返済のため、夫婦のどちらかが働けなくなったりライフバランスの変化があったりする場合を考えて、手取り収入の25%以内で無理のない返済金額を設定しましょう。
離婚後に揉め事が起きず返済できれば問題ありませんが、離婚後は心理的にも経済的にもトラブルが起きやすいもの。さらに、どちらかが自宅を出ていく場合は契約の変更が必要です。離婚によって債務者が家を出る場合は、金融機関から支払いが滞る可能性を懸念され、一括返済を求められるケースもあります。
さらに、返済金額が5:5にもかかわらず物件や土地の所有割合が7:3の場合は、7割を占めている側が贈与を受けていると判断されます。そのため、返済金額と所有割合を同じ比率にしたり、返済の肩代わりを避けたりなど、贈与税が発生しない返済計画を行いましょう。
夫婦で住宅ローンを組む際は、主に下記の条件を満たす必要があります。
20歳以上65歳以下、かつ完済時年齢が80歳未満
連続した就業が2年以上、かつ前年度税込み年収300万円以上
雇用形態が正社員または契約社員
団体信用生命保険に加入できる健康状態であること
上記以外にも、金融機関によっては条件を設定しているケースがあります。住宅ローンを検討する際は、事前に公式サイトで確認しておきましょう。
夫婦で住宅ローンを組む際は、ローンの種類によって審査対象になる人が異なります。
ペアローンの場合、2本の契約になるので審査は夫婦それぞれです。たとえば3,000万円の住宅購入を検討している場合、夫が2,000万円、妻が1,000万円として契約を行い、それぞれで審査を行います。
連帯保証型と連帯債務型の場合、申し込みした人のみ審査を受けますが、収入は2人の割合を合算して審査されます。単独ローンと同様に、収入が低ければ審査に通りにくいため、収入や勤続年数に優れているパートナーを申込者にすると審査の通過率が高まるでしょう。
最後に、夫婦で住宅ローンを組む際によくある質問に回答します。疑問点を解消して自分にぴったりなローンを選択しましょう。
連帯保証型で債務者が団信に入っている場合、住宅ローンの返済は免除されます。連帯債務型は、夫婦どちらかしか団信に入っていない場合に残された人が引き続き返済する仕組みです。ただし、フラット35は団体信用生命保険への加入が必須ではありません。加入していなければ住宅ローンが免除されないため、契約時は万が一を想定した計画がおすすめです。
ペアローンは2本の契約でローンを返済する仕組みですが、それぞれが団信に加入している場合、亡くなった側の住宅ローンの返済義務がなくなります。たとえば、夫3,000万円と妻2,000万円でペアローンを組んでいた場合、夫が亡くなると3,000万円の返済義務がなくなり、妻は自分の2,000万円のみ支払う仕組みです。
住宅ローン申し込み時にパートナーがパートやアルバイトでも、基本的に申し込みは可能です。
ただし、金融機関によって申し込みの条件は異なっているため、なかにはNGのケースも。検討中の住宅ローンが、パート・アルバイトの人でも申し込みできるかは、事前に漏れなく確認しておいてくださいね。
住宅ローンを申し込む際、パートナーがブラックリストに載っていると審査に影響が出ることがあります。ペアローンは夫婦別々に審査をするため、ブラックリストに入っているパートナーが審査に落ちるかもしれません。
収入合算の連帯保証型と連帯債務型の場合、夫婦のどちらも信用情報が調査されるため、片方がブラックリストに入っていると審査の通過は難しいでしょう。夫婦でどちらかがブラックリストに入っている場合は、入っていない人が単独で申し込みしたほうが審査に通る可能性が高いことがあります。
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