長くエアコンを使っていると、「古くなってきたけれど、まだ使える?」「冷えが悪くなってきた気がする」などと気になるもの。しかし、実際どのくらいの年数まで使えるのか、いつ買い替えるべきなのか判断に迷いますよね。
そこで今回は、エアコンに設定されている耐用年数や、買い替え時に減価償却として経費計上できるかを解説します。寿命との違いや減価償却の計算方法も解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
ダイソンの派遣販売員として、ケーズデンキなど家電量販店で掃除機の接客・販売を2年間担当した経験を持つ。マイベストへ入社後はその経験を活かし空気清浄機・除湿機・オイルヒーター・スティッククリーナーなど季節家電・空調家電や掃除機をはじめ白物家電全般を専門にガイドを担当し、日立やシャープ、パナソニックなどの総合家電メーカーから、ダイニチ工業・Sharkなどの専門メーカーまで、150以上の家電製品を比較検証してきた。毎日使う家電製品だからこそ、本当によい商品を誰もが簡単に選べるように、性能はもちろん省エネ性能やお手入れのしやすさまでひとつひとつ丁寧に確認しながらコンテンツ制作を行う。
エアコンの耐用年数と寿命は、実は似て非なるものです。どちらもエアコンを使い続けるうえで重要なワードですが、混同すると誤解を招くことがあるため以下で確認しましょう。
耐用年数とは、資産を使用できる期間を法的・会計的に定めたものをいいます。実際に使用できるかどうかではなく、減価償却するうえでどの程度の期間資産として価値を持つかを判断する指標です。
国税庁の公式サイトには耐用年数表が提示されており、企業や個人事業主が資産を計上するときに費用として償却できる期間の目安となります。
使用環境やメンテナンスの状態によって、使用可能な期間が耐用年数を前後する場合も少なくありません。
寿命とは、エアコンが実際に問題なく使用できる期間のことです。税務や会計上の処理に使われる耐用年数とは異なり、機械としての物理的・機能的な限界を指します。
定期的なフィルター掃除や点検を行っていれば、耐用年数は6年とされている家庭用エアコンでも10年以上稼働する場合も。ただし、寿命を迎えたエアコンを無理に使い続けると、火災などの安全面のリスクが高まるため注意が必要です。
エアコンの内部は自分で掃除ができないため、業者に依頼をしましょう。おすすめのエアコンクリーニング業者は、下記コンテンツでチェックしてみてくださいね。
エアコンは毎年のように使う家電だけに、買い替えのタイミングが難しいですよね。家庭用と業務用では使い方や設置環境が異なるため、耐用年数にも差が出ます。以下でそれぞれの耐用年数を確認しましょう。
国税庁が定める減価償却資産の耐用年数表において、器具・備品に分類される家庭用エアコンの耐用年数は6年と定められています(参照:国税庁)。
設置場所や使用頻度によっても変わりますが、定期的なフィルター掃除や専門業者による点検など、メンテナンス次第では10年以上快適に使い続けられるケースも珍しくありません。日頃の手入れが寿命を左右する大きなポイントです。
業務用エアコンの耐用年数は15年です(参照:国税庁)。家庭用よりも出力が高いので、オフィスや店舗・施設などでの長時間稼働できるよう設計されています。国税庁の耐用年数表の分類は、建物附属設備です。
家庭用エアコンと同じく、長く使うためには定期的なメンテナンスが欠かせません。フィルターの詰まりや内部の汚れなどは、放置せずメンテナンスを依頼しましょう。
耐用年数が近づいたエアコンは、買い替えをおすすめします。ある程度年数が経過したエアコンは、内部の部品が劣化して故障しやすくなるため、修理の頻度が増えて費用も高くなりがちです。思い切って買い替えることで、長い目で見たときの費用を抑えられます。
また、メーカーでは製造打ち切り後10年しか部品を保管しません。10年以上使用すると部品がなく、修理ができない場合があります。無理に使い続けるより、余裕をもって買い替えたほうが慌てて新調するという事態を防げますよ。
買い替え時は、補助金制度や省エネ性能に注目しましょう。購入費用や電気代が大きく変わることもあります。エアコンの選び方は、下記コンテンツを参考にしてくださいね。
事業用としてエアコンを購入する場合、購入費用は減価償却の対象になります。エアコンは1年以上の継続使用が見込まれる資産だからです。
減価償却とは、資産の取得費用を耐用年数の期間で費用配分する会計上の手続きのこと。事業の利益を正確に把握できるだけでなく、毎年少しずつ経費として計上することで課税所得を抑えられ、納税の負担を軽減できます。
たとえば、100万円の業務用エアコンを購入した場合、一括で全額経費として計上すると節税できるのは初年度のみです。対して、減価償却した場合は長期的に分割して経費計上できるため、安定した節税につながります。
なお、税務上は正確な計算と経費管理が求められるため、確定申告を行う場合は支出の記録をきちんと残すことが大切です。経費管理の手間を少なくしたい人は、以下のコンテンツも参考にしてください。
減価償却の計算方法は、定額法と定率法の2種類あります。法人か個人事業主か、または資産の種類によって使用する計算方法が異なるためです。ここではそれぞれの計算方法を解説します。
定額法は、毎年同じ金額の償却費を計上する計算方法です。取得価額 × 定額法の償却率で算出されるため、費用の計上額が一定になり収支の管理がしやすくなります。
たとえば、100万円のエアコンを10年かけて償却する場合、経費として計上するのは毎年10万円です。
原則、定額法を使うのは個人事業主ですが、建物やソフトウェアのような一部の資産は法人・個人事業主関係なく定額法を使用できます。ただし、届け出が必要な場合があるので注意しましょう。
定率法は、年々償却費が減っていく計算方法です。未償却残高 × 定率法の償却率で算出されるため、毎年の償却費は変動します。徐々に償却費が減るので、資産を取得した直後のほうが節税効果が高いのが特徴です。
たとえば、100万円のエアコンを耐用年数10年・償却率0.200で定率法により償却すると、初年度の償却費は20万円。2年目以降は、100万円のうち償却されていない未償却残高に0.200をかけた金額が経費として計上されます。計算結果が償却保証額を下回る場合は、保証額分を毎年同額で償却する仕組みです。
なお、業務用エアコンは建物附属設備に分類されるため、減価償却方法の届け出を行っていない事業者は定額法を選んだものとみなされます。定率法で計算したい場合は、設立第1期の確定申告書の提出期限までに届け出を行いましょう。