部屋全体を暖められるエアコンの暖房機能。しかし、急に冷え込んで久々に暖房をつけたら効かない…ということも少なくありません。故障していて修理が必要なのか、買い替えないといけないのかと悩みますよね。
そこで今回は、エアコンの暖房が効かない原因と対処法を解説します。修理を依頼した場合の費用や買い替えのタイミングも解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
ダイソンの派遣販売員として、ケーズデンキなど家電量販店で掃除機の接客・販売を2年間担当した経験を持つ。マイベストへ入社後はその経験を活かし空気清浄機・除湿機・オイルヒーター・スティッククリーナーなど季節家電・空調家電や掃除機をはじめ白物家電全般を専門にガイドを担当し、日立やシャープ、パナソニックなどの総合家電メーカーから、ダイニチ工業・Sharkなどの専門メーカーまで、150以上の家電製品を比較検証してきた。毎日使う家電製品だからこそ、本当によい商品を誰もが簡単に選べるように、性能はもちろん省エネ性能やお手入れのしやすさまでひとつひとつ丁寧に確認しながらコンテンツ制作を行う。
エアコンの暖房が効かない主な原因は8つあります。詳しく解説するのでチェックしましょう。
運転モードや風向き設定が適切でないと、エアコンの暖房効果が弱くなります。
冷房や除湿モードでは温風が出ず、部屋を暖めることができません。消費電力を抑えるエコモードに設定されているときも暖房効果が弱くなることがあります。自動運転モードになっていないかのチェックも重要です。自動運転だと室温に応じて調整されるため、暖かさを感じにくい場合があります。
暖かい空気は上に溜まりやすいため、風向きを上方向に設定している場合も足元はなかなか暖まりません。風量が弱や自動に設定されている場合も暖まりにくいので、設定の変更が必要です。
フィルターや内部の汚れは、エアコンの暖房効率を著しく低下させます。
エアコンは室内の空気を取り込み温風にして放出する仕組みです。フィルターにホコリや汚れが溜まると十分に空気を取り込めないため、エアコンが本来の性能を発揮できません。エアコン内部が汚れている場合も同様です。
設定した温度まで暖めるのにパワーが必要になるので、運転の効率が悪く電気代もかさみます。
暖房が一時的に止まっているのは霜取り運転のためであり、故障ではありません。
冬の冷え込みが厳しい時期には、室外機に霜が付着しやすくなります。霜がたまると熱交換ができなくなるため、エアコンは自動で霜を溶かす「霜取り運転」を行い、その間は暖房が一時的にストップする仕組みです。
運転を開始して10分程度待ち、温風が出てきたら正常に働いています。
エアコンの冷媒ガスが不足しても暖房が効かなくなります。
冷媒ガスとは、エアコン内部で室内の空気を温めるために必要な熱の移動を行う重要な役割を担う部品のこと。冷媒ガスが不足すると熱の交換がうまくいかないため、温風が出にくくなります。
たとえば、長年使っているエアコンで急に暖まらなくなった場合や、本体の警告ランプが点滅しているときは、冷媒ガスが漏れている可能性があります。こうした異常が見られるときは注意が必要です。
エアコンの冷媒ガスが漏れる原因は、エアコン取付時の工事の不備や室外機の転倒、配管などの部品の劣化などが挙げられます。冷媒ガスが漏れているかの判断は難しいため、専門業者に点検を依頼しましょう。
室内機や室外機の周囲に障害物があると、暖房効率が低下します。
エアコンは空気を吸い込み、暖めてから排出する仕組みです。吸排気口が塞がれていると効率よく空気を循環させることができず、部屋が暖まりにくくなります。
たとえば、室内機の前に大きな家具を置いていたり、室外機の周囲に植木鉢や物干し台が密集していたりいると、空気の通り道が遮られてしまいます。室外機が雪に埋もれて吸排気口を塞いでいる場合も対処が必要です。
部屋の広さに対してエアコンの暖房能力が不足していると、十分に部屋が暖りません。
エアコンはそれぞれ対応する畳数に基づいて設計されています。規定より広い空間で使用すると、供給できる熱量が足りず、部屋全体がなかなか暖まりません。
たとえば、20畳の広いリビングに6畳用の小型エアコンを設置していると、出力を最大にしても暖房が追いつかず、寒さを感じる時間が長くなります。
家の構造によって暖房が効きにくい場合もあるので、あわせてチェックしておきましょう。天井が高い家や吹き抜けがある家は、室温が上がるまでに時間がかかります。窓が大きい・多い部屋、日差しが入りにくい北向きの部屋も暖房が効きにくいので、家の構造もふまえて暖房能力の確認が必要です。
気密性が低い住宅では、暖かい空気が逃げやすくなります。
すき間風や断熱性の低さが原因で、せっかく温めた空気が部屋にとどまらず、外へと流出してしまうのが原因です。
たとえば、古い木造住宅で窓のサッシにすき間があったり、壁や天井に断熱材が入っていなかったりすると、外の冷気が侵入しやすくなります。
外気温が低すぎる場合も、エアコンの暖房能力が十分に発揮されません。
エアコンは外の空気から熱を取り込むため、外気温が低くなるとその効率が下がり、温風を出す力が弱まります。
たとえば、外気温が0℃を下回るような寒い日には、エアコンの立ち上がりが遅く感じたり、霜取り運転が頻繁に作動することがあります。これも外気温の影響によるものです。
寒冷地に住んでいる人や冬の冷え込みが厳しい地域では、エアコンだけだと暖かさを感じにくい場合があるでしょう。
エアコンの暖房が効かない原因がわかったら、まずは対処法を試しましょう。ここでは5つの対処法をご紹介します。
設定を見直し、風向きや風量を調整することで、室内に暖かい空気を効率よく行き渡らせることができます。
まずは、運転モードが暖房になっているかを確認してください。冷房・ドライ・送風に設定されていると部屋は暖まりません。設定温度が低すぎても温風が出ないので、寒いと感じるときは温度を上げましょう。
暖かい空気は上に溜まる性質があるので、風向きを下に向けて温風を足元へ送ることも大切です。風量は中~強、または自動に設定しましょう。
効率よく部屋を暖めたいなら、サーキュレーターを併用するのがおすすめです。室内の空気がしっかり撹拌されて温度のムラが解消します。サーキュレーターは、エアコンの対角線上に置いて上向きに送風すると効果的ですよ。下記コンテンツでは、部屋全体を快適な環境にできるサーキュレーターを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
隙間風や窓からの冷気を遮断することで、室内の暖かさを保てます。
エアコンで暖めた空気が外に逃げてしまうと、暖房効率が下がり、快適な室温が保てません。外気の侵入を防ぐことで、エアコンの効果を最大限に引き出せるようになります。
たとえば、ドアや窓のすき間にを塞ぐテープを貼ったり、窓に断熱シートを貼ったりする方法があります。厚手のカーテンを使うのも冷気を遮るうえで有効です。工事が可能であれば、内窓を取り付けると高い断熱効果が期待できますよ。
手軽に購入できる窓用の断熱シートや断熱カーテンで対策をしたい人は、下記コンテンツをチェックしてくださいね。
フィルターや内部の清掃を行うと、暖房効率がアップします。
ホコリや汚れがエアコン内部に溜まると空気の流れが悪くなり、なかなか部屋が暖まりません。清掃して本来の性能を引き出しましょう。
フィルターの自動お掃除機能が付いているエアコンであっても、油やカビなどは取り除けないため、表面にホコリが付いて落ちにくい汚れになることもあります。お掃除機能付きの場合も、エアコンを使うシーズンに合わせて清掃しましょう。
<フィルターを掃除する手順>
エアコン内部の清掃は専門業者に依頼しましょう。自分で無理に分解すると故障のリスクがあるため、取り扱いには注意が必要です。エアコンクリーニングを依頼したい人は、下記コンテンツでおすすめの掃除業者をチェックしてくださいね。
室外機の周囲を整理すると空気の流れがスムーズになり、暖房効果が高まります。
室外機は外気を取り込んで熱交換を行うため、吸排気口が塞がれているとエアコンの性能が十分に発揮されません。空気の流れを遮らないようスペースを空けると、部屋が暖まりやすくなります。
室外機の前に植木鉢や自転車を置いているなら移動させましょう。雪が積もっている場合は取り除いてください。
ゴミやホコリが溜まっていても暖房効率が落ちるので、定期的に掃除が必要です。室外機周辺のゴミやホコリはほうきを使って掃除をしましょう。室外機の裏面と側面にあるフィンが汚れているときは、掃除機や歯ブラシを使ってかき出してください。
エアコンだけで暖まりにくい場合は、ほかの暖房器具を併用するのがおすすめです。
エアコンは部屋全体を均一に暖めるのに時間がかかることがあるため、補助暖房を活用すると短時間で室温を上げられます。石油ファンヒーターや電気ストーブを使えば、暖かい風が届きにくい足元を素早く暖めることが可能です。
ホットカーペットやこたつで暖まるのもよいでしょう。エアコンの弱点を補う暖房器具とあわせて使えば、効率よく部屋が暖まり電気代の節約にもつながりますよ。
加湿器を使用して湿度を上げることも効果的です。湿度が上がると体感温度も上がるので、室温を上げなくても暖かさを感じやすいですよ。
ほかの家電製品と組み合わせて使用したい人は、下記コンテンツも参考にしてくださいね。
自分でできる対処法をすべて試しても改善しない場合は、専門業者に修理を依頼しましょう。
自分で対処できるものもありますが、内部の故障やガス漏れなどが原因の場合は、素人では対応できません。無理に使い続けると、さらに状態が悪化する恐れもあります。
保証期間内であれば、メーカーや購入した家電量販店に相談すると無償で修理できる場合がありますよ。保証期間が過ぎているなら、専門の業者に修理を依頼しましょう。
<修理費用の目安>
保証期間が終了してもメーカーに修理は依頼できるので、見積りを依頼して専門業者と比較するとよいでしょう。修理が必要ない状態だったとしても出張費や診断料がかかる場合があるので、キャンセル時の費用も確認してくださいね。
エアコンの使用年数が10年を超えている場合、買い替えを検討するのがおすすめです。
エアコンの寿命は一般的に10年とされています。メーカーが部品を保存する期間が製造打ち切り後10年なので、故障した際の修理も困難です。修理費用が高額になる場合も、思い切って新しいエアコンを導入したほうが経済的でしょう。
長く使っているエアコンは最新機種と比較して省エネ性能が劣るため、買い替えると電気代の節約にもつながりますよ。長期的なコストパフォーマンスをふまえて検討してくださいね。
寒冷地でエアコンの暖房を使いたい人は、低暖房能力に注目して選びましょう。暖房能力は室温20℃に対し外気温7℃、低暖房能力は室温20℃に対し外気温2℃の場合の能力を示しています。低暖房能力の数字が大きいほど素早く部屋を暖められますよ。気候や間取りに合わせて、下記コンテンツを参考に新しいエアコンを購入しましょう。
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