暑い夏に欠かせないエアコン。しかし、効きが悪かったり急に冷えなくなったりすると、暑さでイライラすることもありますよね。手軽に買い換えられるものではないからこそ、自分でできる対処法や修理を依頼すべきかの判断も気になるところです。
そこで今回は、エアコンが冷えない原因と対処法を解説します。エアコン内部や室外機の掃除方法も詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
ダイソンの派遣販売員として、ケーズデンキなど家電量販店で掃除機の接客・販売を2年間担当した経験を持つ。マイベストへ入社後はその経験を活かし空気清浄機・除湿機・オイルヒーター・スティッククリーナーなど季節家電・空調家電や掃除機をはじめ白物家電全般を専門にガイドを担当し、日立やシャープ、パナソニックなどの総合家電メーカーから、ダイニチ工業・Sharkなどの専門メーカーまで、150以上の家電製品を比較検証してきた。毎日使う家電製品だからこそ、本当によい商品を誰もが簡単に選べるように、性能はもちろん省エネ性能やお手入れのしやすさまでひとつひとつ丁寧に確認しながらコンテンツ制作を行う。
エアコンが冷えない場合、大きく分けて5つの原因が考えられます。思い当たることはないか、順番に確認していきましょう。
フィルターにほこりがたまっていたり、室外機にゴミが詰まっていたりすると、空気の流れがスムーズにいかず、冷えにくくなることがあります。冷えにくいと感じたときは、まず室内機のフィルターや室外機のまわりを見てみましょう。
エアコンは部屋の空気を吸い込んでから冷やし、涼しい風を送り出す仕組みです。フィルターは空気中のほこりや花粉を受け止める場所であり、汚れがたまると必要な空気が取り込めなくなってしまいます。
外に置かれた室外機も、ゴミや砂ぼこりなどが吹き出し口に詰まったりファンに絡んだりすると、排熱がうまくできずに運転効率が下がる原因に。とくに強風が吹いた後や落ち葉が多い季節は、知らないうちにゴミがたまりやすいため注意が必要です。
なかなか部屋が冷えない場合は、冷媒ガスが漏れている可能性があります。冷媒ガスは、室内機と室外機をつなぐパイプの中を流れていて、空気を冷やすために欠かせない存在です。
しかし、パイプの接続部分が腐食していたり、経年劣化によって破損していたりするとガス漏れが発生します。冷媒ガスが少なくなると室温のコントロールができず、涼しくならないと感じることがあるでしょう。
エアコンの能力と部屋の広さが合っていない場合も、部屋がなかなか冷えない原因の1つです。部屋が広いのに能力の小さいエアコンを使っていると、冷たい風が全体に行き渡らず、効きが悪いと感じることがあるでしょう。
エアコンの適応畳数は、何畳の部屋に設置するかだけでなく、建物の構造や方角などにも関係しています。とくに木造の家は気密性が低いため、鉄筋コンクリートに比べて適応畳数が大きめのものが必要です。
たとえば、8〜12畳用と書かれたエアコンの場合、8畳は木造平屋建て南向き、12畳は鉄筋中間階南向きが基準。また、大きな窓がある場合や天井が高い部屋は、冷えるまでに時間がかかるため、ワンランク上のパワーを選ぶ必要があります。
エアコンの効きが悪いときは、本体の性能だけでなく室内機や室外機の周囲にあるものが原因の可能性もあります。風の通り道に障害物があると、冷たい空気が部屋全体に届きにくくなり、涼しくならないと感じることがあるでしょう。
たとえば、室内機の吹き出し口の前に背の高い棚があったり、シャンデリアのような大きめの照明や観葉植物が置かれていたりして風が遮られていることも。また、室外機のまわりに植木鉢・バケツ・ゴミなどがあっても、排熱が妨げられて冷房の効率が落ちてしまいます。
さらに注意したいのが、室外機に直射日光が当たっているケースです。直射日光により室外機が熱を持ちすぎてしまうと冷却効率が下がり、機種によっては故障の原因になる可能性があります。直射日光はカバーなどで対策できることもあるので、まずは設置場所や周囲の状況を確認しましょう。
エアコンが冷えない原因として、部品の劣化や故障が関係していることも。とくに長く使っているエアコンは、コンプレッサーやセンサーなどの主要な部品が少しずつ劣化し、正常に運転できなくなることがあります。
たとえば、風が出ない・異音がする・タイマーランプが点滅しているなどの症状がある場合は、何らかの異常が起きているサインです。また、室外機から出てくる風が温風でないときは、コンプレッサーがうまく作動していないことが考えられます。
エアコンが冷えない原因によっては、フィルターの掃除や周囲の整理で改善できることもあります。しかし、故障が疑われる場合は早めに専門業者へ相談することが大切です。順番に確認していきましょう。
エアコンに不調があるときは、リモコンと本体にエラーコードが表示されたり、タイマーランプが点滅したりします。エラーによっては自分で改善できるものもあれば、修理を依頼する必要があるものも。まずは、取扱説明書を見ながらエラーの詳細を確認しましょう。
たとえばパナソニックの場合、「H28(室外機のセンサー異常)」や「H50(排気ファンモーターの異常)」などのエラーは、一度電源を切ってから入れ直すことで改善するケースがあります。一方、「H11(室内機と室外機の通信不良)」などは、修理や点検が必要です(参照:Panasonic)。
シャープの場合、「E2」はフィルターの目詰まりが原因であることが多く、お手入れで改善できることがあります。「C5」が何度も表示される場合は本体が故障している可能性が高いため、販売店に相談するか、メーカーへ修理を依頼してください(参照:SHARP)。
室内機のフィルターや室外機のまわりにたまったゴミを掃除することで、風の通りがよくなり冷房効果が改善されることがあります。エアコンの掃除は、掃除機・歯ブラシ・ハンディモップなど、家にあるもので十分対応できますよ。自動掃除機能付きのエアコンでも、細かな部分は人の手で掃除することが大切です。
フィルターを掃除するときは、エアコンの電源プラグを抜いてからフロントパネルを開けてフィルターを取り外し、ほこりを掃除機で吸い取りましょう。次にシャワーで流し、細かい汚れを歯ブラシでこすったあと、水気をしっかり拭き取ります。事故やケガ防止のため、必ず取扱説明書を確認しながら掃除してください。
室外機の掃除では、外カバーについた汚れを拭き取り、ファンやドレーンホースに詰まったゴミを掃除機や歯ブラシなどで取り除きます。ドレーンホースは細く掃除が難しい場所なので、虫やゴミがたくさん詰まっていたり蜘蛛の巣などが見つかったりした場合は、防虫キャップなどで対策をしましょう。
室内機や室外機に霜がついていないかをチェックすることで、冷媒ガスの漏れを確認できることがあります。冷房モードにして15分ほど運転させたあと、室内機・室外機の状態を確認しましょう。
室内機の内部にある熱交換器に霜がついている場合は、本体側でガス漏れが起きている可能性があります。熱交換器はアルミの薄い板状の部品で、エアコンのフロントパネルを開けてフィルターを取り外すと確認できますよ。
室外機につながっている細いホースに霜がついている場合は、室外機側からガスが漏れている可能性があります。ガス漏れは自分で修理することはできません。無理に触ると故障の原因になることがあるため、霜が見られる際は早めに専門の業者へ相談しましょう。
エアコンの効きを改善するために、室内機や室外機のまわりを整理しましょう。室内機の吹き出し口付近に背の高い家具・観葉植物・照明などがある場合、風の流れを遮らないように配置を工夫してみてください。
室外機の前は、熱がこもるのを防ぐために20cm以上のスペースを空けるようにしましょう。また、ドレーンホースに落ち葉やゴミが詰まらないように、周囲の掃除を心がけることも重要です。
直射日光が当たる場所に室外機がある場合は、日陰を作る工夫も大切です。すだれを少し離れた場所に立てかけたり、日よけを設置したりすることで熱がこもりにくくなります。日よけカバーで対策したい人は、下記コンテンツを参考にしてみてくださいね。ただし、商品よっては熱交換の妨げになることがあるため、使用時には注意が必要です。
エアコンの寿命や部屋の広さと性能があっていない場合は、買い替えを検討しましょう。フィルター掃除などをしても不調が改善されないときは、エアコンの寿命である可能性があります。
風が冷たくならない以外にも、異音・におい・水漏れが気になる場合は経年劣化が進んでいるサイン。そのまま使い続けると、発火や事故の危険性もあります。とくに製造から10年以上経っているエアコンは、部品が手に入らず修理が難しいこともあるため、買い替えを検討しましょう。
また、適用畳数に対してパワー不足のエアコンを使っていると、効きが悪くなるだけでなく、余計な電力を消費して電気代がかさむ原因になります。最近のエアコンは省エネ性能に優れたモデルが多いので、部屋に合ったエアコンに買い替えることで節電にもつながるでしょう。
保証期間内であれば修理、期間外であれば買い替えを検討するのがおすすめです。エアコンのメーカー保証は、一般的に本体1年・冷媒回路5年が目安。保証期間中に正常な使用状態で故障した場合は、無料修理の対象です。ただし、落下・移設・災害などによる故障は対象外なので注意しましょう。
保証が切れた後の修理は、費用が高額になることがあります。たとえば日立の一部モデルでは、コンプレッサーの修理に約117,000~194,000円、室外ファンモーターの交換で約39,000~71,000円必要です(参照:日立)。
買い換える場合は、販売店で古いエアコンを引き取ってくれたり、壊れていても下取りしてくれるケースがあります。処分だけする場合は、指定引取場所に自分で持ち込む・購入したお店に引き取りを依頼する・専門の業種に回収を依頼するなどの方法がありますよ。エアコンの状態や費用を比較しながら、自分に合った方法を選びましょう。
エアコンを快適に使い続けるためには、定期的なメンテナンスがとても大切です。こまめにお手入れすることで、冷房の効きが悪くなるのを防ぐだけでなく、エアコン自体も長持ちしやすくなります。
ほこりや汚れは自分でもある程度掃除できますが、内部のファンや熱交換器などの細かい部分まではきれいにできないもの。細部までしっかりきれいにするためには、プロの業者によるエアコンクリーニングがおすすめです。年に1回のペースでのクリーニングをしてもらうことで、エアコンの効きを維持しやすくなるでしょう。
ペットを飼っている家庭や、室内でたばこを吸う習慣がある場合は、毛やヤニで汚れがたまりやすいため、年に2回ほどのクリーニングがおすすめです。夏を涼しく快適に過ごすためにも検討しましょう。