6畳・8畳・10畳・14畳用など、部屋のサイズに応じたモデルを選べるエアコン。自宅の広さに合わせた製品の購入を検討しようとしているものの「部屋よりも小さめのサイズで十分」という意見もあり、実際にどのくらいの能力のエアコンを購入すべきか悩んでいる人も多いでしょう。
そこで今回は、エアコンの適正サイズや畳数表示の目安を解説します。選ぶときに注意すべきポイントも解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
ダイソンの派遣販売員として、ケーズデンキなど家電量販店で掃除機の接客・販売を2年間担当した経験を持つ。マイベストへ入社後はその経験を活かし空気清浄機・除湿機・オイルヒーター・スティッククリーナーなど季節家電・空調家電や掃除機をはじめ白物家電全般を専門にガイドを担当し、日立やシャープ、パナソニックなどの総合家電メーカーから、ダイニチ工業・Sharkなどの専門メーカーまで、150以上の家電製品を比較検証してきた。毎日使う家電製品だからこそ、本当によい商品を誰もが簡単に選べるように、性能はもちろん省エネ性能やお手入れのしやすさまでひとつひとつ丁寧に確認しながらコンテンツ制作を行う。
エアコンの適正サイズを正確に把握するには、電力中央研究所が開発した「エアコン選定支援ツール ASST」を使うのが最も効率的です。
ASSTでは単に部屋の広さを基準にするだけでなく、窓の大きさや断熱性、部屋の方角や気密性などの複雑な条件まで加味して、自動的に必要な冷暖房能力を算出できます。感覚や目安に頼らない、納得のいくサイズ選びが可能です。
<入力項目>
入力がやや多く感じるかもしれませんが、多角的な視点から条件を整理できる点が特長です。
ほかにも、エアコンの選び方でチェックすべきポイントがあります。以下のコンテンツを参考に、商品を選びましょう。
専用のシミュレーターを使わずに、適正サイズを簡単に調べたい場合は、定格能力をチェックしましょう。あわせて最適畳数や部屋の条件も、判断基準のひとつです。ここでは、エアコンの適正サイズを自分で判断する方法をわかりやすく解説します。
定格能力とは、エアコンが標準的な条件下で発揮できる平均的な冷暖房能力のこと。設計上の基本性能といえる指標で、カタログやスペック表には「○kW」という数値で記載されています。定格能力と定格運転状態の消費電力の目安は、以下のとおりです。
<エアコンの定格能力(冷房能力)と、定格運転状態の消費電力の目安>
ただし、外気温が極端に高いまたは低い場合や、運転開始直後などは、定格能力が一時的に下がることがあります。定格能力が不足しているとエアコンが常に全力で運転し続け、電気代が高くなる原因になるため、余裕を持った選定が重要です。
部屋の広さだけで畳数表示を選ぶと、思ったより冷暖房が効かない、または効きすぎるといった失敗につながります。住宅の構造・日当たり・使用時間帯など、部屋の条件によってエアコンの効き方は大きく変わるためです。とくに木造と鉄筋造では断熱・気密性が異なり、必要な冷暖房能力も変わってきます。
最適畳数が「暖房:9~12畳/冷房:10~15畳」と記載がある場合、木造住宅では暖房は9畳、冷房は10畳が上限、鉄筋住宅なら暖房12畳・冷房15畳まで対応できるという意味です。木造は熱が逃げやすいため、部屋の広さは同じでも、より出力が必要になります。
なお、エアコン選びでは、冷房よりも暖房の畳数を基準にしましょう。冷房と暖房はカバーできる範囲が異なり、暖房のほうが適用畳数が小さいことが一般的です。
快適さや省エネ性能を左右するのは、スペックの数字だけではありません。使う環境や条件に合わせた選び方が重要です。ここでは、エアコンを選ぶときに見落としがちなポイントや、意識しておきたい注意点をわかりやすく解説します。
最小能力や最大能力は参考地としましょう。最大能力はエアコンが短時間で発揮できる一時的な出力にすぎず、日常の冷暖房効率には定格能力のほうが影響が大きいためです。最小能力は温度が安定したあとに電気代を抑えて運転できるかを示す指標にすぎません。
最小能力と最大能力の数値に差があるエアコンは、広い運転範囲をカバーできる性能を持っています。普段の生活で快適に使えるかどうかは、定格能力とのバランスや使用環境から判断してくださいね。
最大能力に注目して選ぶと、実際の定格能力が足りず、常に高負荷運転になって電気代がかさむ原因になるので注意しましょう。
畳数表示だけで選ぶと、実際の使用環境に対してオーバースペックになりがちです。畳数表示は古い基準に基づいているため、気密性・断熱性の高い現在の住宅ではもっと少ないエネルギーで快適な室温を保てます。
1964年に定められた畳数表示は、無断熱住宅を前提にした基準です。当時の建物の熱損失係数は、現在の高断熱住宅に比べて7倍以上も熱が逃げやすいとされています。
オーバースペックのエアコンを選ぶと、本体価格が高くなるだけでなく、設置費用や運転コストも無駄にかかるもの。最新の住宅性能を踏まえて、適切な能力を見極めることが大切です。
広い部屋に対して、極端に適用畳数が小さいエアコンを設置すると、常時フル稼働状態となり電気代が高くなります。設定温度に到達できないまま、コンプレッサーが休まず動き続ける状態になるためです。
とくに近年は窓が大きい開放的な間取りが増えており、夏場には日差しや熱気が室内に入りやすくなっています。適用畳数が小さめのエアコンを設置すると、部屋が冷えなかったり、電気代が高額になったりするので注意しましょう。
大きなエアコンは本体価格や設置費用が高くなりがちです。しかし、初期費用を節約しようと能力を下げた結果、日々のランニングコストが増えるようでは本末転倒といえます。長く使うことを考えると、適切な能力を備えた機種を選ぶほうが経済的です。
構造的に熱の出入りが多い空間では、快適性を保つために、通常よりも高出力のエアコンを選びましょう。エアコンの効き具合は、単純な部屋の広さだけでなく、天井の高さや窓の面積、部屋の位置などの要素にも左右されます。
<大きめのエアコンを選んだほうがよいケース>
上記に該当する場合、部屋の畳数にぴったりの能力ではエアコンが効きにくくなります。
一見電気代がかかりそうに思えますが、大きめのエアコンは設定温度に達して安定運転に入りやすいので、省エネかつ快適に使えます。とくに猛暑日や真冬の朝など、厳しい条件下でも頼れる存在になると認識しておきましょう。
エアコン選定ではサイズや能力だけでなく、設置スペースや電源環境などのハード面も確認しましょう。いくら部屋に適した能力のエアコンを選んでも、設置できなければ意味がありません。設置場所の寸法やコンセントの形状が合わないと追加工事が必要になり、コストや工期がかさむ可能性もあります。
たとえば、エアコンのコンセントには平行型・エル型・タンデム型など複数の種類があり、電圧や差し込み形状が異なる場合は、そのまま使えません。また、室外機を置くスペースが確保できない、配管穴の位置が合わないなど、物理的な条件も見落としがちです。
本体価格だけでなく、設置費用もふまえて検討しましょう。たとえば、ケーズデンキでは能力によって標準工事費用が異なり、4.0kwまでは16,500円、4.1kw以上は22,000円がかかります。
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