薬剤師の仕事の種類は？仕事内容や職場、給料を解説
多種多様な仕事に関われる薬剤師。現役薬剤師の人や、薬剤師を目指している人のなかには、薬剤師としてどのような働き方ができるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
今回は薬剤師の仕事の種類や、資格を活かせる職業をわかりやすく解説します。職場ごとの給料も紹介するので、転職先や就職先を検討する際の参考にしてみてください。
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薬剤師の仕事の種類はさまざま！主な職場は3つ
薬剤師の仕事にはさまざまな種類があり、主な職場は調剤薬局・ドラッグストア・病院の3つです。それぞれの仕事内容を紹介するので、薬剤師の働き方をイメージしてみてください。
調剤薬局：主な業務は調剤・服薬指導など
調剤薬局の仕事内容は、処方箋に基づく調剤業務や患者への服薬指導などさまざまです。業務の内容を把握して、調剤薬局で働くイメージを掴みましょう。
処方箋に基づく医薬品の調合
調剤薬局の代表的な仕事のひとつは、調剤業務です。調剤業務の主な内容は、医師が出した処方箋に基づく医薬品の調合、処方箋の内容が本当に正しいのかを判断する処方鑑査など。また、処方箋の内容を医師に問い合わせる疑義照会や、薬剤の重複投与・相互作用の確認なども行います。
場合によっては、通院が困難な患者のために、調剤した薬を自宅まで届ける訪問サービスを行うことも。訪問後は、医師・看護師・ケアマネージャーに患者の服薬状況や体調などを報告します。
調剤業務は、患者に合う薬剤を提供したり、医師が出した処方箋を再確認したりするために欠かせない業務です。調剤業務を行うには、医薬品の知識に加えて、薬剤を調合するための知識や経験、確認作業の正確性が求められます。
患者に薬の飲み方を指導する服薬指導
患者に対して処方された薬の効能や飲み方、保管方法などを説明する服薬指導も、調剤薬局で働く薬剤師の仕事です。患者に対して適切な服薬指導をするために、現在の症状や副作用の有無などの聞き取りも行います。
また患者から聞き取った内容を、医師や医療機関に伝えることも薬剤師の役割です。患者自身が伝えられなかった情報を薬剤師が代わりに共有することで、より的確に医療を提供できます。
服薬指導では対面でアドバイスしたり、悩みを聞いたりするため、説明力やコミュニケーション力が求められるでしょう。
患者の服用履歴を管理する薬歴管理
調剤薬局で働く場合、患者の服薬状況や副作用履歴などを管理・チェックする薬歴管理も行います。新たに薬を処方した際には、医薬品情報の入力も必要です。
薬歴管理の記録簿には、患者に処方された薬剤の量・期間・アレルギー・副作用・相互作用などが記録されています。患者からの薬に関する要望を記録する役割もあるため、ほかの薬剤師が見てもわかりやすいように書くことがポイントです。
なお薬歴管理は、患者や保険機構に対して請求する服薬管理指導料の算定要件でもあります。調剤報酬請求の根拠としての側面もあることから、薬歴管理は調剤薬局において重要な仕事といえるでしょう。
ドラッグストア：医薬品の販売や品出し・レジ打ちなど
ドラッグストアで働く場合、一般医薬品や日用品の販売、レジ打ち、在庫管理といったドラッグストアならではの業務があります。ドラッグストア勤務に興味がある人は、就職・転職の参考にしてみてください。
処方箋なしで買える一般用医薬品の販売・説明
ドラッグストアならではの仕事として、OTC医薬品の販売・説明、健康相談などが挙げられます。
OTC医薬品とは、医師の処方箋がなくても購入できる市販の医薬品のことです。要指導医薬品と第1〜3類の一般用医薬品に分類され、そのうち要指導医薬品と第1類医薬品は薬剤師しか販売できません。
単にOTC医薬品を販売するだけでなく、薬の選び方に迷う人に対して健康相談をすることも。健康相談では、現在の症状や健康状態をヒアリングしてアドバイスを行います。
なお、ドラッグストアの主な業態は、OTC販売型と調剤薬局併設型の2種類です。OTC販売型では調剤業務がありませんが、調剤薬局併設型ではドラッグストアの業務に加えて調剤業務も行います。
日用品などの在庫管理・品出しやレジ打ち
日用品や食品などの品出し、在庫管理、レジ打ちなどもドラッグストアの主な業務です。販売推奨品の配置場所を考える、POPを作成するといった売り場づくりを担当することもあります。
ステップアップして店長などの管理職に就けば、店舗の売り上げや人材の管理を任されることもあるでしょう。薬剤師としての仕事以外に、幅広い業務に携われるのがドラッグストア勤務の特徴です。
病院：より幅広く専門的な仕事を担当
薬剤師が病院で働く場合は、より専門的な業務が多くなります。病院での勤務に興味がある人は、仕事内容をチェックしてみてください。
製剤業務や注射薬調剤の鑑査
病院勤務の主な仕事として製剤業務が挙げられます。製剤業務とは、治療に必要な薬が市販されていない場合に新たな薬を作ることです。
製剤業務は全国の病院で行われており、製剤業務によって生み出された薬のなかには、実際に製品化された医薬品もあります。
そのほか、注射薬の量や配合が正しいのかを確認する鑑査も業務のひとつです。注射薬は内服薬に比べて効果が強いことから、薬剤師による厳格なチェックが求められます。
注射薬調剤の鑑査は、患者へ適正かつ安全に注射薬を提供するために欠かせない業務といえるでしょう。
医薬品の情報収集や医師・看護師への情報提供
病院で働く薬剤師の仕事のひとつに、DI（医薬品情報管理）業務があります。DI業務の主な内容は、自社製品の管理や新薬の情報収集、医療従事者や大学などへの医薬品情報の提供、問い合わせ対応などです。
ほかの医療スタッフが確認しやすいように、収集した情報を整理することも仕事のうちといえます。DI業務を担当する場合は、医薬品に関する専門的な知識と、情報を正確に扱うスキルが求められるでしょう。
救急救命業務やチーム医療に参加することも
病院で働く薬剤師は、救急救命業務に参加することもあります。救急現場における薬剤師の主な仕事は、医薬品の管理や鑑査、救急医療に関する教育などです。
治療内容に対する副作用や相互作用の有無、薬物投与量の計算、特殊薬の調整など、薬学の専門家として救急救命業務の重要な立場を担います。
また医療の質を向上させるために、チーム医療に参加することも。チーム医療とは、1人の患者に対して医師・看護師・栄養士などの医療専門職が連携して治療に当たることです。
チーム医療での薬剤師の仕事には、薬剤の選択や投与量・投与方法などの処方提案、薬剤の取扱いに関する情報共有などがあります。医師と協働し、処方設計を分担することも業務のひとつです。
薬剤師の資格でできる仕事は？転職可能な職種をチェック
薬剤師の資格を持っていれば、資格を活かせる職種への転職も可能です。さまざまな職種を紹介するので、働きたい職場があるかどうかをチェックしてみてください。
製薬会社に関わるMR・MS
薬剤の知識を有していれば、製薬会社に関わるMRやMSへの転職が可能です。
MRとは、医薬情報担当者のこと。自社の医薬品を採用してもらうことを目的として、医薬品の品質・安全性・有効性などの情報を医療関係者に提供します。医療現場からの薬に関するフィードバックの伝達、競合他社の医薬品や最新の医療知識の調査など、医薬品に関する情報収集も重要な業務です。
一方のMSは営業職に分類される職業で、医薬品卸販売担当者という意味があります。主な業務は、製薬会社から仕入れた医薬品・医療機器を医療機関に販売すること、製品に関する情報を収集・提供することなどです。
MRとMSはどちらも製薬会社に関わるため、違いがわかりにくいでしょう。主な見分け方は、自社製品の情報を提供するのがMR、さまざまな製薬会社の製品を販売するのがMSです。
以下の記事では、製薬会社での薬剤師の働き方を詳しく解説しています。製薬会社への転職に興味がある人は、ぜひ読んでみてください。
企業内診療所や学校でも活躍できる
薬剤師は企業内診療所や学校でも活躍できます。企業内診療所とは、企業内に設置されている医務室のことです。企業で働く社員の病気予防や健康促進のために、調剤業務や服薬指導などを行います。
学校で働く学校薬剤師は、学校保健安全法で大学以外の学校に設置が義務づけられている職種です。主な業務には、学校における環境衛生・健康相談・保健指導などが挙げられます。
学校薬剤師の仕事は環境衛生に関する職務がメインなので、特に衛生化学の知識を身につけなければいけません。薬剤師としてのスキルや知識のみならず、教育に対する理解や教育の場にふさわしい人間性も求められるでしょう。
以下の記事では、学校薬剤師の給与や仕事内容などを解説しています。学校薬剤師として働きたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
企業の研究・開発職への転職も可能
薬剤師資格があれば、製薬会社・化粧品メーカー・食品メーカーなどの研究・開発職にも転職できます。
研究職の主な仕事は基礎研究と応用研究です。基礎研究では、新薬を作るのに必要な基礎情報を集めます。応用研究の主な仕事は、基礎研究で得た情報をもとに、新薬や確立された技術の応用を研究することです。
開発職の場合は、新薬を形にするための設計や製造を行います。具体的な仕事内容は、新薬の有効性や安全性などを確認する臨床試験を行い、製造・販売の承認を得ることです。新薬が完成するには約9～17年かかるといわれているため、長期的に関われる仕事といえるでしょう。
以下の記事では、化粧品メーカーでの薬剤師の働き方を解説しています。研究や開発に興味がある人はチェックしてみてください。
治験業界のCRCやCRAとしても働ける
薬剤師の資格を活かせば、治験の調整役であるCRC（治験コーディネーター）や、治験を監視するCRA（臨床開発モニター）としても働けます。治験とは、人体に対する新薬の有効性と安全性を確認するための臨床試験のことです。
問題なく治験が行えるよう、CRCは医師や看護師などと連携してさまざまなサポートを行います。主な業務は、被験者に対する治験期間や検査項目などの説明、面談・診察への同席、服薬指導・併用薬剤のチェックなどです。
CRCが治験の調整役であるのに対し、CRAは治験の監視役を担います。主な仕事は、治験実施計画書をもとに治験が正しく行われているかをチェックすること。そのほか、薬の安全性と有効性を証明する症例データの収集、進捗状況の管理なども担当します。
国家・地方公務員への道もある
薬剤師は国家・地方公務員への転職も可能です。国家公務員の場合は、麻薬取締官や薬系技官などが目指せます。地方公務員の主な職場は、都道府県や市町村が運営する公立病院・保健所などです。
麻薬取締官は、麻薬の取り締まりや防止のための啓発活動などを行います。薬系技官の主な仕事は、国民の健康保持・増進に関する制度や仕組みを整えることです。
公立病院に勤務する場合は、通常の病院勤務のように調剤や服薬指導などを行います。保健所で働く薬剤師の仕事は、地域の施設に対する新設許可や立ち入り検査などです。
公務員薬剤師といっても、職種によって仕事内容が大きく異なるため、事前によく確認しておくと良いでしょう。
以下の記事では、保健所薬剤の仕事内容や年収などを解説しています。公務員薬剤師に興味がある人は参考にしてみてください。
職種ごとの給料の違いは？薬剤師の職業別の年収
薬剤師全体の平均年収は約583万円（※1）ですが、職種によって平均年収は大きく異なります。薬剤師の職業別の年収を見てみましょう。
1.職業情報提供サイトjobtagを参照
薬剤師の主な職場の平均年収は、調剤薬局が約450〜800万円、ドラッグストアが約500～1,000万円、病院薬剤師が約380～700万円とされています。そのほかの職場の平均年収の目安は次のとおりです。
- 企業の研究・開発職：約300～1,000万円
- 製薬会社：約540～720万円
- 企業内診療所：約400〜500万円
- MR：約578万円（※2）
- MS：約450万円
- CRC：約443万円
- CRA：約400～800万円
- 学校薬剤師：約10～20万円
- 地方公務員：約615.4万円（※3）
2.職業情報提供サイトjobtagを参照
3.第5表 職種別職員の平均給与額を参照
薬剤師の仕事を探すなら転職エージェントがおすすめ！
薬剤師の職場は多岐にわたり、仕事内容もさまざまです。職場によって必要とされる経験やスキルが異なるため、どの職場や仕事内容が自分に合うのか悩んでしまうこともあるでしょう。
以下の記事では、薬剤師の転職に役立つサイト・エージェントを徹底比較しています。薬剤師の転職についてプロに相談したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
マイベストは有料職業紹介事業の許認可を受けています。（13-ユ-315911）
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