薬剤師の勤務先のひとつであるドラッグストア。ドラッグストア薬剤師に興味を持っているものの、勤務がきついのではないかと不安に思う人もいるでしょう。
今回はドラッグストア薬剤師の仕事内容や、辞めたい人が多いとされる理由を解説します。ドラッグストア薬剤師として働くメリットなども紹介するので、ドラッグストア薬剤師に対する理解を深め、自分に向いているかを考えてみてください。
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ドラッグストア薬剤師の仕事がきついといわれる要因として、主に5つの理由が挙げられます。ここでは5つの理由を詳しく解説するので、ドラッグストア薬剤師を目指すかどうかの判断材料として役立ててください。
ドラッグストア薬剤師がきついといわれる理由として、業務量の多さから精神的・体力的に負担がかかりやすいことが挙げられます。ドラッグストア勤務の場合、薬剤師としての仕事に加えて、さまざまな業務をこなさなければいけません。
ドラッグストアは調剤薬局併設型とOTC販売型に分類されます。調剤薬局併設型の場合、薬剤師の主な担当業務は調剤・服薬指導、処方箋なしに購入できるOTC医薬品の販売などです。場合によっては、日用品のレジ打ちや品出しを担当することもあります。
OTC販売型の主な仕事内容は、OTC医薬品の販売、お客さんの健康相談、日用品のレジ打ち・在庫管理・商品陳列・POP作成などです。調剤業務がないため、薬剤師としての仕事よりも一般業務の割合が高いといえます。
重いものの品出しには体力が必要であるほか、接客業務が多いことによって精神的なつらさを抱えるケースもあるでしょう。薬剤師としての仕事と一般業務の両方を任せられることが、ドラッグストア薬剤師の負担につながっていると考えられます。
ドラッグストア勤務の懸念として、休みがバラバラで予定が立てにくいこと、生活リズムが崩れやすいことも挙げられます。
ドラッグストア薬剤師の勤務形態は、基本的にシフト制です。勤務日・時間が変動しやすいほか、早番・遅番に分かれることもあるため、生活リズムが乱れやすいでしょう。場合によっては、まとまった長期休暇の取得が難しいこともあります。
また、ドラッグストアは土日・祝日でも営業しているため、家族や友人と予定が合わず、旅行などのイベントが減る可能性もあるでしょう。特にOTC販売型の場合、病院が休みの土日・祝日はOTC医薬品を買い求める人が増え、忙しくなる傾向があります。
勤務時間や休日がバラバラな状態が続くと、仕事とプライベートの両立が難しくなりやすいため、人によってはつらさを感じるでしょう。
ドラッグストア勤務の場合、人手不足から一人薬剤師になる可能性が高く、ミスへの不安が精神的なつらさにつながると考えられます。一人薬剤師とは、本来は複数の薬剤師で担当する業務を1人でこなす薬剤師のことです。
一人薬剤師の場合、本来は複数人で行うべきダブルチェックができません。複数人で担当するケースに比べて、調剤などのミスが起きやすくなるでしょう。厚生労働省の「ダブルチェックの有効性を再考する」によれば、ダブルチェックをした場合であっても、20,127件中555件の医療事故が起きています。
また一人薬剤師は、薬局の責任者である管理薬剤師も担うのが基本です。調剤などのミスを1人で防止しなければならないうえに、管理薬剤師としての責任の重さを感じやすい点は、ドラッグストア勤務の懸念点といえます。
ドラッグストア薬剤師はノルマを課されることがあり、ノルマの負担がドラッグストアを辞めたい理由につながるケースも少なくありません。
ドラッグストアによっては、OTC医薬品や店舗の推奨品などの売上を競うコンクールが開催されます。売上コンクールでは売上の追求が優先されるため、厳しいノルマが課せられることも。また、自分が推奨したい商品を思うように販売できず、葛藤を抱える人もいるでしょう。
調剤薬局併設型のドラッグストアでは、かかりつけ薬剤師の指名を獲得するノルマが課せられることもあります。かかりつけ薬剤師とは、特定の患者さんの相談に応じる薬剤師のことです。
かかりつけ薬剤師に指名されると、かかりつけ薬剤師指導料が加算され、ドラッグストアの収益につながります。つまりかかりつけ薬剤師は、調剤薬局併設型のドラッグストアにおいて、収益確保のために重要な存在です。
かかりつけ薬剤師の指名を獲得するには、お客さんから同意書を取得する必要があります。なかでも大手チェーンのドラッグストアは、同意書による指名獲得をノルマにしているケースが多い傾向です。
人によっては、売上コンクールやかかりつけ薬剤師の指名獲得といった厳しいノルマについていけず、ドラッグストア勤務を辞めたいと思うこともあるでしょう。
お客さんや従業員との関わりが多いことも、ドラッグストア勤務がきついといわれる理由のひとつです。ドラッグストアには老若男女を問わずさまざまな人が来店するため、多くの人とコミュニケーションを取らなければいけません。
特に調剤薬局を併設していないドラッグストアでは、OTC医薬品の販売・説明、健康相談などの接客業務が多くなりがちです。
またドラッグストアは、職場の人間関係のトラブルが起きやすい職場でもあります。正社員・アルバイト・パートといった異なる立場の人が集まることから、仕事に対する意識やモチベーションの違いなどが引き金となり、人間関係がぎくしゃくすることもあるでしょう。
ドラッグストアで働く場合、接客や職場の人との関わりを切り離せないため、コミュニケーションが苦手な人はつらさを感じることも考えられます。
ドラッグストア薬剤師の懸念点を紹介しましたが、一方でドラッグストア勤務にはやりがいもメリットもあります。きついといわれる理由だけではなく、ドラッグストアで働くメリットも理解しておけば、自身がドラッグストア薬剤師に向いているかを判断しやすいでしょう。
ドラッグストア薬剤師の平均年収は、調剤薬局や病院で働く薬剤師に比べて高めの水準といえます。一般的な目安として、ドラッグストア薬剤師の平均年収は約510〜560万円、調剤薬局は約490〜520万円、病院は約430〜490万円です。
ドラッグストア薬剤師の年収が高い理由として、働く時間が長くなりやすいことが挙げられます。9〜18時が基本の就業時間である調剤薬局に比べ、ドラッグストアでは勤務が20〜21時までに及ぶことも珍しくありません。拘束時間が長くなりやすい点が、年収の高さにつながっているのでしょう。
また、ドラッグストア業界は人手不足の傾向があることから、高待遇で薬剤師を採用するケースも少なくありません。一部のOTC医薬品は薬剤師でなければ販売できないため、企業側は年収を上げてでも薬剤師を採用したいと考えるでしょう。
以下の記事では、ドラッグストア薬剤師の年収や他職種との比較をまとめています。年収を上げる方法なども紹介しているため、気になる人はチェックしてみてください。
ドラッグストア薬剤師は幅広いスキルを身につけられる職業です。調剤や服薬指導などの専門的な業務以外にも、OTC医薬品の販売・健康相談・レジ打ち・品出し・在庫管理といった幅広い業務を経験できます。
管理職になれば、店舗運営や人材管理といった経営スキルの習得も可能です。調剤・服薬指導だけではなく、店舗運営全般のスキルも身につけたい人にとって、ドラッグストア勤務はメリットが大きいといえるでしょう。
福利厚生が整っている職場が多いことも、ドラッグストア勤務のメリットです。ドラッグストア業界には、100店舗を超える大規模な企業が多数存在します。
会社の規模が大きい場合、残業代の支給、産休・育休の取得などの福利厚生に期待ができるでしょう。人材が豊富であれば、シフトで困ったときなどに他店舗からサポートしてもらえる可能性もあります。
ドラッグストア薬剤師として働く際は、会社の規模の大きさにも注目して探してみるとよいでしょう
ドラッグストア業界は求人数が多い傾向があり、転職しやすいのがメリットです。ドラッグストア業界の求人数が多い理由には、総売上や店舗数が年々増加していることが考えられます。
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)のデータによると、ドラッグストアの総売上は2019年で7兆6,859億円、2020年で8兆363億円、2021年で8兆5,408億円、2022年で8兆7134億円です。
店舗数をみると、2019年で20,631店舗、2020年で21,284店舗、2021年で21,725店舗、2022年で22,084店舗と年々増加しています。売上や店舗数の増加にともない、求人数も増えていると考えられるでしょう。
なお、厚生労働省の一般職業紹介状況によると、薬剤師全体の有効求人倍率は2倍以上です。求人倍率が2倍以上の場合、1人の薬剤師に対して求人が2件以上あります。厚生労働省のデータはドラッグストア勤務に限ったものではありませんが、薬剤師は需要のある職業だといえるでしょう。
加えてドラッグストア薬剤師は、時短勤務やパート勤務といった正社員以外の働き方を選べるケースが多い傾向です。働き方の自由度が高いことも、転職しやすさにつながっていると考えられます。
会話が好きな人やコミュニケーション能力が高い人には、ドラッグストア勤務が向いているといえます。
OTC医薬品の説明をしたり、健康相談のアドバイスをしたりと、ドラッグストア勤務は接客の頻度が高めです。特に調剤薬局を併設していないOTC販売型は接客業務が多いため、会話力が求められるでしょう。
またドラッグストアは、正社員・アルバイト・パートといった異なる立場の従業員が集まる職場です。さまざまな考え方を持つ従業員と働くうえで、周囲と円滑にコミュニケーションをとれる能力があれば、職場での人間関係や人材管理などに悩むことも少ないでしょう。
ドラッグストア勤務はきついといわれる一方で、やりがいやメリットもあります。ドラッグストア勤務が向いていると思ったら、薬剤師専門の転職サイト・エージェントで求人を探すのがおすすめです。ほかの職場も検討したい場合は、ドラッグストア以外の求人にも目を向けるとよいでしょう。
薬剤師専門の転職サイト・エージェントでは、キャリアアドバイザーのサポートが受けられます。希望条件などをヒアリングしたうえで、薬剤師としてより良い働き方を提案してもらえるのがメリットです。
マイベストは有料職業紹介事業の許認可を受けています。(13-ユ-315911)
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