安定性が高く福利厚生も充実している公務員薬剤師は、決して楽な仕事ではなく辞めたいと感じる人が少なくないのが事実です。公務員の薬剤師を辞めたいと思っているものの、民間に転職するとどんなデメリットがあるのか、どんな人が民間への転職に向いているのかなど、わからないことが多く不安な人もいるのではないでしょうか。
今回は、公務員薬剤師を辞めて転職するメリット・デメリットを解説します。民間に転職するのがおすすめの人や悩んだときの対処方法も解説するので、公務員薬剤師を辞めようと思っている人は参考にしてみてください。
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民間に転職するデメリットは、生涯年収が減ったり、手厚い福利厚生がなくなったりする点です。まずは、公務員の薬剤師を辞めて民間に転職するデメリットを解説します。
民間に転職すると、生涯年収が下がる可能性がある点に注意しましょう。平均年収は公務員の薬剤師より民間のほうが低い傾向にあるため、民間に転職すると生涯年収も下がることが予想されます。
令和4年国家公務員給与等実態調査などによると、国家公務員である薬剤師は平均月給が357,805円、平均賞与が1,574,342円で、平均年収が5,868,002円です。
一方、令和4年賃金構造基本統計調査によると、民間の薬剤師は平均月給が416,250円、平均賞与が829,875円で、平均年収が5,824,875円と算出できます。民間企業に勤める薬剤師の平均年収は国家公務員と比べて少し低く、差は約4万円です。
国家公務員には国の定めた昇給制度があるため、給与が民間企業と比べて安定して上がりやすい特徴があります。平均年収の差は約4万円のみですが、民間企業には昇給制度が整っていない企業もあるため、年齢にともない年収にさらなる差が出ることもあるでしょう。
また、上記民間薬剤師の平均月給には、残業代や夜勤手当などが含まれている可能性が高く、一定時間残業や夜間勤務を行ったうえでの月給と想定できます。残業や夜間勤務がない場合で想定すると、公務員薬剤師よりもさらに低くなる可能性がある点に注意が必要です。
民間に転職すると、転職先によっては手厚い福利厚生が受けられなくなる点にも注意しましょう。民間の企業にも福利厚生があるものの、手厚さは企業によって異なるため、転職先によっては福利厚生が劣る可能性があります。
公務員は、扶養手当・住宅手当・地域手当の手当があり、病気休暇・特別休暇・介護休暇の休暇制度もあるなど、各種手厚い福利厚生を受けられる点が特徴です。
民間の企業は、企業によって福利厚生がまったく異なります。例えば、資格手当や地域手当、育休や時短勤務などの制度を設けている充実した企業もあれば、手当が少なく取得できる休暇も少ない場合もあるでしょう。
民間に転職すると、退職金が少なくなる可能性もあります。公務員の退職金は制度として定められている一方で、民間企業の退職金は企業によって異なるため、転職先によっては退職金が少なくなったり出なかったりすることもあるでしょう。
国家公務員の場合、退職金に相当する退職手当は国家公務員退職手当法にもとづいて支給されます。例えば、38年勤務して定年退職し、退職時の俸給月額が387,400円だった場合、退職手当は20,302,866円です。
一方民間企業の場合は、福利厚生と同様に企業によって異なります。例えば、中小企業退職金共済制度に加入している調剤薬局で、勤続年数が30年、毎月の掛金が10,000円である場合、退職金は4,213,100円です。国家公務員の退職金とは非常に大きな差があることがわかります。
民間でも公務員でも退職金は勤続年数に応じて算出されることが一般的であるため、転職することで勤続年数が短くなると退職金も少なくなる点に注意しましょう。
公務員を辞めることを周囲から理解してもらえず、ストレスに感じる場合がある点もデメリットです。
安定した収入を得られる公務員を途中で辞めるのはもったいなく、定年まで働くべきだと考えている人が一定数いるため、辞めることを批判される場合があります。
例えば、友人・家族などの身近な人が公務員を辞めることに反対した場合には、ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
民間に転職すると、社会的信用が下がることもあります。一般的に民間の企業では、年収が会社の業績や個人の実績から影響を受けやすく不安定とみなされ、社会的信用が低いと判断されるのが特徴です。
例えば、住宅ローンを申込む場合、公務員であれば社会的信用度が高いため審査に通りやすいでしょう。一方、民間企業で勤続年数が短いと、社会的信用が低くローンの審査に通りにくいことがあります。
転職したものの民間の仕事内容が合わず、辞めたくなる場合がある点にも注意しましょう。公務員薬剤師と民間では仕事内容や考え方が異なるので、転職先での仕事になじめない可能性があります。
公務員薬剤師の仕事内容は職種によってさまざまですが、事務作業が多い点が特徴です。例えば、国家公務員として薬に関する制度整備をしたり、地方公務員として医薬品メーカーへ立ち入り検査をしたりします。
一方、民間の薬剤師は調剤業務に関わることがほとんどです。例えば、調剤薬局や病院では調剤業務や服薬指導をしたり、ドラッグストアでは調剤業務に加えて接客販売業務をしたりもします。
民間では訪れる患者とのコミュニケーションを取るシーンが多いため、人によっては負担に感じることもあるでしょう。
民間に転職するメリットは、調剤などやりたかった仕事ができたり、落ち着いてキャリアを積んだりできる点です。以下では、民間に転職するメリットを解説します。
民間に転職すると調剤などやりたかった仕事をできる点がメリットです。公務員の薬剤師で公立病院以外に勤務している場合は、事務作業が多く、調剤業務をすることはほとんどありません。一方、民間では調剤・服薬指導の業務ができる転職先が多くあります。
安定性を求めて公務員薬剤師になったものの、事務作業より調剤業務をやりたい人は民間に転職するメリットが大きいでしょう。
調剤薬局や民間の病院では、調剤や服薬指導が主な仕事です。ドラッグストアでは、調剤業務のほかに、医薬品やサプリメントなどの販売業務も行うため接客販売業務も行います。民間のほうが患者と近い距離で仕事ができるため、人の健康に貢献している実感を得たい人にはおすすめです。
転職先によっては、給料が上がることもあります。公務員のほうが民間に比べて平均年収は高い傾向にありますが、企業によってはより高い給料をもらうことも可能です。
例えば、大手製薬会社の研究職やMRに転職できれば年収が1,000万円を超えることもあり、公務員の平均年収を上回るケースがあるでしょう。民間は企業や職種の種類が豊富なので、給料アップにつながるチャンスは多いといえます。
民間の企業に転職すると、落ち着いてキャリアが積めるメリットもあります。公務員は、2〜4年ごとに1回人事異動させられることが多く、転勤を伴う場合も少なくありません。
公務員は仕事に慣れてきても異動するたびに新しい仕事を覚える必要があるため、専門的なキャリアを積むのが難しいこともあるでしょう。転勤が必要だと、その度に家を引っ越さなければならず負担が大きいといえます。
一方民間では、企業によって異動の多さは異なりますが、一般的には公務員ほど頻繁に異動はないといえるでしょう。1つの仕事を長く担当し、専門的なキャリアを積むこともできます。
例えば調剤薬局では、調剤薬剤師からスタートして、1つの薬局を管轄する管理薬剤師、複数の薬局を管轄するエリアマネージャーへのキャリアアップも可能です。
民間への転職は、転職先でやりたいことが明確な人にはおすすめな一方、手厚い福利厚生や退職金を求めている人にはおすすめできません。以下では、民間の薬剤師に転職するのがおすすめの人、転職すると後悔する可能性が高い人をそれぞれ解説します。
転職先でやりたいことが明確であったり、体力的・精神的に限界を感じていたりする人は民間へ転職するとよいでしょう。
例えば、年収・福利厚生が現在より劣ったとしても、やりたかった調剤業務に従事したい気持ちが大きいのであれば、調剤薬局や病院などへの転職がおすすめです。転職先によっては福利厚生が充実している場合もあるので、待遇をチェックしましょう。
公務員の仕事で長時間残業が続き、体力的・精神的に過剰な負担を感じている場合にも、健康を損なわないよう退職を検討してください。
民間へ転職したい人のなかには、履歴書の添削などサポートがある薬剤師転職サイトの利用を検討している人もいるでしょう。しかし、転職サイトを使うほうがよいのか、どの転職サイトがよいのかなど、わからないことが多い人もいるのではないでしょうか。
以下の記事では、人気の薬剤師転職サイトを徹底比較しています。転職サイトの必要性や選び方も解説しているので、転職を予定している人は参考にしてみてください。
手厚い福利厚生や退職金がほしい人、安定した収入がほしい人は、民間の薬剤師になって後悔する可能性が高いでしょう。
民間の薬剤師になると、公務員の手厚い福利厚生がなくなったり、退職金が減ったりすることがあるため、福利厚生・退職金を重視している人は転職をさけたほうが無難です。
民間では収入も業績によって変動し、定期昇給の制度がない場合もあるので、安定した収入がほしい人は後悔する可能性が高いでしょう。
公務員の薬剤師を辞めるかどうか悩んだときには、異動を希望したり、周囲に相談したりするとよいでしょう。最後に、悩んだときの対処方法を解説します。
仕事がつらい、つまらないと感じている場合には、異動を希望するのがおすすめです。部署の異動をすることで、職場環境や仕事内容が変わり、状況が改善される可能性があります。
例えば、いまの職場で人間関係に問題があり、毎日仕事をするのがつらいと感じている場合には、異動して職場環境を変えることで改善されるでしょう。現在の仕事内容が単調でつまらないと感じている場合も、異動で業務内容が変われば改善されます。
異動の希望を出しても通らない場合もありますが、現在よりも働きやすい環境に異動できる可能性があるので、異動の希望は出してみるとよいでしょう。
辞めるかどうか悩んでいる場合には、周りに相談して冷静な意見も聞いてみましょう。自分1人で考えていると偏った考え方になりがちですが、さまざまな人の意見を聞くことで有益なアドバイスをもらえることがあります。
アドバイスをもらうのであれば、似た境遇を経験している人に相談するのがおすすめです。例えば、公務員の薬剤師をしていたが調剤薬局に転職した人、公務員の薬剤師でほかの部署に異動した人などに相談するとよいでしょう。
長めの休暇をとり、気分転換する方法もおすすめです。仕事を休んでリフレッシュすることで、辞めたい気持ちがおさまったり、冷静に判断できたりするようになります。
仕事で体力的・精神的に疲弊して辞めたいと考えている場合には、仕事を休んで冷静に判断できるようになってから辞めるかどうかを判断しましょう。
公務員は休暇制度が充実しているため、休みを取りやすい傾向があります。自分がとれる休暇日数を確認して休暇をとりましょう。
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